初めに
2019年7月18日に起こった事件の被害者のご冥福をお祈りします。また、遺族の方々に哀悼の意を示します。
※事件の詳細について、本項目への報道による裏付けの無い情報や、容疑者・被害者及び遺族の実名の記載はご遠慮ください。
事件の概要
2019年7月18日10時半頃、京都市伏見区桃山町因幡にある京都アニメーション第1スタジオに液体入りバケツを2つ持った41歳の男が侵入し、1階でバケツに入っていたガソリンを撒いて放火(「社員に直接ガソリンを掛けた」とする証言もある)、爆発音と共に黒煙が吹き上がる火災が発生、鉄骨コンクリート造り3階建ての建物を全焼させた。
容疑者については2019年7月20日付で逮捕状が請求された旨が京都府警より発表。同26日に逮捕状内容が「放火による火災で死亡したことが確実な33人の殺害・住居不法侵入・放火」へ変更(変更前の内容は不明)、8月14日までに「35人の殺害、負傷者35人への殺人未遂、現住建造物等放火、等々」の内容で逮捕状が取り直され、事件発生から10ヶ月後の2020年5月27日にようやく逮捕に至った(ソース)。
事件の詳細
当時建物内で勤務していたのは外部スタッフ4名を含めた74名。68名が人的被害を受け、同日午後10時の時点で33名(1F:2名、2F:11名、2F階段:1名、3Fから屋上へ向かう階段:19名)の死亡が確認された。全員が同社の従業員だった。重軽傷者は33名。無事であったのは窓から逃げた人やトイレから救出された人など6名だけで、完全に無傷なのはその内僅か1名だけだった。事件発生当時スタジオ内にいたスタッフとは別に、出勤途中で事件が起き、屋外で救助に当たった男性社員1名が煙を吸って軽症を負った。
被害はその後も拡大し、翌日には1名が、それから8日後には更に1名が死亡。
9月5日、女性7人が入院しており、その内3名が生命の危機にある重篤な病状であり、1名が重体であった事実が公表、2ヶ月半後の10月5日に1名の死亡が公表され、死亡者数は36名となった。
中でも3Fから屋上への階段で倒れていた人が最も多く、京都市消防局によると「屋上に出る扉は閉まっていたが、鍵はかかっていなかった(ソース)」 と発表している。2階ベランダから飛び降りた人は助かっており、咄嗟の判断が生死を分けた。この建物は1F - 3Fまで螺旋階段を設置しており、これが一気に3Fまで火が回った原因でもある。また、建物の規模が小さいためにスプリンクラーを備えておらず、非常階段もなかった(※建築基準法規制には適合している)。尚、後の検証で点火から30秒後には塔屋部で92.5℃、3Fで300℃に達しており(ソース)、店舗などで使われる一般的なロール式防火シャッターでは、作動に到底間に合わない。
7月19日に京都府警は会見を行い、現住建造物放火と殺人事件での立件を視野に入れた100人体制の捜査本部を設置する旨を表明した。下記の容疑者と目される男について、大阪府内の病院で入院加療中の男を、事件の重大さを理由に実名を公表。逮捕前から実名が公表され「容疑者」呼びで報道されるのは異例の措置であるが、それまでの間に一部ネット上で「犯人はNHKディレクターの知り合いである」とか「在日朝鮮人・在日韓国人である」 等々の事実無根の情報が流布した(正しくは後述の通り被害に遭った1人のスタッフの模様)。
第1報が入った時点で、日本では前代未聞のアニメーション制作拠点を狙った放火事件として注目され、被害の全容が明らかになるに連れ、世界各国のアニメファンだけではなく、業界で日々アニメーション制作に携わる声優、監督を始め多くのスタッフ達にも大きな衝撃と悲しみが走った。
事件があった第1スタジオは京アニの主要監督・主力アニメーターが揃っている上に、サーバーセンターが併設されている〈京アニの要〉に相当する施設であった。八田社長は当初「事件当日はNHKが取材に訪れる予定であったため、一時的にセキュリティシステムを解除していた」と説明したが、後に京アニ代理人弁護士は「そのシステム自体が存在せず、普段から無施錠であった」と訂正した(ソース)。よって、NHK取材予定がなくても大被害が出ていたと考えられる。
