概要
上映時間はシリーズ最長の2時間5分。 ゴジラシリーズ唯一の6.1chサラウンド作品でもある。
ゴジラシリーズの28作目で、日本版ゴジラ最終作扱いになっていたが、10年後に新ハリウッド版ゴジラとして『GODZILLA-ゴジラ-』が公開された後、国産ゴジラ作品は本作から12年後の第29作『シン・ゴジラ』で復活し、最終作を返上した。
尚、『シン・ゴジラ』以降の作品は従来のゴジラシリーズの設定を全てリセットしており、初代ゴジラ以来の設定を引き継ぐ映画作品は本作が最後となる(映画ではないが後述する『ゴジラVSヘドラ』は本作の後日談の可能性がある)。
スタッフ
音楽はロックの大御所、キース・エマーソンが参加。その他SUM41の曲も挿入歌として使われている他、オープニングはカイル・クーパーが担当している。
内容と反響
最終作にふさわしく、怪獣は怪獣総進撃を超える15体が登場し、妖星ゴラス、海底軍艦など他の東宝特撮映画のネタも取り入れられている。また、当時最も復活リクエストが多かったガイガンとアンギラスをはじめとした多くの昭和シリーズの怪獣が平成になって初めて登場した作品でもある。
……のではあるのだが、最終作にもかかわらず大冒険し過ぎた事や、北村龍平監督の特徴なのか人間側のアクションシーンが多く、その一方でヘドラなどの怪獣の登場が僅かだった(※)り、ラドン・アンギラス・キングシーサーといった歴代の相方がゴジラにコテンパンに叩きのめされるというぞんざいな扱いだったりという事などへの不満が大きく出てしまい、公開当時の評価は散々なものとなってしまう。
結果として観客動員数は100万人(ゴジラ映画ワースト3位)という成績になってしまった。
しかし現在からみると歴代からの多数のゲストや良いお祭り映画具合などが再評価されており、「最終作としてはイマイチであったが、50周年記念作としてみれば良作」といった評価に落ち着いている。後にTV放送した際も、そのノンストップアクション的な内容も相まって実況が非常に盛り上がっていた。
なお、『ゴジラ×メガギラスG消滅作戦』以来、4年ぶりの新怪獣にして本作のラスボスとなったカイザーギドラの存在はモンスターXと違い、公開前は一切公表されなかった(いわゆる隠しボスである)。その結果、ラスボスがギドラである事に、衝撃を受けた観客は多かった。
※ただし、北村龍平監督自身はもっと怪獣の出番を多くしたかったと語っている。その代表格がヘドラである。一部の雑誌などに、“陸上でゴジラと闘うヘドラ”という画像が公開されているが、これはヘドラの登場場面の少なさを考慮して撮影されたスチール写真である。また、北村監督は「お台場に出現させる予定だった」と語っており、その場面で『踊る大捜査線』シリーズのパロディも行う予定だったらしく、構想ではもっと活躍するはずだった事が窺える。これらの展開は富山省吾プロデューサーによって却下され、結果的に出番が少なくなってしまった。これに対して北村監督自身も「こんなに短くなくてもいいんじゃないの?」と不満を洩らしている。更に映画冒頭の轟天号VSゴジラというシーンも、北村監督による発案で当初の予定が無かったにもかかわらず組み込まれたシーンである。
また、北村監督が参加した時点で「X星人対ミュータント部隊」というプロットがすでにあり、どちらかと言えば「人間アクションをやるために北村監督が呼ばれた」状況である。北村監督はそこに「ミュータント対エビラ」のような、人間と怪獣が直接戦うシーンを盛り込むことで怪獣の出番が少なくなる点をカバーしている。
そもそも人間パートと特撮パートは撮影班が別のため、人間のアクションを削った所で怪獣パートが増えるということはあり得ないのである。
北村監督関係でもう1つ言えば、キングシーサーが選出された理由は監督曰く「個人的に好きな怪獣であったため」という非常に簡単な動機からである。
ストーリー
時は近未来「20XX年」、世界中で核実験や戦争が頻発した結果、眠っていた多くの怪獣が目覚め、人類に牙を剥いた。これに対抗するため国連は地球防衛軍を結成した。同時に他の人類より身体能力の優れた一部の人間“ミュータント”による部隊「M機関」を組織した。彼らの最大の敵こそ、1954年以降世界を恐怖に陥れた怪獣王・ゴジラであったが、南極での轟天号との戦いにより、ゴジラは氷塊の中へ封じ込められた。
それから20年後、世界中で怪獣が一斉に出現し各地を蹂躙する。
しかし突如現れた謎の飛行物体が怪獣たちを消し去る。
飛行物体に乗っていた彼らはX星人と名乗り、地球に妖星ゴラスが迫っていること、それに対抗するために地球と手を結ぶことを申し出る。
醍醐国連事務総長の働きかけもあり、世界は歓迎ムード一色に包まれる。
しかし一部の者たちの調査の結果、妖星ゴラスはホログラムによる真っ赤な偽物であり、国連事務総長を筆頭に政府側の要職にある人物はことごとくX星人によって「入れ替わられていた」ことが判明する。
事実が露呈した時、X星人は本性を現し、操っていた全怪獣を開放する。
都市を蹂躙し地球防衛軍の空中戦艦をことごとく沈めて行く怪獣軍団。さらにミイラと化していた怪獣ガイガンまでもが復活し、地球は崩壊の危機を迎える。
世界が滅び行く中、脱出に成功した新・轟天号は南極へ向かう。
唯一操られている可能性がなく、最強の力を持つ怪獣、ゴジラを解放するために……
キャスト
尾崎真一 | 松岡昌宏(TOKIO) |
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音無美雪 | 菊川怜 |
ダグラス・ゴードン大佐 | ドン・フライ(吹替:玄田哲章) |
