解説
航空自衛隊とは、防衛省の実働部門たる自衛隊の一組織で、他国の空軍に相当する組織である。旧日本軍には空軍が無かったため、戦後にアメリカ空軍指導のもと創設された。そのため多分にアメリカナイズされた組織であり、基本的にノリが軽い。気質は「勇猛果敢 支離滅裂」。
略称は「空自」。英語表記は「Japan Air Self-Defense Force」及びそれを略した「JASDF」。
戦闘機・偵察機・輸送機・ヘリコプター・地対空ミサイルなど、世界でもトップレベルの正面装備を多数揃えており、屈指の航空戦力を有している。実戦経験は無いが、近隣諸国からの領空侵犯に対処するためのスクランブル(緊急発進)や、災害派遣での航空救難などで頻繁に活動しており、出動経験そのものは非常に多い。
自衛隊の中でも特にアメリカ軍との一体化の度合いが深く、活動では国内外問わず連携するケースが多くあり、防空機能も事実上一元化している。日本の防空機能の中枢である航空総隊司令部、作戦情報隊、作戦システム運用隊は東京都福生市の米空軍横田基地内にある。パイロットの育成も一部をアメリカ軍に委託している。
これを別の側面から言えば、日本政府の組織なのに常にアメリカ側の意向に左右され、何をするにも政治的な制約に拘束されるということ。新型機を作ろうとすれば必ずエンジン関係で揉めるのもその為だとか。
近年中に「航空宇宙自衛隊」へと改称予定で、すでに宇宙作戦群(旧宇宙作戦隊)などの宇宙領域専門部隊なども設立されている。
概要
自衛官と言うものはカタブツなイメージを持たれがちだが、特に空自隊員の皆さんに限っては、プロの漫画家にノーズアートをデザインしてもらったり、整備士が自腹で戦闘機型バイクを作って編隊飛行ならぬ編隊走行(ブルーインパルスJr.)をしたり、その際にピトー管を再現しようと備品のモップを切って怒られたり、航空祭でアニソンメドレーを流したり、機体のペイントを公募する痛車ならぬリアル「痛戦闘機」を企画したり(塗装費は自費なので税金の無駄遣いと怒らないであげよう)、F-2Bの後部座席にR2-D2を搭載したり(写真)、とある分屯基地での部隊内企画で「オスである」という文面とともに「おまねこ」を筆頭とするクセ強キャラを14体も考案したり、愉快な人が多いようだ。
さらに、ブルーインパルスが展示飛行を行う航空祭は大人気となっている。
この他にも『青空少女隊』、『戦闘妖精雪風』、『エースコンバット』などのアニメ・ゲーム作品に積極的に制作協力している。
ただし特撮映画などでは陸自海自に比べると、あまり積極的には参加しない。有名な例では平成ガメラ三部作にて、怪獣に撃墜された戦闘機が民家に墜落するという描写が企画段階であったものの、空自が難色を示したため描写されなかったことがある。というのも戦闘機が撃墜される場面は空自にとって好ましくないからであり、事故による墜落を除いて、戦闘中の墜落シーンはほとんど描写されない(ちなみに、ガメラシリーズの監督がゴジラのメガホンをとった際には、空自が参加していないので、架空の戦闘機を民家に激突させている)。逆に言えば、積極的に参加した作品では空自が大活躍する場面も少なくはない。
戦力的にはF-15Jなど数百機の戦闘機を筆頭に、早期警戒管制機や空中給油機といった支援機を取り揃え、防空網としてレーダーサイトやペトリオットミサイルを全国に張り巡らせるなど、非常に高度な戦力を有している。上記のように頻繁なスクランブル発進などによる出動もあり、真偽不明だが空戦に関しては、
- トップガンこと米海軍戦闘機兵器学校が、模擬戦後に「再教育させてくれ」と言い出す。
- 旧ソ連(現ロシア)パイロットに「自衛隊機1機に対して3機で当たれ」とか言われる。
といった逸話があると言われる程の凄腕揃いと言われている。
隊員個々人にもたまにバケモノが混じっており、特に救難ヘリで遭難者を救助する航空救難団の空自救難員は、脱出したパイロットを戦場で敵に攻撃されながら救助することも想定し、陸自でレンジャー課程を履修することになる。陸自じゃないのにレンジャー隊員が居るのである。さらには第1狂ってる団と頭戦狂……じゃなくて第1空挺団と冬戦教で地獄の空挺と冬季のレンジャー課程を追加で履修する救難員や、海自で潜水員の課程を履修する救難員まで居るらしい……陸海空全制覇するつもりか?
