⚾概要
後述の楽しまれた遊び方がアメリカ合衆国へ持ち込んだ後に此れに変化した集団球技。
直訳すれば「塁球」や「基球」などになってもよさそうだが、1893年(明治26年)に中馬庚が、英語のベースボール (baseball)を『野球』と翻訳し、現在まで広くその名前が使われいる。
また、俳人である正岡子規も中馬以前に「野球」という字を用いたり、「打者」「走者」「四球」などの翻訳語の提示や自らの句の題材に野球を用いたりと黎明期の野球の発展において文学という形で貢献した。
(後に両名ともに日本の野球の発展に貢献したとされ、野球殿堂に表彰されている)
また中国圏(中国語)では棒球(バオチュウ)とも。
日本においては早くから日本語化されて人気を博した影響から、日常会話となっている野球用語も多い。時代のせいか、アウトを「殺」と訳したために「刺殺」「併殺」「捕殺」「1死・2死」、主力バッターを「大砲」「長距離砲」など、やたらと物騒な用語が多いのも特徴である(アウトを「防守」、主力打者を「豪打者」と遠回しにすれば前述の訳の寛容化にも繋がるが)。
※バッテリー(砲兵単位)など、英語の時点で軍事用語っぽいものも存在する、また攻撃では無く守備の役目の事から日本語では「主力抗戦陣」と遠回しするのも寛容的な言い方となる。
日本ではピッチャーを務める選手を「〇〇選手」の他に「〇〇投手」と表記したり、職業で野球をプレーするスポーツ団体を球団、専用のグラウンドを球場というように、他のスポーツと同じ意味の用語でも独自の表記が存在し、公の場でもよく用いられている。
18世紀のイギリスで流行ったタウン・ボールというボールを投げる人と打つ人が確立している遊びが野球の直系的なルーツとされている。タウン・ボールの細かいルールは地域によってバラバラだったが、これがアメリカへ航り持ち込んだ後ルールが統一され、現在の野球の形になった。
ルールと用語
おおざっぱに言うと
チームは9人対9人。ルールによっては10人対10人のことも。攻撃時には相手が投げてきたボールを1人ずつバットでぶっ叩いて飛ばし、ボールが戻ってくるまでに塁上を周って戻ってくる。守備時にはバットで打たれて飛ばされないようにボールを投げ、飛ばされてしまったらそれを9人で素早く回収し、攻撃側が塁を進むのを阻止するという球技である。
得点の入り方はある種のすごろくのようなもので、攻撃側は打って飛んでいったボールが相手に回収されて戻ってくるまでの間に、合計4つあるベース(『ベースボール』のベースである)を反時計回りに進んでいき、1周して戻ってくることができれば1人につき1点入るというもの。
守備側は打たれたボールを回収してベースまで戻すことで、攻撃側の打者、走者を「アウト」にして相手の得点を防ぐことを目的とし、守備側が3つアウトを取ると攻守のターンが入れ替わる。
つまりボールは敵の攻撃及び得点を阻止するために使用されるものであり、ボールを特定の場所に入れたり、ボールを相手コート内に返すことに失敗する等、多くの球技のように”ボールによって得点が成立する”のではなく、”攻撃側の選手そのもの(走者)によって得点が成立する”というのが野球及び野球から派生した球技の特徴である。
打ったボールがフェンスを越えてホームランになると、どうあがいてもボールが回収できなくなるので確定で1点入ることになる。もし前のベースに他のプレイヤーが存在すれば、そのプレイヤーも確定で戻ってこれるためその分点が入る。
スポーツの発足当初はホームランを打てるような選手がほぼいなかったため、地道にコンタクトしてベースを埋めていき点を取っていくのが主流だったのだが、ボールを飛ばしまくりホームランを打ちまくったベーブ・ルースの活躍により、ホームランも重要な得点源と見做されるようになっていった。
バスケやサッカー、ラグビーなどと異なり、時間(タイム)の概念が無くターンによってのみ試合が進行する点はテニスやバレーボールと言った一定の得点でセット獲得とされるネット型球技(とは言え近年のサーブ権を持つチームの代表者等は一定時間内に始めなければならない規程が盛り込まれる風潮が相次ぐが)などと共通するが、テニスやバレーなどの多くのターン制球技と異なり、『攻撃のターン』と『守備のターン』がルールで完全に分かれてるいるのも大きな特徴の一つ。攻撃中に失点することは絶対ないし、守備中に点が取れることも絶対にない。
里崎智也はセルジオ越後との対談で、サッカーと比べると試合中の自軍とのコミュニケーションがほとんどいらない、サッカーで言うペナルティキックとフリーキックを延々と行うようなスポーツと、その大まかな性質を解説している。そのため、使われる選手は同じチームに属していると監督が代わってもほぼほぼ変わらないともしている。参考
