CPBL
しーぴーびーえる
1990年から台湾で行われているプロ野球リーグ。
記事名のCPBLは、「Chinese Professional Baseball League」の頭文字を取った略称であり、正式には「中華職業棒球大聯盟」という(略して中華職棒、更に略して中職)。
リーグが発足した1990年シーズンを「中職元年」(または「職棒元年」)として、以降のシーズンを「中職xx年」と表している(例:2019年は「中職30年」)。
- 1990年、統一ライオンズ(統一獅)、兄弟エレファンツ(兄弟象)、味全ドラゴンズ(味全龍)、三商タイガース(三商虎)の4球団で発足した。
- 1993年、時報イーグルス(時報鷹)、俊国ベアーズ(俊国熊、現:富邦ガーディアンズ)が参入。
- 1996年、時報イーグルスで八百長が発覚(黒鷹事件)。プロ野球人気が急落。同年、俊国が球団を売却、興農ベアーズを経て興農ブルズ(興農牛)に改称。
- 1997年、新リーグ・台湾職業棒球大聯盟(TML、台北太陽・台中金剛・嘉南勇士・高屏雷公の4チーム)発足、和信ホエールズ(和信鯨、後の中信ホエールズ)参入。同年時報イーグルスが解散。
- 1999年、味全ドラゴンズと三商タイガースが解散。
- 2003年に1リーグ制に移行、TMLから那魯湾太陽(後の誠泰コブラス⇒米迪亜ティーレックス)、第一金剛(後のLamigoモンキーズ⇒楽天モンキーズ)の2球団が加入。
- 2004年(実際は2003年末)、LaNewが第一金剛を買収、LaNewベアーズ(LaNew熊)に改称。
- 2008年、「黒米事件」という八百長事件が発覚したことを発端に、米迪亜ティーレックス(米迪亜暴龍)と中信ホエールズ(中信鯨)が解散。
- 2011年、LaNewベアーズが本拠地を高雄市から桃園県(現:桃園市)に移転、球団名をLamigoモンキーズ(Lamigo桃猿)に改称。
- 2013年、興農ブルズが身売りにより義大ライノズ(義大犀牛)に改称。本拠地を台中市から高雄市へ移転。
- 2014年、兄弟エレファンツが中信ホエールズを運営していた中国信託商業銀行に買収され、中信兄弟に改称。それまで特定していなかった本拠地を台中市とする。
- 2016年、義大ライノズが富邦グループに買収され富邦ガーディアンズ(富邦悍将)に改称、本拠地を高雄市から新北市へ移転。
- 2019年、Lamigoが球団を日本の企業楽天へ売却(チーム名は引き続き「モンキーズ」)。また味全が球団の再興(2021年前期からの再参入)を発表、2020年シーズンは2軍のみ試合を行う。
- COVID-19の影響を受ける中、2020年は国内での防疫に徹底した事を背景に4月12日よりリーグ開幕し「世界最速開催のプロ野球リーグ」として国内外に知らしめた。
- 2021年、味全が新竹市を本拠地として1軍へ参加。5球団体制に。
- 2022年、台灣鋼鐵(台鋼)が新球団「台鋼ホークス(台鋼雄鷹)」を創設。3月にCPBLへの新規参入を認められる。
- 2023年、国際戦ホーム用球場台北ドームが完成。
- 2024年、延長次、アウト無しから2塁走者が登場した上で対峙、25秒以内に投げなければボールが1つ追加され、投手は走者を牽制出来る回数はアウトにした場合を除き3回以内、投手と捕手でサインを伝達する機器の使用が出来る様になり、「打球が走者、審判に当たったか」「打者のスイング後のバットが捕手に当たったか」などが新たに動画撮影判定の対象になる規程が追加された。
台湾野球の現状
チーム数こそMLBやNPBと比べると少ないものの、元々野球自体が台湾の“国球”に指定されるくらいには人気の高いスポーツであることもあり、その盛り上がりやレベルはかなり高い。
近年では渡米してMLBに挑戦する選手も増えており、全米ドラフトで1位指名される選手も現れるなど、そのレベルはさらに上がっていると言ってよい。
リーグそのものは一時野球賭博や八百長問題によって人気が急落するも、国際戦での白熱やKBOの影響を受けて始まったチアリーダー応援によって再び人気を回復させている。
特にチアリーダーは美人揃いと評判で、国外からも興味を持ってもらうきっかけとなっている。
一方、国際大会では長らく優勝の機会に中々恵まれて来なかったが、2024年の第3回プレミア12で初優勝を果たし、台湾の野球史上初めて国際大会を制覇した。
