概要
実行者自身も被害を被る、たいていの場合死亡することを前提としたテロリズムを指し、9.11( アメリカ同時多発テロ )などが有名。英語ではsuicide terrorism、kamikaze attack等と言う。
由来
「自爆テロ」は英語の「suicide terrorism」( 自殺テロ )に相当するが、イスラム過激派の自爆攻撃は日本軍の神風特攻隊( 神風 )からヒントを得たものであるとされ、和英辞書や英語圏の研究論文・メディアなどでは「kamikaze」と称される事例も存在し、イスラムの神風戦術の初期例としては、「神の党」( 1982年に結成されたレバノンのシーア派イスラム主義の政治組織および武装組織、「ヒズボラ」として知られる )によるジハード( 努力・自爆攻撃 )が有名とされる。
メリット
・実行者の逃亡という動作を準備する必要がないため、事前の発覚による不成功が減る。
・実行者が高い確率で死亡するため、その後の捜査で黒幕や共犯者に足がつきにくい。
・実行者が死亡することで悲劇のヒーロー/ヒロインとなることがあり、テロの目的である政治的アピールに効果が出やすい。
・(命の値段を無視できれば)費用対効果が高い。誘導弾は一番安くても1発5,000ドル近くかかるのに対し、自爆テロは(地域差もあるが)150ドル程度しかかからない。
デメリット
・自爆という手法や不特定多数の被害から残虐性の方に注目が集まり、かえって支持者を失う場合もある。
・命を捨てることも厭わない人材を育成する必要がある。
戦争としての自爆テロ
大日本帝国においては徳富蘇峰( 明治から昭和戦後期にかけての日本のジャーナリスト、歴史家、思想家、当初平民主義を推していたが、国家膨脹主義に転向、昭和初期には東京日日新聞に所属していた )など、プロパガンダ的著述家等が「勝利の死」を主張、特攻などの無謀な攻撃等を推進していたため、この点でも自爆テロと比較されやすく、カミカゼ( 神風, kamikaze )が自殺攻撃を指すのは、辞書の定義でも研究論文等でも共通しているものの、以下の相違点が存在し、そのためナチスドイツのエルベ特攻隊に比べると、自爆テロがカミカゼと呼ばれない例も無くはない。
ただしイスラム過激派やその指導者たちは、自殺攻撃・自爆テロを、イスラムを狙う異教徒や凶暴な敵に対する闘争( ジハード )と見なしている。
- 例:「神の党」
2000年5月、「神の党」の指導者ハサン・ナスルッラーフは、イスラエル軍がレバノンから撤退した後に以下のように述べている。
>イスラエルは核兵器や重兵器を所有しているかもしれないが、神から見ればクモの巣より脆い。
- 例:「アルカイダ」
先の「神の党」と同様の発言と戦闘方法は、オサマ・ビン・ラディンも行っている。
>恐れを知らぬ勇敢なイスラムの若者が、アルコバールを爆破して、十字軍の軍隊は砂塵と消えた。死の恐怖によって脅されれば、彼らはこう答える。「私の死は勝利だ」と。
スラング
この言葉はスラングとして、「味方に不利な状況になるにもかかわらず、敵に不意打ちをかけようする」という場合などに使用される場合があり、民主党政権末期の解散総選挙を田中真紀子が自爆テロ解散と評したことなどが知られる。