詳しい基本ルール
1チームにつき9人の選手がグラウンドに入ってプレーをすることができ、それ以外の選手や監督、コーチは原則としてベンチで待機・指示だしを行う(そのうち2人は攻撃時にコーチャーとして一、三塁の近くで走塁のアドバイスをすることができる。)。
ゲーム開始時にグラウンドに出るメンバーを先発、あるいはスターティングメンバーといい、それ以外の控え選手はロースターと呼ばれる。
試合に出場登録できる選手は競技によって異なる(甲子園大会18人、プロ野球25人等)。スタメンと控え選手はボールデッドのタイミングで交代できるが、基本的に一度ベンチに引っ込んだ選手はその試合では再出場できないというサッカーやバスケなどにはない特徴的なルールがある。打者の交代は代打、走者の交代は代走、投手の交代はリリーフと呼ばれる。
先攻・後攻があり、小・中・高校・大学の練習試合ではじゃんけんで、プロ野球では試合を行う球場を本拠地とするチームが後攻とすることで決める。
単位は「イニング(回とも)」。1イニングには表裏がある。表は先攻チームが、裏は後攻チームが攻撃する。
塁は本塁(ホームベース)のバッターボックス→一塁(1stベース)→二塁(2ndベース)→三塁(3rdベース)→本塁を踏む という手順で周っていき、本塁を踏むとホームインで、そのチームに1点の得点となる。
なお、走っている選手がボールを持った野手にタッチされたり、打者がストライクを3回取られたり、打ったフライを野手に捕られた場合はアウト(守られた事)となり、3アウトで攻守交替となる。
基本9回の攻防を終えたところで決着する。ただし9回の攻防を終えても同点の場合は延長戦を行う(但し、ルールによっては総当たりやオープンと言った試合では延長をせず引き分けにする物もある)。
9回表において後攻チームがリードし、先攻チームが追いつけなかった場合、逆転の可能性が無くなるため9回裏の攻撃をせずに後攻チームの勝利となる(後攻チームの9回裏の得点にXがつく)。
先攻チームがリードした状態で9回表を終えると9回裏後攻チームの攻撃となる。後攻チームが追いつけなかった場合は先攻チームの勝利、同点に追いついた場合は延長戦に入る。逆転した場合は後攻チームのサヨナラ勝利(後攻チームの9回裏の得点に数字と小文字のxがつく)。
9回表を同点で終えた後、後攻チームが勝ち越した場合は後攻チームのサヨナラ勝利(後攻チームの9回裏の得点に数字と小文字のxがつく)。
延長回の表裏においても、先攻チームがリードした状態でその回の裏を終えると先攻チームの勝利、後攻チームが逆転するか勝ち越すと後攻チームのサヨナラ勝利となる。
攻撃
オフェンスとも言い、攻撃の際はバットを使用する。木製、金属製が多い。高校野球では金属、プロでは木製に統一されている。ヘルメットを被る事も忘れずに。
本塁にはバッターボックスが左右に白い線で設けられており、打者はそこに立って打つ。打者には、右打ち・左打ち・両打ち(スイッチヒッター)があり、両打ち打者は、相手投手の投げる手の側と逆の側にある打席に立って打つ。
構えたり、打っている間は打席から両足を完全に踏み外してはならない。また、本塁の板には片足の一部でも踏んではならない。これを誤るとアウトとなる。
- ボール:緑、又は青いライトで表現する。上記の範囲をストライクゾーンと呼び、これから球が外れるとボール。4ボールで打者を一塁に行かせなければならない。(4ボール,四球)
また、打者がバットを振っていない状態で打者に投げた球が当たった場合でも打者を一塁に行かせる。(デッドボール,死球)
なお、投げた球が打者の首より上に当たると、無条件で退場処分となる。(危険球)
- ストライク:黄色いライトで表現する。縦は打者の胸~膝、横は本塁板を中心に本塁板と両打席の中間ぐらいまでを通って捕手が球を捕ればストライク。3ストライクで1アウト。(ストライクアウト、3ストライク、三振)
- アウト:赤が光った時点で守られた意味を持ち、グラウンドから強制退場させられること。上記「三振」のほか、走者が詰まっているときにゴロを捕られ、一番前を走っている走者が次に狙っている塁を先に踏まれたり、ゴロを捕られて一塁に送球された場合(フォースアウト)や、球を持っている守備の選手にタッチされた場合(タッチアウト)や、地面に落ちる前の打球を捕球された場合(フライ・ライナー)、守備を妨害した場合、ルールに基づいた走塁をしなかった場合などに、1つずつ加算される。2つたまっている時に更に被ると攻守交替(凡そ1分30秒-2分00秒のインターバル)。アウトの逆を「セーフ」といい、セーフになればグラウンドに残る、又は得点を得ることができる。
