概要
ヴァイオレット・エヴァーガーデン(Violet Evergarden)とは、暁佳奈(あかつき かな)によるライトノベル作品の名称である。KAエスマ文庫から発行されている。京都アニメーション大賞で初となる「大賞」を受賞した作品。
自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)と呼ばれる代筆屋の少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデンを主人公として、彼女の生い立ちや現在の代筆屋としての活躍をもとにした物語が綴(つづ)られている。
2015年12月25日に初版が売り出され、現在までに上下巻あわせて2巻が発行されている。また、2018年3月23日には、ヴァイオレットの新たな物語やスピンオフ(外伝)を織り込んだ『外伝』も発行されているほか、2020年3月27日には小説における最終巻として『エバー・アフター』が発行された。イラストはいずれも高瀬亜貴子が手がけている。
2018年1月、京都アニメーション制作のTVアニメが放送され、翌19年9月に外伝となる劇場アニメが公開された(⇒『永遠と自動手記人形』)。完全新作の劇場版も2020年4月25日に公開予定であったが、COVID-19流行の影響を受け公開延期が決定、2020年9月18日から公開された(⇒『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』)。
小説と劇場版、来場特典のif番外編を含めて結末がちがうケースもあるが、原作者・暁佳奈は「この小説にはいくつかのルートがあり、20歳になってもヴァイオレットが自動手記人形を辞めないルートもある」とコメント(後述)している。
ストーリー
とある大陸の、とある時代。
大陸を南北に分断した大戦は終結し、世の中は平和へ向かう気運に満ちていた。
戦時中、軍人として戦ったヴァイオレット・エヴァーガーデンは、軍を離れ大きな港町へ来ていた。
戦場で大切な人から別れ際に告げられた「ある言葉」を胸に抱えたまま———。
街は人々の活気にあふれ、ガス灯が並ぶ街路にはトラムが行き交っている。
ヴァイオレットは、この街で「手紙を代筆する仕事」に出会う。
それは、依頼人の想いを汲み取って言葉にする仕事。
彼女は依頼人とまっすぐに向き合い、相手の心の奥底にある素直な気持ちにふれる。
そして、ヴァイオレットは手紙を書くたびに、あの日告げられた言葉の意味に近づいていく。
TVアニメ版
京都アニメーション制作によるTVアニメ化が発表されてから、長らく放送時期などが未定であったが、2017年6月に放送時期が2018年1月開始予定であることが発表された。それとともにプロモーションビデオ第1弾やキャスト等が公開され、あわせてTVアニメ版の公式サイトと公式Twitterアカウントも開設。監督やキャラクターデザインなど、CM制作に関わったスタッフも続投されている。
ネット配信に関しては、世界同時配信となることも発表されており、本編の放送・配信前にはワールドツアーを開催している。
2017年7月2日にロサンゼルスで行われた「Anime Expo2017」を皮切りに、日本を含む4か国で先行上映イベントが行われた。また、国内においては2017年10月21日に京都で行われた「第3回京アニ&Doファン感謝イベント 私たちは、いま!!-2年ぶりのお祭りです- 響け!京都から世界へ編」にて、第1話・第2話が上映されている。
本編はNetflixで配信中。
2018年1月から4月上旬にかけて、TOKYOMXに加えてBS11やテレビ愛知(テレビ東京系列局)とか朝日放送(テレビ朝日系列局)、さらには北日本のテレビ朝日系列局のごく一部にて放送された。
2018年7月1日に行われたフィルム&コンサートイベントにおいて、完全新作劇場版を2020年1月に世界同時期公開されるはずだったが、2019年7月18日に起こった痛ましい事件の影響を受け、公開時期を延期した上で「鋭意製作中」と再告知され、2019年11月9日に2020年4月公開予定と正式発表されたが、先述の通りCOVID-19対策により2020年9月へと再延期がなされた。
2019年4月19日に、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』を2019年9月に劇場公開することが発表された。7月27日 には、外伝の公式サイトがオープン。9月6日から劇場での公開がなされている。当初は2週間限定公開の予定だったものの3週間へと変更、その後4週目以降も上映延長された。
