概要
2007年7月14日に公開。『ダイヤモンド&パール』シリーズでの劇場版第1作であり、次作の『ギラティナと氷空の花束 シェイミ』と次々作『アルセウス 超克の時空へ』と物語が繋がる3部作構成になっている。
タイトルは発表当初は『ディアルガVSパルキア』までだったが、後に幻のポケモン・ダークライが加わった。
前売り券配信は、歴代映画主役ポケモンで行われた人気投票の結果で決まったデオキシス。
また、本作からは映画館でもワイヤレス通信で配信が行われるようになった。本作での配信ポケモンはもちろんダークライで、本作に絡めてときのほうこうやあくうせつだんを覚えているほか、ナゾのみを持っている。
来場者特典のポケカにおいてもダークライは上記の技が使える上にナゾのみを持っているが、ナゾのみ自体は劇中ではダークライと一切関わりはなく、おそらくは10周年記念ということでレアなきのみが選ばれたのだろう。
ちなみに、このカードは『ポケモンカードゲームDP 映画10周年記念プレミアムシート』を完成させる最後の1枚なのだが、他の9枚とは違って劇場版にちなんだ図鑑説明は記述されていない(ネタバレになるので当然といえば当然か)。
興行成績
公開同日には前年のドラマ版で高視聴率を記録し、高い子供人気を誇り期待されながら映画化を迎えた「西遊記」も公開初日を迎え、2つのファミリー向け作品が激突するという構図であった。すでに高い認知度と実績を誇るポケモンとはいえ、プロモーションや上映館数で言えば西遊記のほうが圧倒的に上であり、かつ当時は今よりまだアニメ映画の地位が低かった時代ということもあり子供だけでなく大人層の観客も期待される西遊記に軍配が上がるという下馬評が強く(おまけに当時はミュウツーの逆襲を劇場で観た世代もまだ中学~大学生ぐらいであり、まだポケモンは親子2代の支持とは当然言えなかった)、山寺宏一氏も「負けると思った」のこと。
しかし蓋を開けてみれば公開初週で観客動員数で西遊記に40万人以上の差をつけ、10作目にしてシリーズ初の興行収入ランキング1位(1週目)に輝いた。本作以降、10年後の2017年に公開されたキミにきめた!まで興行収入ランキング1位を記録することはなかった。
2週目以降も「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」、「オーシャンズ13」、「ダイ・ハード4.0」、「トランスフォーマー」などといった強力ラインナップにはさまれながらも興行収入をのばしていき、最終的にはルギア爆誕以来の50億円越えとなる50億2000万円の興行収入をたたき出した。
25周年映画祭
2022年夏には25周年ポケモン映画祭と称し歴代作品の人気投票が行われ、本作は3つの再上映作品のうち一つとして選ばれた。
上映期間は8月26日(金)~9月1日(木)、日替わり上映が9月2日(金)~9月8日(木)
入場特典として、『シールド』でディアルガ、もしくは『ソード』でパルキア、そしてワールドキャップを被ったサトシのピカチュウをシリアルコードで貰うことができた。
歴代のポケモン映画の中でも特に人気の高い作品ではあるが、ファンの多い作品の宿命か、「分不相応にも神と並べられるダークライの扱い」や「パルキアに対するサトシの言動」などネタにされる事も少なくなく、公開から15年以上経った現在でも言及される機会は多い。
ストーリー
次のポケモンコンテストに参加するため、アラモスタウンへやってきたサトシたちは、町でアリスという可憐な女性と出会った。アリスに町のランドマークである「時空の塔」や水と緑が豊な美しい庭園に案内され、すっかり観光気分のサトシたちだったが、そこで一行は何者かによって庭園があらされているのを発見する。そこへやってきたのは、この町の有力者アルベルト男爵。庭園をあらしたのは、幻のポケモン・ダークライのしわざにちがいないと自信ありげに語るアルベルト。やがて不気味な影の中から、サトシたちの前に漆黒のポケモン、ダークライがこつぜんとその姿を現したのだった。
はたして、ダークライは敵か? それとも味方なのか?
