概要
2004年12月4日に公開された映画。
上映時間はシリーズ最長の2時間5分。 ゴジラシリーズ唯一の6.1chサラウンド作品でもある。
ゴジラシリーズの28作目で、日本ゴジラ最終作扱いになっていたが、ハリウッド版ゴジラとして『GODZILLA -ゴジラ-』が放映されている。国産ゴジラ作品は『シン・ゴジラ』で復活したが『シン・ゴジラ』は従来のゴジラシリーズの設定を全てリセットしており、初代ゴジラ以来の設定を引き継ぐ映画作品は本作が最後となる(映画ではないが後述するゴジラVSヘドラは本作の後日談の可能性がある)。
スタッフ
監督は北村龍平、脚本は三村渉と桐山勲。
音楽はロックの大御所、キース・エマーソンが参加。その他SUM41の曲も挿入歌として使われている他、オープニングはカイル・クーパーが担当している。
内容と反響
最終作にふさわしく、怪獣は怪獣総進撃を超える15体が登場し、妖星ゴラス、海底軍艦など他の東宝特撮映画のネタも取り入れられている。また、当時最も復活リクエストが多かったガイガンとアンギラスをはじめとした多くの昭和シリーズの怪獣が平成になって初めて登場した作品でもある。
……のではあるのだが、最終作にもかかわらず大冒険し過ぎた事や、北村龍平監督の特徴なのか人間側のアクションシーンが多く、その一方でヘドラなどの怪獣の登場が僅かだった(※)り、ラドン・アンギラス・キングシーサーといった歴代の相方がザコ扱いだったりという事などへの不満が大きく出てしまい、公開当時の評価は散々なものとなってしまう。
結果として観客動員数は100万人(ゴジラ映画ワースト3位)という成績になってしまった。
しかし現在からみると歴代からの多数のゲストや良いお祭り映画具合などが再評価されており、「最終作としてはイマイチであったが、50周年記念作としてみれば良作」といった評価に落ち着いている。後にTV放送した際も、そのノンストップアクション的な内容も相まって実況が非常に盛り上がっていた。
なお、『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』以来、4年ぶりの新怪獣にして本作のラスボスとなったカイザーギドラの存在はモンスターXと違い、公開前は一切公表されなかった(いわゆる隠しボスである)。その結果、ラスボスがギドラである事に、衝撃を受けた観客は多かった。
※ただし、北村龍平監督自身はもっと怪獣の出番を多くしたかったと語っている。その代表格がヘドラである。一部の雑誌などに、“陸上でゴジラと闘うヘドラ”という画像が公開されているが、これはヘドラの登場場面の少なさを考慮して撮影されたスチール写真である。また、北村監督は「お台場に出現させる予定だった」と語っており、その場面で『踊る大捜査線』シリーズのパロディも行う予定だったらしく、構想ではもっと活躍するはずだった事が窺える。これらの展開は富山省吾プロデューサーによって却下され、結果的に出番が少なくなってしまった。これに対して北村監督自身も「こんなに短くなくてもいいんじゃないの?」と不満を洩らしている。更に映画冒頭の轟天号VSゴジラというシーンも、北村監督による発案で当初の予定が無かったにもかかわらず組み込まれたシーンである。
また、北村監督が参加した時点で「X星人対ミュータント部隊」というプロットがすでにあり、どちらかと言えば「人間アクションをやるために北村監督が呼ばれた」状況である。北村監督はそこに「ミュータント対エビラ」のような、人間と怪獣が直接戦うシーンを盛り込むことで怪獣の出番が少なくなる点をカバーしている。
そもそも人間パートと特撮パートは撮影班が別のため、人間のアクションを削った所で怪獣パートが増えるということはあり得ないのである。
北村監督関係でもう1つ言えば、キングシーサーが選出された理由は監督曰く「個人的に好きな怪獣であったため」という非常に簡単な動機からである。
ストーリー