アニメ放映から2周年を迎えた2020年1月10日には、公式TwitterアカウントにてTVシリーズの再放送が決定したことが発表されており(当該ツイート)、2020年4月からTOKYOMXのほかBS11や朝日放送において再放送された。
2020年9月18日、劇場版が公開された。また同時に外伝のNetflix配信も開始。
2021年10月29日、全13話を約2時間程度にまとめたヴァイオレット・エヴァーガーデン特別編集版が日本テレビ系列局(ほか)の「金曜ロードショー」で放送された。なお、その結果、(ダイジェスト版ではあるものの)鳥取県、岡山県、香川県、徳島県以西の地域では地上波初放送となった。その翌週11月5日には外伝も同じ「金曜ロードショー」にて放送される。
TVアニメ版スタッフ
原作者 | 暁佳奈 |
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監督 | 石立太一 |
シリーズ構成 | 吉田玲子 |
キャラクターデザイン | 高瀬亜貴子 |
音楽 | Evan Call |
アニメーション制作 | 京都アニメーション |
制作 | ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会 |
放送期間 | 2018年1月~3月(本放送)、2020年4月〜6月(再放送) |
CMスタッフ
絵コンテ・演出 | 石立太一 |
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キャラクターデザイン・作画監督 | 高瀬亜貴子 |
動画検査 | 黒田比呂子 |
色彩設計 | 米田侑加 |
特殊効果 | 三浦理奈 |
美術 | 渡邊美希子 |
3D美術 | 鵜ノ口穣二 |
撮影監督 | 船本孝平 |
各話リスト
話数 | サブタイトル |
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第1話 | 「愛してる」と自動手記人形 |
第2話 | 「戻って来ない」 |
第3話 | 「あなたが、良き自動手記人形になりますように」 |
第4話 | 「君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ」 |
第5話 | 「人を結ぶ手紙を書くのか?」 |
第6話 | 「どこかの星空の下で」 |
第7話 | 「 」 |
第8話 | (サブタイトル無し) |
第9話 | 「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」 |
第10話 | 「愛する人はずっと見守っている」 |
第11話 | 「もう、誰も死なせたくない」 |
第12話 | (サブタイトル無し) |
第13話 | 自動手記人形と「愛してる」 |
番外編 | きっと"愛"を知る日が来るのだろう |
※番外編はBD/DVD4巻に収録(第4話と第5話のあいだの時系列)。のちにNetflixでも配信。
登場人物
こちらを参照→ヴァイオレット・エヴァーガーデンの登場人物
主題歌
オープニングテーマ
「Sincerely」
作詞 - 唐沢美帆 / 作曲 - 堀江晶太 / 編曲 - 堀江晶太・Evan Call / 歌 - TRUE
エンディングテーマ
「みちしるべ」
作詞 - 茅原実里 / 作曲・編曲 - 菊田大介(Elements Garden) / 歌 - 茅原実里
「Believe in...」(TVアニメ版9話)
作詞 - 結城アイラ / 作曲・編曲 - Evan Call / 歌 - 結城アイラ
プロモーションビデオ
「Violet Snow」
作詞 - 西田恵美 / 作曲・編曲 - 川崎里実 / 歌 - 結城アイラ
劇場版
外伝-永遠と自動手記人形- 主題歌
「エイミー」
作詞 - 茅原実里 / 作曲・編曲 - 菊田大介(Elements Garden) / 歌 - 茅原実里
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 主題歌
「WILL」
作詞 - 唐沢美帆 / 作曲・編曲 - Evan Call / 歌 - TRUE
劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン エンディングテーマ
「未来のひとへ」
作詞 - 唐沢美帆 / 作曲・編曲 - 川崎里実 / 歌 - TRUE
用語解説
自動手記人形(オート・メモリーズ・ドール)
「代筆業」を生業とする者たち(その多くは女性)につけられる呼び名。略称は「ドール」など。
