主人公
しゅじんこう
ある物語の登場人物の中で、物語の中心・基点となる特定の人物を指す。主役とも言い替えられる。
基本的に物語は主人公の視点で語られていく場面が多いが、主人公とは別の第3の人物によって語られ進んでいく場合もある。主人公と位置付けられならがも、敢えて物語の芯から外れ、その真に迫っていく主人公も居る。
また、必ずしも1人とは限らず、2人以上、大きくなると特定の団体やグループそのものを抜擢する作品もある。群像劇やオムニバスで複数人を主人公と定める場合には、最終的な物語の芯をつくるために、各主人公の中から物語の中核となる人物を更に「メイン主人公」と定める場合もある。
ただし、主人公だからといって必ずしも特別な力や強運、際立った個性を持つとは限らず、周囲のキャラクターから尊重・重要視されるとも限らない。
また、万人受けする性格や立場の人物とも限らず、全キャラクターの中でファンから一番人気を集める存在になるとも限らない。
更には作品全体を通しての主人公として挙げられたキャラクターの中には、エピソード間の橋渡しをする程度に留まり、各エピソード毎に見れば「物語の中心」としての主人公が個別に居るパターンもある。
そもそも大きな事件に関わったり劇的な体験をしたりしない主人公も存在する。
つまり、物語の数だけ主人公の形態も様々ある。
ちなみに、主人公と位置づけられながら、主人公として扱って貰えなかった主人公も稀に居たりする……(主人公が作中で最強・活躍しっぱなしとは限らないのは前述の通りだが、度の過ぎたパターンである)。
主人公と説明されているのに、言動に縛りがある人物(例:キャラ崩壊が許されない/テンプレ的で人間味が無い/読者が感情移入しづらい個性付けがされている/脇役との差が無さ過ぎる/モテない。)は、主人公の名を冠したパッケージヒーロー・パッケージヒロインで、真の主人公は第三の人物である場合が少なくない。詳しくはメタフィクション参照。
主人公はヒーロー・ヒロインとも称されるが、メインヒーロー(男性陣で一番目立つ人物)、メインヒロイン(女性陣で一番目立つ人物)と同じ意味で使われる作品は少ない(例外はアイドルグループものぐらい)。
視点役を主人公(日本語)、相手役をヒーロー・ヒロイン(外国語)と呼ぶパターンもあるが、このヒーロー・ヒロインは王子様・マドンナの言い換えで語弊がある。
男主人公を主人公と言い、女主人公をヒロインと呼ぶパターンもあるが、王子と王女、少年と少女のようなもので、特に意味は無い。
アニメや漫画と違い、設定・人格・台詞や言葉遣いの有無で大きく用途が変わる。
キャラ設定がされてない
- プレイヤーの分身として扱われ、感情移入をさせやすくするようにしている。『ポケモン』や『ゼルダの伝説』などではデフォルトの名前が存在するが、名前を変えられるのも多い。
- 例:ドラゴンクエストシリーズ、世界樹の迷宮、アクトレイザー、ソーサリアンなど。後述のタグも参照。
その一方で名前が変えられないのも存在する。
- 例:ロストエピック、シルフィア(ゲーム)、フェアルーンなど。後述のタグも参照。
キャラ設定が存在している
この場合は更に様々な用法に分かれる。
- 劇中で台詞がある
- 立派な一個人として扱われ、プレイヤーはストーリーや主人公を見守っていく。特徴がはっきりとしているため、言葉遣いや性格を把握しやすい。ギャルゲーやアニメ・漫画出身のゲームも大抵それ。
- 例:博麗霊夢(東方Project)、サムス・アラン(メトロイドシリーズ)、ライトニング(ファイナルファンタジー13)、ソニック・ザ・ヘッジホッグ(ソニック)。
- 台詞があるのと無いのと中間
- 選択により喋らなかったり喋ったりする。選択式の台詞もある。
- 例:ルフレ(ファイアーエムブレム覚醒)
- 台詞が無い
- 珍しいタイプで大抵の場合は、主に同行者などが代わりに説明をするようになる。
