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概要と特徴編集

野球における投手投球フォームのひとつで、投球動作において手を背面に回し、そこからボールを投げる。

リリースポイントがメイン画像のとおりで、代表的な投球フォームとリリースポイントがまったく違うため、打者に対して意表を突くことができる。


中日ドラゴンズ小川健太郎選手が、現役当時苦手としていた読売ジャイアンツ王貞治選手への対策として考案、現実の公式戦においても彼だけが使った。

小川は、この投球フォームを習得するために1日200球の投げ込みを行い、練習を公式審判員に見られた際にはボークに該当する投球ではないことを確認する質問をしている。

そして、1969年6月15日の中日×巨人戦において、読売ジャイアンツの王貞治選手へ実際に使った時は反則投球ではないかと大問題になり、プロ野球ルール委員会の裁定にかけられたものの、反則投球ではないという裁定が下された。


テレビ番組では、ネタ投法として扱われることが多い。


動作編集

野球における代表的な投球フォームでは、次のような段階を踏んで投球する。

  1. 利き腕と反対側の足を上げる。
  2. 上げた足を前方に踏み出しながら利き腕を体の後ろにへ引く。
  3. 利き腕を振りかぶる。
  4. ボールをリリースする。

なのであるが、背面投げでは2と3の間で、体の後ろへ引いたボールを持った手をそのまま腰の辺りへ持って行き、そこから手首のスナップだけで投げ、ボールを持たずに3と4の動作をする。

手首のスナップだけで投げる関係から球速は遅く、リリースポイントも不自然な位置にあることからコントロールは期待できない。


公認野球規則と背面投げ編集

今もってボークに該当する投球ではないかと取沙汰される背面投げであるが、日本における野球のルールである公認野球規則の関連項目に照らし合わせると次のようになる。

投手の投球における動きに関するものは、同規則の5.07で取り上げられている。

  • 5.07(a)

ここでは、投球姿勢と捕手からのサインの受け方について扱われている。

正規の投球姿勢にはワインドアップポジションとセットアップポジションとの2つの正規のものがあり、どちらでも随時用いることができる。投手は投手板に触れて捕手からのサインを受けなければならない。

この項目には「原注」があるが、内容は投手が捕手からのサインを見終わってから投手板をはずすことに関するものである。


  • 5.07(a)(1)、5.07(a)(2)

ここでは、5.07(a)で出てきた正規の投球姿勢のうち、5.07(a)(1)においてワインドアップポジション、5.07(a)(2)にてセットアップポジションについて扱われている。

どちらも打者への投球に入るまでの動きと走者がいる場合の牽制球の投げ方に係る制限が書かれているが、打者への投球に関連する動作を起こした後に関することとしては、それぞれの投球姿勢について次のようにしか書かれていない。

打者への投球に関連する動作を起こしたならば中途で止めたり、変更したりしないでその投球を完了しなければならない。

背面投げで問題となるのは、投球にあたって正規の投球姿勢を用いているかと、打者への投球に関連する動作を起こした後のボールをリリースするまでの動きである。

以上、二点について、投球姿勢に関して背面投げでは正規の投球姿勢を用いており、捕手からのサインの受け方と牽制球に係る違反さえしなければ問題はない。

そして、打者への投球に関連する動作を起こした後の動きに関しては、中途で止めているわけでもなく、変更もしていない一連の流れに沿った動きであり、この件における最大の焦点であるボールをリリースする位置に関しては一切書かれていない。

よって、意図的にボールを持った手と反対側からリリースする投球を禁止する改正がされない限り、反則投球には該当しないのである。


以前は公式野球規則2.38(定義38)の反則投球についての規定で、打者のタイミングを外す、惑わす動きを禁止する注釈が存在し、これは小川健太郎が球界を去った翌年の1971年に日本独自のものとして盛り込まれた。二段モーションがボークとなるものとして知られたが、この規定は小川が背面投げを使ったのが制定の理由の1つであった。これは2018年の改正で削除されたため、47年間、この投法はボークだったということになる。


背面投げを使う投手編集

現役選手編集

なし


引退選手編集

小川健太郎

齊藤明雄(齊藤明夫。ただし現役時代ではなく引退後に実践したものであるため、参考)


架空の選手編集

犬神了ドカベン


関連タグ編集

プロ野球 投球 投球フォーム

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