時は近未来「20XX年」、世界中で核実験や戦争が頻発した結果、眠っていた多くの怪獣が目覚め、人類に牙を剥いた。これに対抗するため国連は地球防衛軍を結成した。同時に他の人類より身体能力の優れた一部の人間“ミュータント”による部隊「M機関」を組織した。彼らの最大の敵こそ、1954年以降世界を恐怖に陥れた怪獣王・ゴジラであったが、南極での轟天号との戦いにより、ゴジラは氷塊の中へ封じ込められた。
それから20年後、世界中で怪獣が一斉に出現し各地を蹂躙する。
しかし突如現れた謎の飛行物体が怪獣たちを消し去る。
飛行物体に乗っていた彼らはX星人と名乗り、地球に妖星ゴラスが迫っていること、それに対抗するために地球と手を結ぶことを申し出る。
醍醐国連事務総長の働きかけもあり、世界は歓迎ムード一色に包まれる。
しかし一部の者たちの調査の結果、妖星ゴラスはホログラムによる真っ赤な偽物であり、国連事務総長を筆頭に政府側の要職にある人物はことごとくX星人によって「入れ替わられていた」ことが判明する。
事実が露呈した時、X星人は本性を現し、操っていた全怪獣を開放する。
都市を蹂躙し地球防衛軍の空中戦艦をことごとく沈めて行く怪獣軍団。さらにミイラと化していた怪獣ガイガンまでもが復活し、地球は崩壊の危機を迎える。
世界が滅び行く中、脱出に成功した新・轟天号は南極へ向かう。
唯一操られている可能性がなく、最強の力を持つ怪獣、ゴジラを解放するために……
登場人物
尾崎真一 - 演:松岡昌宏(TOKIO)
音無美雪 - 演:菊川怜
ダグラス・ゴードン大佐 - 演:ドン・フライ(吹替:玄田哲章)
音無杏奈 - 演:水野真紀
X星人参謀/統制官 - 演:北村一輝
風間勝範 - 演:ケイン・コスギ
波川玲子司令官 - 演:水野久美
小室少佐 - 演:國村隼
熊坂教官 - 演:船木誠勝
神宮寺八郎 - 演:佐原健二
醍醐直太郎 - 演:宝田明
小美人 - 演:長澤まさみ、大塚ちひろ
田口健太 - 演:須賀健太
田口左門 - 演:泉谷しげる
登場怪獣
ゴジラ
ミニラ
ラドン
アンギラス
キングシーサー
エビラ
カマキラス
クモンガ
マンダ
ジラ
ヘドラ
ガイガン
モスラ
モンスターX / カイザーギドラ
X星人
小美人
余談
長年に渡りゴジラ映画の海上・ラストシーン等に使われてきた東宝大プールは老朽化によって本作の撮影をもって取り壊しが決定し、エンドロールのゴジラとミニラが海に帰っていく場面を最後に解体されてその生涯に幕を下ろした。
よって本作が東宝大プールでの撮影が行われた最後の映画作品となった。
なお、キングギドラ、ゴロザウルス、メカゴジラは当初登場怪獣に含まれていたが、メカゴジラはガイガンに置き換えられ、結局登場しなかった。
また、ゲゾラ、チタノザウルス、ガイラ、メガギラス、バラン
、バラゴンが劇中オープニングでライブフィルムで登場している。
本作の劇場公開時に小学館から超全集が刊行されたものの後年、電子書籍化された際に大人の事情により主演俳優が写っている部分が黒塗りになっている。
そして10年後…
前述したハリウッド版の影響と東宝大プール解体によって「日本のゴジラはどうなってしまうのだろうか。」と不安の声も上がっていたが、2014年12月8日、東宝は2016年に新作ゴジラを公開すると発表。
予告通り2016年に公開されたシリーズ第29作『シン・ゴジラ』は、当初予想の動員数を大きく上回り、FINAL WARSが目標としていたゴジラシリーズ累計動員1億人をあっさりと突破、国産ゴジラシリーズ、そして実写邦画という分野においても久々の大ヒット作品となった。
関連タグ
ゴジラシリーズ ミレニアムシリーズ
ZILLA モンスターX カイザーギドラ
ガイガン アンギラス
まな板にしようぜ 新ハリウッド版放映の同年本作の主演俳優が発した発言
ウルトラマンティガ 本作と同じくジャニーズが主演を務めた特撮作品。
ゴジラVSヘドラ 2021年に公開された作品。本作のヘドラとゴジラが戦う内容であり、スーツが同じであることから本作の続編ではないか?という声もある。