7月21日の京都市議会での消防局報告によると、スタジオの防火設備は法令に適合しており、前年の査察においても十分と判断された。日頃から防災訓練もされており、2014年度に消防局から表彰もされたほどだった。そもそも現代の建築物は、大量のガソリンが持ち込まれ放火されるような状況は想定していない。そのため、京都市消防局は「京アニ側の防火対策は適切であった」と判断している(ソース)。
報道されている安否不明者の中には著名なスタッフの名も出て来ているが、死亡した被害者の多くは外見ですぐ身元が判別出来ない程損傷が激しく、DNA鑑定などで全員の特定に1週間近くを要し(ソース)個別の安否については同社や警察からは直ぐには公表されておらず、双方共に「被害者家族と協議して時期や表現を判断する」として実名公表を控えるよう要望(ソース)していた。にもかかわらず、解禁前に報道陣が被害者の葬儀に押し掛けたり、献花台に訪問したファンや親族を追い回す被害が発生している。
京都府警は、本件の死亡者の内、8月2日に公表に同意が取れた10人のみ氏名を公表(ソース)、した。8月20日には日本経済新聞社など京都府内に取材拠点を持つ報道機関12社で作る〈在洛新聞放送編集責任者会議〉が「未公表の死亡者の実名を早く公開」するように府警に要求(ソース)、結局京都府警側は残る25人の犠牲者の氏名に関し、20人の遺族から反対があったものの報道側の要請に応じる形で8月27日に全員の名前を公表する事態となった。この公表時期に当たっては、警察庁側から「お盆前を避け全員の葬儀が済んで以降」と指導があった模様(ソース)。
生存した重軽傷者の名前は公表されていない。家族の心痛が深さなどから、京都府警捜査本部は多くの人数を彼らのケアへ当てている(ソース)。名前は公表されていないものの、韓国外交省は「韓国人女性スタッフが1名重傷であった」事実を公表し、領事館が支援する方針を表明した(ソース)。
この事件で被害に遭った社員33名の内、事件から3ヶ月経った2019年10月時点では27名が職場復帰している(ソース)。
犯人について
事件の犯人(本来は容疑者と表記すべきであるが、身柄確保時の状況から彼が犯行を働いた本人であるのは確実であり、容疑者自身も認めているのでこう表記する)は、犯行を起こしたその日に身柄を確保された。
犯行当時、犯人自身も爆発に巻き込まれ、足などに火が着いたまま第1スタジオから逃走した(ガソリンの引火性について詳しくは「ガソリン」の項目を参照)が、社屋から脱出した男性社員1人に取り押さえられ、駆け付けた警察が現場から約100m離れた地点で確保した。
男は「第1スタジオ1Fで液体を撒いて火を付けた」と認め、この時点で、故意による放火事件であった実態が明らかとなった。また男は、侵入した際に「死ね」と叫んだ様子や、警察に確保され「どうしてやったんだ?」と問い詰められると「パクりやがって」「小説を盗んだからやった。社長を呼べ」と叫んだ様子も目撃されたが、この男自身も全身に重いやけどを負って意識不明の重体に陥り、取調べが直ぐに出来る状況ではなかった。11月8日にようやく事情聴取が始まったが、犯行に至った動機は現段階では最初の証言と変わってはいない。当の本人は、「どうせ死刑となる」と開き直っていた様子(ソース)。尚、所持品には20L入り携行缶が2つ、他にも複数の刃物とハンマーが入った手提げ袋があった。
また、数日前からこの男と見られる人物が近隣公園や京都市内のネットカフェで目撃されており、時間をかけて複数のスタジオを下見し隙を窺っていたと見られている。ガソリンの購入については、発電機用燃料を口実としていたらしい(携行缶での購入は例えセルフスタンドであっても従業員を呼ぶ必要がある)。
