概要
メジャーリーグの球団の一つ。シーズンとワールドシリーズ両方で最多優勝記録を誇る超名門。
野球…というかスポーツに興味がなくともその名前は知っているであろう、世界で最も有名なプロスポーツチームの1つ。NとYの組み合わされたチームロゴも有名で、キャップやザックなどファッションアイコンとしても浸透しきっている。ピンストライプのユニフォームと資金の豊富さに定評がある。
ボストン・レッドソックスとは過去に様々な因縁があったことから宿敵とも言える関係にあり、同じくニューヨークに本拠地を置くニューヨーク・メッツとは所属するリーグこそ違うがライバル関係にある(両者の対決は“サブウェイ・シリーズ”と呼ばれる)。近年では金満球団という観点から、西の名門とも言われるロサンゼルス・ドジャースとも対比されることが多い。
プロ野球界に背番号と永久欠番の概念を生み出したチームでもある(永久欠番自体はNHLのトロント・メイプルリーフスが先に制定している)。
数々の名選手を生み出し、永久欠番になった選手は「野球の神様」ベーブ・ルース(3)を始め、ルー・ゲーリッグ(4)、ジョー・ディマジオ(5)等多数(後述)。21世紀に入りジョー・トーリ(6)とデレク・ジーター(2)も永久欠番となったため、0を除くひと桁の背番号は全て永久欠番となってしまった(背番号0はアダム・オッタビーノが2019-2020年に使用、2013年からはドミンゴ・ヘルマンが使用)。マリアノ・リベラ(42)はMLBで最後まで42番を背負っていた選手として有名である。
いずれは背番号3桁のスター選手も出そうな勢いである。
なお、背番号を最初に導入したのとは対照的に、ホーム用・ロード用共に「背ネーム」をユニフォームに入れた事はない(一般向けのレプリカを除く。また、プレイヤーズウィークエンド仕様のユニフォームにはニックネームが入る)。
日本で言う所の読売ジャイアンツみたいな存在ではあるが、スケールの大きさで言えば桁違いであり、巨人も数億円単位でFA選手を毎年のように獲得している(いた)が、ヤンキースは桁違いの規模のマネー(複数年で100億円以上、1年あたり10億円以上はザラで、ジーターひとりの年俸でフロリダ・マーリンズの25人枠登録全選手の年俸総額を超えているなんて年もあった)でスター選手をそろえている。
あまりに集め過ぎるので、MLBが1球団あたりの総年俸が限度額を設けて、それを越えた球団には「贅沢税」を科したほどで、明らかにヤンキースに対する嫌がらせともいうべき処置だったが、ヤンキースは構わず贅沢税も払った上で有名選手をかき集めていた。そのため、ライバル球団であるボストン・レッドソックスのラリー・ルキーノCEOから「悪の帝国」と揶揄されたこともある。
かつての名物オーナー、ジョージ・スタインブレナーも巨人の渡辺恒雄と比較されがちだが、こちらは選手を脅迫した等の理由で、MLBから複数回永久追放処分を受けてはその都度復活し、以降も毎年のように監督を代えるなどトラブルは絶えず、球団同様にスケールの違いを見せつけていた。嫌われ度も他球団のオーナーやゼネラル・マネージャーとは段違いで、選手への野次が飛び交うヤンキースタジアムのライトスタンドでは、選手への野次について余りにも野蛮もしくは卑劣なものは自主規制される習慣があるが、スタインブレナーへの野次については例外とされており、「ジョージ! さっさとクリーブランドに帰っちまえ!」などというのは、まだまだ優しい部類の野次に属するとされていた。
ジョージが死んだ後オーナーの座を継いだ息子のハロルドとハンクは贅沢税を回避するためにコスト削減に走っているので、キャラが弱いと言うか親父と比べて勝利への執念が薄く、どこか冷めているように思われる(なお、ハンク・スタインブレナー氏は2020年に死去しており、現在ヤンキースのオーナーを務めているのは事実上ハロルド・スタインブレナー氏のみとなっている)。
歴史
1900年にアメリカンリーグが発足した際、ニューヨークに球団を置く事が検討されたが、当時、ニューヨーク・ジャイアンツが存在していたため、別の球団が移転し、野球空白区となっていたボルチモアに「ボルチモア・オリオールズ」(現在の同名球団とは別)として発足した。1903年にジャイアンツと和解しニューヨークヒルトップ・パークを本拠地とする「ハイランダーズ」となる。1913年にジャイアンツとポロ・グラウンズを共用する形となり、同時にボストン・アメリカンズに対抗した愛称「ニューヨーク・ヤンキース」を正式な名称とした。しかしベーブ・ルースの獲得で勝てるチームになり人気が上昇すると、ジャイアンツからポロ・グラウンズの使用禁止を言い渡されてしまう。そこで、自前の球場ヤンキー・スタジアムを建設し、1923年に完成するとそこを本拠地とした。この頃のヤンキースは「殺人打線」と称される超強力打線を築き、黄金時代を享受した。しかし、1965年以降他球団と比べ黒人差別が強く、黒人の入団をためらっていたヤンキースは一気に成績が低迷した。黒人受け入れには消極的だったが、アジア出身選手の受け入れ(25人枠登録)はMLB全体の6番目で比較的早かった。