音無杏奈 | 水野真紀 |
X星人参謀/統制官 | 北村一輝 |
風間勝範 | ケイン・コスギ |
波川玲子司令官 | 水野久美 |
小室少佐 | 國村隼 |
熊坂教官 | 船木誠勝 |
神宮寺八郎 | 佐原健二 |
醍醐直太郎 | 宝田明 |
小美人 | 長澤まさみ、大塚ちひろ |
田口健太 | 須賀健太 |
田口左門 | 泉谷しげる |
登場怪獣
- 怪獣王 ゴジラ
- ちびっ子怪獣 ミニラ
- 空の大怪獣 ラドン
- 暴竜 アンギラス
- 伝説怪獣 キングシーサー
- 巨大エビ怪獣 エビラ
- 両刀怪獣 カマキラス
- 大蜘蛛怪獣 クモンガ
- 守護竜 マンダ
- 強足怪獣 ジラ
- 公害怪獣 ヘドラ
- サイボーグ怪獣 ガイガン
- サイボーグ怪獣 改造ガイガン
- 巨大蛾怪獣 モスラ
- 宇宙隕石怪獣 モンスターX
- 宇宙最強超怪獣 カイザーギドラ
登場メカニック
リンク先参照。
- 艦載機 ドッグファイター
全長 | 15m |
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重量 | 30t |
新・轟天号に搭載された戦闘機。
エネルギー機銃が武器。
- 空中戦艦 ランブリング
全長 | 100m |
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全高 | 30m |
重量 | 7500t |
地球防衛軍アメリカ支部の空中戦艦。
艦首の「マグナムメーサーキャノン」が主武装。他に、艦体側面から撃つ「MA-PM020 20式対怪獣プロトンミサイル」や、「小型プラズマメーサービーム砲」を搭載。
ニューヨークに出現したラドンを迎撃したものの、マンハッタンにて撃墜された。
- 空中戦艦 エクレール
全長 | 100m |
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全高 | 30m |
重量 | 9000t |
地球防衛軍フランス支部の空中戦艦。
メインウェポンは艦首の「メーサー大鉄球」。ランブリング同様、サブウェポンとしてプロトンミサイルと小型プラズマメーサービーム砲も装備。
パリにてカマキラスを迎え撃つも、ハーケン・クラッシュで撃墜された。
- 空中戦艦 火龍
全長 | 120m |
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全高 | 30m |
重量 | 7500t |
地球防衛軍中国支部の空中戦艦。艦長は李 翔(リー・シャン)大佐。
艦首のブレード型メーサー砲「龍剣高電子砲」が主武器。上記2隻同様、サブウェポンとしてプロトンミサイルと小型プラズマメーサービーム砲も装備。
2度に渡って上海に出現したアンギラスと戦い、暴竜怪球烈弾で粉砕された。
3隻の空中戦艦は、艦首武装以外同じ形状である。
- 90式メーサー殺獣光線車
かつて南極でゴジラと交戦したものの返り討ちにされた。
- EDF戦車
地球防衛軍主力戦車。
かつては対ゴジラ戦、現在では対エビラ戦に駆り出されたものの、ことごとく返り討ちにされた。
余談
長年に渡りゴジラ映画の海上・ラストシーン等に使われてきた東宝大プールは老朽化によって本作の撮影をもって取り壊しが決定し、エンドロールのゴジラとミニラが海に帰っていく場面を最後に解体されてその生涯に幕を下ろした。
よって本作が東宝大プールでの撮影が行われた最後の映画作品となった。
なお、キングギドラ、ゴロザウルス、メカゴジラは当初登場怪獣に含まれていたが、メカゴジラはガイガンに置き換えられ、結局登場しなかった。
また、ゲゾラ、チタノザウルス、ガイラ、メガギラス、バラン、バラゴンが劇中オープニングでライブフィルムで登場している。
本作の劇場公開時に小学館から超全集が刊行されたものの、後年電子書籍化された際に大人の事情により主演俳優が写っている部分が黒塗りになっている。
冒頭で、とある子供が亀の人形を叩きつけて「負け犬」と罵るシーンがあるが、これはガメラとポケモン(ゼニガメ)を同時にディスっていると推測されている(参照)。
そして10年後…
前述したハリウッド版の影響と東宝大プール解体によって「日本のゴジラはどうなってしまうのだろうか。」と不安の声も上がっていたが、2014年12月8日、東宝は2016年に新作ゴジラを公開すると発表。
予告通り2016年に公開されたシリーズ第29作『シン・ゴジラ』は、当初予想の動員数を大きく上回り、『FINAL WARS』が目標としていたゴジラシリーズ累計動員1億人をあっさりと突破、国産ゴジラシリーズ、そして実写邦画という分野においても久々の大ヒット作品となり、その7年後に公開された『ゴジラ-1.0』も前例の無い記録を残しつつある。
ちなみに、どの作も登場怪獣はゴジラ単独であり、怪獣同士のプロレスが描かれた実写ゴジラ映画は現時点ではこの『FINAL WARS』が最後である。
関連タグ
まな板にしようぜ:新ハリウッド版公開の同年本作の主演俳優が発した発言
ゴジラVSヘドラ:2021年に公開された作品。本作のヘドラとゴジラが戦う内容であり、スーツが同じであることから本作の続編ではないか?という声もある。
のび太のワンニャン時空伝:同年公開の田口左門の中の人がゲスト出演した国民的アニメ映画、こちらも当時の最終作だった。
ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS←ファイナルウォーズ→シン・ゴジラ