- 例:シレン(風来のシレンシリーズ)、レッド(ポケットモンスターシリーズ)
- 言葉遣いは設定されているが台詞が少ない
- ゲーム中では喋る場面が少なく、公式サイトなどのゲーム外でよく喋る扱いが多い。日本人が声優を務めるキャラの場合、比較的台詞の数が多い。
- 例:マリオ(マリオシリーズ)、カービィ(星のカービィシリーズ)、白ボン(ボンバーマンシリーズ)
- 戦闘とイベントシーンの2種類で台詞が多くある
群像劇
「登場人物全員が主人公」の主旨のゲームもあり、その場合は主人公ではなくチームや組織の中心人物として描かれており、そのゲームの「顔」としてパッケージを飾る時もある。
- 主人公らしいキャラ
- 物語を引率するキャラ
- 物語の始める時に最初に操作するキャラや途中加入したキャラが『物語の重要人物』として物語を引っ張っていき、中には複数おり役割が前半と後半に分かれていたりする。ただ引率キャラが2人以上いると、プレイヤー視点によって見方が変わるため論争が起きやすい。
- 例:ティナ、セリス(ファイナルファンタジー6)
- 波乱万丈な人生を送るキャラ
- 登場キャラの中で、物語中で特に目立つキャラ。見せ方が上手ければいいが、そうじゃないと「作者に贔屓されている」「キャラのファンがうるさいせいでキャラも嫌いになった」「むしろキャラを不幸にする作者が嫌いだ」と難癖を付けられがちなタイプでもある。
- 例:ホークアイ、リース(聖剣伝説3)
補記
メインの説明がいらないほど主人公補正が強く、作者や編集者や読者の私情に関係なくジャンルがそのポジションを中心に回るようになっていて、性別に関係なくユーザーと視点を共有する等身大の人物が主人公に相当し、主人公の性別を選択できるゲームの中には、男主人公と女主人公が同一人物設定で、同じシナリオを共有するゲームもある。
また、極稀に「自分が主人公であるのをアピールする」存在もあり、その場合はナルシストな性格であったり、元の作風が変わっていたりしている場合が多い。
主人公の設定が簡単で、一部の読者に公式設定と異なるニュアンスで解釈されてしまうケース(例:クズロット、イキリト、U-1)があるが都市伝説に近く、原作が叙述トリックを使ってミスリードをするケースや、現代風リメイクで解像度が上がったりボイス付きになることで誤解が解けたケースもある。
基本的に(戦闘アニメなども同様に)赤もしくは赤系の色を持つキャラクターが主人公であることが多く、特にスーパー戦隊シリーズとウルトラシリーズでは主人公は必ず赤の戦士だったが、近年では主人公が赤ではない作品も存在する。
また、必ずしも主人公(レッド)=リーダーではなく、『忍者戦隊カクレンジャー』『未来戦隊タイムレンジャー』のように、女性がリーダーながら主人公はレッドというケースもある。
『五星戦隊ダイレンジャー』は「主要メンバー全員が主人公」が基本コンセプトであったが、その設定は「明確なリーダーが存在しない」点のみに活かされており、天火星・亮/リュウレンジャーは他シリーズのレッドと同様の扱いがなされていた。
主人公の扱い、人物相関図が変わっている作品でも、キャラデザ、コンテンツ、EDの名前の順番を見れば、誰か主人公か初見で分かる話もある。
『天才バカボン』のように主人公らしくない主人公ファンと、実質主人公の脇役(昇格主人公、もう一人の主人公、トリックスターを含む)ファンの間で「誰が主人公か」で揉める作品は面倒がられやすい。解釈論争を避ける為に「作者(神)が真の主人公だった」「読者(観客)が真の主人公だった」なメタ締めで終わる作品もある。
『幕張』の主人公はガモウひろしであるオチだったが、これは「一見W主人公に見える2人ではなく、第三者が主人公だった」とほのめかしているのだろう。
