「ぼくたち、また会えるよね。」
概要
2004年3月6日に公開された映画ドラえもん第25作。2024年の同日を以て20周年を迎えた。
翌2005年に声優交代が行われたため、大山のぶ代版アニメとしては最後の映画となった。
そして同時に、芝山努が監督として手がけた、最後の映画でもある。
『ドラえもんのうた』がオープニングに使用されたのも本作が最後になる。
原案はTC22巻収録「のら犬「イチ」の国」。
なお、本作と同様に高度に進化した犬の主要キャラクターが登場する『のび太の大魔境』や『のび太とアニマル惑星』とは関係ない。
2003年に公開された前作『のび太とふしぎ風使い』から変更された作画監督による画質の近代化、渡辺歩による映画ドラえもんシリーズでは斬新に取れる演出が好評となり、興行収入は『のび太と翼の勇者たち』以来3年ぶりに、30億円を超える大ヒットとなった。
(これは、同じく2004年に終了したあの人気怪獣映画シリーズのあの最終作とは対照的な結果である。なお、奇しくもどちらの作品にも泉谷しげる氏が出演している)
地上波では2005年3月25日に初放送され、テレビ放送においても大山版アニメを締めくくる作品となった。放送の合間に主要声優陣のお別れのメッセージが挟まれ、本編終了後には翌月に始まる水田わさび版の宣伝映像が挿入された。
あらすじ
いつものように野球でエラーをしてしまい、ボールを探すのび太。そこに、ボールを咥えた子犬がやってくる。
懐いてしまったのか家に帰ろうとするとついて来てしまい、彼から相談されたドラえもんはママに内緒で飼うことを提案する。
のび太はその子犬に「イチ」(ワンと鳴くから)と名付けるのだった。
その数日後、家の屋根の上で雨でずぶ濡れの野良猫と出会い、その猫に「ズブ」と名付け保護した。
しかし次第にエサに困り、加えて動物嫌いなママに気付かれそうになったため、イチ達を別の場所に避難させることとなる。
その途中で、同じように飼い主の都合で捨てられた犬や猫と出会い、のび太は彼らを恐竜もいない約3億年前の世界に連れて行くと提案。
たまたまネズミのおもちゃに逃げてしまったドラえもんを除き、しずか・ジャイアン・スネ夫と共に3億年前に行き、放し飼いを始めた。
自分達が戻らなくても生きていけるよう、イチに「進化退化光線銃」を当てて人間並みの知能を持たせたのび太はイチに皆のリーダーになれと告げた。
そしてのび太達は現代に戻る際、「明日必ず来る」と約束しその場を後にする。
翌日、約束通り「タイムマシン」で3億年前に向かおうとしたが、途中で時間と空間の歪み「ねじれゾーン」に巻き込まれてしまう。
やがてたどり着いたのは、イチ達を放し飼いにした時代から1000年後の世界…そこは、進化退化光線銃で進化し続けた犬と猫達が暮らすワンニャン国であった。
オマケ
『大魔境』(ただし『宇宙小戦争』は除く)以降の映画版ドラえもんのテンプレートとなっていた主題歌に入る直前の「ドラえも~ん!」というのび太の叫びだが、F氏逝去後の作品では変化球が続いたが、ついに本作ではドラえもんが「のび太く~ん」と助けを求める事になった。
用語
ねじれゾーン
時空間内に時折発生する歪みで巻き込まれると生物の肉体年齢が狂わされたり、設定時間からズレた時代へ飛び出してしまう。放っておくと記憶も逆行してしまう模様だがドラえもんのタイムマシンは修正装置を作動させて元に戻すことができる。
ノラジウム
ワンニャン国で主要なエネルギー資源に利用される鉱物。1ミリ程の粒だが一つでコンロが点火し、量さえあれば大型車両や宇宙船も起動できる。ただし水に濡れると効力を失う。
ワンニャン国
進化した犬人間と猫人間の国。進化退化光線銃を利用し続けたことにより僅か千年で浮いて走る車や大型宇宙船を製造する技術を獲得するに至った。無料フード製造機を発展させたもので作りだす食材が主食でありエネルギーはノラジウムで同一化されているので比較的クリーンなシステムを築いている。一方ネズミが分からないなど現代の世界の事は伝わっていない事が多い模様。祖先へ新天地を与え進化のきっかけを作ったのび太を神として崇めていてそのこともあり言語は日本語を用い「のび太」と「ノラ犬」と「ノラ猫」の「の」を模したマークを国旗としている。
また、一部の者はロッドソードと呼ばれる電流が流せる特殊警棒のような護身用武器を持つ。
レギュラーキャラクター
ドラえもん
CV:大山のぶ代
主人公。
「わんにゃんごっこつけ耳」ではネコ耳を着用。
シャミーのセクシーな容姿にベタ惚れし、終始彼女を「シャミーちゃん」と呼んで意識する。
今回は「名刀電光丸」でネコジャラと一騎打ちを繰り広げる。
のび太
CV:小原乃梨子
わんにゃんごっこつけ耳ではイヌ耳を着用。
おばあちゃんとよく遊んでいたけん玉でイチと楽しんでおり、イチと再び会いにくると約束を交わす。一度現代に帰る際けん玉の玉の部分が千切れて取り残されており、それが2人を結びつけるシンボルとなった。
