概要
主に、
- ナイフなど人体に危険を冒しかねないもの
- 灯油や可燃性物質など引火の危険があるもの
を指すが、法律においてはもっぱら下の方を指す。(消防法による)
この記事では主に後者について記述する。
消防法における「危険物」
何かしらのミスで大規模な火災が発生する危険性があるため、一定以上の量を扱うには危険物取扱者の免状を持っている人が作業を行うかその人に監督をしてもらう必要がある。また、それを沢山載せた車は長いトンネルや地下トンネルを通れない道路法による決まりがある(危険物積載車両通行止め)。
消防法における危険物の種類
第1類
酸化性個体で、これ自体は燃えないが周りの物質を酸化して爆発や燃焼を起こす固体。
高校化学でおなじみの過マンガン酸カリウムや塩素酸塩類(ClO3;塩素と酸素が付いているもの)などが該当。
第2類
可燃性個体で、燃焼しやすい固体。
使い捨てカイロの成分である鉄粉や、マグネシウム、硫黄、更にはゴム糊などが当てはまる。
第3類
自然発火性物質及び禁水性物質で、空気中に晒したり水と触れただけで発火するもの。やばい。
ナトリウムなどのアルカリ金属や黄リンなどが該当。
第4類
引火性液体で、発火しやすい液体。恐らく最も身近にあるもの。下記の試験においても人気が高い。
ガソリンや灯油が該当し、イラストの暁美ほむらの下のタンクローリーでガソリンを運ぶのを見た人も多いだろう。(余談だがゲーム版では「危険物第4類」というそのままの技がある)
更に特殊引火物・第1~4石油類・アルコール類・動植物油類に分かれている。
第5類
自己反応性物質で、何かしらのショックで発火・爆発するもの。ラノベ・マンガ・アニメ・ゲームではおなじみ。
トリニトロトルエン(TNT)などのニトロ化合物やニトログリセリンなどの硝酸エステルなどが該当する。
第6類
酸化性液体で、これ自体は燃えないが周りの物質を酸化して爆発や燃焼を起こす液体。
過酸化水素や硝酸などが該当する。
危険物取扱者ができること
日本の国家資格として免状を持つことが出来、甲種・乙種・丙種の3種類の資格がある。
丙種
第4類のうち、ガソリンや軽油、動植物油などの比較的ありふれた物質が扱えるが、無資格者の取り扱いの立ち会いはできない。
乙種
第1から6類のうち自分が資格を持っているもののみ扱える。
甲種
全ての類の危険物が扱える。
余談だが、プロパンガスなどの液化石油ガス等の高圧ガスは消防法上の危険物ではない。
あつかうには「高圧ガス製造保安責任者」などの別の資格が必要。
危険物を取り扱う為の試験
丙種は乙種4類の下位互換資格であるため、問題も甲・乙種よりはやさしいので、ガソリン等を扱う必要があるが勉強する時間がない…という人におすすめ。しかし、セルフスタンドでの立ち会い等乙4資格者に特に求められている技能がないため、タンクローリーの運転など役に立つ場面も限られる。
乙種には上記の6種それぞれについての試験がある。乙種は1種類持っていれば、それ以降法令・物理学及び化学の科目を受けなくてよい。
甲種には乙種までの総まとめのような問題が出される。そのうえ科目の免除は受けられないため、難易度が上がると言える。甲種の受験資格はそれなりに厳しく、化学系の大学卒業、化学に関する授業科目を15単位以上取得、実務経験2年以上、乙種のうち4種類の取得 のうちいずれかが必要である。
年齢制限はないので中学生がガソリンなど危険物を取り扱おうと思うなら乙種第4類の試験を受けることが可能だったりする。中高生が取得すると、都道府県によっては表彰を受けるかもしれない。ちなみに最年少甲種合格者は小学2年生である。すごい。