その名称の語源は、機械人形の権威であるオーランド博士が開発した、肉声の言葉を書き記す「代筆」をこなす機械人形に由来している。
機械の代筆人形が普及している現在でも、徹底された淑女としての振る舞いや依頼人の気持ちを汲み取る細やかな気配りなどによって高い評価を受けている。
大陸を別った戦争の終結後に、軍を退官したクラウディア・ホッジンズが立ち上げた新規参入の郵便社。ライデンシャフトリヒの首都、ライデンの小路に建物を構える小さな会社で、風見鶏を掲げた尖塔と赤煉瓦の外壁が目印。
建物は3階建てで、それぞれ1階が郵便受付、2階が事務室、3階の尖塔が社長の住宅となっている(なお、TVアニメ版では2階建ての邸宅を改装した造りになっている)。
ほかの多くの郵便社と同様にビジネスの一環として代筆屋の手配も行っており、ヴァイオレットやカトレアをはじめとした数名の代筆屋を抱えている。
大陸戦争
物語の数年前に終結した、かつてテルシス大陸全土を巻き込むほどの発展を見せた大戦。
戦争の発端は大陸の南北に位置する諸国間の貿易問題に起因し、資源的に優位に立つ南側諸国が行った経済支配に耐えかねた北側諸国が団結して南進したことによって始められる。
開戦当初は南北諸国のみの様相であったが、そこへ宗教対立を抱えていた西と東の諸国が加勢する。かねてから北側諸国と親交の深かった東の諸国は北側と協力関係を結び、対する西の諸国も呼応するように南側と同盟関係を結ぶ。
こうして戦争は、ガルダリク帝国などを中心とする北東同盟と、ライデンシャフトリヒを中心とする南西同盟による総力戦へと発展し、それぞれ貿易条約の見直しや武力侵攻の賠償、巡礼地の明け渡しなどを求めて大陸の各地で激しい戦闘を繰り広げることになる。
大戦は南西同盟に優勢な状態で終戦を迎え、平和条約も結ばれようとしている。しかし、大戦中の多数の死者や、和平に反対する勢力など、その余波は現在でも大陸の全土に影を落としている。
ブーゲンビリア家
ライデンシャフトリヒの建国当初から続く由緒正しき名家で、国土防衛の要を担う「辺境伯」のひとつに数えられている。
初代当主は類い稀な剣技と優れた軍事戦略で国を幾度となく救った英雄、ラチェット・ブーゲンビリア。子孫は代々、その栄光のもとに陸軍の士官になることを習わしとしている。
現在は第26代当主、ギルベルト・ブーゲンビリアが当主を務めている。なお、元来はギルベルトの兄ディートフリートが後を継ぐはずだったが出奔(しゅっぽん)してしまった。
郵便社
物語の舞台になるテルシス大陸では郵便物の配送は一元化されていないことから、さまざまな企業が独自に会社を立ち上げて配達業を行っている。利用者は料金や配達可能区域などから自分で会社を選び、郵便を配達してもらう形をとっている。
また、会社によってはサイドビジネスとして代筆屋(自動手記人形)の手配を行うところもある。
ライデンシャフトリヒ
テルシス大陸の南側に位置する海洋国家。首都はライデン。年間を通して温暖な気候に恵まれている。古くから天然資源と貿易によって栄えてきた歴史を持ち、それに支えられた豊かな国力を持っている。
国力の豊かさゆえに周辺諸国からの脅威も多く、他国からの直接侵略や通商破壊を阻止するために、大陸有数の強大な軍事力を保有している。
物語のルート
なお、アニメ化にあたって設定から変更されている箇所も多く、アニメシリーズと原作は根本的に世界線が違うとされている。原作のヴァイオレットはアン・マグノリアが大人になった頃でも「現役である」と語られている。アニメでもTVアニメ、『永遠と自動手記人形』のヴァイオレットは大人になっても現役であるのに対し、『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のヴァイオレットは18歳で引退している。
関連動画
原作小説コマーシャル 第1弾(2016年5月)
原作小説コマーシャル 第2弾(2017年3月)
TVアニメ版プロモーションビデオ 第1弾(2017年6月)
TVアニメ版プロモーションビデオ 第2弾(2017年8月)
TVアニメ版プロモーションビデオ 第3弾(2017年10月)
TVアニメ版プロモーションビデオ 第4弾(2017年12月)
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』予告(2019年8月)
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』本予告(2020年6月)
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』本予告第2弾(2020年9月)