砕け散るまで戦え!
起動・共鳴・氷砕
- 1974年公開のシリーズ第14作は→ゴジラ対メカゴジラ
- 1993年公開のシリーズ第20作は→ゴジラVSメカゴジラ
概要
ミレニアムシリーズ第4作目の本作で9年ぶりにメカゴジラが採用された。本作のメカゴジラは「vsメカゴジラ」と同じく人類の科学技術を結集した対ゴジラ兵器として描かれている。
世界観は初代を引き継ぎつつ、ミレニアムシリーズ内では連続性を持たないというミレニアムシリーズ独特の世界観を踏まえつつ、「モスラ」「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ決戦!南海の大怪獣」といった東宝特撮映画の世界観をミックスして引き継いだ世界観となっており、それらの作品のカットが作中に挿入されている。
また、ゴジラの愛称で親しまれる野球選手の松井秀喜が本人の希望もあって作中に本人役で出演している。
しかし、当時のゴジラはとっとこハム太郎と同時上映という迷走期であり、それらを受けてか本作と次作「東京SOS」の観客動員が一気に下がってしまったため、ミレニアムシリーズ、そしてゴジラシリーズの終了を決定づけてしまったという。
当時の批判の一方で、令和現在は再評価も進んでいる作品である。
自衛隊の防衛装備品を参考にした非常にリアリティのある設定、一時間半という上映時間で生命倫理や科学技術に対する警鐘、同族が人間同士の都合で戦わされる悲劇性、何より高速戦闘という新たなメカゴジラ像を生み出した点は画期的であった。
近年のアニメファンの増加により、柔軟な発想や斬新な設定に対する抵抗感が薄れたことも再評価に一役買っているといえ、ゲーム作品での登場や機龍のプラモデル化など、数十年前の作品でありながらその人気ぶりがうかがえる。
あらすじ
館山に1954年以来再び上陸した2頭目のゴジラは出動した対特殊生物自衛隊(特生自衛隊)を軽々と退け館山を蹂躙し去っていった。この出動の際に自身のミスにより仲間を死に追いやってしまった特生自衛隊員の家城茜は自責の念に囚われつつ左遷されるも、再びゴジラと戦うことで罪滅ぼしをしようという意志に燃える。
特生自衛隊、日本政府は、対ゴジラ用兵器として1954年にオキシジェンデストロイヤーによって倒された初代ゴジラの骨を回収し、それをベースとして最先端技術を結集した対ゴジラ用生体ロボット兵器「三式機龍(メカゴジラ)」を作り上げ、特生自衛隊から選抜したメンバーによる機龍隊を設立する。
機龍隊に配属され、正オペレーターとして機龍の操縦を任された茜だが、仲間とも上手く行かず、未だに心の整理もついていなかった。しかし、機龍の完成式典が行われる中、ゴジラが襲来。出撃した機龍は性能を十分に見せつけてゴジラを追い詰めたが、初代ゴジラのDNAを用いたDNAコンピューターが暴走。機龍はゴジラの如く暴れ続け、都市を壊滅させてしまう。
調整が行われ、機龍の暴走が起きない様になったものの、事態は重大で機龍と機龍隊の存亡も危ぶまれてしまう中で、茜はゴジラの骨を使ってゴジラを倒すという機龍の存在、自分がするべき事を考え始める。
しかし、そんな中で今度はゴジラが東京へ来襲。全責任を総理が取るという決心を受けて機龍隊はゴジラ討伐を命じられ出動。
深夜の品川を舞台に破壊神ゴジラとゴジラの骨をその身に宿した兵器メカゴジラの決戦の幕が上がる。
スタッフ
製作:富山省吾
エグゼクティブ・プロデューサー:森地貴秀
脚本:三村渉
音楽:大島ミチル
特殊技術:菊地雄一
監督:手塚昌明
キャスト
家城茜:釈由美子
湯原徳光:宅麻伸
富樫:高杉亘
葉山:友井雄亮
一柳:中原丈雄
菱沼:加納幸和
湯原沙羅:小野寺華那
土橋:上田耕一
