ガソリン
がそりん
沸点が30~220℃の石油製品の総称で炭素数4~10の炭化水素。そのうち低沸点(30~120℃)のものをベンジンという。製品にする際は不純物として含まれている硫黄や窒化物を取り除く。
本来は無色透明にして無臭の液体だが、水と混ざったりしてしまうと危険極まりない為、現代社会で使われる際は着色され、強烈な臭いを付けられる事が多い。
消防法に基づく乙種第四類(引火性液体)第1石油類に分類される危険物。移送や大量保管には法令に定められている特定の設備と危険物取扱者の国家資格が必要になる。
だいたいは自動車向けの燃料として多用されガソリンスタンドにて使用車両に直接給油する形で利用されるが、農業(園芸)においても専用機械(農機)の燃料として多用されるため、少量限定で携行缶販売(この時に使われる缶容器も法例で定められている)も行われている。なお現在、携行缶販売においては使用者(管理責任者)の住所氏名と身分証明証(免許証、資格者証など)の提示と使用用途の申請が必須条項となっている。
非常に揮発しやすく空気より重いため、密室などでは揮発したガソリンが滞留しやすい。それに加えて引火点も-40℃と低いため、不用意に取り扱うと広範囲に燃え広がる。そのため、密室や近くに火気のある場所では扱わないこと。
航空機用
- 適度の気化性をもつこと
- 高いアンチノック性をもつこと
- 高い発熱量をもつこと
- 腐食性がないこと
- 耐寒性に富むこと
- 安定性が高いこと
- 『紫色』に着色
ちなみに、自動車用は無鉛ガソリンだが航空機用は有鉛ガソリンなので間違えて入れるとエンジンや排気系統の故障の原因になるので注意。また、有鉛ガソリン内の鉛化合物は毒性が高いので無闇に触れたり、航空機用ガソリン蒸気を吸引しないように注意が必要。
国内ではハイオクガソリンとレギュラーガソリンの2種類があるが、これらは要はノッキングの起こりやすさの違い。
ハイオクガソリンではメチルtert-ブチルエーテルやエチルtert-ブチルエーテルなどの混合により耐ノック性を上げている。航空機用ガソリンや、かつての自動車用は有機鉛化合物を使用していたが、1986(昭和61)年には自動車用有鉛ガソリンは、ほぼ撤廃され現在は使われていない。
- レギュラーガソリンは1975年(昭和50)までに無鉛化されたが、ハイオクガソリンについては技術的に困難なことや、無鉛化以前の4ストロークガソリンエンジンにはバルブ保護のため鉛成分を必要としたため、経過措置として有鉛ガソリンが当面継続販売された。
スポーツカーなどに採用される高圧縮比のガソリンエンジンや、ターボつきガソリンエンジン、外車のガソリンエンジンのうち使用ガソリンのオクタン価が国内基準で見た場合にハイオクガソリンに該当するものはハイオクガソリンが指定される。
近年の自動車ではハイオク指定車にレギュラーガソリンを入れても異常燃焼による故障を避けるべく電子装置が制御する様になっており、またレギュラー指定車にハイオクガソリンを入れても元々燃料の耐ノック性が高く異常燃焼をすること自体ないが、ハイオク指定車ではメーカー指定ガソリンではないため本来の性能が出ず、またレギュラー指定車ではガソリン代がハイオクガソリンの分嵩むだけなのでお勧めはしない。万一のときの「救済措置」程度と思ったほうがよい。
- ただしターボ・スーパーチャージャー装着車は純正がレギュラー指定であってもハイオクを使用したほうがいいという説の支持は根強い。
ちなみに、現在の自動車用エンジンの電子制御による故障回避を悪用しているのかハイオクガソリンと称してレギュラーガソリンを売っている悪質な業者がいるのでその点は要注意。
爆発効果
ガソリンを火薬で起爆すると派手に爆炎を上げる。俗に「ナパーム」とよばれる特殊効果。近くに演技者がいる場合は火のついたガソリンが付着して大火傷を負う危険性があるのでプロパンガスなどで代用する。
撮影そのものが危険なことと、権利を盾にクレームをつけることしか能のない団体が文句をつけるので最近はめっきりこの効果の出番が減った。が、CGでは本物の爆発のような迫力のある効果はまだまだ出せないので、合成用に爆発だけ撮影しておき後で合成するという方法が用いられることがある。
焼夷剤
粗製ガソリン(ナフサ)に増粘剤を加えてゲル化したもの。高温で燃え(900~1300℃)容易には落ちないため、人体や木材に付着すると大きな被害を与える。しかもその周囲では酸欠による窒息死または一酸化炭素中毒死する危険性がある。消火には界面活性剤入りの水かガソリン用消火器が必要。