京都アニメーションには、数年前から批判や殺人予告が度々送られていたそうであるが、今回の事件との関係は不明。容疑者の男は41歳の埼玉県さいたま市在住で、同社に勤務していた実態はない。
男は2002年に下着泥棒の疑いで家宅捜索を受け(ソース)2012年にコンビニ強盗を起こして逮捕・起訴され、3年6ヶ月の実刑を受けた前科持ちであり、出所後は保護観察施設にしばらく滞在していた。男は、強盗事件当時の住居や本件当時の住居でも、アパートの家賃を滞納したり悪臭を発したり、業務用巨大スピーカーを単身者用物件で大音量で鳴らす、退去時にも部屋を破壊する等々のトラブルが絶えず(ソース)、周辺住民が抗議すると脅迫や暴言を浴びせていた。
このような男の前歴や、京アニの作品の多くが原作付であるため「京アニが自分の小説を盗んだ」とする主張には、当然ながら首をかしげるアニメファンも多い。同社は「京都アニメーション大賞」で小説の投稿を受け付けているが、八田英明社長は「この男が過去に応募したことはない」 としていた。だが、後に社内で確認した折に、容疑者の男と同姓同名で住所も一致する人物からの小説応募があった事実が判明、同賞に応募したと思われる小説原稿も容疑者宅から発見・回収された。代理人弁護士によると「形式面の問題で1次審査を通過していなかったため、社内でも情報が共有されていなかった」「(容疑者が応募した作品は)京アニ作品との間に同一または類似する点はないと確信している」と述べている。
この他、男の自宅の家宅捜索では、破壊された巨大スピーカーなどと共に『響け!ユーフォニアム』を始め、京アニ作品のDVDやサイン色紙、関連書籍などが多数押収され、男が京アニ作品に強い関心を持っていた事情がうかがわれる。犯行前に「『響け!ユーフォニアム』のゆかりの場所付近を歩いていた」との証言もある(ソース)。放火に関しては「7年前に犯したコンビニ強盗事件時点で既に強い関心を示していた」とする証言もある(ソース)。
後に取調べで犯人は「これ(放火)なら大勢の人間を殺せると思った」 などと供述している。
重傷を負った犯人は1度京都の病院で応急手当を受けた後、火傷治療技術に国際的な高い定評がある近畿大学病院へ転院。ほぼ全身が焼けた瀕死状態であったが、スキンバンクに登録されている移植用皮膚は「被害者を優先すべき」との病院側の考えもあり、僅かに残った本人の皮膚を培養して移植する方式を採用、上田敬博医師率いる医療チームにより治療が行われた。
3ヶ月後に犯人は会話出来るようになり、当時の主治医が粘り強く話を聞いたのもあり、多少心境の変化があったようである(参照:当時の主治医のインタビュー)。
裁判の動き
治療が一段落付き生命の危険を脱した後、彼は再度京都へ戻されて2023年9月5日、裁判員裁判による初公判が開かれた
公判では『被告の刑事責任能力』が最大の争点となり、2023年12月7日に検察側は被告人への死刑を求刑した一方、弁護側は「妄想性障害による心神喪失か耗弱状態であった」として無罪や刑減軽を主張した。その後、第1審判決では犯行に妄想の影響はほとんど認められず「完全責任能力があった」として翌2024年1月25日に求刑通り死刑判決を言い渡したが、被告人弁護側は翌26日に、京都地裁死刑判決を不服として控訴している。
被害と影響
京アニは作画スタッフのレベルの高さでも知られ、第1スタジオには特にその中でも精鋭メンバーが集まっていた。その作画を支えた優秀なスタッフを多数喪ったり、負傷による長期離脱を余儀なくされた損失から、その被害は相当に甚大であった。
また、第1スタジオにあったこれまでの作品の原画や資料なども多くが失われた。八田社長は当初「第1スタジオにあった資材が火災により全て失われた」と発表していた(ソース)が、代理人弁護士によると、サーバールームは焼損を免れており水も被っておらず、7月29日に専門家によって無事サーバーからデータの取出しに成功した。その中にはデジタル化された原画データ等も含まれていた(ソース)。
