メカゴジラとは
登場自体は2代目『ゴジラ』シリーズ終盤からだが、そのインパクト、格好良さから歴代ゴジラシリーズでは何度もゴジラと戦った名ライバルキャラクターである。
一方、シリーズの中断・休止に何かと縁があり、登場するのは大体シリーズ末期という、ちょっと皮肉な立ち位置にいる怪獣でもある(特に機龍二部作に登場するメカゴジラ「機龍」の題材の起用理由の一つとしてメカゴジラがシリーズを締めくくる存在であるためでもあったという)。
昭和
メカゴジラ
身長 | 50m |
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体重 | 40000t(ゴジラの2倍) |
1974年公開の『ゴジラ対メカゴジラ』にて初登場。
いわゆる初代・メカゴジラ。「にせゴジラ」の正体である。
地球侵略兵器としてブラックホール第3惑星人によってゴジラを模して作り出されたロボット兵器で全身が宇宙金属スペースチタニウムで構成されている。豚鼻がキュート。
目からは虹色のスペースビーム、胸からは稲妻状のクロスアタックビーム、鼻からは火焔弾デストファイヤーを放ち、両手の指はフィンガーミサイル(体内にミサイル製造装置が組み込まれており、弾切れの心配はない)、両膝のホーミューショットおよび足指のハイプレッシャーホーミング、喉のシャッターに内蔵されたトレイス装置など多数のミサイル兵器(名称は設定されていないが口からもミサイルが発射されているのが確認できる)、加えて首を高速回転させることで青い防御フィールドを展開するディフェンスネオバリヤーと全身が兵器の塊であり、圧倒的な火力と飛行能力でゴジラを大いに苦しめた。
当初はゴジラに擬態した「にせゴジラ」として登場し、その変装を見破って現れたゴジラの仲間怪獣アンギラスを散々に痛めつけ、顎を引き裂くという暴虐振りを披露した。その後、都市部で破壊活動を行っていたが、そこに本物のゴジラが現れたため正体を現して交戦。放射熱線とスペースビームの撃ちあいでゴジラを退けるものの自身もシステムにダメージを受けて撤退した。
修理後は自身を倒す為に目覚めたキングシーサーを返り討ちにしていたが、そこに駆け付けたゴジラと再対決。2対1の状況でも圧倒的な火力でゴジラ、シーサーを追い詰めたが、最終的に雷を受けたことで全身が電磁石となったゴジラに磁力で引き寄せられ、首をもぎ取られて破壊された。
にせゴジラが正体を現す衝撃的な登場シーンは佐藤勝によるテーマ曲も合わせて人気を得ており、後にゴジラ作品を担当する監督のアニメ作品でオマージュされたこともある。
ちなみにメカゴジラのスーツ塗装は「未知の金属」をイメージして、意図的にシャドー(陰影)を吹かず、表面にうっすらとレインボー風味の塗装が施してある。ただし撮影が激化した際にシルバースプレーで修繕していったため、後半のシーンではこのレインボーはほぼ見えなくなってしまっている。
後述のメカゴジラⅡでは本作との差別化も兼ねて全身にシャドーが吹かれている他、全体的に暗めで重厚感のあるカラーリングとなっている。
メカゴジラⅡ
身長 | Iと同じ |
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体重 | Iと同じ |
上記作の続編である1975年公開の『メカゴジラの逆襲』にて再登場した際の姿。
前作で破壊された機体の残骸を回収して再生したもの。全体的な形態は以前とさほど変わっていない…と見せかけて細部はかなり異なっている。特にフィンガーミサイルがより大型で鋭い銛状の「回転ミサイル」という新兵器に強化された。その威力は一撃で地盤を崩壊させ、直撃するとゴジラの表皮すら貫通して体内で爆発、口から煙を吹かせて昏倒させる程である。
腕の「MG」マークも「MG2」に変更されており、前作の機体の破片を回収して再生したためか全体的に黒ずんだ色になっているのが特徴。また、胸部の装甲形状がV字型に変更されており、ゴジラの熱線を側面へ逸らす傾斜装甲として機能するらしい。
