概要
アルコールとは、化学物質の総称。sp3混成軌道を形成する炭化水素の炭素原子に、ヒドロキシ基が結合している構造を持つ。鎖状炭化水素の水素の一つ或いは二つ以上がヒドロキシ基に置換されたものとみることもできる。
代表的な化合物として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが知られている。これらは「アルコール」の呼称で括られるが、用途は全く異なってくる。「燃料用アルコール」とも呼ばれるメタノールは人体にとって毒性があり、劇物に指定されていて、皮膚に触れるだけでも危険性がある。もし飲めば失明する。
一般には「お酒」の代名詞である。これはもちろん、お酒にエタノールが含まれていて、飲むと酔いという作用を引き起こすからである。
エタノールにも飲用でない「工業用エタノール」が存在するが、イソプロパノール(IPA)など添加物を混ぜ飲めないようにすることで酒税を回避し、工業用として安価に供することが出来ている。
水が含まれないため機械類の清掃に重宝される「無水エタノール」は、100%に近い度数を持つ。かつては、この状態に持っていくための過程で有害物質のベンゼンを入れていたが、近年は別の物質に代替されている。が、そもそもすぐに揮発するほどの濃度のアルコールを口にすることは正気の沙汰ではない。二十歳になった後も飲用と明示された以外のアルコールを口にしてはならない。
コロナ禍で消毒用に無水エタノールを購入しようとした人も多いと思われるが、酒税が掛かるため一般的な消毒液に比べて高額になる。多少の添加物が加えられても能力は変わらないため、普通は高価なエタノールに拘る理由はさほどない。
用途
・微生物による発酵作用で糖などから生じたもの(ほぼ全量がエタノール)は、酒として飲まれ親しまれる。
・工業的に加水分解されたり合成されたりしたものは、燃料、溶剤、消毒薬などとして幅広く利用される。
消防法上の扱い
日本の消防法では、「一分子を構成する炭素の原子の数が1個から3個までの飽和一価アルコール」(変性アルコール含む)を第4類危険物(引火性液体)の「アルコール類」と定義している。そのため、容器1本の容量が500mLを超える場合は「第4類アルコール類(引火性液体) 危険等級Ⅱ 水溶性」「火気厳禁」といった注意書きが必要となる上、総貯蔵量が400Lを超える場合は乙種第4類以上の資格を持つ危険物取扱者を常駐させ、名前を掲示する義務が生じる(要はガソリンスタンドと同様の扱いとなる)。
但し、アルコールの含有量が60%未満の水溶液(蒸留酒も含む)は危険物の対象外となる。
ここから先は酒類の話になるが、通常販売される蒸留酒(ウイスキーやブランデーやウォッカなど)はアルコール度数が40%程度のため消防法による規制の対象には該当しない。但しスピリタス(96%)は無水エタノールと同様の扱いを受けるため、仮に通常のウォッカなどと同様の750mL瓶で販売しようとするとラベルに上記の注意書きを追加する義務が発生してしまう。スピリタスの瓶の容量が500mLであるのはそのためでもある、らしい(詳細は不明)。
注意!
主にロシア等で見受けられるが、景気の低迷などの理由からアルコール成分が含まれる入浴剤などを飲んで中毒症状を起こす人もいる。…日本ではあまり無いであろうが、いくらお酒が飲みたいけど手が届かないからといっても消毒薬や入浴剤は飲まないように。
メタノールの毒性が実態よりも強調されがちなのは、過去に酒のカサ増しにされて中毒症状を引き起こす事件が多発したためで、近年でもロシアでは代用酒として飲んだ結果、メタノールによる中毒事故が発生しているという。