概要
産業火薬を用いて反応ガスの膨張、あるいは衝撃波を用いて物体を粉砕する技術。
用途
建築物や構造物の発破
爆破解体ともいう。近隣住民に恐怖を与えないように、構造物の床や鉄骨など骨格の重要部分に爆薬を仕掛け、強度を失い内側に崩壊するように爆薬の種類や、爆破位置、爆破順序を決めて爆破し解体する。
海外ではよく行われる方法だが、日本では建物自体がどうしても耐震性が必要であるがゆえ頑丈なので発破(爆破解体)では解体しづらく、しかも爆薬関連の法規制も厳しいため別の方法を使っており発破はあまり行われていない。
コンクリート破砕器(通称、コン砕)は製造中止となっており、平成24年以降の火薬類取扱保安責任者試験には全く出題されていない。
山や岩の切り崩し
爆薬を仕掛けて爆発させ、割る作業。いわゆる「明かり発破」ベンチ発破や盤下げ発破がこれにあたる。
割る作業なので、実際の様子は発破とほぼ同時または一瞬遅れて岩が崩れ落ちる。(山の切り崩しのように爆薬の量が多い場合、爆薬を仕掛けた箇所の爆発の光が見えることがある)
同時に複数個所が爆轟する斉発と0.1秒差のDS、0.01秒差のMS雷管を用いた段発がある。
段発の方が、前段の衝撃波を後段の爆発が打ち消すため騒音や振動を削減できる。
トンネルの掘削
トンネルを掘る際に、心抜発破(しんぬきはっぱ)で中央に穴を空け、払い発破で穴を拡張しながら掘り進んでいく。余計に掘りすぎる余掘りを少なくするために細い爆薬を使ってトンネル壁面を形成するスムースブラスティングなどがある。
地質調査
深い穴を開けて爆薬を仕掛け、爆発させ人工的な地震を起こし、地質を調査する。
爆薬の装填
内部装填
対象物に穴を穿ってその中に爆薬を仕掛け、石などの込め物でしっかりと填塞していれば、填そく係数は1であるから少ない薬量でも発破効果が増す。計算式はハウザーの式を使う。
※ハウザーの式「一自由面発破の装薬量=発破係数×最小抵抗線の3乗」
外部装填
対象物に穴を穿つのが難しく、あまり大きくないものに使われる方法。貼りつけ法、抜根発破、横穴法など。
金属切断用の物はノイマン/モンロー効果を用いてエネルギーを集中させ対象物を穿つないしは切断する。鉄骨など比較的小さく硬いものに使われる。
このエネルギーを集中させる方法は対戦車ミサイルや対戦車砲弾に使われているHEATにも用いられている。
発破の方法
発破は点火具、雷管、増ダイ(まし-)で行われる。
点火方法には、電気雷管に発破母線を通して電流を送り起爆させる電気発破と、導火線を使った導火線発破、導爆線を用いた導爆線発破がある。
粉砕する対象の切羽(きりは)に穿孔し、爆破効果を上げる増ダイを詰め込んだ後、雷管を取り付けた親ダイ(親ダイナマイトの略)を挿入し、土や小石などで填塞する。
その後、安全距離まで退避し、電気発破なら30m以上の距離から起爆する。
不発があった場合、高圧水流や高圧空気で押し出すか不発孔の0.6m以上横に穿孔して爆破処分する。
やみくもに爆破しているわけではなく、爆轟の衝撃で死圧効果が生じて不発になったりしないように考慮したうえで穿孔、装填している。