なお、フライ・ライナーを捕球されて打者がアウトになった場合、打球の飛翔中は走者の進塁が認められないため、元にいた塁に送球される前に戻らないと走者もアウトになる。だが元いた塁に戻れば捕球と同時、またはそれ以降は進塁が可能になる。フライの捕球後にスタートすることをタッチアップと言い、これを利用して外野フライ捕球後に3塁走者を返して1アウトと引き換えに1点を取る戦術もある。(犠牲フライ)
他にも、バントやヒットエンドランなど、いろいろな作戦があるので、興味を持たれた諸氏は検索されたし。
打者は1番から順番に打席につくことになるが、打順によって求められる技能や役割が異なる場合が多い。
監督やチームの方向性もよるが一般的なのは下記。
- 1番打者
真っ先にヒットを出すことを期待されるため、アベレージヒッターと言われるヒットを量産するタイプのバッターが多い。また、塁に出てからは盗塁も期待され、次のバッターのヒットですぐホームベースへ戻って得点を上げるために俊足の選手も多い。
MLBでは近年、打席が回ってくる機会が最も多いことから、得点を早くあげるためにホームランバッターを1番に据えるチームも多い。
- 2番打者
塁に出た1番打者をバントで送るために「バントの名手」が選ばれることが多い。
MLBでは1番打者と同じくホームランや長距離打撃が期待される強打者が多く「2番打者最強説」が唱えられている。
- 3番打者
1番が塁に出て、2番で送ったあとにヒットを打って走者を返すために長距離を打てる打者が選ばれる。
ここから5番打者までをクリーンナップと呼ぶ。
- 4番打者
1、2、3番打者が順調にヒットを重ねると満塁になってるため、走者一掃、満塁ホームランを期待してチーム最強の打者が選ばれる。「主砲」とも呼ばれる。
「エースで4番」というと特に高校野球では将来も期待された選手ということになる。
上述の通り、MLBでは1、2番に主砲を配置することが増えてきたが、それでも4番打者には強打者が選ばれる。
- 5番打者
4番が打ち損ねた場合やまだ塁に走者が残ってる場合に備え、ここにも強打者が置かれる。
ここまでが主に「上位打線」と呼ばれる。
- 6番打者
クリーンナップで走者一掃したあとに続かせたいために、1番打者のような塁に出やすい選手が配置されやすい。
打撃力はあるが、守備に専念させたい捕手や二塁手がいることが多い。
- 7番打者
打撃力は期待できないが守備に秀でた選手が置かれる場合が多い。
また、プロ入りしたばかりの若手などが経験を積む意味でこの打順に入ることも。
- 8番打者
守備に専念したい捕手がいる場合が多い。
草野球などでは打撃も守備も期待できない選手が「ライトで8番」、いわゆるライパチと呼ばれる。
- 9番打者
DH制が採用されていない場合は投手が起用されることが最も多い。
DH制では1番につなげるために出塁や走塁に期待される選手が起用される。
守備
ディフェンスとも言い、9人が出るが、それぞれ守る場所が違う。それぞれにあったグローブを手に付けている。
また、指名打者(DH)制を採用したルールでは、守備位置のない打撃専門の選手が投手に代り打席に立つ。
1.投手(ピッチャー):Pと表記される。守備番号1。ダイヤモンドの中央にあるピッチャーマウンドと呼ばれる丘状の部分に位置する。この選手がボールを投げる事で一連のプレーがスタートする。野球における「守り」とは「相手を塁に出させない」事であり、最も直接的にこれを完遂することのできる投手が守備の軸となり、チームの柱である。ピッチャーが打たれなければ相手に負けることはなく、逆にピッチャーがメッタ打ちになってしまえばどんなに他が奮起しても意味はない。勝ち負けにおいて非常に重要なファクターを占める中心ポジションにして花形ポジション。「野球は投手」とも良く言われる。他のスポーツでは最も攻撃に優れ、点を取ることに関与するポジションの選手がエースと呼ばれるが、野球では守備の要のピッチャーがエースと呼ばれる所以はここから来ている。
またプロにおいては他ポジションと比べて試合中の選手交代が頻発しているポジションで、試合のスタートから投げる選手を「先発」「スターター」、退いた先発から引き継いで投球する選手を「中継ぎ」「リリーフ」、8回に出てきて抑えに回す投手を「セットアッパー」、最後に試合を締めるため出てくる能力が最も高いリリーフを「抑え」「クローザー」と呼ぶ。
投手はゲームの全体を動かさなければならない重責があり、その負担は他のポジションの比ではない。このためプロにおいては打撃能力を捨てて投球術に特化させることが殆どである。ただし、ごくまれに打撃選手としても出場可能な投手がいる(二刀流と呼ばれる)。
