概要
2002年7月13日上映。無印シリーズの劇場版は本作が最後となる。劇場版の長編では上映時間がとくに短い作品の一つでもある。
2023年、めざせポケモンマスターの第10話「サトシとラティオス!」にて、明確なアニメ本編とのクロスオーバーが行われ、世界的な話題になった。
本作は2001年公開のディズニー映画、『アトランティス失われた帝国』と類似した部分が見られる(命と水に携わる宝石状の秘宝とそれをめぐる争い、街を津波から守るために秘宝となり命を落とすキャラクター、秘宝の力の使い方を誤り引き起こされた津波、津波から結界によって街を守るというラストなど)。
- もっとも、ディズニーの『アトランティス』は本作以上に、もっとよく似ている作品が存在するが、どちらも『海底二万里』がモデルなので似ているのは当然であり、そこを責めるのはアンフェアだという指摘もある。
公開時期が近い作品であるため、本作が『アトランティス』から少なからぬ影響を受けた可能性はあるかもしれない。
また、初期の宣伝で「『こころのしずく』が、伝説のポケモンを呼び覚ます」とあったが、実は彼らの事なのかもしれない・・・。参
ちなみにポケモン映画における予告詐欺は、割とよくあることである。
2022年のポケモン映画25周年記念でリバイバル上映が行われた映画の1つ。ラティアスが先着順で配布されたが、これは公開当時には行われておらず(ゲーム内に登場しない新規のポケモンだったため)、今回が初となった。
第1作から登場し続けたカスミは無印シリーズ終了直前を以てレギュラーから降板したため新作劇場版としては最後の出演(その後、第22作で17年ぶりに登場)。
同時上映は『ピカピカ星空キャンプ』
ストーリー
世界で一番美しく歴史のある水の都<アルトマーレ>。そこでサトシたちはポケモン水上レースに参加する。そこへ少女‘ カノン’に変身した「ラティアス」が現れ、サトシたちは秘密の庭へと導かれる。秘密の庭を守る ‘ボンゴレ’や、本物のカノンと出会い、この庭と秘宝「こころのしずく」の話を聞かされる。しかし、秘宝を狙う怪盗姉妹‘ザンナー’と ‘リオン’がラティオスをとらえ、こころのしずくを奪ってしまう。アルトマーレに隠された封印は解かれ、やがて大津波が押し寄せてくる。サトシとピカチュウは、ラティアスとラティオスは、この危機をどう乗り越えるのか!?(公式サイトより引用)
興行収入と評価
※一部 Wikipedia より抜粋。
本作はアニメシリーズ無印期の最後を飾った作品であり、また、それまでのピカチュウ・ザ・ムービーから趣を大きく変え、公式サイトで「ハートフルストーリー」と謳う唯一の作品である。また、海外ロケが行われた初の作品(場所はご存知ヴェネツィア)であり、サトシがカノンやラティアスを追う場面は、制作陣がヴェネツィアで実際に迷子になった経験に由来している。
更に世界的なアコーディオン奏者のCoba氏や、同じく「島唄」で世界的に有名な THE BOOM のボーカルの宮沢和史氏を招くなど、音楽面で非常に注力された作品であった。
- 本作のエンディング曲である「ひとりぼっちじゃない」は、Coba氏の作曲した「Most Decision」という曲を、宮沢氏と共にアレンジした物になっている。ちなみに、本作から使われた曲「謎の少女、再び(迷宮)」は、Coba氏の過去の作曲の「花市場」と曲の出だしが似ている。
また、ポケットモンスターの劇場版作品では唯一、アカデミー長編アニメ映画賞の最終選考エントリー作品&日本アカデミー賞にもノミネートされた。
しかし……作風が主要な観客層のニーズと合致しなかったのか、あるいは時代の流れだったのか、ハリー・ポッターシリーズの第一作やスターウォーズシリーズの最新作、スタジオジブリ作品など手強いライバル達がせめぎあっていたためか、観客動員数、及び興行収入に関しては、歴代ポケモン映画の中でも、下から数えた方が早い所に位置する(動員250万人、興行収入26.7億円)。