赤松伸治:白井晃
菅野吾郎:六平直政
葉山(兄):森末慎二
山田薫:萩尾みどり
関根:水野純一
テレビ司会者:大城英司
佐々木(しらさぎ2号パイロット):海老原智彦
堀井(しらさぎ1号パイロット):青木淳
横山(特自分析中隊担当官B):坂田雅彦
航空自衛隊幹部:飯山弘章
自衛隊員:三浦武蔵
特自分析中隊本部担当官A:橋本和美
館山のテレビレポーター:佐藤陽子
NWKアナウンサー:井出勝己
90式メーサー殺獣光線車副搭乗員:山本剣
菱沼の部下:西岡生博
TVアシスタン:松田瑞希
釈由美子スタント:野川瑞穂
プレスセンターのマスコミ:ポール・カミンスキ、マリア・テレサ・ガウ
柘植真智子:水野久美
TVアナ(房総半島):吹越満
宮里(特自幹部B):渡辺哲
屋敷(特自幹部A):江藤潤
田中(防衛技術研究所警備隊員):田中実
湯原の妻:北原佐和子
ゼミの女学生A:久遠さやか
車で避難する男:杉作J太郎
家を壊される男:柳沢慎吾
避難する患者:藤山直美
酉澤安施(コメンテーター):中村嘉葎雄
辻森桐子(看護師):田中美里
宮川二尉:永島敏行
工藤(八景島の自衛隊員):谷原章介
コンビニの店員:村田雄浩
松井秀喜:松井秀喜(本人役)
五十嵐隼人:中尾彬
陸上自衛隊員:倉敷保雄
機龍ドックの作業員:手塚昌明
メーサー車搭乗員:喜多川務、石垣広文(八景島)、鈴木健二(品川)
関連動画
余談
他のメカゴジラの登場作品には必ずどちらかに加勢する怪獣が登場しているが、本作ではゴジラとメカゴジラ以外の怪獣が一切登場せず、真の意味での一対一での戦いが唯一描かれた作品である。
当初より『とっとこハム太郎』との併映が決まっていたため、劇中で沙羅の友人としてハムスターを飼っている少女が登場。衣装や髪型は同作の春名ヒロ子を模しており、自宅のセットも『ハム太郎』の春名家を再現している。
山田政史による脚本初稿は『G消滅作戦』の制作中に完成しており、3式機龍の設定はこの時点で出来上がっていたが、ゴジラと機龍のほかにゴジラと対極をなす「創造神」人口生命体サイバースフィアが登場。一度はゴジラに破壊されるがその残滓から体長4~5m程度の半機械獣が誕生するという設定だった。
監督が手塚昌明に決まってからリアル路線の作風に転向し、ゴジラの脊柱の泡を由来とする人工生命体ベッキーとマイキーが登場、ダブルヒロインとなっていた。
その後は作業の迅速化のため三村渉に交代。最初期は『G消滅作戦』の続編とする構想もあったが、ゴジラが死んでいない作品のため「ゴジラの骨をもとに作り上げたメカゴジラ」の設定が使えないとして取りやめになった。
また機龍のかませ犬として海の恐竜やアンギラスが登場する案もあったが予算の都合で不採用になった。
関根役の水野純一と女学生役の久遠さやかは共に『仮面ライダー龍騎』に出演しており、手塚監督は久遠とはその話題をしたが、水野が演じたキャラが登場する回がまだ放送されておらず、衣裳合わせの時点で水野も出演することを聞いたと語っている。
手塚監督は前作の金子修介監督にもカメオ出演を依頼したが、スケジュールの都合で実現しなかった。
関連タグ
スーパーロボット大戦X-Ω:『ゴジラ対エヴァンゲリオン』名義でゴジラが参戦しているが、機龍だけでなく家城茜や特生自衛隊も登場しており、さらにガイラや湯原博士などにまで言及されるなど、事実上の「ゴジラ×メカゴジラ」も参戦している扱いとなっている。
ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃←ゴジラ×メカゴジラ→ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS