概要
衝撃・点火などによって瞬間的に燃焼または分解反応を起こして多量の熱と気体を生じ、破壊・推進などの作用を行う物質。
狭義には反応ガスの膨張による仕事(静的効果)を用いた発射薬・推進薬を指し、広義には一般に爆発に伴って発生するエネルギーを有効に利用し得る爆発性物質を指す。
後者は火薬類と呼ばれ、火薬類取締法では、火薬・爆薬・火工品+煙火に分けられる。
黒色火薬のような混合火薬と、ニトログリセリンのような化合火薬とがあり、用途によって炸薬(さくやく)・爆破薬・発射薬・起爆薬に分けられる。
用途
花火などの煙火(えんか)、煙火打上げの発射薬、銃火器の発射薬、建築用鋲打ち機の発射薬、ロケット等の推進剤に用いられ、導火線などの火工品の一部にも用いられている。発炎筒や信号焔管、競技用紙雷管、玩具花火はがん具煙火と呼ばれる。
火薬とは
反応の伝播速度が音速以下で、衝撃波を伴わずガスの膨張によって推進力を発生させるものが火薬で、爆燃と呼ばれる。
火薬の種類(いずれも混合火薬類)
硝酸塩を主とする火薬
黒色火薬 :吸湿性が無く、自然分解を起こさず、発煙量が多い。燃焼残さ(カリウム塩)が生じる。
導火線や、打ち上げ煙火や火器の発射薬、がん具煙火などに用いられている。
黒色火薬に関する余談
また、近年の創作では「原材料として不可欠な硝酸塩を科学的に正しくかつ専用の設備なしでも調達可能だが、余りにも意外過ぎる方法で調達する」描写のある作品がぼちぼち見られるようになって来た。
(具体的にはDr.STONEや逃げ上手の若君など、専用の設備がない時代を舞台にした作品。)
硝酸エステルを主とする火薬
無煙火薬 :自然分解を起こし、燃焼残さが少ない。安定剤を配合しないといけない。
主に火器の発射薬(ガンパウダー)に用いられている。
また、ガンパウダーとして使用した場合は射程が従来の火薬より延びる効果も有り、この無煙火薬の発明は戦争における銃撃戦の在り方を一変させる事となった。
余談だが、無煙火薬の発明・普及以前はガンパウダーとして上記の黒色火薬のような煙が大量に出るタイプの火薬が使われており、戦争などで集団で銃撃を行なった際には周囲に煙がもうもうと立ち籠める事態となった。この為、無煙火薬の発明・普及以前の軍服・戦闘服は派手な色合いのもの(近くに居る味方に視認しやすい)が一般的で、無煙火薬の発明・普及以後の軍服・戦闘服は地味な色合いのもの(遠くに居る敵に見付かりにくい)ものが一般的となった。
過塩素酸塩を主とする火薬
コンポジット推進薬 : 自然分解を起こさず、酸化剤や金属粉などを添加している。
宇宙用、防衛用ロケットの推進剤として使用。
酸化鉛または過酸化バリウムなどを主とする火薬
コンクリート破砕器の破砕薬 :平成22年に製造中止となった。
爆薬1トンに換算する数量
貯蔵や消費などにおいて登場する数量で登場するのが、爆薬1トン当たりの数字である。
爆薬1トン相当
火薬:2トン、導爆線:50キロメートル、雷管:100万個、実包/空砲:200万個
火薬は爆薬の2倍の量と覚えておけばよい。
火薬の取扱いについて
18歳未満は取り扱い禁止、発炎筒、競技用紙雷管、おもちゃ花火などのがん具煙火は除く。
火薬を輸入したり、保管したり、販売したり、消費するときは都道府県知事の許可が必要。
静電気や摩擦、火花で簡単に着火するので要注意。
密閉空間で爆燃させた場合、ガス膨張によって大きな威力を発揮するため、危険である。