更に最大の特徴としてメカゴジラⅡの電子頭脳とサイボーグにした人間の頭脳を直結してコントロールさせる機能が追加された。その為、彼女の憎しみが強くなるほど、攻撃性能が増すようになった。また、前回のように首をもぎ取られたとしてもサイボーグが健在な限りメカゴジラが機能停止することはなく戦闘継続が可能であり、さらに首の内部に増設されたレーザー砲もゴジラを一撃でダウンさせるほど強力である。
余談だが、時折片腕を水平に胸に翳すという動作を取る。
完全修復と同時に真船桂という女性をサイボーグ化してブレーンユニットに据えて出撃。さらには絶滅したとされていた怪獣(恐竜)チタノザウルスも引き連れて街を破壊する。そして2対1でゴジラに挑み、自身は後方支援に徹し、これを圧倒する。しかし、チタノザウルスが人間による超音波攻撃で戦闘不能になったため形勢が逆転。また防衛隊の襲撃により、桂が負傷し戦意がそがれてしまう。それでも前回よりさらに増した火力で総攻撃を仕掛けゴジラの背ビレを大炎上させる。しかしゴジラに弾幕を強行突破され接近戦になり、前回同様首をもぎ取られてしまう。が、内部に隠されていたレーザー砲で反撃し、回転ミサイルでトドメを刺そうとする。だが、頭脳となっていた桂が自殺したことで機能を完全に停止。先ほどまでゴジラを放り込んでいた谷底に投げ返された挙句に放射熱線を浴びせられ、大爆発した。
「逆襲」は「ガス人間第一号」・「怪獣大戦争」で描かれた本多猪四郎監督ならではの悲恋メロドラマを展開し、アダルトな雰囲気で原点回帰的な作風となった。しかし子供向けとは言えないハードな作風が災いしてか作品の興行収入は悲惨で、シリーズ最低記録を作ってしまい、ゴジラシリーズの休止を余儀なくされてしまった。
スーツは通常ものと頭がもぎ取られてレーザー砲が露出した状態の2種類が用意され、後者は初代メカゴジラの改造である(その為、胸の装甲など一部の形状が初代のままになっている)。
この二つのスーツを組み合わせたものが現存しており※、各イベントなどで展示される事もある。
※現在は東宝ではなく個人の所蔵品となっている。
平成
メカゴジラ/スーパーメカゴジラ
1992年公開の『ゴジラvsメカゴジラ』に登場。
Gフォースがメカキングギドラの残骸から得た未来の技術を応用して開発した対G兵器。大型戦闘機ガルーダと合体することで、スーパーメカゴジラとなる。
詳細な解説は スーパーメカゴジラ を参照。
3式機龍/3式機龍改
2002年公開の『ゴジラ×メカゴジラ』およびそれの続編に当たる2003年公開の『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』に登場。
1954年にODで滅ぼされた初代ゴジラの骨格をベースに製造された特生自衛隊のゴジラを含めた対怪獣用兵器。生体由来のDNAコンピュータの搭載により、従来の機動兵器とは比較にならない優れた機動力を持つ。
詳細な解説は 3式機龍 を参照。
メカゴジラ/メカゴジラシティ
2016年~2018年公開の『GODZILLA(アニメ映画シリーズ)』に登場。
ゴジラに苦しめられていた地球人に協力する異星人ビルサルドが建造した対ゴジラ用最終兵器。全身がナノマシンで構成されているため、姿形を自在に変化させることができる。
詳細な解説は メカゴジラ(アニメ映画) を参照。
令和
ロボゴジラ
2021年3月から6月まで放送されたTVアニメ『ゴジラS.P』に登場。
ミサキオクと呼ばれる施設の地下に保管されていた巨大生物の骨格を改造して生み出された正体不明のロボット兵器。その姿は昭和の初代メカゴジラに似ている。
詳細な解説は ロボゴジラ を参照。
ハリウッド版
CYBERGODZILLA
1999年放送の海外TVアニメ『ゴジラ・ザ・シリーズ』に登場。
1998年公開の『GODZILLA』に登場した親ゴジラの死体を地球侵略を目論む宇宙人がサイボーグ化する形で蘇らせた生体兵器。その為厳密な意味でのメカではない。
詳細な解説は サイバーゴジラ を参照。
MECHAGODZILLA(RP1)
2018年公開の『レディ・プレイヤー1』に登場。