代表的な先発:田中将大、ダルビッシュ有、前田健太、工藤公康、黒田博樹、桑田真澄、岩隈久志、稲尾和久、金田正一など。
2.捕手(キャッチャー):Cと表記される。守備番号は2。特に守備力の重要度が最も高いとされる「センターライン」と呼ばれるポジションの一角で、ホームベースの真後ろに位置する。全ポジションで唯一、フェアグラウンドの外側に守備位置を持つ。投手の投げる球種・コースや守備のフォーメーションなどを指示する、現場監督で女房役。投球の指示、相手バッターの情報把握、守備位置の指示、ピッチャーの投げた球を正確にキャッチする守備能力、盗塁阻止が可能な肩の強さ、本塁ベースカバーも担い、長時間独特な姿勢でしゃがみ続ける必要があるなど頭脳面、身体面で負担が非常に大きいポジション。それ故このポジションでバッティングも期待できる選手は非常に重宝される。
代表的な捕手:野村克也、古田敦也、城島健司、阿部慎之助、伊東勤、谷繁元信など。
内野手
内野に位置し、打球が外野まで抜けるのを阻止しランナーの進塁を阻止する役割を持つ、一塁手を除き総じて守備負担の大きく守備力が重要なポジションである。
3.一塁手(ファースト):1Bと表記される。守備番号は3。一塁付近を守り、一塁を踏んで送球を捕り走者をアウトにする役目を担う。基本的に一ゴロや長い一塁バント以外は捕りに行く必要はなく、比較的守備範囲は小さいため身のこなしに難のある選手があてがわれる事も多い。が、一塁手がパスボールを連発するようでは絶対に勝てないため当然守備が下手でいい訳ではない。味方の送球の受け手であるという性質上、捕球能力に優れ体格の良い選手だと望ましい。内野で唯一、左投げの人が出来るポジション。守備負担が比較的軽いポジションと認識されているため、高い打撃能力が必須である。
代表的な一塁手:王貞治、清原和博、松中信彦、小笠原道大など。
4.二塁手(セカンド):2Bと表記される。守備番号は4。センターラインの一角で、ホームから見て二塁の右側に立っている。飛んでくる打球は不規則動きをすることが多く、もっとも複雑な動きを要求されるポジション。二塁手は突発的な判断力も要求されるため、内野の中では最も難しい守備位置と称されることが多く、内野守備の司令塔になることが多い。また、盗塁阻止・ゲッツーなど複雑且つ重要な守備機会が多く、遊撃手との連係も重要である。
代表的な二塁手:山田哲人、井口資仁、落合博満、辻発彦、高木守道など。
5.三塁手(サード):3Bと表記される。守備番号は5。三塁付近を守る。二塁手、遊撃手と比べると守備範囲は狭いが、割合の多い右打ち選手が思いっきり引っ張った打球が飛んでくるので、強い打球に物怖じしない度胸と捕球力が必要になる。また、一塁から最も遠い位置を守っている内野手であり、相手に内野安打を許さない強肩とスローイングの正確さも要求される。またバント処理にも参加しなければならない苦労人。
代表的な三塁手:長嶋茂雄、中村剛也、小笠原道大、中村紀洋、小久保裕紀、掛布雅之、衣笠祥雄など。
6.遊撃手(ショート):ショートストップ、SSと表記される。守備番号は6。センターラインの一角で、ホームから見て二塁の左側に立っている。野手の中でもっとも守備機会が多く、投手と並んで「花形」のポジション。日本では投手が花形だがアメリカではショートが1番の花形とされる事も多い。広大な守備範囲、強肩、素早いスローイングが要求され、二塁手と協力しながら内野ゴロを裁かなければならない。フットワークと強肩の両立が要求されるため内野手の中でも最も守備に就くためのハードルが高く、「ショート失格」の烙印を押されて二塁手や三塁手に転向する選手は多い。
野球黎明期のアメリカでは投手の両隣に2人いたことも。打者に一番近い守備位置だったのでShortstopと呼ばれるように。時代が進んでSSが1人になると投手の真後ろに位置するようになり、やがて二塁手が一塁と二塁の間を守るようになるとSSも二塁と三塁の間を守るようになり、現在の守備位置が確立された。
代表的な遊撃手:松井稼頭央、坂本勇人、井端弘和、小坂誠、鳥谷敬、宮本慎也、吉田義男など。
外野手
内野の後方、外野グラウンドに位置するポジションである。内野手が各ポジションで専門職とみなされることが多い事に対し、外野手は比較的専門要素は薄く外野のポジション同士なら最低限は守れるという風潮がある。これが顕著なのがパワプロシリーズなどの野球ゲームで、「外野手」で一括りの扱いを受けている。チーム状況などで外野同士でポジションが入れ替わることも多い。
