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概要編集

シリーズがいったん終了となった1995年の『ゴジラvsデストロイア』以来、4年ぶりに復活した、シリーズ第23作にしてミレニアムシリーズ1作目。


KATAGIRI

vsシリーズから世界観や設定、ゴジラの造形などすべてリセットされており、前年まで展開されていた平成三部作との繋がりもない(なお今作以降のミレニアムシリーズも、第1作以外の過去作品とは明確な繋がりを持たない、独立した世界設定が通例となっていく)。


vsシリーズと違い、本格的にCGやデジタル合成を取り入れたシーンが増えた(ゴジラの放射火炎は今作で初めてCGで描かれ、以降ミレニアムシリーズではこの描写が基本となる)。編集機材もゴジラシリーズとして初めてデジタル編集に移行するなど、制作面では大きな転換点となった一作である。

一方、着ぐるみを用いた伝統的な特撮を基本とする姿勢はそのままであり、実写での撮影にこだわったシーンも多い。またスタッフも、監督の大河原孝夫、特技監督の鈴木健二、脚本の柏原寛司三村渉をはじめ、vsシリーズからの続投組が多い。


アスペクト比画面サイズは、ゴジラvsシリーズではビスタサイズだったが、本作からはスーパー35をフルフレーム使用しているため、元のシネマスコープサイズに戻されている。


製作経緯編集

1998年に公開されたハリウッド版ゴジラは収入的には成功だったが、日本のゴジラとは異なる設定や展開から、賛否が大きく分かれる結果となった。


そして挙がってきた声が「東宝ゴジラの復活」であり、東宝プロデューサーの富山省吾がその声を受けて4年ぶりに新作となる本作の企画を打ち立てた。敵怪獣であるオルガのコンセプトの一つも、「エメゴジを日本ゴジラが倒す」というものだった(参照)。


しかし、終わってみると今作の興行収入は7億円と、vsシリーズの平均興収はおろか目標としていた10億円にすら届かず、はっきり言って失敗だったらしい。

東宝側は失敗の原因が、今作の重苦しくシリアスな雰囲気にあると分析。次作『ゴジラ×メガギラス』では派手なバトル路線に舵を切ったことで興行収入の大幅アップ(12億円)に成功している。


あらすじ編集

ゴジラの侵攻を未然に予知する事を目的としたゴジラ予知ネットワーク(GPN)の主催者で元大学教授の篠田雄二は北海道根室市へ出現したゴジラの調査へ娘のイオとゴジラの取材に来た雑誌記者の一ノ瀬由紀と共に向かう。ゴジラの目の前に出てしまったことで一時は危険な目にあったものの生還し篠田はゴジラが人間の生み出すエネルギーを憎んでいるのではないかという感想を抱く。

一方で日本海溝では政府の危機管理情報局(CCI)によって強い磁力を帯びた謎の岩塊が発見され、新エネルギー資源として引き上げが行われたが、岩塊が勝手に浮上するどころか動き出したのを確認し、CCIはこの岩塊は地球外生命体に関連したものだと推察する。

その後、東海村原発を襲撃しようとするゴジラに対しCCIと自衛隊が攻防を繰り広げるが、突如岩塊が飛来し、ゴジラに襲い掛かる。岩塊とゴジラは相打ちになりゴジラは海へ撤退、岩塊は動きを止めたが、内部からは謎の金属が露出していた。そして翌朝、太陽光をエネルギーとして再び活動を始めた岩塊はUFOの正体を現し、スーパーコンピュータを備えたシティタワーを占拠。人類側の情報を探るとともにゴジラの情報を探り始める。しかし、篠田達もUFOの狙いを探り出し、答えを見つけ出す。それは千年王国(ミレニアム)の建設とゴジラの脅威の生命力を司る「オルガナイザーG1」だった。

そして再びUFOの前に再びゴジラが姿を現す。しかし、今度のゴジラの目的はエネルギーでも人類でもなく、唯一つ、UFOへのリベンジであった。


小説版編集

公開直前の11月に発行。


雄二の過去も語られ、将来を嘱望された有能なバイオ系の研究者だったが知人の海洋地質学者である樋口を奇妙な海難事故で喪ったことから、それが伝説のゴジラにあると考え、ゴジラ調査を開始。樋口の妹の樋口小夜子と結ばれ、イオを授かるも小夜子は阪神淡路大震災で帰らぬ人になった。


漫画版編集

龍村もんどが1999年別冊コロコロコミック10月号と12月号に連載。


小説版の小夜子とは別に雄二の妻でイオの母である篠田碧が登場。碧は病気で身体が弱いながらも新しい生命のためにイオを出産し、それと引き換えに亡くなった後、雄二はイオも妻と同じ病に罹る可能性があることから、それを改善すべく、ゴジラの無限の生命力に着目し、それを踏まえての篠田一家の家族愛が強調された。


一方、イオはゴジラが人類の味方だと妄信してしまった為、オルガ撃破後のゴジラに踏み潰されそうになった(雄二と由紀のおかげで命拾いする)際には激しいショックを見せるがゴジラはイオを本気で殺すつもりはなかったためかそれ以上は何もせず、戦場を後にした。


イオ関連ではイオは某作品の女性キャラを思わせる姿をしており、ミレニアンによるコピー態のミレニアンイオも登場するがミレニアンイオは裸の小学6年生少女という漫画版だからこそ許された描写が成され、最終的にミレニアンイオがゴジラに敗北・恐怖しながら最期を迎えたが本来のイオが辛うじて助かったのはミレニアンイオが肩代わりしてくれたおかげなのかもしれない。

余談編集

ハリウッド版の興行的成功で「和製ゴジラでも世界的ヒットを狙える」と踏んだのか、北米においても多数のスクリーンを確保し、合計約2000館での公開という大々的な興行が打たれた作品である。

これは邦画としてはおろか、それまでの非英語映画全体を見渡しても異例の規模であった。当時、北米でこれほど大規模に公開された邦画は過去に『ミュウツーの逆襲』ぐらいのものだった(近年では、『鬼滅の刃無限列車編』や『ドラゴンボール超スーパーヒーロー』などこの規模に達する邦画もいくつか出てきている)。

このように邦画として非常に意欲的な挑戦を試みた本作だったが……結果として、北米での興収はわずか合計10億円程度と、とても規模に見合っているとは言えない額に終わっており、挑戦は失敗だったと言わざるを得ない。実際、その後の和製ゴジラの北米展開は再び控えめになっている。

しかし、24年後に制作された『ゴジラ-1.0』は再び大々的な海外興行に打って出ており、大きな成果を収めつつある。


脚本を担当した柏原と三村による小説版が存在する。

おおむね映画の内容は網羅しているものの、篠田とゴジラの因縁を描く過去エピソードが多く盛り込まれており、ほぼ別物と化している。

かつて同じく学者としてゴジラに魅せられ固執した山根恭平とオーバーラップさせながら、篠田がゴジラにのめりこんでいく姿が描かれている。


関連タグ編集

ゴジラ ゴジラシリーズ ミレニアムシリーズ オルガ(ゴジラ怪獣) GODZILLA_REBORN


ゴジラVSデストロイアゴジラ2000ミレニアムゴジラ×メガギラスG消滅作戦

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