概要
自殺とは、自分自身の命を絶つことである。
死に至らず不本意にも生存してしまった場合は「自殺未遂」という。
自身を殺すことを目的としない「自傷」とは区別される。
また、救いようのない状況下の人間(または動物)に対して、その苦痛を取り除くためにあえて死を施すという安楽死とは異なる。
比喩的に「自分にとってダメージの大きい行為を自らやってしまうこと」を指すこともある。
サッカーなどの「自殺点」もこの範疇に入る(現在ではイメージが悪いため「オウンゴール」の呼称が主に使われている)。
Pixivでの自殺のイラストは、血の描写のあるR-18Gのものが多い。
詳しくは後述するが、逃げる、出勤/登校しない、相手の言い分を鵜呑みにしない(必ず疑う)、相手や逃げることに罪悪感を持たないといった対策が必要となる。
自殺問題
WHOによれば世界で年間約80万人とされている。
21世紀において自殺率の高い国のランキングでは、主要国の場合旧ソ連地域、東欧、韓国、日本などが伝統的に上位を占めている。基本的には景気が悪く失業者が増えるほど高くなる。
また、日照時間が少ない地域は自殺が多い。北欧諸国の自殺率は幸福度ランキングに反して普通に高い(スウェーデン、フィンランド)。日本では日本海側はいつも上位である(ただ北陸三県は宗教信仰が強いためか少ないゆえに伊勢神宮を始め有名な神社仏閣や寺社仏閣のある地域も信仰心が強いためか自殺発生件数が少ない傾向にある)。また日照時間の多い地域は政情不安だろうと自殺率が低かったりする(ベネズエラ、ミャンマー、エジプト等)。また東南アジアや中東では宗教の信仰心が強い影響か自殺率が少ない傾向にある。
中華人民共和国やアメリカ合衆国は自殺率自体は高くないが、自殺者にしめる若者の比率が高いために大きな問題と認識されている。このうち中国は男性より女性の自殺者の方が多い、世界でも稀な国である。特に米国については近年かなり上昇しており、2020年のデータでは日本と同等以上になった。
大抵は若者より中高年、女性より男性の自殺率がはるかに高い。中高年より若者の自殺率が高かったら、それはそれで問題となるが、戦時下ではこの状況になりやすい。実際、初期のナチス・ドイツが、この状況に陥っている。逆に戦争が発生している場合、自殺率が低くなる事がある。これは、戦争という共通の目的に社会全体が一致団結して取り組む事で孤立する人がいなくなるなどが挙げられる。
現代はインターネットの発達により、死ぬ方法や自殺願望を抱えた同志を探しやすいという危険性もある。そのためブラウザやSNSなどのネットサービスでは、検索窓に「自殺」の含まれる語句を入れて検索すると、検索結果よりも真っ先に公共の自殺防止団体への連絡先やリンクが「あなたの声を聞かせて」などのメッセージと共に表示されるようになっていることが多い。
自殺観
キリスト教やイスラム教では殉教目的以外での自殺が禁止されているのは有名だが、仏教では近世まで即身仏のような自殺する修行もあった。
一方で焦熱地獄のうち、「餓死自殺したものが落ちる」とされる(光り輝くものを遠くから見て、池だと思わせて、それは炎でひたすら焼かれるというモノ)、分荼梨迦処のように即身仏そのものを止めさせるための抑止力的概念もあったにはあった。
ジャイナ教においては生きている以上他の動物の殺生は避けられないという観点から、修行僧に対し断食による意図的な餓死を戒律として義務付けている。
スイスやオランダなど多くのヨーロッパ諸国では、条件があるものの安楽死が合法化されているが、キリスト教の立場からは批判があり、スペインやイタリアなどのカトリック教会の勢力が強い国では合法化が遅れた。
日本では、安楽死を合法化せよと主張する層が定期的に声を上げる。ナチス・ドイツは障害者など働けず医療費のかかる人は社会の負担になるとして殺害していたが(優生思想)、現代の日本でも高齢化社会により財政負担が増加する中、医療の助けが必要な人々を安楽死に追い込むなどして淘汰するべきという「マイルドな優生思想」を支持している人が少なくないとして「安楽死は時期尚早」という声も多い。高齢者に「集団自決」を扇動した学者や、「人工透析患者はそのまま殺せ」と主張したアナウンサーなどの発言が炎上しているが、インターネット上の書き込みでは彼らの発言が一定の支持を受けていることがうかがえる。
いじめやブラック企業においては、加害者からの自殺を示唆する発言が被害者を死に追い込むことがあり、裁判などでたびたび争点となる。
日本の自殺問題
男女合わせて年間2万人(10万人当たり約16人)が自殺していると言われる。
遺書がないと自殺と断定されないとも言われることもあるが、実際はしっかりカウントされている。約7割は遺書がないとされているが、どっちみち正確な数字は掴めていない。うつ病患者が自殺者全体の75%を占めている。
医療が進歩した現代においては20代-30代の死因1位2位には自殺が入っている(まあ戦死や栄養失調が1位だったらもっと問題であるが…)。データがある範囲で一番低い記録でも10万人当たり約12.1人であり、現在人口換算で約1.5万人になる。
「女性より男性の自殺率が高い」という世界的な傾向は日本も例外ではなく、自殺者の4分の3が男性である。一般的には「高齢者の自殺率が高く、若者の自殺率が低い」のだが、近年の日本で最も自殺率が高いのは中年層の40〜50代である(就職氷河期世代とも重なる)。さらに、20~30代の若年成人の自殺率もこれについで高く(ただし10代の自殺率は他国と同じく低め)、少子化が進む日本では重大な問題である。
2010年代には失業率の低下に伴い自殺率は低下傾向にあったが、2020年代のコロナ禍で再上昇している。特に人手不足を背景に過労や長期失業に陥りがちな50代の自殺者増加が著しい。職場で責任ある立場についていることが多くストレスが重いことや、この年齢層だと転職が困難であり、まだ年金が受けられる年齢でもないことなどが背景にある。
人口10万人当たりの死者数
自殺:約13.7人
交通事故:約2.5人
殺人:約0.25人
自然災害:1960年以降の以下の年を除く平年は0.4~1人
自殺を考えている場合
どうか早まらないでほしい。
もし、あなたが自殺を考えている場合、いのちの電話などの相談機関を頼ってみることを推奨する。
「自身の限界を超えて自殺 or 過労死 or 精神崩壊するまで頑張りました」なんて美徳も美談もへったくれもないため、精神的に限界な場合は罪悪感や責任感を捨てて逃げること、登校・出勤しないこと、落ち着いたら状況や相手の行動に違和感や違法性がないか調べることや、通報や弁護士等への相談もお勧めしたい。
同調圧力やパワハラ・いじめによる錯覚など、元から罪悪感すら感じる価値がないケースもある。相手の言い分を鵜呑みにしてはいけない。涙が止まらない、死にたい、体の不調を訴えるなどその時点で既に限界であるため、「相手は悪くない、成績が悪かったりそれに耐えられない自分が悪い」と思わせるのも常套手段である。
「これが普通、常識、どこも一緒、甘えんな」といった言い分もよく使われるが、そもそも犯罪や違法だったりする場合も多い。(サービス残業の強制、有給休暇が使えないなど)大事なことなので二度言うが必ず調べよう。
「逃げるは恥だが役に立つ」…ではなく、やべー奴から逃げることはそもそも恥ではない。そんなクズのような奴に申し訳ないと思ってはいけないし、思う価値もない。(緊急避難)仕事から逃げようが辞めようが人生は割と終わらない。
当事者への対応に関する問題
誹謗中傷
昔から精神論・根性論が根強い日本においては、自殺者を誹謗中傷する者も多いが、現実にはうつ病や躁うつ病の症状で死を望むようになる「希死念慮」というものがあり、自殺者には治療を受けている者もいない者も含めてこの患者が多く含まれている。
実際に過重労働などで追い詰められた事のある人の中には、ふと通勤中の駅で目の前の線路を見て「一歩踏み出せば、苦しみから解放される」といった思いにとらわれて、衝動的に自殺を図りそうになってしまったことがある人もいるとのこと。
自殺者を非難することで、「自殺をするような弱い人間に育ててしまった」などとして遺族が自責の念をさらに強めてしまい苦しむ事も多い(実際には自殺原因には恋愛問題や職場での問題など様々であり家族に責がないことが多い)。
遺族や自殺未遂者を追い詰めると、遺族を連鎖崩壊に追いやったり未遂者を既遂者にしてしまったり、自殺予防や遺族の心のケアに努力する支援者の活動をも阻害することにもつながるため、厳に慎むべきである。
神格化
一方、だからと言って逆に自殺を勇気ある決断として褒め称え、自殺者を神格化して崇める行為もまた慎むべきである。
キリスト教やイスラム教と異なり、自殺を禁忌とする戒律が明言されていない仏教においては自殺を直接的に忌避する思想はなく(ただし、宗教関係者が自殺防止のために社会活動を行う例は多い)、同じくヒンズー教から派生した兄弟宗教たるジャイナ教においては、断食による餓死を手段とした自殺が戒律上義務付けられているなど、極東アジアにおいては元々自殺への忌避感が薄い。加えて、日本においては切腹や心中が美談として褒め称えられてきた歴史があるため、特に保守的な思想を持つ文化人からは自殺は「覚悟」「勇気」「愛国」の象徴と見られることも多い。
しかし、現代社会においては自殺したからといって誰かが喜ぶことは基本的になく、むしろ周囲に迷惑をかけずに死ぬ方法なんてものは存在しないということを自覚すべきである。
特にビルからの飛び降りや鉄道への飛び込みは自殺者の体が高速で吹き飛ばされるため、居合わせた無関係な人間が巻き込まれて死亡したり、重篤な後遺症の残る怪我を負わされることもある。また、焼身自殺では隣家への延焼により第三者を巻き込んで死亡させることが多々ある。
現在、我が国ではこのような巻き込まれた第三者に対する医療費の保証などは基本的に生活保護に頼っているため、補償内容が生活の立て直しに要する経費に比べて著しく不十分であるという現状がある。
そのため自殺者を神格化し、無条件に褒めそやす行為は、このような巻き添えでただでさえ理不尽を被っている被害者に対し、「自殺者に対する思いやりが足りない」などと謂れなき非難を浴びせることにもつながりかねず、また民事訴訟の提起を躊躇わせるなどして泣き寝入りを強要し、社会的に抹殺することにもつながりかねないため、注意が必要である。
中には「自殺した人間は自ら勇気ある決断をしたのに、それに巻き込まれて怪我をして仕事を失ったお前は、なぜ生活保護と障害年金をもらってのうのうと生きているのか。国民として国に申し訳ないとは思わないのか。この売国奴が」などという人間も少なくなく、被害者がそういった言葉により本当に自殺してしまったという事例もないわけではない。
要は極端な思想に走るのではなく、様々な立場の人間を思いやる心が求められるということである。それこそが自殺を減らすために最も必要なことでもあるのだから。
天皇陛下や皇族方は大人の事情かつ皇族で中立的立場を求められる為、名指しこそは避けるも相手の立場を考えてほしいと述べたのは他人事ではなく明日は我が身かも知れませんよであり、また皇族方は被害者だろうと加害者だろうと関係なく救いたい気持ちがある故に数々のお言葉を述べられ、その上で誰もが安心して暮らせる社会を望むと述べられてるのである。
拡大自殺
ごく稀に前述の無関係な第三者を巻き込むことを狙って社会への復讐を試みる自殺者もいる。
これを拡大自殺といい、近年ではとりわけ「インセル」と呼ばれる非モテ層やイスラム過激派によるジハードを曲解した自爆テロが頻発しており、世界的な大問題となっている。
特にイスラム社会においては殉教者は天国で72人の処女と好き放題ヤリまくれると一部では信じられており、インセルが過激派に傾倒しやすい素地がある。また、欧米人がこの噂を聞きつけて過激派に接触し、回教への改宗や偽装改宗を行ったのち、実行犯として活躍するケースも多く、これを「ホームグロウン=テロ」と呼ぶが、こういった改宗者・偽装改宗者の多くはインセルであることが指摘されている。
