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アラビア語

あらびあご

中東・北アフリカを中心に広く使われている言語。イスラム教の聖典コーラン(クルアーン)を記す言語でもある。
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概要

アフロ・アジア語族セム語派中央セム諸語に属する。すなわち、ユダヤ人ヘブライ語や、かつてメソポタミアで主要言語の地位を占めたアラム語・ウガリット語(後者は死語)とは近縁である。

アラブ人が分布する中東/西アジア~北アフリカを中心に話されている言語で、英語仏語に次いで3番目に多い27ヶ国によって公用語指定され、話者数としても約2.3億人と、・英・ヒンディー・西についで世界で5番目に多い。さらには英・仏・西・と肩を並べる国連公用語の一つでもあることから、世界の中でも特に存在感のある言語のひとつだと言える。

ただし、公用語としての統一形態である正則アラビア語(フスハー)と、各地域において日常言語として用いられる口語(アーンミーヤ)には差異が大きく、方言間の違いも大きい。このため、国籍の異なるアラブ人同士の会話は日常言語として不十分なフスハーではなく、知識層間では英語あるいはフランス語、アラブ世界で広く受容されているエジプト方言かレバノン方言が用いられる。

表記にはからへ向かって続け書きすることでお馴染みのアラビア文字を用いる。
アラビア語がクルアーンを記す言語であることもあって、イスラム教の普及とともに本来言語学的に近縁でないものも含めて多くの言語の文字表記や語彙に影響を与えた(後述)。
さらにイスラム文化圏以外に対しても、欧州が台頭する以前にまず科学を発達させたのが中東であった経緯があるため、「alcohol(アルコール)」「alkali(アルカリ)」「alchemy(錬金術)」「algebra(代数学)」など、化学や数学などの領域で多くの語彙を輸出しており、日本語にも一部が欧州語経由で借用されている。他に家具の「ソファー」や「マットレス」も元を辿ればアラビア語起源であるほか、変わった例では野菜ジュースに時々入っている「モロヘイヤ」もアラビア語である。また、アルタイルアルデバランなど、星座を構成する星の名にもアラビア語由来のものがみられる。これらの語彙の中には、同じくセム語であり、かつて国際共通語であったアッカド語に由来するものもある。例えば、日本でも某競走馬擬人化育成ゲームの有名なモブキャラの名前にも入っている「バイト」という単語は、アラビア語で「家」という意味だが、これはアッカド語の「biitum」に由来する。加えてアッカド語はシュメール語からの借用後が非常に多い言語であるため、元を辿ればシュメール語に行き着くような単語もそれなりに見受けられる。

学習

日本人にとってはロシア語と並んで習得が困難な言語として知られる。正攻法での学習は鬼畜レベルの難易度であるが、ロシア語には使えない裏攻略法が存在するため、実はロシア語よりは簡単である。
その裏攻略法とは、マレー語スワヒリ語など、習得難易度が比較的低く、かつアラビア語からの借用語彙の多い言語を先に日常会話レベルまで習得しておいてから、アラビア語の学習に取り掛かるというものである。学ぶ外国語が増えるため、一見遠回りに見えるかもしれないが、時間さえかければ確実に陥せる方法である。フランス語を学習する際に、英語力の高い人間は低い人間に比べて拍子抜けするほど簡単に実用レベルに達してしまうというのと同じ現象を利用したものである。ただ、元々の難易度が高いため、雑魚キャラを倒してからであってもそれなりに難しいのは覚悟する必要がある。いわば、雑魚キャラを倒すことで初めて攻略可能なレベルに達するぐらいに思っておいた方がいい。・・・防空棲姫か・・・。

逆に言えば、雑魚キャラを活用した攻略法の存在しないロシア語を堕としたあの方は尊敬に値する。

文法

アラビア語の文法は、ヨーロッパ系言語(特に英語)のものよりちょっとばかりややこしい。
名詞動詞形容詞のいずれにも(古典ギリシャ語などと同様に)「単数形」「双数形」「複数形」が存在する。
単数形とは主語が単体である(たとえば英語なら a hand のようなもの)のときに使用する語形、双数形は主語が二つの物体を意味している(英語なら both hands に相当)場合の語形、複数形は主語が三つ以上の物体を意味している場合に使う語形である。
なお、冠詞は、定冠詞(al)しかなく不定冠詞はない。

また名詞・動詞・形容詞のいずれにも(フランス語スペイン語のように)男性形と女性形がある。この「性」はあくまでも文法的な「性」であり、対象の性別とは関係ない事がある。
例えば、人名に用いられる「Qutaybat」という名前は女性名詞であるが、男性の名前である。また、「Fairuz」という人名は男性名詞であるが、女性の名前である。ただし、男性名には女性名詞、女性名には男性名詞をつけるルールがあるのではなく、「Ali」のような男性名詞の男性名や「Haniifat」のような女性名詞の女性名の方が主流。
このほか、名詞なら主格・属格・対格の活用形、動詞なら時制変化や分詞形などがある。