VRオンラインゲーム「オアシス」の巨大ロボット召喚用レアアイテムを使って召喚した戦闘用ガジェットの一種で、本作の悪役であるIOI社幹部ノーラン・ソレントが召喚・搭乗した。主な武装は口から吐く白熱光とフィンガーミサイルなど。
原作小説に当たる『ゲームウォーズ』ではデザインや武装は3式機龍そのものだったが、映画版では『ゴジラVSメカゴジラ』生頼範義版ポスターを意識したようなオリジナルのデザインになっている(機龍に使われているゴジラの骨のようなパーツが出てきたり、初代のような攻撃方法など歴代メカゴジラを意識しているともとれる)。
原作の中では主人公たちの駆る巨大ロボット軍団と交戦。ミネルバX、ライディーンを撃破し、アブソリュートゼロで主人公パーシヴァルの搭乗したレオパルドンの破壊に成功するが、パーシヴァルが変身したウルトラマンの八つ裂き光輪とスぺシウム光線で撃破された。
一方、映画版においてはパーシヴァルのデロリアンを破壊し、アイアン・ジャイアントや同じく日本人に馴染みの深い某戦闘ロボットとの夢の対決を繰り広げている。
ちなみに登場BGMはまさかのあの曲のアレンジ。
MECHAGODZILLA(GvsK)
2021年公開の『GODZILLAvsKONG』に登場。
エイペックス社が秘密裏に進めていたゴジラを模した姿の戦闘兵器。かつてゴジラに倒されたギドラの遺骸とそれに基づく指令伝達器官がコントロールシステムとして応用されている。
詳細な解説は MECHAGODZILLA(モンスターバース) を参照。
ゴジラ対エヴァンゲリオン
紫龍(ゴジラ対エヴァンゲリオン)
東宝とガイナックスのコラボ企画ゴジラ対エヴァンゲリオンにて新川洋司氏により発案された兵器。
首都東京を襲い壊滅させてきたゴジラ及び使徒と同じく「厄災」ともいうべき存在に対抗すべく 過去、特生自衛隊が開発した「機龍シリーズ」の技術情報の提供を受けNERVが建造した対G兵器。全体的にスリムに纏められたデザインであり腕部にNERVのマークが施されている。
詳細な解説は 紫龍(ゴジラ対エヴァンゲリオン) を参照。
怪獣王ゴジラ(漫画)
河本ひろしのマンガ『怪獣王ゴジラ』に登場。
名前はメカゴジラⅢ。外見は昭和のメカゴジラ(初代)と同じだが、腕部にエンブレムはなく、身長は平成ゴジラと同じ100mサイズ。
怪獣を支配する事で世界征服を目論むマッド鬼山が、東京湾-木更津間の川崎海底トンネル工事現場より発見したメカゴジラの電子頭脳を元に建造。このメカゴジラは恐らく「対メカゴジラ」「逆襲」と同様の過程でかつてゴジラに敗北したブラックホール第3惑星人製の物で「ゴジラニ…フクシュウ……」とゴジラへの復讐心に燃えている。
当初はニセゴジラとなってコンビナートを襲撃するが、Gチームの攻撃で正体が発覚すると同時に本物が現れ交戦。Gチームに対する人質をとったメカニコングにゴジラを拘束させて追い詰めるが、人質を奪還したGチームの援護によってゴジラが脱出。
メカニコングを破壊したゴジラの熱線を辛うじて耐えたかに思われたが、電子頭脳は「ゴ…ゴ…ジラ、ツ…ツヨイ…ハカイフカノウ……」と敗北を認識。トドメの熱線を受けて完全に沈黙した。
原典?
ゴジラタワー
『ゴジラ対ガイガン』に登場。
アミューズメントパーク・世界子供ランドのシンボルとして建造されたゴジラを模した展望台。
子どもたちの人気を集めるゴジラの姿をした平和的な建造物
……なんてことはなく、その正体は地球征服を目論むM宇宙ハンター星雲人の基地で、彼らが操るガイガンとキングギドラのコントロールタワーでもある。
その口部分からレーザー光線を発射して攻撃することも可能。
コミカルな風貌とは裏腹にやたら強く、レーザー光線を連射してゴジラに大ダメージを与えていた。
余談
平成実写作品に登場したメカゴジラの形式番号は、
「VS」の物がUX-02-93、
「×」「東京SOS」の物が3式機龍
と、なっており昭和に登場した物を「メカ逆」を含めて同一陣営の運用であることから「初代」とすると、姿(運用組織)が変わる度に1つずつ数字が増えているので二代目、三代目を表してると考えることもできる。
ちなみに「VS」のUX-01-93にあたるものはガルーダである。