一方で、当然と言えば当然だが、陸自の特殊作戦群や海自の特別警備隊みたいなガチ特殊部隊は居ない。強いて言うなら後述する対ゲリラ研究専門の基地警備教導隊だとか、一部でCCT系特殊部隊ではないかと噂される航空支援隊とかはある。
問題点
空戦の実力がケタ外れてると言われる一方で、地上施設の警備に関してはお世辞にも……と指摘されている。これは地上警備を陸上自衛隊に任せているという面も強い。一応は専門部隊の「基地警備隊」が設置されているが、装備をまともに揃えられないものだから、陸自に20式小銃の配備が始まっても二世代前の64式小銃を使い続けてるとか、警棒が足りないのでトイレのモップを代わりに使っていたとか(悪い意味での)ものすごい逸話もいくつかある。
また、侵入者対策もちょっと……という点があり、時々行われる陸自との共同訓練では、侵入者役の陸自の側に散々やられることも多いとか。真偽不明だが陸自に対処できないためかものすごくやる気が無い事もあるようで、陸さんを発見したからと報告したら「放っておけ」と言われたなんて話もあるそうな。
まあ、その陸自の方も……
- 訓練開始前から近くに穴掘って潜伏していた。
- 夜の闇に紛れて隣接した湖を泳いで渡ってきた。
- マンホールから基地内に侵入した。
- 空自の物資輸送のC-1の機内に潜伏していた。
- 宅急便のトラックの中にこれまたいつの間にか潜入していた(スネークかよ)。
- 前から物音がするので警戒していた空自の隊員を後ろから襲うという、どこの時代劇ですかと突っ込みたくなる襲撃方法。
という「あんたらなんかの特殊部隊かよ」とツッコミたくなるようなことばかりをやっていたという説もあるのだが。
また、流石にこれらの問題を放置するのはマズいと思われたためか、基地警備の研究と教育を施す専門部隊「基地警備教導隊」が2010年代に入って設立されている。装備に関しても、89式小銃をすっ飛ばして割と早めに20式小銃の導入を予定していたりする。
部隊マーク
戦闘機や輸送機の垂直尾翼に描かれているマークのことである。機体が変わっても模様は引き継がれているが、近年では敵と遭遇した際に所属がばれるのを防ぐためロービジ化されているものが増えている。
部隊マークの逸話
かつてカラーだった「兜をかぶった武士の横顔」は機種更新後に青1色のロービジに変更された。
マークに由来はあるが、所属基地が変わり元ネタが分かりにくくなってしまった部隊がある。
新田原基地に所属していた第6飛行隊「高千穂の高天原の神話」、築城基地に所属していた第304飛行隊「英彦山の天狗」(天狗のように山河をこえ、空を飛び回る + 天狗になるなという自戒の念)
装備
pixiv内に個別記事がある物のみ。新規記事追加などで項目ができた際は追加願います。
(※) : 引退済
逸話
概要で述べたように空戦に関して驚異的な逸話が聞かれるが、このようなエピソードは他にもある。例えば……
- 米空軍との合同演習で、世代遅れのF-104J戦闘機で当時の最新鋭機F-15に撃墜判定を食らわせた人がいる(岩崎貴弘氏。詳細はリアルチート(日本)も参照)。
- T-33がトラブルを起こした際、機体が人口密集地に墜落しないよう射出座席の最低安全高度を下回っても最後まで操縦したベテランパイロットがいる。残念ながら墜落し、搭乗者は2名とも殉職されたが、機体は人の少ないゴルフ場外へと墜落させられたことで操縦者以外の被害は皆無だった(T-33A入間川墜落事故)。
- 新潟県中越地震における災害派遣出動の際、道路は崩落などにより着地する為のスペースがなかった為、接地可能だが強度が不明な橋の上に空自のV-107救難ヘリでホバリングしたまま後輪のみ接地、着地せずに被災者を救助。
- 東日本大震災における災害派遣出動の際、地震による揺れで建造物強度が残っているかわからない為、CH-47JやUH-60Jで構造物を避けて狭い建物の屋上等でまたホバリングしたまま後輪のみ接地、着地せずに被災者を救助。
ただし、たまに悪い意味での逸話も残している。
- F-15Jが訓練中にミサイルの発射動作をしたところ、うっかり発射ボタンを押してしまいマジで敵役のF-15Jを撃墜(パイロットは脱出して無事)。空中戦による初のF-15被撃墜事例である(F-15僚機撃墜事故)。
また、単純に珍エピソードとしての逸話も……
関連タグ
新千歳空港:隣(元の千歳空港)が千歳基地として使用。
小松空港:小松基地と共用。
那覇空港:航空自衛隊(那覇基地)、海上自衛隊、海上保安庁、沖縄県警と共用。
浜松広報館エアーパーク:空自の広報館