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聖地巡礼

せいちじゅんれい

聖地を訪ねること。 ここでは、本来の意味の聖地巡礼とアニメ・漫画などの舞台や有名人の出身地を訪ねる聖地巡礼の両方を扱う。
目次 [非表示]

本来の意味での聖地巡礼

本来の聖地巡礼は、宗教聖地を訪ねることをいう。


世界的にはキリスト教徒によるエルサレム巡礼、カトリック教会のローマバチカン)またはサンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)巡礼、イスラム教徒によるメッカ巡礼などが有名。これらの巡礼は単独の目的地を目指すものがほとんどで、目的地一帯を除き、そこまでのコース自体には宗教的意義は特にないのが基本である。

日本においては、仏教各宗派の本山や古代以来の著名なを参拝する、外国にもよくあるパターンも多い。善光寺参りや、伊勢神宮に参拝するお伊勢参りなどが有名。

また、お互いに遠く離れた複数の目的地をめぐるコースがあり、コース自体に宗教的意義を持つものも多い。弘法大師空海ゆかりの寺をたずねる四国八十八箇所お遍路)巡り、一般的に言うお遍路や、熊野詣でが特に有名。ご近所にもあるかもしれないので、年配の方に聞いたり、図書館やネットで調べるのもよいだろう。

更に、アイドルミュージシャンなどといったアーティストの出身地や故郷の名所(ファン的な意味で)を巡る旅も彼(女)等の中でこう呼ばれる。


もうひとつの意味で“聖地巡礼”

pixivにおいては、圧倒的にこれを指すことが多いが、これは昔から行われてきたある種、狭義のツーリズムの派生行為である。ツーリズムとは汎用的に旅行、観光を指す言葉で今日、観光業界では体験型観光という意味で持たれることが多いが、もともとは「ある目的を持って観光、旅行すること」を指す言葉であり、ここでは文化や芸術の舞台に憧れ、その地を訪れる行為を示す。


古く平安時代には和歌(特に万葉集)の歌枕を求める旅が盛んに行われ、それらの地を歌垣と呼び、先賢になぞらえて自分たちが歌を詠み直したりすることが風流人の間で始まっていた。和歌歌枕を求める旅はあくまで貴族階級の間だけであったが、ファン心理から大衆文化の舞台を訪ねる行為は江戸時代になって庶民にも花開いていき、ツーリズムが始まっていく。特に東海道中膝栗毛は大ヒットし、多くの者を旅先にいざなったといわれ、作品に登場した箱根や伊勢は一大観光地となった。そして明治になって関所が廃止され、自由な往来が許されると、交通網の整備も進んでいき、遠くを訪れる行為も容易になった。近代での代表的な作品が尾崎紅葉金色夜叉であり、これによって熱海温泉を訪れる者が続出、熱海は一大観光地になった。また、金色夜叉と並ぶ近代の大ヒット作品、徳冨蘆花の『不如帰』も、メインシーンに伊香保温泉が登場し、人気の地となっている。


小説映画ドラマなどの舞台に観光客が訪れることは珍しくなくなり、ヒット作は町おこしにしばしば用いられてきた。映画、テレビの時代になると交通網の整備も伴って、大河ドラマ連続テレビ小説のように地域経済に大きな影響を与えるものも出てきた。


映画では『男はつらいよ』の東京都葛飾区柴又、『二十四の瞳』の小豆島、『ゼロの焦点』の能登半島、『東京物語』や『時をかける少女』の広島県尾道市、一大スキーブームを巻き起こした『私をスキーに連れてって』の万座、志賀高原などは小説や映画などのメディアの大ヒットで多くの者が現地を訪れるようになっている。テレビ小説では『おしん』の舞台となった山形県尾花沢市銀山温泉、『ちゅらさん』の舞台となった沖縄県、『マッサン』の舞台となった広島県竹原市などがその代表例である。大河ドラマでは『武田信玄』の舞台となった山梨県甲府市や『独眼竜正宗』の舞台となった宮城県仙台市の経済効果は計り知れないものであった。ドラマでは他に『北の国から』の北海道富良野市、『夢千代日記』の舞台となった兵庫県の湯村温泉などが著名である。これらのもの、特に映画によるものをフィルムツーリズムといい、以下に上げる聖地巡礼はこれらの亜種であると見做されており、これらを含めて学術論文などに用いる専門用語ではコンテンツツーリズムあるいはロケツーリズムと呼ぶようになっている。


インターネットが普及すると、アニメ漫画などの舞台となっている場所が特定されるようになり、それらの場所を訪ねる行為が作品ファンの間で「聖地巡礼」と称してブームになった。下山ダッシュを世に認知させた『究極超人あ~る』のOVA(1991年)で、原作に登場する温泉があるとされるJR飯田線田切駅にはファンノートが置かれ、聖地として活性化したなどの例がある。


同じく聖地巡礼の初期ムーブメントとして取り上げられる『天地無用!』シリーズ(1992年~)は先発・後発となる他作品の聖地巡礼と比して少し特殊な例。このシリーズではキャラクターやアイテムの名前を作者である梶島正樹の出身地(作品の舞台地)である岡山県の地名から取っており、結果として画面に登場した場所(実際のロケ地)のみならず、キャラクターやアイテムの名前の由来となった場所(キャラと同名の地。作品そのものには登場しない)をも作品の関連地として訪ねるケースが出た。そして制作会社がこれらを取りまとめて公表し「(天地無用!シリーズの)聖地」として販促キャンペーンに利用した。コンテンツ側が「聖地巡礼」の意図的な活用を目指した(そして作品のファンもソレに乗った)初期例として知られる。


