概要
インターネットなどを用い、不特定多数の群衆(クラウド)からの資金調達(ファンディング)を行う形態。これにより従来より小規模なプロジェクトも立上げやすくなり、小口の投資家によるリスク分散が狙え、大口の投資家によるプロジェクトの私物化が防ぎやすい等のメリットがあり、従来の投資形態に比べ手軽な事から瞬く間に広がっている。
米国では特にKickstarter(リンク)というサイトが有名。様々なカテゴリに分かれており、プロジェクト成就の際は特典が有ったりなかったりするが、一番大事なのはそのプロジェクトを支援したいと言う気持ちである事が強調されている。
日本にもいくつかのクラウドファンディングサイトは存在し、個人・団体問わず様々な案件が連日誕生している。支援額に応じた返礼(リターン)が設定されているのが基本で、これが支援者たちへの訴求となるため、どれだけ魅力的なリターンを用意するかが肝となる。日本の場合はMAKUAKEがある。
pixivにはメイン画像のように漫画・アニメ関連プロジェクトの支援イラストが投稿される事がある。なお、これら企画の支援はpixivにイラストが投稿されていても、ブックマークや評価より企画に対する1円でも多くのお金こそが何よりの支援である。タグ検索よりキャプション検索の方が探しやすい。
問題点
2010年代から資金調達の新しい形として広まるクラウドファンディングであるが、同時に問題点も存在する。よくある例として、ただの募金もしくは簡単な金儲けと勘違いし、至極個人的な目的のためにクラウドファンディングを行う案件が非常に多いことである。具体的には、旅行がしたい、買い物がしたい、借金を返したい、治療費が欲しい、学費が欲しい、単純にお金が欲しい等々。
このような案件はリターンも非常にしょぼく、大抵は「お礼のメール」「お礼の手紙」のみであり、支援者に現実的なメリットをもたらさない。感情に訴えるような長ったらしい説明文も、よく読むと上記のような下賤な本心が見え隠れすることがあり、支援者も本当に支援に値するかを見極める目が求められる。こういった実情から、クラウドファンディングを「乞食」と卑下する層が一定数存在する。
2022年1月には、既に死んでいる犬を生きていると偽装して治療費のクラウドファンディングを行った女性が詐欺未遂罪で逮捕された。
クラウドファンディングを実施した例
- シェンムー:三作目の資金集めを概要に記載がある『Kickstarter』にて行った。その際の100万ドル集まるまでの時間、1時間42分が『最も短時間で100万ドルを集めたビデオゲーム』として、ギネス認定された。
- ヤタガラス Attack on Cataclysm:こちらはアーケード版の資金集めを『IndieGoGo』にて行った。のちに、『NESiCAxLive』での製作が決まり、配信された。
- スカルガールズ:パブリッシャー企業の『オータム・ゲームズ』が法廷闘争に巻き込まれ、資金援助が困難になり、のちにクラウドファンディングで資金集めを行った。
- Diesirae:アニメ化の資金集めでクラウドファンディングを行った。2015年5月9日から2か月の期間限定で行ったが、わずか23時間で目標の3000万円を達成し、4日後にすべての入金が確認され、アニメ化が正式決定した。2015年の8月1日時点で日本でのクラウドファンディング史上最高額&最高人数になった。
- 碧志摩メグ:アニメ化の資金集めを『Makuake』にて行った。最終的に715万8千円集まった。2017年3月17日からはアニメ化とは別に二輪レースチームとコラボし『MEGU Racing』を結成。『鈴鹿8耐』にメグの痛単車で出場するための資金集めをアニメ化と同じ『Makuake』にて実施。目標額200万円に対し258万6千円が集まった。
- Undertale:上記に記載の『Kickstarter』にて支援開始、2015年9月15日にSteamにてリリースされた。
- エメラルドドラゴン:キャラクターデザイン担当の木村明広氏主導の25年ぶりの続編、『エレメンタルドラグーン』の資金調達でクラウドファンディングを行った。
- Mighty No.9:稲船敬二氏主導のゲーム。資金集めのために上記に記載の『Kickstarter』で資金集めを行った。
- クーロンズゲートVR 朱雀:九龍城砦を題材とした1997年のゲーム。街並み散策型PSVRの開発のため『CAMPFIRE』で資金調達を行った。15時間で当初目標を達成、最終的に目標金額の300%のストレッチゴールを達成した。
- リトルウィッチアカデミア:続編の資金調達を上記に記載の『Kickstarter』にて行った。