しかし現実でも全てのポジション同等に守れるかと言われれば無論そんなことはなく、各ポジションに要求される資質、技能は異なっている。
広大な外野グラウンドで打球に追いつき、走者の進塁阻止を狙うという性質上、総じて足が速く強肩である事に越した事はない。
巨人の外国人選手などの印象から「外野は鈍足が守るもの」という先入観があるかもしれないが、基本的にどのNPBのチームも外野は俊足を利用するものであり、巨人の基準が色々と異例なのである。また、基本的にNPBに流入する外国人外野手は守備範囲に優れずMLBからリリースされた外国人選手であるため、そのような選手の守備力をMLBの基準だと勘違いしてはいけない。
代表的な外野手:イチロー、松井秀喜、山本浩二、張本勲、福本豊、新庄剛志、金本知憲、青木宣親、柳田悠岐、筒香嘉智など。
7.左翼手(レフト):LFと表記される。守備番号は7。ホームから見て外野グラウンドの左側に立っている。右打者の引っ張った打球がスライスしながら飛んでくるので、落下地点を予測する打球感が必要。プロとアマ以下とで価値が変わるポジションであり、右方向への攻撃が重要視されるプロでは軽視されることが多く、打撃に優れるが守備に難のある選手が消去法的に守ることが多い。逆に、右方向に打つ技術が無く左打者が少ない少年野球や草野球などでは外野で一番打球が飛ぶ場所になり、守備機会が非常に多い。
8.中堅手(センター):CFと表記される。守備番号は8。センターラインの一角で、外野グラウンドの中央に立っている。中央に立っている為に外野の広い範囲を守備しなければならず、また他の外野手のカバーもしなければならない為、足の速さと広い守備範囲が要求される。また色々な回転のかかった打球が飛んでくるので打球感が強い選手でなければ守ることができない。肩も強く、送球も安定していることが望ましい。プロ、アマ問わず外野手で最も重要度が高いポジション。
9.右翼手(ライト):RFと表記される。守備番号は9。外野グラウンドの右側に立っている。野球は三塁と本塁から遠い右方向に打球を飛ばすことが重要視されることが多く、ライトに飛んでくる打球は得点に繋がることも多い。レフト同様プロとアマ以下とで価値が変わるポジションであり、ブロでは守備の上手さと相手の進塁・得点を阻止する為の強肩が要求され、右翼手の三塁・本塁刺殺は外野守備の花である。反面右方向に打つ技術がないアマチュアでは最も打球の飛んでこない場所になり、打てない守れないの代名詞「ライパチ」は「8番、ライト」の意味である。
その他
- 指名打者:DH(Designated Hitter) と表記される。守備をする選手ではないので守備番号はない。投手の代わりに打席に立つ打撃専門の選手を指す。ルールによって採用される・されないが異なり、日本プロ野球においてはパ・リーグのみがDH制を採用しているため、セ・リーグの試合にはこのポジションは存在しない。比喩抜きで「守備につかない」ポジションのため、DHには守備力は全く不要であり、打撃技術は秀逸だが守備能力に難がある選手や、長打力から打撃を専ら期待される選手などの打撃専業化を目的として起用されることが多い。そのためコンタクト、パワー、選球眼を含めたトータルパッケージを求められるが、中でも打線の中軸を担えるだけの破壊力が必需である。また、解除することも可能だが、メリットはほとんどない。プロ野球では投手も出来る野手が登板し、DHが解除されたことが記憶に新しいだろう。
代表的なDH:大谷翔平、アルフレド・デスパイネ、門田博光、山崎武司、オレステス・デストラーデ、石嶺和彦など。
野球人気について
よく「世界的にはマイナー競技」などと呼ばれることがある。実際、競技者は北米、中米と、中米に国土を持つオランダなどの限られたヨーロッパの国家のごく一部、日本、韓国、台湾など極東の一部エリアに集中しており、ヨーロッパの大半、南米の大半、アフリカ、西・中央アジアでは露出はかなり少なく、認知度もそこまで高くない。因みに中南米においては純粋な人気も然ることながら、経済的困窮から抜け出すための手段として競技活動を行う層が多い。欧州で野球が盛んでないのは、旧ソ連が野球を西側諸国の象徴として周辺諸国に禁止していた名残の為、欧州遠征大会(WBSC野球公認)で日米選手団は大学生を強化目的で派遣している。英連邦圏やインド亜大陸においては、ルーツを共にする兄弟競技であるクリケットのほうが人気であり、混同されることもある。
日本の野球マンガを現地でアニメ化する際に、野球の競技人口がほとんどおらず、ストーリーがわかりにくいために競技をクリケットに差し替えて作成された事例もある。少なくとも「クリケットよりはマイナーな競技」という認識は、地域にもよるがあながち間違ってもいない。