単語

アラビア語の名詞は、基本的に子音を3個含む。この子音3個をベースとして、いろいろな母音を交ぜたり接頭辞・接尾辞をくっつけたりして単語が出来上がる。

音韻

アラビア語の母音は「ア」「イ~エ」「ウ~オ」の3種類しかない。実際には前後のとの兼ね合いでもっといろいろな母音が聞こえてくるが、すべてこの3種類のいずれかの変音として扱われる。
アラビア文字は母音表記を原則しないアブジャドというタイプの表音文字であるため、補助記号によって母音を表記するシステムはあるが、日本語における漢字のふりがなと同様に初学者向けなど特に理由がない限りは表記されず、子音と一部の長母音しかスペル上は表記されない。

母音の単純さとは対照的に子音は豊富かつ複雑で、喉を駆使するような発音が多い。具体例としては、「声門摩擦音/h/」、「無声咽頭摩擦音/ħ/」、「無声軟口蓋摩擦音/x/もしくは無声口蓋垂摩擦音/χ/」の3種類が別の音として使い分けられる(日本語では全部ハ行で転記される)、喉を鳴らしたり詰まらせるような「有声咽頭摩擦音/ʕ/」と「声門閉鎖音/ʔ/」が存在する、などがある。

/ʕ/や/ʔ/はラテン文字やカナでは表現しがたく、またそれらの話者にはそこに子音があること自体認識しづらいため、他言語での転記では飛ばされることがしばしばある。たとえば「アラブ」という言葉そのものもアラビア語での発音は/ʕarab/で、頭にその子音を有する。
また/s/、/t/、/d/、/ð/に関しても、通常の発音に加えて喉を狭めながら咽頭化して発音するバージョンが存在し、区別される(スペル上も文字が異なる)。
なお、これら喉を使う音はアラビア語に限らずセム語派の言語にはしばしば見られる。

上記以外の子音としては、歯摩擦音(いわゆるthの音)や歯茎ふるえ音(巻き舌のr)などを持つ。

定冠詞al

先に述べた通り、「アルカリ」「アルコール」「アルケミスト」「アルタイル」やさらには「アルハンブラ宮殿」「アルジャジーラ」「アルカイダ」にいたるまで、アラビア語やそれに由来する言葉には「al(ال)」で始まるものが多いが、これは英語でいうtheに相当する定冠詞である。なお、الは冠詞というひとつの語ではあるが、その後に続く言葉とスペースを開けずに続けて表記される。このためラテン文字転記では「al-xxx」とハイフンをつけて一語扱いになることもある。

ただこの「al」は常に「アル」と発音されるわけではなく、歯音(t/d/n/θ/ð)・歯茎音(s/z/ʃ)やそれに類する音の前に置かれたときは「l」が直後の子音に同化し、語中に配置された時は母音「ア」が脱落する。
つまり「アルタイル(altair)」であれば本来アラビア語では「アッ・ターイル」のような発音になるということである。
同様にアラビア語の挨拶のひとつに「アッ・サラーム・アライクム」があるが、これも「平安」を意味する「サラーム(salam)」にalがついたものである。また、アラビア語圏の人名としてよく知られる「アラジン」も「Ala al-Din」という3語から構成される言葉であり、真ん中のalが上記のルール両方に従って変化し「アラー・ッ・ディーン(Ala-d-din)」といった発音になったものである。

なお、定冠詞al(ال)は国名などの固有名詞につくこともある(つくかつかないかはそれぞれの地名に対して決まっている)。たとえば日本は「اليابان/alyaban(アリヤーバーン)」、中国は「الصين/alsiyn(アッスィーン)」、クウェートは「الكويت/alkwayt(アルクウェート)」という。
アラビア語圏の地名ではクウェートのようにalを抜いた形で国際的に知られるものもあれば、アルジェリア(الجزائر/aljazair アルジャザーイル)のようにalがついた形が由来の名前で通っている例もある。


アラビア語の周辺

イスラム教の伝播と影響

先述の通り、アラビア語はイスラム教の聖典クルアーンコーラン)を記述している言語である。そのためイスラム教の伝播とともにペルシア系・インド系・トルコ系・マレー系・アフリカ系などの他系統の民族・言語にも大きな影響を与えた。主な具体例としてはインド・ヨーロッパ語族のインド・イラン語派に属するペルシア語(イラン語群)やウルドゥー語(インド語群)、テュルク語族に属するトルコ語、ニジェール・コンゴ語族に属するスワヒリ語などがある。
彼らはあくまで経典用の言語であるアラビア語から語彙などの面で多くの影響を受け、文字表記もアラビア語を採用した(ただし近現代になってラテン文字キリル文字に切り替わった例も多い)。とはいえ、それはアラビア語を使っているというわけではなく、見た目に似ているように見えてもあくまで彼ら自身の言語である。これは多くの漢語を輸入し漢字を使って書いている日本語があくまで中国語とは根本的に異なる言語なのと同じ理屈と言えよう。

