レバノン
ればのん
正式国名はレバノン共和国、アラビア語はアル=ジュムフーリーヤ・アッ=ルブナーニーヤ。
面積は10452平方km、人口約529万人(2022年推定)、首都はベイルート。公用語はアラビア語。
古代
古代レバノンはフェニキア人の海洋拠点で、地中海各地への貿易の要として繁栄している。また国旗にも描かれるレバノン杉は船の建材としても有名であり、その船による海軍力も繁栄を支えた。旧約聖書にもソロモン王が外交している描写が見受けられる。
アッシリア、新バビロニア、ペルシア帝国、アレクサンドロス帝国、セレウコス朝シリアの支配の後ローマ領となるも、この地の商人は長きに渡り貿易に活躍を続けた。ビザンツ帝国が衰えてイスラム化してからは住民の多くはアラブ文化を受け入れたが、古来からのキリスト教徒(マロン派)も残った。
成立
第一次世界大戦後、オスマン帝国の支配から解放されたが、セーヴル条約でフランスの委任統治領のシリアの一部とされた。
1941年にフランスはキリスト教徒を保護する名目でシリアから分離させ、1943年にレバノンとして独立。シリアからの独立に際して、有力宗派間で国民協約を締結。
その内容は、フランス委任統治下の1932年の人口統計に基づき、大統領はキリスト教マロン派から、首相はスンナ派から、国会議長はシーア派からだすこととし、国会議員の議席割合もキリスト教徒とムスリムが6:5に規定されてバランスをとることとなった。これを「宗派主義制度」といわれ、事実上、キリスト教徒に有利な取り決めであった。
フランス風の美しい建築が立ち並ぶベイルートの都は「中東のパリ」と呼ばれ、中東における金融と観光の中心となる。
激しい内戦のきっかけとなった宗派対立を緩和するために、大統領、首相、国会議長をそれぞれマロン派、スンニ派、シーア派がポストを分け合って権力の抑制と均等を図るのが慣例となった。だが、逆に宗派の壁を越えた政治的取引と離合集散を活発化させ、深刻な縁故主義や政治腐敗を引き起こす温床にもなっている。2022年から国家元首である大統領が不在、閣僚評議会議長が代行している。
各政党には内戦当時の武装勢力も多く、しばしば現在も党の軍隊を維持している。シーア派政党ヒズボラの軍隊が国軍に匹敵する軍事力を有して日本でも知名度が高いが、スンニ派やマロン派などの政党も軍隊を有し、時にテロリストとして国際的に扱われることもある。
生活水準(購買平価)はシリア等と並び中東最下位クラス、さらに大きな経済格差や公共サービスの停止、シリアからの難民流入も重なる。
内戦により疲弊していた経済にCOVID-19が追い打ちをかけ、さらに2020年には港で爆発事故が発生するなど安定には程遠い。
2023年10月7日に発生したイスラエル・ハマス戦争に於いては、レバノンの軍事組織ヒズボラが参戦。2024年8月にはイスラエルとの緊張が高まり、日本の外務省は全域に即時退避を発令。
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