ピッチャーとも呼ばれる。クリケットの投手はボウラーと呼ぶ。
野球やソフトボールにおける守備番号は1。
「第一の」「高貴な」「最高の」意味を持つトランプのA(エース)にちなみ、チーム随一の主力投手を「エースピッチャー」「エース」と呼ぶことが多い。
打者にボールを投げる「投球動作」を行うことができる唯一のポジションである。そのため選手個人に試合の「勝利」・「敗戦」記録がつくという特徴がある。
また、プロ野球における「最多勝利」「最優秀防御率」「最多奪三振」などのタイトルは、投手のみに存在するタイトルである。
野球はテニスやバレーボール等と同じく、時間ではなくセットプレーの進行を経ないと試合が進まないスポーツであり、進行に必要な投球は完全に投手一人のみによって行われるため、試合進行に一番影響を与える重要なポジションである。そのためストライクが投げられる投手が全くいない場合、そもそも野球にならないとされる。
※テニスとバレーボールは双方ともに正規のサーブが打てない選手同士だったとしても失点でセットが終わることにより試合が進むが、野球でストライクが投げられない投手だった場合、相手チーム側のミスでアウトが取れない限り1回表から全く試合が進まない。(通常は試合時間が無限ではないためもちろんどこかで時間切れにはなるが)
前述の通り試合進行に必要な投球動作は投手しか行えない上に、急激な全力動作である投球そのものが身体に大きな負担をかけるものである。プロ野球においては「投げた翌日には腕が動かなくなるほど固くなる」と証言する投手がいるほどで、1回限定登板などの起用法でなければ2試合以上連続して登板することは通常ない。最も負担が大きい先発投手の場合、ふつう登板間隔はおよそ1週間ごと(中6日)とされている。プロ野球ではふつう週6日試合があるため、先発投手6人で1週間を回すことになる(「先発ローテーション」と呼ばれる)。
近年では投手の負担を軽減する策として、先発・中継ぎ・抑え等、1つの試合を複数人の交代で担当する分業制が確立している。だが、確かに先発の負担は軽減するが、中継ぎや抑えを1人に固定するとかえってこちらの負担が増大してしまうため、完全な解決とは言い難い、更にWBSCでもソフトボールに於いて2003年より、野球に於いて2019年より20秒以内に始動しなければボールが1つ追加される規程が(JABAやMLBでも2023年より)追加された。
一方で、先発投手が交代せずに試合終了まで投げ切ることを「完投」と呼ぶ。かつては試合の最初から最後まで投げ切ることが良い投手の絶対条件であるとされていた(これを「先発完投主義」という)が、分業制が浸透した現在ではあまり言及されない。なお、個人差が非常に大きいが、1人の投手が1試合で無理なく投げられる球数のおおよそのバロメーターは100球前後とされている。
ただし、学生野球(特に日本の高校野球)では選手層の関係から大会において1人が全て投げ切る方針のチームも存在し、特に近年ではこのような酷使が国内外で問題視されている。実際に酷使によって選手生命を縮めさせられたと評される投手も複数人存在する。
負担の分散とは別に、投手の調子が悪い時や、予想外に打たれて投手のスタミナが切れてしまった場合等、控えの選手と交代を行うことができる。他のポジションと同様、一度ベンチに退いた投手はその試合でもう一度使うことはできないが、ベンチに下げずにポジションのみ交代して野手になった場合は同じ試合で何度でも投手に復帰が可能。
ちなみに打つ打たないに関わらず任意のタイミングでいつでも代打と交代させられる打者と違い、投手は最低1人の打者との対戦が終わるまでは野球規則によって交代することはできない。そのため「同じ投手に対して代打の代打」という戦術は可能だが、「同じ打者に対してリリーフのリリーフ」はできない。
投球への負担が尋常ではないことから、プロ野球では投手に打撃を求めず、打順を下位に入れることが多い。
指名打者制の場合、指名打者が投手の代わりに打席に立つため投手は打席に立つ必要がない。ソフトボールでは似たルールとして指名選手がある。なお野球の指名打者は必ず投手に代わって打つ(=投手は打ってはいけない)が、ソフトボールの指名選手は必ずしも投手に代わる必要はなく、守備専任野手と別に投手が打ってもよい。
打撃力がある投手本人が投球と打撃の負荷に耐えられるならこの限りではなく、少年野球や高校野球などでは「エースで四番」など、投手をこなしながら上位打線に入ったり、試合終了まで一人で投げ切ることもよくある。一方プロの世界でそのような選手はまずいない。
投手でありながら打撃選手(野手)としても出場可能で、かつ両方を年間通して維持できる場合、特にプロ野球では「二刀流」と呼ばれる。自身が登板しない試合には指名打者(あるいは野手)として出場し、打撃に参加する。
野球の投球は片腕でボールを相手チームの打者(正確にはその奥にいる自チームの捕手)に向かって投げる。ボールが正規のストライクゾーン(ホームベース上、かつ打者の胸から膝までの高さ)をかすめて通過すればストライク投球となる。なおこのゾーン内を通過しても投球が地面にバウンドした場合はストライク投球とはみなされない。
※厳密に説明すると、ストライクゾーンの左右は一部をわずかにかすめればストライクだが、上下はホームベース上の前端から後端まで打者の胸から膝までの高さに収まっていないとストライクとは見なされない(はみ出したら×)。
投げ方は主に、
オーバースロー(上投げ)
スリークォーター(上投げと横投げの中間)
サイドスロー(横投げ)※和製英語で英語ではsidearm(サイドアーム)。
アンダースロー(下投げ)※和製英語で英語ではsubmarine(サブマリン)。
の4つに分けられる。
- 防御率=(自責点×27)÷(投球回数×3) ※1試合あたりの得点された数値
- 与四球率=(与四球数×27)÷(投球回数×3) ※1試合あたりの四球を与えた数値
- 被本塁打率=(被本塁打数×27)÷(投球回数×3) ※1試合あたりの本塁打を打たれた数値
- 奪三振率=(奪三振数×27)÷(投球回数×3) ※1試合あたりの三振を奪った数値
- 勝率=勝利数÷(勝利数+敗戦数) ※試合に勝利した確率
ここでいう「回数」とは球数ではなくイニング数のことであり、1アウトを取ることで1/3イニングを投げたと見なされる。高校以上の野球界に於いて、27をかけたり投球回数に3をかけたりしているのは3アウトで1イニング、27アウトで9イニングの1試合となるからである。規定が7イニングのアマチュアでは9の部分を7にすべきかどうかは見解がわかれている(尚、中学生以下や女子等の野球だったりソフトボール等は必ず発生)。
見ての通り防御率・与四球率・(被)本塁打率はマイナス部分であるため数字が小さいほどよく、奪三振率、勝率は数字が大きいほどよい。
仮に「1アウトも取れずに得点されて降板」してしまうと、その部分の防御率は「∞(無限大)」になってしまい、ワンポイントや抑えの投手が開幕~序盤や短期決戦でそうなってしまうことがある。
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