死亡者数36人は1938年の「津山事件」の30人(負傷者は3人)を上回り(近代以降の)日本では過去最悪となり、平成以降の放火としても最悪レベルの死者を出した事件となってしまった。
また、事件を受けて、イベントや劇場公開延期や中止も起きている。
- 公開中の映画『Free! Road to the World―夢』で、7月19日より解禁予定であった同作続編情報公開を中止。また、11月に当初2020年7月としていた公開時期延期(時期未定)が正式に発表された。
- 7月20日から開始予定であった『響け!ユーフォニアム』の京阪電鉄コラボイベントを延期し、11月1日からとなった。
- 7月22日、フジテレビのドラマ、監察医朝顔の第3話が放火殺人事件を取り扱う内容だった為、急遽1話と2話のダイジェスト放送に差し替え、表現に配慮しながら編集・演出などを変更した上で7月29日に3話目が放送された。
- 2020年1月に全世界で公開される予定であった『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は「鋭意製作中」として延期され、2020年4月公開予定と発表された。しかし、年明け後のCOVID-19の世界的な大流行の影響で2020年9月18日に再延期され、予定通り同日に公開された。
- 2020年11月3・4日に予定されていた「第4回京アニ&Doファン感謝イベント『届け!京アニ&Doの色々編』」は、9月に正式に中止が発表された。尚、追悼イベントとして「お別れ そして志を繋ぐ式」が11月2日に関係者を招いて行われ、3・4日は一般参列日となった。
- 2020年2月28日に、京アニ版『アニ×パラ』(NHK放送)制作中止を発表。
- 25日には消防庁がガソリンスタンド事業者団体に、京都市消防局が市危険物安全協会などに、同様の事件抑止のため、携行缶でのガソリン販売について身分証確認と、身元や使用目的等の詳細な販売記録作成を要請した。
しかし、埼玉県や香川県などでは、放火をダシとした脅迫事件が起こったり、本事件の手法を真似た「大阪北新地ビル放火殺人事件(被疑者も死亡)」も発生しており、根本的な解決や後世への訓戒には繋がっていないままである。
その後
事件から2日後の7月20日、八田社長は第1スタジオを取り壊す意向を示した。「全焼した建物を見たくないとする人もいると考え、残さずに解体したい」 としており、他には「跡地に碑を建てようとの声もある」と述べている(ソース)。
9月6日に2週間限定公開を予定していた『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝-永遠と自動手記人形-』については事件前日、配給会社・松竹に作品を納品していた事情から、期間を3週間に延長し予定通り公開、キャリアが浅い入社1年未満のスタッフも、藤田春香監督の意向によりエンドロールに名前が記載される流れとなった。
凄惨な事件の現場となった第1スタジオは、事件の後仮囲いがされていた状態であったが、2020年1月から解体作業が開始され、同4月28日に完了。当面は更地のまま立入ができないように塀で囲んでいる。京アニ側は解体後は公園のように整備し、追悼のための祈念碑を建立する意志を示していたが、現場周辺の住民から全員の署名と共に、これに反対する意見が出されている(ソース)。
そして2024年7月14日、京都府宇治市の公園に事件を伝える36羽の鳥が羽ばたく碑が建てられた。
世界での反響
世界的にも「銃器や爆弾を使わずテロリストでもない個人の殺人事件」として重大な事件となったため、アニメファン以外も含む諸外国の人々にも大きな衝撃を与え、各国のメディアで大きく報じられた。SNSでは各国のアニメファンが嘆きや見舞いの言葉を投稿した。中国、フランス、エストニア、アメリカ、ブラジル、ノルウェー、トルコなど各国の領事館・大使館の公式アカウントは一斉に見舞いやお悔やみのコメントを発表し、国連グテーレス事務総長、カナダのトルドー首相、台湾の中華民国総統・蔡英文なども声明を出した。