キリスト教とアラビア語

ここまで再三述べた通りイスラムとアラビア語が密接な関係にあるのは間違いないが、すべてのアラビア語話者がムスリムかというと世の中はそんなに単純ではない。キリスト教も元はと言えばこのあたりの地域の宗教であることからも察せる通り、レバノンシリアエジプトでは今も人口の1割ほどがクリスチャンである。宗派としてはいわゆる東方正教に属するコプト教やシリア正教会などが多い。ごく一部ではアラム語のような在来の言語が残っているが、彼らもほとんどはアラビア語を使っている。

トルコ語とアラビア語

トルコ語は今はラテン文字で表記するが、オスマン帝国時代まではアラビア文字を使っており、アラビア語から多くの単語を取り入れていた。しかしトルコ語は母音が8つあるため、母音を基本的に表記しないアラビア文字と相性が悪く、一時は母音を全表記する案も出たりしたが、結局はラテン文字の導入とともに、アラビア語起源の単語の利用を減らしている。
また、トルコ以外の中央アジアのトルコ系民族にもアラビア文字は広く使われていたが、こちらも多くはソ連に組み込まれたためキリル文字になったり独立後にラテン文字に変えたりしてアラビア文字は廃れている。今でもアラビア文字を使っているトルコ系の言語としてはウイグル語がよく知られる。

ペルシア語とアラビア語

イランの公用語であるペルシア語は、上述の通り同じくイスラム圏で地域としても隣接しており、アラビア文字表記するが、アラビア語とは異なりインド・ヨーロッパ語族の言語である。つまり、本来言語としてはアラビア語よりむしろ英語やフランス語のような欧州語やインドの諸言語のほうが近縁な言葉である。イラン以外にはアフガニスタンタジキスタンもペルシア系の民族・言語の国であり、同様のことが言える。

スペイン語・ポルトガル語とアラビア語

イベリア半島は711年にイスラム王朝であるウマイヤ朝の侵攻を受け、その後レコンキスタによる1492年のグラナダ陥落まで実に800年弱の間、イスラム教とアラビア語の影響下にあった。必然、彼らがイベリア半島に残した遺産はアルハンブラ宮殿やメスキータのような史跡のみならず、言語的な観点でも影響を残した。レコンキスタ後には元のラテン系の言語としての姿を取り戻す言語純化運動が行われ、ポルトガル語は比較的アラビア語の影響が意図的に排除されたものの、スペインにおいてはその後も17世紀ごろに至るまでイスラム文化由来の伝統が続いたこともあって言語純化はあまり進まず、主に語彙の面でアラビア語の影響が随所に残されたまま現在に至る。ただし、スペイン語の男性名詞につく冠詞elについては元々の俗ラテン語から変化してきたもので、アラビア語のalと似ているのは偶然とされる。

マルタ語とアラビア語

地中海の小国マルタの公用語となっているマルタ語はインド・ヨーロッパ語族ではなく、アラビア語の派生言語である。マルタは870年から1091年までイスラム王朝であるファーティマ朝(より厳密に言えばファーティマ朝の地方政権のひとつであるシチリア首長国)の支配下にあり、その間にアラビア語が流入したとされる。シチリア島はシチリア首長国解体後に再度イタリア本土の言葉に塗り替えられたものの、マルタではなおもアラビア語が用いられ続け、やがてそれが現在のマルタ語の形に至ったのだという。
とはいえ、マルタはアラビア語圏である北アフリカと南欧のラテン系言語圏の中間に位置するとして両方の政治的・文化的影響を強く受けてきたため、言語にもラテン系の影響が色濃い。すなわちアラビア語をベースとしながらも、イタリア語(特に隣接するシチリアの言葉)などの語彙をおびただしく取り入れているのである。また文字もアラビア文字ではなくラテン文字で表記し、「ラテン文字で表記する唯一のアラビア語」とまで言われている。この「ラテン化したアラビア語」であるマルタ語は、ラテン系の言語としてアラビア語の影響を強く受けたスペイン語と対照的な関係にあると言える。

方言

日本語同様に、他の大多数の言語においてはもはや別言語と規定されるほどに差異が大きく、母語話者同士で意思疎通が困難なほどに共通項の少ない多数の方言が存在する言語である。このような言語は世界的にみてもやや少数派である。
しかも、母語話者を要する国が極めて多数にのぼるため、日本語のように標準語を定めることができず、国語公用語として定めている、もしくは事実上定まっている各国で、それぞれの国に固有の方言のうち最も一般的なものをバラバラに標準語として定めている実情がある。すなわち、ある国での「標準語」の訛りやアクセントが、別の国の「標準語」のそれと、津軽弁博多弁に匹敵する差異を有する場合がある。これは、ノルウェー語デンマーク語の間にみられる差異を遥かに上回るものである。
そのため、アラビア語を学習する必要が生じた場合、目的や渡航先に応じて適切な教材をよく吟味して選ぶ必要がある。

関連イラスト

ジャミーラ活用法
アラビアート(桜咲いた)



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