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アンダースロー

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あんだーすろー

アンダースローとは、野球における投手の投球方法のひとつ。下手投げ、サブマリン投法ともいう。

特徴

アンダースロー」という名の通り、下方から投球する投球方法である。

投手の腕からボールが放たれる際、投手は直立した状態から急激に体の重心を下降させ、腕を水平を下回る角度にまで下げた後、腕をしならせてから投げる。打者からはボールがまるで下から上へ浮き上がったように見える。

歴史

1845年にアメリカで野球ルールが整備された当時のルールでは「ピッチ(pitch=放ること)」だけが許され、「スロー(throw=投じること)」が禁止されていたため全て下手投げだった。

1872年にはルールが改正され、アンダーハンドでも手首のスナップを使って投げることが正式に認められた。

アンダースローは1882年にサイドスローが、1884年にオーバースローが投球ルール改正によって解禁されるまでは主流だった。

アメリカではsubmarine(サブマリン、潜水艦)が一般的に使われ、日本でも「サブマリン投法」とも呼ばれる。

長所

前述の通り、低所から放たれたボールは浮き上がるような軌道でキャッチャーミットにおさまるため、打者を幻惑しやすい。

アンダースローを忠実に再現したピッチングマシーンが非常に少ないため、対アンダースロー投手の対策を練るのが難しい。

全身をくまなく使う投法であり、完成させれば故障を起こしにくい。もちろん、それに伴うトレーニングは必要。山田久志は特に腹筋・背筋・膝関節を鍛えることが重要である、と説く。

短所

第一に球速が非常に遅い事が多い。普通の投球方法とは違い、低所から腕のしなりを加えた独特の投法であるため、メジャーリーグでもほとんど活躍した例がなく、速球を投げるのは至難の業。ただし、スピードガンのない時代だが150km/hは出ていたといわれる山田久志、全盛期は150km/hオーバーのストレートを武器にした金炳賢、2018年シーズン終盤から頭角をあらわしてきた高橋礼のような例外もいる。

誰もが出来る投法ではない。球を投げる時の横回転の動作がスムーズに出来ること、身体は手足が長く柔軟性とバネを併せ持つこと。また、アンダースローがダメだったからといって他の投法に戻すことも出来ない。

縦方向への変化球が使えない。これはリリース時の腕の動きの特性上、横回転が強くかかりやすくなり、縦回転をかけるのが難しいためで、仮に習得しても高低差を生かす球種である以上リリースポイントが低いアンダースローでは相手打者にボール球と見極められやすい。

相手打者に四死球を与えてしまうことが多い。アンダースローの投手から放たれたボールは軌道が独特であるため、打者も避けることが出来ずに当たってしまう。

左打者に弱いとされている。(右投げの場合)左打ち打者の視点だとアンダースローはかなり球が見やすいとされている。またシンカーもおっつけやすい。そのため、最初は慣れなくて打ちづらいが、慣れてくると攻略されやすくなる。埼玉西武ライオンズ東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーした牧田和久投手が(主に先発投手として)試合に登板する際は、露骨に左打者ばかりを並べられてしまうことも。

また、左投げのアンダースロー投手はプロはおろか、アマチュアでもまず居ない。理由は前述の逆である。右打者は圧倒的に多い。

千葉ロッテマリーンズに在籍していた渡辺俊介投手は「世界一低い所から投球する投手」として有名だが、本人曰く「何度もダフった(地面に手がかすった)ことがあります」と痛々しい経験を語ったことがある。

嘘のような本当の話

野球漫画「MAJOR」で、主人公茂野吾郎の実父本田茂治の頭にジョー・ギブソンの投球が直撃し、翌日急逝するという大変ショッキングなシーンがある。

これはフィクションに限った事ではなく、1920年8月16日、クリーブランド・インディアンスのレイ・チャップマンが、ニューヨーク・ヤンキースの下手投げ投手カール・メイズの投球を頭に受け、12時間後に死亡するという事例が現実に存在する。

(ただし、茂治の死因は死球を受けて昏倒した際に自分のバットで後頭部を強打した事による頭蓋内血腫である。)

里崎智也の解説する攻略法とその対策

長年渡辺俊介の球を受けてきただけあり、アンダースロー攻略には絶対の自信を見せる彼曰く、

1:ホームベースのインコース側1/3のところから基準線をイメージし、ボールがそこをどう通過するかでストライク・ボールの判定を行う(この基準線の位置はアンダースロー投手であれば誰でも一緒だ、という)

2:外角の球は思い切って捨てる(そうしないと外よりの変化球につい手を出してしまう)

だそうである。

逆に、「キャッチャーとしてのアドバイス」として、

(右打者に対しての)アウトコースのコントロールをしっかりつけることを挙げている。

(出来るだけシュート気味にならない真っすぐ、もしくはカットボール系の球を投げればなお良い、とのこと。)

''主な''アンダースロー投手

日本

現役(2025年時点で支配下登録)

高橋礼(福岡ソフトバンクホークス読売ジャイアンツ)

與座海人(埼玉西武ライオンズ)

鈴木健矢(北海道日本ハムファイターズ広島東洋カープ)※サイドスローから転向

中川颯(オリックス・バファローズ横浜DeNAベイスターズ)

※このほか、阪神タイガースに在籍している青柳晃洋投手は、アンダースローに近い変則サイドスロー方式で投げる。

主な海外のアンダースロー投手

その他の選手

李帥(りすい/リ・ファイ、河南エレファンツ及び中華人民共和国代表、引退)

その他

野球以外のスポーツでも、下から球を投げることをアンダースローと呼ぶことがある。

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