しずか
CV:野村道子
わんにゃんごっこつけ耳ではネコ耳を着用。
ジャイアン
CV:たてかべ和也
わんにゃんごっこつけ耳ではイヌ耳を着用。
互角の腕っぷしを誇るブルタローと意気投合、熱い友情を交わす。
スネ夫
CV:肝付兼太
わんにゃんごっこつけ耳ではイヌ耳を着用。
ネズミの玩具でドラえもんをからかい逃げだしたためドラえもんだけ最初に過去に向かっていなかった。
なお、ワンニャン国は厚着が標準的らしく(その割にはシャミーをはじめ女性の服は袖がなく肌の露出度が高い様にしか見えないが)、のび太達が現代から持ってきていた服装は下着と扱われ、ドラえもんに至っては(実際その通りだが)裸と指摘されていた。
ゲストキャラクター
イチ(犬)
のび太に懐いた茶色い犬。
後に進化退化光線銃で進化し、人間並みの知能を持って犬猫のリーダーとなり、ワンニャン国初代大統領に就任しており、1000年後においても絵画が飾られていた。のび太が現代に帰る際共に遊んでいたけん玉の千切れてしまった玉を回収しており数十年音沙汰がなくても再来を信じて肌身離さず持ち続けていた。
犬族
ハチ(犬)
CV:林原めぐみ
2億9999万9000年前の世界でドラえもん達と出会う犬族の少年。イチに似ていて泳げないのも同様だが無邪気だったイチとは違い勝ち気な性格。
猫族の女性に拾われて育ったが(大長編では夫らしき男性も登場している)、ネコジャーランドでその養母が行方不明になってしまいチーコ・ダク・ブルタローと行動を共にしている。
ダク(犬-ダックスフント)
CVは関智一(ちなみにわさび版のオーディションでスネ夫役に合格した後に収録された為、新旧スネオの3度目の共演を果たした事になった)
ハチと共に行動する犬族の少年。ネコジャーランドで行方不明になったコンピュータ技師の父(大長編では母も)を捜している
ブルタロー(犬-ブルドック)
CV:江川央生
同じくハチと共に行動する犬族の少年。
取っ組み合いの結果ジャイアンと熱い友情をかわした。ハチ達と同じ経緯で自動車修理工場を務める父(大長編では母も)を捜している。また、そういう家柄なので自身も工具の扱いが上手い。
チーコ(犬-マルチーズ)
CV:島谷ひとみ
犬族の少女でハチと行動を共にしており同じ経緯により行方不明の数学者の両親を捜している。
ちなみに彼女の声を担当した島谷はドラえもんのファンで、当時声優初挑戦だったとのこと。
もう1つ言えば、本作の主題歌(及び当時のED)も担当している。
大統領(犬-外見はアフガンハウンドに近い)
CV:大平透
ワンニャン国の現在の大統領。
移住の準備のため、地球に隕石が接近している事を36時間前まで隠し続けていた。準備をほとんど済ませていたとはいえ(パニックを防ぐためだろうが)実際に最初の隕石が落ちてから脱出計画を発表、国民に地球との別れを受け入れられるか怪しいタイミングまで引き延ばすという酷な判断をするところがある。
猫族
シャミー(猫)
CV:かないみか/歌唱パート:島谷ひとみ
猫族の美少女歌手。普段はレストラン「山猫軒」で歌うが、時にはネコジャーランドのステージに上る事も。
艶のある紅髪が特徴的で、色っぽい衣装から露になる豊満なスタイルや生足の美脚に、時折見せる魅惑的な表情など、ドラえもんが一目惚れして終始デレデレになる程のセクシーな容姿を持つ。
「山猫軒」でドラえもんと出会い、彼から猛烈な好意を寄せられ続けるが……(ネタバレ注意)。
ニャーゴ(猫)
CV:古川登志夫
彼の祖先はネコジャラの祖先・ズブと同じ運命をたどっていたため、ネコジャラと同じく人間に対する憎悪を抱いていた。
ネコジャラ(猫)
CV:泉谷しげる
本名はネコジャラ左ヱ門之丞景虎(さえもんのじょうかげとら)。
ワンニャン国一の富豪であるネコジャラ一族の当主であり、ズブによく似た外見をしている猫族の大柄な中年。
ネコジャーランドという巨大遊園地を経営していて次期大統領候補とされる程の実力者であるが、その裏では……
主人公ドラえもんと一対一で戦った数少ない悪役でもある。
ちなみに彼の声を担当した泉谷は、チーコ役の島谷ひとみと同じくドラえもんのファンで、当時2度目の声優経験(1度目は平成狸合戦ぽんぽこ)だったとのこと。
余談
エンディング映像において、ジャイアン、スネ夫、しずか、ドラえもんとのび太の順でバイバイをするシーンに関しては翌年からの交代を表したのかもしれない(現代に帰るシーンの際、地球の長い年月においての世代交代を語るシーンもそれを踏まえて語ったと思われる)。
関連タグ
YUME日和:本作のエンディング
のび太の大魔境・のび太とアニマル惑星:この2つの作品は本作と同様に犬(及び進化した動物)のキャラクターが登場する作品。
そして新時代へ…