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概要編集

2002年7月20日公開。

原作は『耳をすませば』の原作者である柊あおいが描き下ろした、『バロン 猫の男爵』。


どこにでもいるような冴えない女子高校生が、トラックに轢かれそうになったを助けた事をきっかけに猫達の国という異世界に連れて行かれてしまい、彼女を救出に来た人形の猫達と共に脱出を図る冒険ファンタジー作品である。


その世界観は人間界も含めて、『耳をすませば』の主人公月島雫が書いた小説内の物語とされており、猫の男爵人形のバロンと野良猫のムーンが擬人キャラとして本作にも登場する。

またこの事も関係しているからなのか、主人公吉岡ハルが住む街は彼女の高校の裏庭にある表記から東京都多摩市となっており、『耳をすませば』のアニメ版や『平成狸合戦ぽんぽこ』と同じ舞台となった。


本作の音楽は『耳をすませば』と同様野見祐二氏が担当しており、『耳をすませば』で使われたメロディも流用されている(参照)。


また宮崎駿が原画を担当した長靴をはいた猫へのオマージュも見受けられる。


監督になった森田宏幸は今作が初監督作品であり、新進気鋭での制作となった。


世界観編集

アニメ映画版

作中では、猫の一部には人語を話し二足歩行で歩く個体もいるという事になっている。

また人間界以外の様々な異世界とそれらを繋ぐ中間点の世界があり、人間でも道を案内されたりすれば行き来が可能である。


猫達が人間の様に暮らす猫の国はその異世界の一つであり、自然環境、時間帯(昼のみである)、社会なども極めて安定している。

しかし一度訪れた事のあるムタは「自分の時間を生きられないやつが行く所」と語っており、決して楽園桃源郷そのものではない事が示唆されている。

人間界と繋がる道は、猫の肉球のような形をした複数のの周辺である。


人間が猫の国に立ち入ると体が猫サイズに小さくなり、数十分程で体の猫化が始まる。

そして人間界の次の夜明け前までに脱出しないと二度と戻れなくなってしまう。


原作漫画版

こちらでは、猫の国は亡くなった猫達が暮らす死後の世界となっている。

ちなみに映画版では死者は登場せず、騒動で窓から投げられたり落ちた猫達もほぼ無傷か軽傷で済んでいる。


ただし、ユキだけが生者の世界に来ないで、声だけでハルを誘導した描写や、子猫の頃のユキは他の「この世」の猫と同じく普通の猫だったが猫の国に渡ってから変化した、などの描写から、ユキが映画版でもすでに亡くなっている可能性を指摘する声もある。


主な登場キャラクター編集

(CV:池脇千鶴)

主人公女子高校生


(CV:袴田吉彦)

命を持ったドイツ製の猫の人形。

人間界と異世界との間にある「猫の事務所」にて人助け業を営んでいる。

モデルは耳をすませばの天沢聖司の祖父の愛品。


(CV:渡辺哲)

バロンの仕事仲間である太った野良猫。

普段は猫の事務所と人間界を行き来し、人間の依頼人が現れるのを待っている。

モデルは耳をすませばの自由気ままな野良猫ムーン。


(CV:斉藤洋介)

バロンの仕事仲間であるカラス(原作ではカササギ)。

普段は石像となっていて猫の事務所前で待機している。

劇中ではバロンを乗せて連れ去られたハルを追跡し、彼らの帰還をサポートする活躍を見せた。


  • ひろみ

(CV:佐藤仁美)

ハルのクラスメイトで親友。

ミーハーで卓球部にお気に入りの男子部員の柘植(つげ)がいるラクロス部員。

ちなみに「柘植」は同じ原作者の読み切り作品『桔梗の咲く頃』の主人公の名前で、ひろみ自身も同作品のキャラクターである。


  • チカ

(CV:本名陽子)

ハルの物静かなクラスメイト。

中の人は月島雫と同じ方である。


  • 吉岡直子

(CV:岡江久美子)

ハルの母親。

ハルが幼い頃にお腹を空かせた子猫にクッキーを与えた話を持ち出す。


  • ユキ

(CV:前田亜季)

猫の国の王宮で給仕係を務める白い猫。

実はハルが幼い頃に助けた時の子猫であり、ルーン王子と交際していた。


  • ルーン

(CV:山田孝之)

ハルがトラックから助けた猫の国の王子。

父親の猫王とは異なり極めて常識的かつ紳士的な性格で、ユキとの婚約を発表する。


  • ナトリ

(CV:佐戸井けん太)

猫王の側近の一人。チャイニーズ風の見た目。

こちらも極めて常識的な性格で、猫王の暴挙を止めようとしたり兵士たちの幼稚なミスを嘆いたりした。


  • ナトル

(CV:濱田マリ)

猫の側近の一人で慇懃無礼な性格。ハルを猫の世界に導いた、小太りのネコ。

ハルの連れ去りを指揮したり塔の爆破スイッチを猫王に渡すなどしたが、それは命令に忠実なだけであり根は善良である。


(CV:丹波哲郎)

現在の猫の国の国王。

根っからの悪党ではないが独善的であり、周囲の意見をあまり聞かずいい歳をしながらも暴走しがちである。

息子のルーンを救ったハルを気に入り、その恩返しも込めて息子の花嫁に迎え入れようとハルを連れて来させる。

披露宴を台無しにされて結果的に恥をかかされた事からバロンを追い、剣術競技での決闘を申し込むが敗北。

その際何の因果関係かは不明であるが頭部以外の毛が全て抜けてみっともない姿になる。

バロンが立ち去りナトリが駆けつける間に敗北を認めて反省したらしく、退位と隠居の意向を示した。


スタッフ編集

監督

森田宏幸

企画

宮崎駿

脚本

吉田玲子

製作

:松下武義/氏家齊一郎/星野康二/宮川智雄

 /相原宏徳/高井英幸

製作プロデューサー

鈴木敏夫/高橋望

音楽

野見祐二

キャラクターデザイン・レイアウト

:森川聡子(金曜ロードショーのOPも担当している)

作画監督

:井上鋭

美術監督

:田中直哉

映像演出

:高橋賢太郎

制作プロデューサー

:田中千義


主題歌編集

風になる

歌:つじあやの

つじあやの公式YouTubeチャンネルより


関連項目編集

スタジオジブリ アニメ映画 柊あおい 耳をすませば

バロン ムタ ムーン

多摩市 ファンタジー

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