概要
日本の航空自衛隊がかつて運用していた戦闘機。アメリカ合衆国マクドネル社が開発したF-4ファントムを日本向けに設計改変した日本仕様である。
1966年、第二次F-X選定によりF-86F戦闘機の後継として選定され、1971年より導入・運用が開始された。以来40年以上に渡って日本の空を守り続けてきた。
原型機F-4Eとの違いは核兵器搭載や対地攻撃能力を見送り、専守防衛に特化した仕様であること。このため対地攻撃などはほぼ行えず、空対空戦闘しか行えない純粋な要撃戦闘機となっている。また政治問題が絡み、爆撃コンピューターや空中給油機能も見送られているが、これらは後に改修で搭載されたり、後継機に搭載されている。
ちなみに空中給油口については配管自体は残っており、地上の給油ホースと互換性があるものを取り付け(給油機は接続できない)、上部給油口としていた(ただ胴体上部にある為当然ながら接続が面倒極まりなく実際に使用される機会はほぼなかったそう)。
当初は米国で生産後、日本にフェリーされたが、後に三菱重工業をはじめとした国内企業がノックダウン生産、さらにライセンス生産と生産方法を変更しつつ国内製造し、最終的に140機が製造された。F-4ファミリーで米国国外でのライセンス生産が認められたのは日本が唯一。最終号機(17-8440号機)はF-4ファミリー最後の生産機となっている。
かつては主力戦闘機として日本の防空を担ってきたが、現在はF-15J戦闘機に主力の座を譲っている。一部はレーダーを換装したり爆撃能力を復活させるなどしたF-4EJ改や、偵察ポッドを搭載できるようにした偵察機仕様RF-4EJに改修されている。
海上自衛隊でも導入が検討されたことがあり、1970年代初頭の第4次防衛力整備計画にて、敵の制空権下で洋上哨戒を行い、艦隊の上空援護や洋上攻撃を行う「高速哨戒機」として1個飛行隊分(10機前後)の導入が検討されたが、実現しなかった。
2010年代時点では、原形機のF-4の初飛行も50年以上前となり、流石に性能的には現役機種の中でもかなり下の部類に入ってしまっていた。しかし、その無骨でありながら流れるような曲線で構成された外観は今でも多くのファンを生みだす。愛好者はそのシルエットに古武士の面影を見出すことだろう。
2021年3月17日をもって完全に退役した。
主な登場作品
映画
チタノザウルスおよびメカゴジラIIの迎撃のために出撃する。意外ではあるが昭和シリーズではF-86、平成シリーズではF-15Jが主に登場しているため、実写のゴジラシリーズに登場したのは本作が唯一である。
日本平に落下したガメラを攻撃する戦車隊を援護するべく500ポンド爆弾で爆撃する。
アニメ・漫画
百里基地に所属するF-4EJ搭乗員を中心とした漫画作品。
特地に派遣された航空自衛隊機として登場。搭乗員の名前などに『ファントム無類』へのオマージュ要素が見られ、漫画版では機体番号まで一致している。
基地内に駐機している描写がある。
稲荷山公園駅付近の基地所属機として登場。ただし、主翼端垂直尾翼端の形状からF-4EJとは思われるものの、F-4EJ改でないと運用できないASM-1を発射しており、F-4EJ改の要素も混じっている。
関連タグ
表記ゆれ:F4EJ