ベルギー大使館はタンタン、ラッキールーク、スマーフなどのキャラが黙祷を奉げるイラストをツイッター上で公開した。(件のツイート)
また、21日にはロシアのモスクワで行なわれたイベントにおいて、およそ280人のアニメファン達がこの事件の犠牲者達に黙祷を捧げて追悼した。
同業のディズニーが「社員一同ショックを受け、心を痛めています」と日本語で声明を出した他、京アニ作品も配信する中国の動画サイト「ビリビリ動画」は京アニへの直接支援を表明。同サイトのコメント欄は「祈福」(お見舞い申し上げます)「京阿尼挺住」(京アニ諦めないで)などのコメントで溢れかえった。Appleのティム・クックCEO、フィギュアスケート選手のジョニー・ウィアー氏など財界人や各界の著名人もお悔やみを述べた。
アメリカで京アニ作品配給を担うSentai_Filmworksは事態を重く受止めて、すぐさま50万米ドルを目標とした復興支援クラウドファンディングを実施。Twitter上でも#PrayForKyoaniのハッシュタグと共に瞬く間に共有され、寄付も続々と集まった経緯から、目標金額も75万米ドルに引上げられている。Adobeも5万ドル(1ドル=108円換算で、およそ540万円)の寄付を申出た(ソース)。
2020年1月25日(現地時間)に、アメリカ、ロサンゼルスで行なわれた第47回アニー賞の追悼コーナーで犠牲者の追悼と短編作品「バジャのスタジオ」上映が実施された。(ソース)
日本国内の反響
日本国内でも多方面のクリエイター、著名人が本件へのお悔やみを述べた。
安倍晋三首相兼自由民主党総裁(当時)や立憲民主党代表(当時)・枝野幸男を始めとする与野党党首・多くの国会・地方議員が、参議院議員通常選挙戦の最中、相次いでお悔やみコメントを出した。
アニメ業界では、アニメイトがお知らせで「アニメイト各店舗で募金箱を設置する」と発表した(発表当時は募金終了の時期は未定としていたが、9月1日をもって終了した)。設置当時は日本国内でこの他に義援金の送り先が全くなかったため、既に初日から募金箱がギッシリ埋まる程来店客からの募金が集まっている(アニメイト募金箱は透明式となっており、募金箱の中にはお札が多く入っていることが珍しくないことがツイッターなどでアップされている)。
京アニ自身も、多数の寄付申出の声に応え寄付受付を開設した。参照
XJAPANのYOSHIKIも1000万円を寄付(ソース)。私企業への寄付は所得税の課税対象となることから、超党派議員で作る漫画アニメ文化を支援する議連「MANGA議連」は菅義偉官房長官に同社への支援を要請(ソース、ソース)、菅も「義援金の受け入れに関して課題がある..しっかりサポートしていきたい」としている(ソース)。
また、鳥取県と岩美町も『Free!』で舞台設定での関わりがあったために、今回の放火事件での事態を重く見ており、県と観光協会が県内各地に募金箱を設置して義援金を募っている。
9月6日、京都アニメーション公式ページにおいて、義援金口座に寄せられた義援金全額を京都府へ移管し、配分などを府が開設した配分委員会による配分が発表、9月20日付で移管された。合わせて、寄せられた義援金は「特定寄付金」として、税法上の優遇措置が受けられた(ソース、ソース)。
京都府に移管された義援金口座は、10月31日で受付終了すると「配分委員会最初の会合を11月12日に実施する、これまでに集まった義援金は暫定集計で32億円を超えた」などの情報が発表されている。(ソース)
2019年12月27日、京都府知事定例会見の場で「義援金が最終的に33億4138万3481円となり、その全額を犠牲者遺族及び負傷者に配分する」決定を発表した。遺族の家族構成や負傷の度合い、仕事への影響などを勘案して基準を定める方針(ソース)。
また2020年2月の会合で、事件発生当時第1スタジオにいて、負傷を免れた1名についても義援金配分対象者とする決定が発表された。これにより配分対象者は70名となる(ソース)。
