概要
2004年7月17日に上映された劇場版ポケットモンスターシリーズ第7作。
前売券特典はもちろん本作に因んでデオキシスなのだが、この年は『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』発売年だったので、実際の配信内容は『ファイアレッド・リーフグリーン』に隠されていたデオキシスイベントのイベントフラグアイテム「オーロラチケット」だった。
加えて、『ファイアレッド・リーフグリーン』で最初にもらえるポケモンであるカメックスが登場している。
この作品から8年間短編映画の同時上映が廃止され、長編映画の上映時間が90分台に延長されている。
サブメインのポケモンをも思わせるタイトルなのは珍しい。裂空とは、「レックウザ」+「(レックウザの縄張りの空域を)裂く→大気圏侵入」などと思われる。
ポケモン映画の中でも、少年の成長譚(ジュブナイル作品)、怪獣パニック映画としての側面が強い。
また、初の第4世代先行登場ポケモンとして、ゴンベが作品内に出演している。
タイトルBGMのラストには鐘が「デン!デン!デン!」と鳴る演出があるが、これは原作のBGM「戦闘!デオキシス」のイントロのアレンジである。
ストーリー
突然、遠い宇宙からやってきた隕石が、大氷原に激突した。氷原に住むポケモンの調査に来ていた科学者「ロンド博士」観測隊と息子「トオイ」は、落下の激しい爆風に巻き込まれてしまう。周囲をおおう水蒸気の中には幻のポケモン「デオキシス」の影が・・・。そこへ‘てんくうポケモン’ 「レックウザ」が姿を現し激しいバトルを繰り広げる!バトルに巻き込まれるロンド博士とトオイ。
それから4年後、ハイテク都市<ラルースシティ>へやってきたサトシとピカチュウたちは、この街のバトルタワーで行われるポケモンバトルに挑戦しようとしていた。そこで偶然知り合った少年、それがトオイだった。トオイは4年前の経験のせいですっかりポケモンが苦手になっていた。そんなトオイの心を開こうとするサトシとピカチュウたち。しかしそこへ突然現れる、幻のポケモン「デオキシス」。その目的とは?ハイテクシティを舞台に、サトシとトオイのアドベンチャーが始まる!(公式サイトより引用)
ゲストキャラクター
ポケモンは嫌いではないが、4年前の経験により、ポケモンに触ることが出来なくなっている少年。事件を経てポケモンに触れるようになり、仲良くなったプラスルとマイナンを引き取った。
トオイの父でラルースシティでレックウザとデオキシスの隕石について研究している。
4年以上前からロンド博士の助手を務めている女性。博士やトオイとは強い信頼関係で結ばれている。
常にノートパソコンを持ち歩く女性ポケモントレーナー。相棒はメタグロス。パソコンによりデオキシスの行動目的を解析する。
少し嫌味な性格だが実力者のトレーナー。パートナーはバシャーモ。オードリーとキャサリンの兄。
- オードリーとキャサリン(CV:山本麻里安/水樹奈々)
太った少年でパートナーはカメックス。ハルカに一目ぼれし、積極的にアプローチをかけるもスルーされる。どこか後の踊るデブと似ている。
デオキシスの騒動の際、動く歩道に流されたり電車に乗って避難しようとしていた。
ちなみに本人役。
ラルースシティのバトルタワーの実況。
ラルースに住む野生のポケモン。トオイに助けられる。
先行登場枠。ゴミ箱にゴミを投げ入れる遊びをやっている。
食い意地が張っている性格だが、マサトが空腹になった姿を見てくすねた食べ物を返す良心を持つ。
終盤では街が大パニックになる中、カビゴンに進化する。
- ハルノ
漫画版に登場。ロンド博士の助手であり原作のユウコのポジションだが裏でロンド博士を出し抜き手柄を独占しようと企む。
用語
ホウエン地方にあるハイテク都市。
観光客を含めた人々にパスポートを発行しており、これで認証を行う。
交通手段はモノレールとなっている。
デオキシス襲来に際し、デオキシス・シャドーによって人々が体育館に拐われただけでなく、電力がストップ。街に張られたバリアーによって陸の孤島となってしまう。
街に来訪していたトレーナー達はポケモンたちの力を使って風力発電を行なって電力を送るなどの解決を迫られた(メタグロスは念力、バシャーモはジャンプを使って風車を動かしていた)。
常駐していたガードロボットも暴走し、キューブ状のユニットを道路を埋め尽くすまでに大量に発生させてしまい、その物量はレックウザやデオキシスでさえ苦戦するほどであった。
『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフィ』ではユウキがバトルタワーでヒトミとシングルバトルを行なっている。
ラルースシティのモデルはカナダのバンクーバーで、2007年の劇場版パンフレットによれば現実の宮崎県辺りの位置にある。
本編で登場するシュウの出身地という設定である。
主題歌
- L・O・V・E・L・Y 〜夢見るLOVELY BOY〜
作詞・歌:Tommy february6/作曲・編曲:MALIBU-CONVERTIBLE
本作のEDテーマ。原曲が終わると「エル・オー・ヴィー・イー・エル・ワイ ~ゆめみるラブリーボーイ~(ピカチュウといっしょ★ヴァージョンだよ!)」に切り替わり、ポケモンたちがポンポンを持ってダンスをする。
なお、『アドバンスジェネレーション』の第83話〜第91話でEDとして使われた「いっぱいサマー!!」が本作で開催されたポケモンぬりえ&イラストコンテストのテーマ曲として使用された。
余談
- 最初期の予告編では、はかいこうせんを上空から放つ非常にカッコいいレックウザが見られたり、ポスターでは人間を守るかのような位置にいたが、安定の予告詐欺が起こり、レックウザは言ってしまえばデオキシスを執拗に付け狙う怪獣として描かれていた。トオイの成長譚としてのストーリーの評価はあるものの、「ポケモンバトル」としての側面は少なく、レックウザの描写に魅力が少ないことが特徴で、一見すると悪役や迷惑な存在のように見えてしまうこともある。
- 理由は縄張りに侵入したからであるのだが、4年も怨念を引きずるなど執念深すぎるものであり、やはり街にとっては迷惑すぎる存在であることには違いない。
- これ以降、アニメ本編や後の劇場版、『大乱闘スマッシュブラザーズX』などの他媒体でも「暴れ者」や「ゲームでの設定よりもどこかスケールの小さい存在」としてのレックウザが描かれることが多くなってしまったが、近年とくにとあるゲーム作品のメガシンカのルーツにまつわる物語での活躍を経て以降はゲームでも映像作品でも扱いが良くなったと一部では評判であるという話があるとかないとか。
- 本作以降、何かとレックウザとデオキシスはセットにされる傾向にある。
- 一つ目は『ポケモン不思議のダンジョン 赤・青の救助隊』であり、レックウザの壊した隕石の破片が生み出した「いんせきのどうくつ」に出現、もう一つは『オメガルビー・アルファサファイア』のエピソードデルタにおいてレックウザの破壊した巨大隕石から登場すると言う演出が取られた。
- 没案の一つは、デオキシスがミュウツーに育てられ、その後にデオキシスの誕生に関係した女性科学者を探すために人間界に現れるというものだった。
関連タグ
エピソードデルタ・ポケモンジェネレーションズ第9話:ゲーム本編でのレックウザVSデオキシス。
前後の作品
七夜の願い星←裂空の訪問者→ミュウと波導の勇者ルカリオ