しかし攻撃中に打者、走者以外はベンチで体力を温存出来たり、消耗の激しい投手も複数人用意してローテーションさせることで連日試合を行うことが出来ることから年間試合数も多く、興行のプロスポーツとしてはかなりの規模を誇っている。日本プロ野球ことNPBの場合平均観客動員数で世界の全てのプロスポーツリーグ中第5位、総観客動員数では第2位を記録している。
メジャーリーグことMLBは平均動員数で第6位、総観客動員数では第1位。出典
無論球場のキャパシティや年間の試合数も多分に影響する数字であるが、こと「プロスポーツ」として見た際には野球はサッカーやバスケットボール、果てはバレーボールと比べて普及地域がごく一部地域に限定されている一方で、アメリカンフットボール同様十分に巨大な市場規模を持つスポーツであることを示す数字である。
とはいえ、近年は世界的に観客や競技人口の減少傾向に悩まされており、将来的な存続の危機に陥っていると言っても過言ではない。
人気が低迷している要因については、サッカーなど他の競技が発展しそれらと競合することになったことに加え、長すぎる試合時間にあると言われている。
当初は1時間45分程度だった試合時間は年を追う毎に長くなり、現在の平均試合時間はNPBで3時間程度。その理由として継投策の一般化やサイン交換の複雑化等が挙げられるため、WBSC規程では野球に於いて2019年のパンアメリカン競技大会野球競技(ソフトボールは2003年のジュニア女子から導入)より投手が20秒以内に投げなければボールが1つ追加される追加規程:ピッチクロックや、事前に試合時間の上限が決められているケースもある。
MLBでも2023年シーズンからWBSC規程同様の設定時間でピッチクロックが導入された。
2024年から台湾(CPBL)でも25秒以内、韓国(KBO)でも23秒以内とWBSCに比べ緩やかながら投球で規程が設定された。
日本では2023年からJABA(社会人野球)で導入が開始され、NPBでも2024年5月からウエスタン・リーグで試験導入が始まった。
WBCも第6回大会以降は追加で導入(2024年からMLB特有の短縮された18秒以内が盛り込まれた規程が初っ端から適用)される予定となっている。
ただ、ピッチクロックは投手に対する負担が多いと言われており(実際、大谷翔平をはじめピッチクロックが大なり小なり原因となって故障に繋がった投手も続出した)、まだまだ改善すべき点も多いのは否めない。
また、いざ競技を行おうにもバットやスパイク、ボール等用意しなければならない備品が多くお金がかかりがちで、競技自体を行うにも広い敷地が必要など、特に貧困層にとっては敷居が高すぎることも要因として挙げられる。
アメリカではこれらに加え、
- セイバーメトリクス、データの過度な適用に伴う試合展開の単調化(具体的にはホームランの急増に伴う盗塁・バントの減少)
- 1994年から1995年にかけて行われた選手たちの大規模なストライキによるファン離れの加速
- バリー・ボンズを筆頭とする90年代に活躍したホームランバッターのステロイドスキャンダル
- チケットの高騰に伴う、富裕層の白人による観客の独占化
が挙げられる。
イチロー選手が引退会見でコメントした「頭を使わなくてできてしまう野球」とは、統計学の過剰なまでの適用を示しているとの見解が多く、日米野球で来日したあるメジャーリーガーは「彼らはフライボール革命を全く受け入れていなかった」と賞賛ともいえるコメントを残している。
そうした事情もあって、1990年代以降はMLBの公式戦をロンドンやプエルトリコのサンファン、韓国のソウルや日本の東京といった海外球場で行うという試みがなされたり、サッカーにおけるFIFAワールドカップに相当する位置づけである世界大会WBC(ワールドベースボールクラシック)が開催されたり、海外支援団体が派遣先の子供たちに野球教室を開くといった野球を世界に広め、野球人口とマーケットとして拡大していく活動が活発化している。
近年は世界の野球とソフトボールを統括する団体WBSCが「ベースボール5」という少人数かつ室内で行えて道具もほとんど用いない種目が考案され、キューバや台湾といった野球強豪国の他にフランスや南アフリカといったまだ野球が発展途上の国でも人気を博している。
日本での人気
大正・昭和期から長年にわたり日本で最も人気のあったスポーツであり、黎明期からの長きにわたり国民の人気を集めた歴史を持つ高校野球、大学野球、そして戦後に大学野球のスター長嶋茂雄が進んだことを皮切りに観戦スポーツとして盛り上がりを見せたプロ野球(NPB)など様々な試合が注目を集めた。