- お客様!?攻略対象はあちらですよっ!!:架空のアダルトゲームから、ヒロインではなくマスコットを攻略するゲーム。『Enty』で資金調達を行った。
- 刻の大地:連載再開に必要な資金調達のためにクーロンズゲートと同じ『CAMPFIRE』で集金中。
- クドわふたー:劇場版アニメ化の資金集めにクーロンズゲート、刻の大地と同じ『CAMPFIRE』で集金した。初期設定額の3000万円は突破し、約20分の新作OVA制作は決まった。最終的に予定の2倍越えの78,047,044円集ったため劇場版制作が決定。
- Bloodstained:「Bloodstained: Ritual of the Night」において同作プロデューサーのIGA氏による動画と共にキャンペーンを開始すると、目標だった50万ドルをわずか数時間で達成し、終了時には支援者64,867人で5,545,991ドル(ドル円123円換算でおよそ6億8千万円)に達した。これはクラウドファンディングとしては異例の額であり、Kickstarter内で最も多くの資金を集めたビデオゲーム作品にもなった。
- 停電少女と羽蟲のオーケストラ:ドラマCD全巻セットの愛蔵版再販のための資金を『MOTION GALLERY』にて集金中。300万円の設定で残り38日時点で2倍越えの668万1566円が集まった。
- Sentai_Filmworks:取引先の京都アニメーションで放火事件が起きた際、事態を重く受け止め、すぐさま50万米ドルを目標とした復興支援クラウドファンディングを実施。
- 大和ミュージアム:戦艦大和の主砲製造に使用した大型旋盤を保存・展示するためのクラウドファンディングを実施。目標4,800万円に対し2億6,948万円を集めた(達成率561%)。
- 北条鉄道、水島臨海鉄道、嵯峨野観光鉄道、岳南電車、大井川鉄道:それぞれ車両整備や観光資源拡充のためのクラウドファンディングを実施。
- 銚子電気鉄道:2014年に起きた脱線事故の当該車両(2000形2002編成)の最低限の修繕費を集めるために地元の銚子商業高校の生徒が主体となって実施。開始から40日で目標金額の300万円を達成しそれ以外にも現金書留や直接高校に持ち込まれた金額を合わせて約500万円の資金を集めることに成功した。その後も車両整備や駅舎修繕、「超C(銚子)級エンターテイメント」映画『電車を止めるな!』制作のためのクラウドファンディングを実施した。
- 還暦の赤い電車:高松琴平電気鉄道(ことでん)に転属していた京浜急行電鉄旧1000形(ことでん1080形)を旧京急塗装にリバイバルするプロジェクト。ことでん(鉄道会社)ではなく地元の鉄道ファン有志によってクラウドファウンディングが実施された。のち京急2代目700形(ことでん1200形)をリバイバルした情熱の赤い電車、京急旧1000形B車両(ことでん1300形)をリバイバルした追憶の赤い電車と、副次プロジェクトが実施された。
- 彼女、お借りします:作者の宮島礼吏が連載5周年&アニメ2期を記念し、ヒロインとの待ち合わせ広告を出したいと600万円を目標に『CAMPFIRE』で開始。開始後25分足らずで目標の600万を超えた。
- アスルクラロ沼津:Jリーグ残留の必須条件である、スタジアムの照明改修のためのクラウドファンディングを実施。達成率133%で成立。
- アームドファンタジア
- 株式会社ハコスタ:コスプレ運営会社。新型コロナウイルス後の運営再開のためクラウドファンディングを実施。初日で目標の300万円を達成し、早期再開を実現した。
- 紫電改343:連載雑誌の休刊に伴い『この漫画を完結まで描き上げること』、そして『講談社を退職した担当編集者さんと一緒に作品を作ること』を目標に作者の須本壮一がプロジェクトを立ち上げ実施。目標は1年分の1200万円だったが最終的に2000万円越えを達成。
- 東方ダンマクカグラファンタジア・ロスト:2022年にサ終したソシャゲ、東方ダンマクカグラのスタンドアローン版としてリビルド作品を作るためのゲーム開発資金を集めるためクラウドファンディングを実施。目標金額1500万円のところ開始30分で到達し、最終的には1億9000万円越えで終了した。
- Karous:SWITCH版とSTEAM版の資金調達のために『CAMPFIRE』で実施。
関連タグ
ヒーローバンク:作中のバトルを戦い抜くゲーム内資金を、〈これまたゲーム内の〉世界中の観客から『おひねり』という形で集める方法もある。
JUDGE EYES:死神の遺言:主人公の八神隆之がある人物から様々なプロジェクトへ投資する「クラウドカンパ」を教わり、スマホから投資していく。