(公式サイトより引用)
登場ポケモン
ディアルガ | なし |
---|---|
パルキア | なし |
ダークライ | 石坂浩二 |
ベロベルト | 山寺宏一 |
ドダイトス | 馬場裕之 |
ゴウカザル | なし |
エンペルト | 三宅健太 |
ドンカラス | 逢坂力 |
フワライド | 能登麻美子 |
ウパー | 西優子 |
キマワリ | 中塚玲 |
ペリッパー | 伝坂勉 |
ルリリ | 寺谷美香 |
マリル | 佐々木日菜子 |
マリルリ | 座光寺知幸 |
コリンク | 植竹香菜 |
ルクシオ | 佐藤智恵 |
ドーミラー | 仁科洋平 |
ゲストキャラクター
アリス | 加藤ローサ、能登麻美子(幼少時代) |
---|---|
トニオ | 山本耕史、阪口大助(幼少時代) |
アルベルト男爵 | 山寺宏一 |
ダイ | 秋山竜次 |
カツミ | 山本博 |
マキ | 中川翔子 |
アリシア | 鈴鹿千春、能登麻美子(幼少時代) |
ゴーディ | 三宅健太 |
売店のおじさん | 三浦博和 |
トレーナー | 相馬幸人、中西英樹 |
用語
- アラモスタウン
周囲を湖に囲まれた島の上に建てられた街。欧州の建築様式を思わせる建造物が特徴で、街のシンボルである時空の塔と庭園は天才建築家のゴーディによってデザインされた。アルベルト男爵はこの街の名士である模様で、アリスの気球を使って街のガイドをやっている。
サトシ達が訪れた時期にはちょうどお祭りが開催されており、そこでは三日月の羽が売られていた。
市街地の裏路地にはブニャットが、庭園にはポッポやピジョットをはじめとする鳥ポケモン、コリンクやヌオー、マリルリなどが生息している。なお、この庭園に住むエルレイドはアリスと顔馴染みの模様。アリシアが子供だった時代にはレントラーが生息していたようだ。
シンオウ地方の地図上では谷間の発電所の南部にあり、北海道の地図上の位置では富良野か芦別辺りにある。モデルはスペインのバルセロナ。
- 時空の塔
左を空間を象徴する空間の塔、右が時間を象徴する時間の塔で構成している街のシンボル。
一定の時間になると美しい曲が流れて時間を知らせる役割があり、内部にはポケモンコンテストの会場やトニオの研究室がある。また、曲の内容は機械室にセットする「音盤」によって異なる。
中央ホールには草笛を吹くアリシアの彫刻があり、アリシアの周囲をエルレイド、ザングース、トリトドン、ドクケイル、アゲハント、リーフィア、グレイシア、エレキブル、ブーバーン、プラスル、マイナン、ハブネーク、サーナイト、バルビートの彫像が取り巻いている。
モデルはサグラダ・ファミリア。
- オラシオン
ゴーディの日記に描かれていた謎の単語で、未来に起こる何らかの危機の為にゴーディが遺したものらしい。
その正体はアリスが祖母アリシアから教わった草笛の曲の事であり、時空の塔にオラシオンを記録した音盤が遺されていた。この曲は荒んだポケモンの心を癒す力があるとされる。
劇場版第20作『ポケットモンスターキミにきめた!』では歌詞が付けられ、「オラシオンのテーマ~共に歩こう~」のタイトルでEDテーマに採用された。
主題歌
余談
アバン
アバンでは10tnを記念して歴代劇場版に登場したキーポケモンが総登場している。なお、第3世代までの伝説のポケモンでライコウは過去の劇場版で活躍しなかった為、歴代伝説で1体だけハブられる羽目に…。彼の活躍は幻影の覇者まで待たねばならない。
ポケモン | 出典 | 備考 |
---|---|---|
ミュウ | ミュウツーの逆襲(1998) | |
ミュウツー | " | シャドーボールを発射 |
ルギア | 幻のポケモンルギア爆誕(1999) | ミュウツーのシャドーボールをひかりのかべ(?)で防御していた |
フリーザー&サンダー&ファイヤー | " | アンノーンが散らばった際にフリーザーが通過するカットがあり、三鳥でも優遇された扱いになっている |
アンノーン | 結晶塔の帝王ENTEI(2000) | |
エンテイ | " | ほのおのうずを発射 |
セレビィ | セレビィ 時を超えた遭遇(2001) | エンテイのほのおのうずをみずのはどうでかき消した |
スイクン | " | |
ラティアス&ラティオス | 水の都の護神 ラティアスとラティオス(2002) | |
グラードン | 七夜の願い星 ジラーチ(2003) | 出典とは異なり、メインビジュアルにも描かれた本物が地面から登場 |
ジラーチ | " | |
デオキシス | 裂空の訪問者 デオキシス(2004) | 原作と同じく紫色のコアの個体、緑色のコアの個体が登場 |