当然ながら台湾ではとんでもないお祭り騒ぎとなり、選手団が帰国した際には軍による出迎えや盛大な優勝パレードが開かれた上、当時総統を務めていた蔡英文からも選手団に祝福のメッセージが送られたほど。
また、この快進撃により野球の世界ランキングが日本に次ぐ単独2位にまで一気に浮上した。
- 味全ドラゴンズ(味全龍/Wei Chuan Dragons)
味全棒球隊(1979年 - 1989年) → 味全ドラゴンズ (1990年 - 1999年、2020年 - )
- 中信ブラザーズ(中信兄弟/CTBC Brothers)
兄弟飯店棒球隊(1984年 - 1989年) → 兄弟エレファンツ(1990年 - 2013年) → 中信兄弟(2014年 - )
- 統一ライオンズ(統一獅/Uni Lions)
統一棒球隊(1989年) → 統一ライオンズ(1990年 - 2007年) → 統一セブンイレブン・ライオンズ(2008年 - )
- 富邦ガーディアンズ(富邦悍將/Fubon Guardians)
俊国ベアーズ(1993年 - 1995年) → 興農ベアーズ(1996年前半) → 興農ブルズ(1996年後半 - 2012年) → 義大ライノズ(2013年 - 2016年) → 富邦ガーディアンズ(2017年 - )
- 楽天モンキーズ(樂天桃猿/Rakuten Monkeys)
高屏雷公(TML,1997年 - 2002年)&台北太陽(TML,1997年 - 2002年)
→ 第一金剛(2003年) → La Newベアーズ(2004年 - 2010年) → Lamigoモンキーズ(2011年 - 2019年) → 楽天モンキーズ(2020年 - )
- 台鋼ホークス(台鋼雄鷹/TSG Hawks)
2軍は2023年、1軍は2024年から参戦。
過去に加盟していた球団
- 三商タイガース(三商虎/Marcuries Tigers、1990 - 1999)
1999年、921大地震の影響、「黒虎事件」と呼ばれる野球賭博事件の関与が疑われた事、長年の成績低迷による経営困難などの理由が重なり解散。
- 時報イーグルス(時報鷹/China Times Eagles、1993 - 1997)
1998年、「黒鷹事件」と呼ばれる野球賭博事件に関連したため解散。
- 和信ホエールズ(和信鯨、1997 - 2001) → 中信ホエールズ(中信鯨/Chinatrust Whales、2002 - 2008)
解散後、親会社の中国信託商業銀行は兄弟エレファンツを買収。
- 那魯湾太陽(2003開幕前) → 誠泰太陽(2003) → 誠泰コブラズ(誠泰COBRAS、2004 - 2007) → 米迪亜ティー・レックス(米迪亜暴龍/dmedia T-Rex、2008)
前身はTMLの「台中金剛」と「嘉南勇士」。球団ぐるみでの野球賭博と八百長の疑い(黒米事件)が浮上して連盟から除名処分、解散。
参入が認められなかった球団
- 声宝ジャイアンツ(聲寶巨人/Sampo Giants)
1992年から数年に渡りCPBLへ加盟申請するも門前払いを喰らう。この件がTML創設のきっかけとなり、声宝は台北太陽のスポンサーとなった。
- 九禾ドラゴンズ(九禾龍/Jiuhe Dragons)
2007年、誠泰コブラズが球団の売却を画策した際に名乗りを挙げたが、他球団のオーナー達から承認を得られず買収を断念。なお球団名は報道メディアが予想したものであり九禾側からの正式発表は無かった。
- 崇越ファルコンズ(崇越隼鷹/TOPCO Falcons)
2011年に創部された社会人野球のチーム。2014年、CPBL参入を目指してファルコンズに改名したが具体的な行動は起こさなかった。2016年頃には日本の独立リーグへの加盟も考えていたと言われている。味全の再加入と台鋼の参入もあって現在はCPBL入りを見送る姿勢を示しており、チーム名からファルコンズを外して全越運動を名乗っている。
- 琉球ブルーオーシャンズ(沖繩藍海/Ryukyu Blue Oceans)
2021年にクラウドファンディングで集めた金銭を元手に加入申請するも、加入条件がCPBLの運営根幹に関わる球団拡張規定に抵触するとされ、加入を見送られた。なお、球団側から何の連絡や事前確認も無く唐突に申請してきた旨がCPBL公式アカウントからTwitterで報告されている。
2022年11月11日に球団としての活動を一時休止する事を発表、その翌年に運営会社が倒産しチームは解体された。