概要
トルコ・イラク北部・イラン北西部・シリア北東部からアルメニアの山岳地帯に在住する民族で、総数は2500万~3000万人と言われている。彼らの居住地域はクルディスタンと呼ばれている。イラク、シリアの国内にはクルド人自治区があるが、クルド人単独の国家はない。12世紀から13世紀にかけて興ったアイユーブ朝の王家はクルド系であった。
トルコやイラク国内ではクルド人の独立国家樹立を目指す政党も活発に活動しており、トルコ政府とは特に激しく対立している。イラン・イラク戦争の際にはイランに加担するとみなされて、サッダーム・フセイン率いるイラク軍からサリンを含めた化学兵器による攻撃で大量虐殺の被害を受けた。
現状
トルコ政府との軋轢に加え、中東の政情不安などもあり、戦地となっていたイラク出身者は特に欧州に逃れていることも多い。
ただし、人口が多いだけに信仰や政治勢力的にも決して一枚岩ではなく、トルコ政府にもクルド人の閣僚が複数いるなど単純な各国政府との敵対関係とは断言できない複雑な部分もある。
トルコ国内の場合、激しく政府と対立してテロ行為や麻薬取引により資金を稼いでいたりと物議を醸しているのはクルド労働者党(PKK)である(参照)。
日本との関係
在日外国人の中で特に多くはない(2000人強と言われている)が、その過半数が埼玉県蕨市および川口市に集住しておりワラビスタンなどとも呼ばれている。
しかし、在日クルド人の中にもトルコ系ではなくイランやイラク出身者もある程度おり、埼玉以外のところに点在して居住しているケースもある。なお、 川口市は『広報かわぐち』10月号で犯罪認知件数が過去最低を記録していると伝えている。(参照)。
しかし、2023年7月にクルド人同士の喧嘩による殺人未遂事件を起因とする騒動をきっかけにクルド人に対する不安や恐怖は大きくなってしまっている。
2015年に在日トルコ大使館で大規模なデモが発生し、一部メディアで「クルド人によるもの」と報道されたが、実際はクルド人ではない人も混ざっていた。
信仰と文化
宗教はイスラム教が多いが、ヤズディ教、キリスト教、ゾロアスター教などの信者もいる。もともと宗教的な民族ではなく世俗主義的であると言われるが、保守的なムスリムも少なくはない。
関連作品
- 映画『マイスモールランド』⋯在日クルド人の女子高生の恋愛と、難民申請が受理されず苦悩する様を描いた作品。
- 映画『東京クルド』⋯日向史有監督作ドキュメンタリー。人権侵害をする入管局と抗議するクルド人の記録映画。
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表記揺れ:クルド