- ただし、「ピカチュウ・ザ・シリーズ」は第一作目の『ミュウツーの逆襲』より年々動員数が減少しており、本作以降、ポケモン映画は「幻のポケモンの劇場配布」など、特典を押し出した新戦略に基づく展開により、動員数を盛り返すことに成功している。
- 公開当時は本編で言う「第2世代」の末期であり、「ポケモンはもう終わり」という空気が世間的に漂っていたことも影響しているだろう(奇しくもその評価はラティアス・ラティオスも登場する同年の新作で覆ることになるのだが)。
長らく本作が保持することになってしまった「ポケモン映画の歴代最低興行収入記録」であるが、本作公開から13年後の2015年、第18作目の『光輪の超魔神フーパ』が26.1億円という記録で、これを更新してしまっている。
奇しくも、歴代作品でも登場ポケモンが(ランク的な意味で)豪華な作品であり、かつラティアス・ラティオスが再出演した作品でもあるが……ジンクスでもあるのだろうか。
その一方で2017年の『キミにきめた!』公開前に行われた過去19作の人気投票企画では最高収入の『ミュウツーの逆襲』を押さえ1位に輝いた。
さらに2021年の『ココ』ヒット記念に行われた人気投票企画『ポケモン映画歴代シリーズNo.1決定戦』でも初代アニポケ枠として再び1位、そして『夏の思い出、ゲットだぜ!25周年ポケモン映画祭』で上映される3作品を決める投票でも当然のように当選と(ちなみに他2つは『七夜の願い星 ジラーチ』と『ディアルガVSパルキアVSダークライ』)ファンからの評価は非常に高い。
また先述した音楽面でも高い評価を得ており、本作の劇伴BGMを収めたミュージックCDは現在定価の4倍弱ほどのプレミア値がついている。
公開当時は大して話題にならず、後に評価を大きく上げるという意味では『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』など初期のジブリ作品にも近い立ち位置だろうか。
ゲストポケモン
伝説ポケモン
伝説のポケモン以外
- プテラ&カブトプス(CV:小西克幸、三木眞一郎) - ゾンビのような、いわゆるアンデッド的存在である。通常よりも大型で、不気味な白目であり、攻撃力や素早さにも優れる。作中でこそ悪役に利用されたが、本来は防衛システムの一環として活躍していただろう。
- 同期の化石ポケモンでオムスターは登場しないが、ゲーム上の種族値と図鑑解説文からして動きが鈍い為「活躍させづらい」と判断されたのかもしれない。
- エーフィ(CV:かないみか)
- アリアドス(CV:坂口候一)
- ホエルコ
ゲスト
関連イラスト
余談
本作の兄妹ラティ兄妹は、歴代のドラゴン型ゲストポケモンではかなり異質で、ゲームのバトルには反映されていない「ゆめうつし」や変身が目立つ一方で、戦闘を避けたり、積極的な戦闘用のわざ(はかいこうせんなどの飛び道具を使わない)をポケモンカードでしか使えないすてみタックルらしき攻撃しか使わない。数多くのポケモンが戦闘に特化・適応した一方で、積極的な戦闘を避けたり他の生物との交流や共存を選んだということなのだろうか。
なお、唯一の戦闘的な能力である「光の結界」は、後に発売されたゲームの「ラスターパージ」のエフェクトに流用されたが、その後のアニメやゲーム作品では「ラスターパージ」のエフェクトが光線に変わったので、厳密にはこの光の結界の正体は不明である。
- サトシを石化させたミュウとミュウツーの技、アーシア島のルギアの光線と深層海流を持ち上げる能力、結晶塔の唯一神の紫赤の焔と蒼い光線、セレビィゴーレムの形成と口からの光線、メタ・グラードンを撃ち上げたジラーチのエネルギー放出など、他にも、厳密な正体が不明の技は特に初期の映画に結構ある。
なお、ラティアスとラティオスを兄妹にしたのは脚本家である園田氏の意向であるようだ。
(参考:https://note.com/daihonbanchou/n/n0b8679573977)
関連タグ
- 主要:ポケットモンスター(アニポケ)/劇場版ポケットモンスター/ラティ兄妹
- 関連ロケーション:ヴェネツィア
- もしかして(類似作品関連):ブルーウォーター(ふしぎの海のナディア)