2009年、2代目となるヤンキー・スタジアムの落成に前後し、松井秀喜の活躍もあり通算27度目となるワールドシリーズ制覇を果たした。
しかし21世紀に入ってからは、ワールドシリーズの制覇は2024年シーズン終了時点でこの一度だけで、2023年まではワールドシリーズにすら進出できない状況が続いた(2023年シーズンに至っては、ポストシーズンにすら進出できなかった)。2024年に久々にワールドシリーズに進出したものの、打線が振るわず守備にも精彩を欠くなどしてロサンゼルス・ドジャースに1勝4敗の惨敗を喫し、久々のワールドシリーズ制覇は果たせなかった。
この成績不振は上記のジョージ・スタインブレナーが退任し、息子2人が球団の経営を引き継いだ時期とも重なっており、球団がコスト削減に走ってかつてのようにスター選手をかき集めることがなくなったことが影響していると考えられる。
また、ヤンキースファンやニューヨークメディアは選手に対して非常に手厳しいことで有名で、活躍している間はまだ良いが、少しでも期待に沿えないプレイをしようものなら、途端に若手であろうとベテランであろうお構いなしにボロクソにこき下ろすこと等日常茶飯事である。近年、選手たちがニューヨークのファンやメディアからのこうした過剰な批判に晒されることを嫌がってヤンキースへの入団や移籍に及び腰になっていると言われており、ヤンキースが弱体化したのは過激とも言えるファンやメディアの言動も多分に影響していることが指摘されている。
これは日本人選手も例外ではなく、2014年にポスティングシステムにより移籍してきた田中将大を最後にヤンキースに入団した日本人選手は2024年時点で現れていない(一応、マイナーも含めれば、傘下球団でプレイしていた加藤豪将がいる)。また、こうした事情に加え、ワールドシリーズ制覇に貢献した松井秀喜をシーズン終了と同時に事実上の戦力外通告にしたり、肘の故障に悩まされた田中将大に対してトミー・ジョン手術を受けさせなかったことで後の成績不振の遠因を作ったりなどしたことで、日本の野球関係者から「選手の扱いが雑な球団」という悪印象を抱かれてしまったこと、ヤンキースに限らず、北米の東海岸地域が全体的に寒冷な気候で、特に投手にとってはコンディションの調整がしづらいために近年では日本の選手から敬遠されがちという事情もあると言われている。
主な選手・監督
永久欠番
番号 | 選手 | ポジション |
---|---|---|
1 | ビリー・マーティン | 二塁手、監督 |
2 | デレク・ジーター | 遊撃手 |
3 | ベーブ・ルース | 外野手 |
4 | ルー・ゲーリッグ | 一塁手 |
5 | ジョー・ディマジオ | 外野手 |
6 | ジョー・トーリ | 監督 |
7 | ミッキー・マントル | 外野手 |
8 | ビル・ディッキー | 捕手 |
8 | ヨギ・ベラ | 捕手、監督 |
9 | ロジャー・マリス | 外野手 |
10 | フィル・リズート | 遊撃手 |
15 | サーマン・マンソン | 捕手 |
16 | ホワイティ・フォード | 投手 |
20 | ホルヘ・ポサダ | 捕手 |
21 | ポール・オニール | 外野手 |
23 | ドン・マッティングリー | 一塁手 |
32 | エルストン・ハワード | 捕手 |
37 | ケーシー・ステンゲル | 監督 |
42 | ジャッキー・ロビンソン | (MLB全球団共通の永久欠番)※ |
42 | マリアノ・リベラ | 投手 |
44 | レジー・ジャクソン | 外野手 |
46 | アンディ・ペティット | 投手 |
49 | ロン・ギドリー | 投手 |
51 | バーニー・ウィリアムス | 外野手 |
※ジャッキー・ロビンソンはヤンキースに在籍したことは無い。
日本人選手
前田勝宏(メジャー未昇格)
加藤豪将(メジャー未昇格、現:北海道日本ハムファイターズ)
関連項目
ニューヨーク・アイランダーズ(NHL)