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概要

石油(せきゆ、英語:Oil)は、地面の奥底から湧き上がってくる炭化水素液体。いろいろな化学物質を不純物なしに合成できるもとになるので、大変重宝がられている。


現在ではアラビア半島周辺やベネズエラ北海メキシコ湾ギニア湾岸などで多く採掘されている。掘削しやすい石油の存在には地域的な偏りがあるので、過去多くの戦争や政治問題を招いてきた。2000年代中頃からの原油価格の上昇により、それまで高コストのため放置されてきたオイルシェールの開発が再開され、米国カナダで生産される石油の一部はオイルシェールを熱分解して生産される(シェールオイル)。


起源

地質時代プランクトン地面海水圧力を受け、何億年もかけて液化したものというのが有力な説である。古代に浅いだった地域で多く発見されるのがその根拠の1つとされるが、1877年1月にドミトリ・メンデレーエフ無機起源を提唱した事から、東側諸国ではこれが従来から定説とされていた。西側諸国では1979年1月頃からトーマス・ゴールドがこの説を提示したが、未だに全体を塗り替えるに至っていない。


利用

採掘された状態のものを原油といい、これを精製して各種の石油製品とする。原油は無限に採取できるわけではなく、約50年後に枯渇する(可採年数)と言われるが、これは「経済的に掘り出すことが可能な石油の量」(可採石油資源量)を年間採取量で割ったものであり、原油価格の上下によって増減しうる。オイルショックの頃は30年後とも言われていたので延長が著しいが、これは新たな油田が見つかったためというよりも、原油価格高騰のため掘削に高いコストを掛けても経済的に引き合うようになったことが大きい。


また、石油から多種のガス系物質や固形樹脂を生産できるのとは逆方向に、炭素や炭化水素を触媒反応を利用して液体の石油類に加工する技術(C1化学、CTL・GTL)もある(ただし本質が燃焼作用のため、元の3割ほどは失われる)。メタンや石炭が産生されれば作れるので、シェールガスやメタンハイドレート、メタン菌などによるメタン合成やバイオコークスが着目されるゆえんである。


分留で製造される石油製品


石油から製造される合成品


石油と日本

日本は石油の大量消費国であるが、その大半を海外からの輸入に頼っている。太平洋戦争開戦の理由のひとつにもなった。


北海道、新潟県、秋田県、山形県に零細ながらも油田が存在し、産出量は年間約86万kl。自給率は0.02%。ただしこれだけ出れば国民が飢えないですむ国もある。

なおバブル期以降人件費の高騰のため中東産に勝てず1990年代には約25万klほどにまで落ち込んでいたが、採掘条件の良い油田の枯渇、投機による石油取引価格の乱高下と冷戦終結後の中東情勢の不安定さから再び増加に転じた。


東シナ海の日本EEZ内には石油もかなり埋蔵されているのではないかと言われている。深海底のため採掘は大変な高コストになるが、現状よりさらに石油価格が高騰すれば採算が合うようになる可能性がある。


環境とのかかわり

不純物を含んだ石油をそのまま燃やすと、毒性の強い窒素酸化物(NOx)や粒子状浮遊物質(SPM)が大量に発生して大気汚染の原因になる。また、換気が不十分なところで燃焼させることも有害物質発生の原因になる。環境基準で、適切に精製した石油製品を販売するよう定められている。また、脱税の目的で混ぜ物をした石油製品(不正軽油など)の使用は、大気汚染の元凶にもなるので、絶対にしてはいけない。


あまり意識されないが、石油を燃やすと大量の(燃やした石油の量に匹敵する)が発生する。そのため、石油ストーブを使っている部屋は、石炭ストーブや薪ストーブの部屋よりも湿度が保たれやすい(ただし、FFストーブは燃焼後の空気を排出してしまうので、石炭ストーブや薪ストーブと同様に乾燥問題が発生する)。


原油価格の推移

原油価格は慣習的にバレル単位の価格で表示する。1バレルは約158.9リットルである。


オイルショック後の原油高の影響から脱した1986年から2000年ごろにかけては原油価格が安く、湾岸戦争の前後を除くと1バレル20ドル前後で安定していた。国内のガソリン価格は円高に伴い下がり続け、1990年代後半には1Lあたり90円台の安さであった。


2001年9.11同時多発テロ2003年イラク戦争以降、中華人民共和国などの新興国の需要増大、サブプライムローン問題後の投機資金の流入などの影響と見られる暴騰が起こり、ピークの2008年7月には、1バレル147.27ドルまで上昇、同年8月の日本国内のガソリン小売価格は1Lあたり185円に達した。石油の高値傾向は(米国を除く)先進諸国での省エネの取り組みの原動力であり、米国とカナダがシェールオイルとシェールガスの大量生産に乗り出すきっかけとなった。ところが、開発が過熱したシェールオイルがだぶつくようになり、新興国の景気減速を期に2015年に原油価格が66%急落。


ハイブリッドカーなどのエコカーの普及、太陽光発電などの再生可能エネルギーの成長により世界の石油需要が頭打ちになる中、OPECとロシアは協調減産でさらなる価格下落を食い止めていた。しかし、2020年にはサウジアラビアとロシアの減産交渉決裂を期に両国が大増産に走り、折からの新型コロナウイルス感染症による石油需要減も重なり、原油価格が暴落。北米ではシェールオイル事業者の経営破綻が相次いだ。


同年夏以降、各国で経済活動再開の動きが進んだことから原油価格は上昇に転じ、2021年に入っても一貫して上昇が続いた。同年秋には1バレル85ドル台をつけ、国内のガソリン価格も1Lあたり170円を超えている。この背景には産油国が感染再拡大による再度の原油価格暴落を恐れて増産に慎重になっていること、米国が環境問題からシェールオイルの生産を制限していることがある。また、欧州では脱炭素のため石炭火力発電所が次々と閉鎖されるも風力発電所の電力が期待ほどではなかったことから天然ガスの緊急調達に走り、原油も連動して価格が上がっている。原油高は各国経済の重荷になっており、様々な商品の品薄値上げの原因になっているが、特に日本は円安が進んでいることから大きな痛手となっている。


関連タグ

油田  オイル タンカー タキ1000JR貨物の石油輸送用の貨車)

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