アルコールの一種で、示性式C₂H₅OHで表される。
エチレンの水素1個をヒドロキシ基に置き換えたものと見做しても良い。
エチルアルコールとも呼ばれる。
性質
沸点は72℃、比重は0.71である。すなわち水よりも揮発しやすい。また可燃性である。
ヒドロキシ基が存在するため水と非常に混合しやすく、それでいて油との親和性も非常に高いことから下記のように様々な用途に用いられる。
経口摂取すると体内で代謝を受けアセトアルデヒドに変化する。アセトアルデヒドは悪酔いの元と言われており…というか有毒物質で、人体はこれを酢酸に変化させるのだがこの酵素の働きが弱い人も存在する。「酒に弱い」(下戸)人はアセトアルデヒドを酢酸に変化させる力に乏しく、酒に強い人より身体に悪影響を及ぼしやすい。
利用
エタノールは世界中で大量に作られている。石油から合成することもできるが、大部分のエタノールは穀物や果物から発酵法で合成されるものであり、その使用目的は飲用および調理となっている。すなわちお酒である。
発酵法でエタノールを生み出す元になる化学物質は、主に穀物や果実に含まれるブドウ糖(グルコース)などの糖質であり、それ以外の物質はアルコールにならない。だからお酒には元の原料の風味が残っていることが多いのである。
エタノールはまた、油をはじめとする水に溶けない物質の一部を溶かすのにも用いられる。ペンのインクの溶剤として利用されていることは、お絵描き楽しすな方々ならご周知のことであろう。
このほか、細菌類の細胞壁を侵すことから消毒薬としての利用、また燃えやすくそれなりの量の熱を出すので燃料としての利用もある。
変わったところでは、メタノールを飲んでメタノール中毒に陥った患者にエタノールを飲ませて解毒を図るという利用法がある。
消毒用または業務用のエタノールを使用し、これに茶や果汁を加えて疑似的なカクテルを作り出すという行為が一部の後進国や刑務所などでの違法醸造手段として用いられる。かつての日本でもアングラ的に利用されていたが、こうした行為を防止するため、現在多くのエタノール消毒液はメタノールをわざと混ぜていることが多く、安易にこうしたものを作り出せば失明の危険がある。
また、元が消毒液のために味は信じられないほどまずい(上に消毒液のアルコール度数は一般に70度以上もある)らしく、ワンカップの安酒でも買える金があるなら素直にそちらを利用した方がいい。
……なおどうしても挑戦したいという人は、酒税のかかる無水エタノールで行うといい。
実は、こうした一般的な家庭の消毒液等にメタノール等が含まれているのは、個人が混ぜ物を防ぐ為……というよりも、余計な酒税がいちいちかからないようにする為であり、余計な税金がかからないように科学物質を混合させる事で、飲料不可にしているのである。
どうしてもエタノールからカクテルを作りたい!!という方は、試して見るといいが、度数も非常に高く(99.5度!!)完全に個人の自己責任の世界なので注意。
……なお余談だが、世界一アルコール度数が高いスピリタスは、その無水エタノール(純度:99.5度)を超える驚愕の度数96度である。