『たまこまーけっと』のうさぎ山商店街モデルとなった、京都の桝形商店街はアーケード内にメッセージを掲示した(ソース)。
8月16日、松竹マルチプレックスシアターズが「京都アニメーションの皆様が生み出した、数多くの素晴らしい作品を映画館大スクリーンでお客様に観て頂く機会を作りたい」との趣旨で『京都アニメーション特集上映(いわゆる「リバイバル上映」)』の開催を発表、8月23日から「新宿ピカデリー」、「MOVIX京都」で上映開始された(ソース)。特にMOVIX京都は京アニの地元であるのもあり、1作品を1週間ずつ、合計18作品に渡り上映が開催される(ソース)。
犯人の主張に関して
単刀直入に完全に犯人の言い掛かり・被害妄想である。
容疑者の逮捕後の調べで、彼が「(応募作を)パクられた」と主張する作品の具体的なタイトルが出てきているが、京アニ側は「(自社作品が応募作と)似る余地はなかった」と全面否定している。更に容疑者が投稿した小説は内容以前に応募規定を満たしていなかったために選考に進むことなく落とされており、京アニ関係者の目に触れることはなかった模様(ソース)。京都府警は「パクられた」との主張を一方的な言い掛かりと見ている(ソース)。※此の様な事情から、作品応募する際は規定参照の上で行って欲しい。
また、仮に京アニが容疑者投稿作をヒントに脚本を作っていたとしても、彼の言い分が認められる可能性は極めて低い。「ボツ作品を(出版社などに)盗まれた」と主張するデビュー前の作家は多いが、仮に落選作を部分的に参考にしていたとしても(道義的にはともかく)法的には問題がないとされる裁定がほとんど(参照)。「著作権」「パクリ」の記事に詳しいが、設定やストーリーラインから細部の表現までほとんどが一致している(=丸々パクっている)ような作品ならばともかく、ジャンルや大まかなストーリー展開は勿論、セリフの部分的な一致、キャラクターの属性が共通している程度では盗作には当たらない。そもそも、上記のような作品の細部が偶然一致するのは良くある流れである。
この事件以降、京アニは「京都アニメーション大賞」開催を停止し、「企画資料等をご送付いただいた場合、原則として開封せずに廃棄させて頂きます」としている。
投稿した小説の作品名
・「ナカノトモミの事件簿」
・「リアリスティックウエポン」
※いずれも応募規定を満たしていないため落選。
犯人がパクられたと主張する京アニ作品の場面
犯人の小説 | 京アニが制作した作品 | |
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① | 垂れ幕が登場する。 | 「水泳部地方大会進出」と書かれた学校の垂れ幕が風に吹かれ、下に柔道部の垂れ幕が見える(free!)。 |
② | ヒロインが5割引きの総菜を買い漁る。 | 登場人物が肉を買い物かごに入れる際、別の人物が2割引きの肉を発見する(ツルネ-風舞高校弓道部-)。 |
③ | 担任教師が男子高校生に「このままじゃ留年だ」と警鐘を鳴らす。 | 女子高校生が後輩に「私、留年したよ」と打ち明ける(けいおん!)。 |
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放火 火災 殺人 ガソリン 京都アニメーション PrayForKyoani 無敵の人
月刊ニュータイプ:「京都アニメーション大賞」に類似したpixiv投稿連動企画がある。
東映アニメ不正アクセス事件:同じくアニメ会社を襲った実際の事件。ただし、こちらは犯人のハッキングによるもの。
ルックバック:本事件が元ネタとされる展開が起きる。公開日日付も近い。
ザ!世界仰天ニュース:犯人の火傷治療をした医師・上田敬博氏のエピソードが2024年4月30日放送分で取上げられる。
パルワールド炎上騒動:この放火事件の影響で任天堂やポケモンはパルワールドに対して、著作権での訴訟は断念さぜるをえなかったとする説がある。