日本の野球の特徴としてはマスメディアが経営に積極的に関与しており、四大紙と呼ばれる新聞社は全て野球に関与し、人気向上に大きな貢献を果たした。
かつてはスポーツ新聞の一面の大半は野球の話題で占められ、ニュースや報道番組のスポーツコーナーではメインとして扱われ、また野球をテーマにした漫画作品もたいへん多く、全国企業のテレビCMに出演するなど、野球のルールをあまり知らなくても有名なプロ野球選手はある程度知っていたのが当たり前だった。
2000年代以降は上述の理由から子供の野球離れが騒がれる一方、地方ではプロ野球自体の人気は依然として高く、コア層の囲い込み戦略や地方進出によって球場の観客動員数は毎年のように更新を続けている。要因として、パ・リーグは昭和時代は観客動員数は年間数十万人台が当たり前だったのが、現在ではソフトバンクが250万人を越えるなど、全球団の動員数が150万人以上になったことが大きい。
その一方、前述した試合時間の長さから中継は衛星放送・有料配信サービスへのシフトが進み、地上波の全国放送は年間15本程度、ラジオでもTBSラジオの撤退を機に全国的に中継を見直す傾向が強くなった。これにより本拠地球団の無い地方やライト層が野球に触れる機会が少なくなったと否定的な見解をする人もいる。
また、他のスポーツ競技団体に見られる様なピラミッド型の統括組織を現在でも形成出来ず、他競技で見られる「指導者のライセンス制度」が2020年まで存在しなかった。わかりやすい例では読売新聞主体のプロ野球側と朝日新聞主体の高野連で長らく対立状態にあり、野球離れに関する戦略や方針が明確化されていないとの指摘もある。
何より卓球など他競技の国際大会で実績を残す選手が増え、世間一般のスポーツのイメージがプロ野球から「様々な競技で世界を相手にするアスリート」に変わったことも大きい(それはそれで非常に健全なことである)。
現代に多様な趣味が生まれた事から、野球は「積極的に参加する」趣味のうちの1つに変わったと考えられる。
ちなみに先述のアメリカに比べ、世界大会ではFIFAワールドカップやラグビーワールドカップ等の他のスポーツの世界大会以上に、選手と国民が一丸となって強い団結が生まれる程の熱狂を見せることもある。また、応援の激しさや統一感は日本独特のもので、海外では「野球は日本における宗教だ」なんて言われる事すらあったりする。
また、日本でアマチュア野球チームに所属する少年は小学生の頃から野球歴のある者が多数派で、中学から始めるのは少数派である。高校以上からだと陸上部の経験があって高い身体能力を持っている、部員不足で未経験者を使わざるを得ないなど、特別な理由がない限り競技を始められないと言って良い。良くも悪くも、高校野球という若年層でも大きな目標があったり、技術中心志向の日本ならではの風潮である。
これが身体能力中心志向の北米や中南米の場合だと、身体を徹底的に鍛えることでもし野球がダメでも鍛えた体を活かして他の競技での活躍を目指すことが多い(実際、WBC第5回大会で初の日系人メジャーリーガーとして招集されたラーズ・ヌートバー選手も高校時代までは野球とアメリカンフットボールを並行してプレーしていた)。その風潮もあって、メジャー昇格を果たした選手の中にも高校から野球を始めた者が少なくなく、中には高校卒業後にトライアウトに合格してから野球の正式なルールを覚えたという選手までいる。
もっとも、2010年代以降はウエイトトレーニング理論の発達により、筋力中心志向の高校球児も増えており、特に練習時間を確保しづらい進学校などでは技術練習まで手が回らない状況の中でウエイトトレーニングで効率よく筋力と体格を育て、力押しの野球で並居る野球名門校に対抗する事例もある。進学校ではインテリのイメージに反したパワー野球が必然と行われる傾向にあるのである。だがこうした選手がプロにドラフト指名された場合、プロの練習量について行けるかどうかが課題となる。
日本は世界ランキング上では長らく一位でありながら、諸外国への普及活動が活発化したのはここ最近の話で、プロ野球も発展途上国からの人材発掘より強豪国から実績のある選手をスカウトしてくることが多い為、海外からの知名度はあまり高くなかった。ヨーロッパ野球の視点では「野球の強い謎の国」扱いだったとか。
しかし、アフリカのタンザニアで日本の高校野球大会をモデルとした大会「タンザニア甲子園」が企画され、元プロ野球選手も協賛したり、2023年のWBCで数万人の観客を前に素晴らしいスポーツマンシップを披露したヨーロッパのチェコ共和国が注目を浴び、パートナーシップを結ぶ団体が現れ、翌2024年には侍ジャパンと欧州選抜の試合が組まれるなど発展途上国との壁も少しずつ取り払われていくことが期待されている。同年には、WBC第5回大会でチェコ代表として出場したマレク・フルプ外野手がアメリカ・独立リーグでの成績を認められて育成選手として読売ジャイアンツに入団。NPB史上初となるチェコ出身の選手の誕生は野球ファンの間で大きな話題を呼んだ。