穏健派のイスラム法学者の多くは、この拡大自殺的自爆テロはジハードには該当せず、自殺と殺人を同時に行う究極の罪であるとして牽制しており、教義上も明らかにこちらの方が正当性があることが素人(非ムスリム)目にも明らかであるが、過激派にオルグされるような人間は往々にして社会への絶望感から視野が狭くなっていることが多々あり、聞く耳を持たないことが多い。
我が国でも北新地ビル放火殺人事件や京都アニメーション放火事件といった、拡大自殺もしくはその未遂(加害者だけが生き残り、被害者が死ぬという結果になることもある)による事件が時折発生しており、こういった事件の加害者は往々にして無敵の人と似た境遇に置かれていることが多い。
主な方法
主な原因
- 病気・重傷(負傷)
- 失恋
- いじめ、学校・企業はもちろん、大企業の下請けなどがいじめられる場合もある。
- 家族等の大切な人の死(大切な人を亡くした悲しみは、通常は次第に落ち着いていくのだがこれがいつまでも回復せず、うつ病に陥るケースもある他、亡くした人があまりにも大切すぎ、その人のいない世界など考えられなくて…というケースもある)
- ブラック企業 …過労死(過労自殺)、パワハラ…労働基準法違反など
- 破産(日本では債務に個人保証が求められることが多いため、事業の失敗による経営者の自殺が多い)
- ウェルテル効果
- 冤罪
- 失業
- 受験失敗(韓国や中国などの苛烈な学歴社会の国で見られる)
- 引責・責任感・罪悪感(死をもって償う、自責の念。昔の大名やその重臣が敗戦などの責を負って切腹したケースなど。大戦時の阿南惟幾や大西滝治郎等も)
- 抗議:裁判等で判決に納得がいかず、絶対に判決を受け入れない意思表示として行うケースや、チベット仏教僧が中国の弾圧に抗議して焼身自殺したケース、自身の研究に捏造の疑惑があるとされ、報道への抗議として行ったケースなどがある。拡大自殺につながる危険性が高く、インセルやイスラム過激派による自爆テロもこれに含まれる。
- 太陽光を長時間浴びないことによる鬱(緯度が高い地域、前述の北欧やグリーンランドなど。日本では日本海側に季節性うつが多い。)
- 戦闘手段として行うもの:第二次世界大戦中の大日本帝国は、回天・桜花などの特攻兵器を開発し、操縦者の生還の可能性が存在しない捨て身の攻撃を繰り返した。
- 宗教上の戒律によるもの:ジャイナ教の修行僧は、その最終段階として断食を継続し、最後には餓死する。
- 無宗教(直接的な原因ではもちろんないが、無宗教の国は高くなりやすいらしい)
- 罪を犯した事による責任と逮捕回避。:殺人などの凶悪事件等で警察から追われる羽目になった結果、容疑者自身が逃げられないと判断し、逮捕から逃れるために犯行に使用した凶器でその場で命を絶つ。また、仮に逮捕された際でもその自責の念から刑務所や拘置所で看守の目を盗み獄中で命を絶つのも少なくない。
- 絶望:今後、自身に多大な不利益や激痛、苦難が降りかかることが明確であり、回避不可能であることが明白な場合など。フィクション等でも行われる。
- 就職難:かつては世界恐慌や就職氷河期の影響で中々就職出来ない若者が数多くいた。更に近年ではコロナ禍の拡大で大型企業が連続で破綻し続けた為、今まで以上に就職難の若者が多数出していた。その為、大半は派遣社員や契約社員、フリーター等の非正規社員に就く者が多く、生活苦に追われるケースが多々あった。それだけならまだしも就活の若者の大半は学生時代の奨学金を借りており、結果的に奨学金の返済にも追われ、次第に返済の目処も立たなくなり、最終的に上記の様に自己破産にまで追い込まれ、失意の裡に命を絶つ者も少なく無かった。
また戦時や弾圧下には強姦や処刑、拷問(および拷問で口を割ってしまい仲間を巻き込んでしまうこと)を回避するために自殺する者もいる。
厳密には自殺とは異なるが、瀕死の重傷者などが死(安楽死)を懇願する場合もある。