世間に認知されるようになったきっかけは、水木しげる自らが関わった生まれ故郷鳥取県境港市を活性化させようと始めた「水木しげるロード」の整備(1993年~)とその成功である。これによってアニメ、漫画も決して侮れない観光資源であることが自治体に認知され始める。他に青山剛昌の出身地である鳥取県北栄町(当時は大栄町)、藤子不二雄Aの出身地である富山県氷見市、尼子騒兵衛の出身地である兵庫県尼崎市、横山光輝の出身地である神戸市長田区などがある。ただ、どちらかというと作品の舞台というより、作者の生まれ故郷やゆかりの場所が重視される傾向があった。


しかし2000年後半頃からアニメ作品の舞台を巡る聖地巡礼が活発化し、埼玉県久喜市(『らき☆すた』)、茨城県大洗町(『ガールズアンドパンツァー』)、福井県あわら市(『ちはやふる』)などの自治体、または都道府県単位では鳥取県のほかに広島県(『かんなぎ』等)、岐阜県(後述の『君の名は』等)など積極的、意欲的な自治体も現れている。2012年3月7日NHKの『クローズアップ現代』で聖地巡礼の特集が組まれて放送され、番組内では経済効果や問題点、アニメ事情などが紹介された。


2016年には、『君の名は。』の大ヒットの影響で、作品の舞台となった場所(岐阜県飛騨高山エリア)を巡る聖地巡礼が大きな盛り上がりを見せ、「聖地巡礼」がその年のユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に選定されるまでになった。


近年では『ゴールデンカムイ』の影響力に目を見張るものがあり、作品に登場した北海道の至るエリアが聖地として採り上げられている。同作は北海道庁などが全面的にバックアップしており、イベントやスタンプラリー、グッズ販売などを行っている。


ほかに庵野秀明の生まれ故郷であり、『シン・エヴァンゲリオン』の舞台となった山口県宇部市、『進撃の巨人』の作者、諫山創の生まれ故郷である大分県日田市などもよくニュース記事で採り上げられ、聖地巡礼による経済効果を標榜している。


聖地巡礼が定着することによって、町おこしの材料に使われることも多くなった一方、マナーの悪さが問題視されることも多くなった(特にオタク向け作品)。詳細については聖地巡礼やご当地化に厳しい作品一覧に記述されているので割愛するが、そこを本当に“聖地”と思っているのならば、節度を持って臨んでいただきたい。


また、作品等の直接の舞台にはなっていないがTVアニメの制作会社の所在地や番組スポンサー(特に玩具メーカー)の本社を訪れることも聖地巡礼の一つとしてもあげられる。


主な聖地巡礼の対象(作品の舞台)

北海道東北地方

北海道

青森県

岩手県

宮城県

山形県

秋田県

福島県

関東地方甲信越

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

23区

東京西部・離島

神奈川県

山梨県

長野県

新潟県

北陸地方

富山県

石川県

福井県

中部地方

岐阜県

静岡県

愛知県

近畿地方

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

中国地方

岡山県

鳥取県

広島県

島根県

山口県

四国地方

高知県

香川県

(※1)ロケ地ではないがうどん県キャンペーンの一環としてコラボした際にヤドン県として認定された事をきっかけとして、県内各所にヤドンマンホールを設置。綾歌郡綾川町(綾川駅近隣)にヤドン公園を開園整備している。

(※2)ロケ地ではないが登場キャラクターが観光・移住のPRキャラクターとして認定されているため

愛媛県

九州地方

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

海外

その他


主な聖地巡礼の対象(芸能人などの出身地やゆかりの地)

北海道東北

北海道

青森県

宮城県

関東

栃木県

群馬県

千葉県

東京都

神奈川県

近畿

和歌山県

中国四国

岡山県

愛媛県

九州沖縄

鹿児島県


珍しい聖地になった例




かつては聖地扱いされていたが、廃れてしまった例

  • 新潟県西蒲原郡黒埼町(現・新潟市西区)ときめき東/西(ときめきメモリアル1997年新潟交通電車線に「ときめき駅」が設置された際、名前つながりということで全国からファンが来訪。駅ノートに同作の登場人物が大量に描かれたり、持参したポスターをバックに記念撮影したり(新潟交通も半ば黙認していた模様)するなどの盛り上がりを見せた。しかし、その後同線は1999年に廃止。しばらくは駅施設はそのまま残っていたが、それも2010年頃までに解体撤去されてしまい、現在はその面影を窺い知ることはできない。

外部リンク

舞台探訪アーカイブ

アニメツーリズム


関連イラスト

【聖闘士星矢】地上の歩き方 聖域【聖域巡礼本】くまモンのぶらり旅~人吉~


関連タグ

聖域 聖地探訪 訪れてみたい日本のアニメ聖地88

ご当地アニメ:アニメの聖地巡礼地の自治体がアピールやコラボレーションに積極的な場合の記述。聖地があっても定義上ご当地アニメにならない例もある。

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