レックウザ | " | はかいこうせんを発射 |
ルカリオ | ミュウと波導の勇者 ルカリオ(2005) | レックウザのはかいこうせんを躱した |
レジロック&レジアイス&レジスチル | " | 三体同時にはかいこうせんを発射 |
カイオーガ | ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ(2006) | 大波と共に登場 |
ホウオウ | ポケットモンスター第1話「ポケモン! きみにきめた!」 | 『波導の勇者』とは異なり、恐らく本物。のちに劇場版のキーパーソンに抜擢 |
登場ポケモン
本作はドダイトス、ゴウカザル、エンペルトとシンオウ御三家最終進化系が揃って登場し、当地方の御三家最終進化系が揃って登場したのは第1作目の映画ミュウツーの逆襲以来である。
ネタ
VSダークライ
「時の神」vs「空間の神」vs「悪夢を見せる妖怪」というあまりにもバランスの悪いタイトルの並びから、ダークライが場違いに見えてしまったファンによって生まれたネタ。
公開からしばらくした2011年頃から、SNSの発達に伴いタイトルが大喜利のネタとして流行しており、よく「○○VS××VSダークライ」の形で色んな対決に巻き込まれている。(ニコニコ大百科においては「VSダークライ構文」などと呼ばれている。)
詳しくはリンク先を参照していただきたい。
擦られまくった結果、2020年秋にはニコニコ大百科週間HOTワード第2位にランクインした。
「パルキアのバカヤロー!!」
本作でのパルキアに対するサトシの罵声。
確かに街を避難先に選んで異空間に隔離することで、その後の大災害のきっかけを作り出したのはパルキアであるわけだが、直接的に街を損壊したのはディアルガも同様であり、二体による共犯であると見なすべきだろう。
サトシの台詞も上記の有名すぎる一言の後に「お前たちのせいで~」と続くため、別に彼はパルキアに対してだけ怒っていたわけではない。
にも拘わらずちょっと帰るのが遅かったばかりにパルキアだけが叱責されるようなセリフとなり、若干の理不尽さを感じた視聴者もいた模様。
そもそも「サトシがポケモンをこれほど直接的に罵倒する」ということ自体が非常に珍しく、結果パルキアの罵倒部分だけが抜き出されてネタにされることとなった。
のだが、ネタとして有名になりすぎたせいで台詞が放たれたシーンの仔細を知らない状態でパルキアやサトシへの批判/擁護を行う者の増加という全く別の問題も生まれてしまっている。
ちなみにパルキアは本作から8年後の映画に再登場した際、(このポケモンの影に操られていたとはいえ)あろうことかサトシに向けて直接「あくうせつだん」をぶちかますという、とんでもない所業を犯している(当然、あっさり避けられたが)。
明らかに逆恨みではあるが、やはりパルキアは今回の件を根に持っていたのだろうか…?
(ちなみにこの個体が本作と同個体かは不明だが、小説版において次々作と繋がっているかのような描写があったので、同個体である可能性が高い。)
はたして10周年作品か?
本作はポケモン映画10周年記念作として扱われ、『ピカチュウ・ザ・ムービー10th ポケモンキッズスペシャルBOX』や『ポケモンカードゲームDP 映画10周年記念プレミアムシート』といった関連商品や『別冊コロコロコミック8月号増刊 劇場版ポケットモンスターダイヤモンド・パール10周年記念 ディアルガvsパルキアvsダークライ公式ファンブック』(小学館)といった公式書籍にもその旨が記載されている。
しかし、2007年の時点で10周年に当たるのは1997年からTVシリーズ『ポケットモンスター』であり、おそらくはこれを基準にしたものと思われるが、それだと「映画10周年記念」とならない(10作目であることは事実なのだが…)。
そもそも、1998年から始まった劇場版シリーズは2007年時点では10周年を迎えておらず、厳密な意味での10周年は次回作の『ギラティナと氷空の花束シェイミ』である。
これと同じことが他社作の『仮面ライダーディケイド』(こちらもシリーズ第10作ではあるが、10周年ではない)でも行われたあたり、商業上での都合があったのだろうか…。
尤も、第5作の水の都の護神時点で映画5周年を謳い、正式タイトルを2002年1月30日に全世界同時発表する旨を告知していた為、今回のような件は初めてではない事を付け加えておく。
関連タグ
ポケットモンスター(アニポケ) 劇場版ポケットモンスター 神々の戦い三部作
グレッグル:本作で意外な活躍を見せ、ちょっとした話題を呼んだ。
ポケットモンスター スカーレット・バイオレット:同じくサグラダ・ファミリアがモデルの建造物が登場している。