ちなみに…
実を言うと、競技時間が長すぎるせいでファン離れが起きているのは野球に限った話ではない。
例えば、サッカーでも前後半で合計90分、延長戦やPK戦も加味すると2時間以上も試合を見続けなければならないのは退屈だとして、近年ヨーロッパなどでも若者の間でサッカー離れが起き始めていると言われており、ロナウド等の大物OBからも「サッカーの試合は長すぎる」という意見が出ていたりする。
映像コンテンツが充実した現在では、長時間拘束されてでも試合を見るよりかはダイジェストなどで結果やハイライトだけをチェックするだけに留める者も多い。そもそも娯楽が多様化した現在では、一つのことに長時間拘束されることを嫌う者が多いのだ。また、ショート動画の投稿を目的としたTikTokが世界中の若者の間で流行っていることもこの問題と無関係ではないだろう。
いずれにせよ、長年定められてきたルールが、「ファスト消費化」の進む現在のニーズにマッチしないものになりつつあることは間違いなく、観客が飽きないような魅力的な試合作りをどう進めていくかということが、現在のあらゆる球技に共通する大きな課題になっていると言える。
pixivでは
タグは、野球を題材とした絵に付けられる。
遊びからクラブ活動からプロ野球から何から何まで、全般的に範囲となる。試合や練習など野球中の場面が描かれたものや、最中でなくとも、携わる人物、野球場、用具など、関連するものが描かれた絵などが含まれる。
実在人物も架空の人物もひっくるめて、野球選手のイラストは数多い。
日本には巷に知られた野球漫画などが多く、それらを原作とした版権イラストも多く投稿されている。題名などのタグがあれば目に留まることもあってか、それらに野球のタグが付くことは割合に少ない。それでも総数が少ない版権の絵や、多い版権の中でも野球の場面が描かれた絵などには、しばしば野球のタグが付けられる。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
関連タグ
競技に関する言葉
打撃に関する言葉
投手に関する言葉
オーバースロー スリークウォーター サイドスロー アンダースロー
球種
直球(ストレート) スライダー カーブ シンカー シュート カットボール フォーク パーム チェンジアップ ナックルボール
走塁・守備に関する言葉
人物・団体
プロ野球(日本・外国のリーグ一覧あり)
独立リーグ(日本のリーグ一覧あり)
日本プロ野球球団
統括組織
セントラル・リーグ(セ・リーグ)
読売ジャイアンツ 阪神タイガース 中日ドラゴンズ 広島東洋カープ 東京ヤクルトスワローズ 横浜DeNAベイスターズ
パシフィック・リーグ(パ・リーグ)
福岡ソフトバンクホークス 北海道日本ハムファイターズ 東北楽天ゴールデンイーグルス
埼玉西武ライオンズ 千葉ロッテマリーンズ オリックスバファローズ
興行
オープン戦 ペナントレース 交流戦 クライマックスシリーズ 日本シリーズ
その他
関連事物
野球用品 ボール/野球ボール バット/バット(野球) グローブ グラブ ミット キャッチャーミット
ユニフォーム スポーツウェア ピッチリアンダー キャップ 野球帽
野球漫画(一覧あり)
実況パワフルプロ野球/パワプロ パワポケ ベストプレープロ野球
巨人の星 ドカベン あぶさん 一球さん 野球狂の詩 侍ジャイアンツ アパッチ野球軍 タッチ H2 クロスゲーム 逆境ナイン ROOKIES Mr.FULLSWING/ミスフル おおきく振りかぶって/おお振り ダイヤのA ラストイニング はじめての甲子園 ONEOUTS/ワンナウツ 錻力のアーチスト 大正野球娘。 八月のシンデレラナイン 球詠 スモーキーB.B. メイプル戦記 プリンセスナイン ミラクルジャイアンツ童夢くん/童夢くん がんばれ!!タブチくん!! ササキ様に願いを 緑山高校 関東昭和軍 K(野球漫画) もしドラ ドキドキプリティリーグ MAJOR/メジャー ダメジャー キャプテン プレイボール バッテリー KANO(台湾映画) グラゼニ 舞台野球 リトルバスターズ! 涼宮ハルヒの退屈 チーム765エンジェルス 東方野球 艦これベースボール 野球松
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