二次創作(パラレルワールド。多くは非公式作品だが、ゲーム化・映画化等公式による二次創作もある)のみに登場するオリジナルキャラクターの主人公も居る。
このタイプの主人公は読者の自己投影を前提とする扱いも多く、その場合、名前の変換機能(作者や読者の名前、作者や読者の思い入れがあるキャラクターの名前、名前がああああなどメタな目線で見れる設定である)が用意されていたり、原作に登場する不特定多数のキャラクター(モブキャラクター)のように衣装や容貌に大きな特徴が無いデザイン(無個性主人公)が好まれたりする。
読者の間では夢主・オリ主等と呼ばれ、個性が弱く読者が自己投影しやすいものが前者、個性が強くキャラクターとして確立されているのが後者として分類されるのが通例だったが、近年は境界が曖昧になりつつあるのか、キャラクター性が強いオリジナル主人公を夢主タグで扱うケースも多い。
かつて『ゲームの主人公=プレイヤー』の図式であったものの、ハード性能の向上によりアニメやマンガ、ラノベの主人公と大差ない程に個性的なゲーム主人公が増えているが、それにより幾つかの問題が起こっている。
ゲームの場合は「主人公に明確な個性があるのが耐えられない」層である。こちらは上記の図式に慣れてしまったからだけではなく、主人公の個性がゲームの没入感の阻害要因にしかなっていないためである。
それとは逆に二次元コンテンツ全体になると、個性的な主人公に見慣れ過ぎた層からは「主人公である以上は常に一定の活躍しないとダメ」とする主張が増えた現状もある。この場合は作品の傾向・コンセプト(=主人公がヒロイン達に振り回されるラブコメや、凡人な主人公と天才or人外種族との交流メインの日常系等々、敢えて周囲の人間にスポットライトを当てる作品)を無視し、とにかく「主人公が空気であるのを認めない」「主人公が目立たない作品は詰まらない」とする暴論・極論だけで作品を貶される事態が起こっている。
しかし前述の通り、主人公は物語の中核に配置するのが大方の役割であるため、それを敢えてズラしてしまうと「なんのためにいるのか分からないキャラ」に成り果ててしまうリスクも孕んでいる。悪質なものになると「作中で脇役を持ち上げるためだけに利用される踏み台」に使われることすらある。
作中で主人公と設定されているが名前が無い場合は、「○○主人公」や「(主人公の)肩書き(作品名)」や「主人公(作品名)」としてタグが制作されたり、外見的特徴や本編中の言動から取ったあだ名が使われたりする。
本編で名前が無くても派生作品で名前が付いたり、また後に公式からデフォルトネームが与えられたりした場合はその名前で呼ばれる。
初期設定で名前が与えられている場合は「デフォルトネーム」も参照。
始めから名前が無かったり、名前が変更出来る主人公
ドラゴンクエストシリーズ
真・女神転生シリーズ
ペルソナシリーズ
ポケットモンスターシリーズ
シリーズ作品名 | 主人公タグ |
---|---|
ポケットモンスター(本編) | ポケモン男主人公・ポケモン女主人公 |
ポケットモンスター(外伝・派生) | 主人公(ポケモンGO)・主人公(ポケナガ) |
ポケットモンスター(アニメ) | アニポケ主人公 |
その他作品別
※作品名五十音順。
始めから名前が無い上、名前が変更出来ない主人公
作品別
※作品名五十音順。
全般
「○○主人公」タグ
男性版 | 男主人公、ヒーロー、おじさん主人公、男の子主人公、男主 |
---|---|
女性版 | 女主人公、ヒロイン、おばさん主人公、女の子主人公、女主 |
複数人 | ダブル主人公(W主人公)、トリプル主人公 |
複数主人公の細分化 | メイン主人公、もう一人の主人公 |
補佐 | 準主人公、サブ主人公、裏主人公(陰の主人公) |
シリーズもの | 初代主人公、新主人公、歴代主人公 |
正統派 | 熱血主人公、最強主人公、主人公補正 |
没個性 | 主人公(笑)、ヒロイン(笑)、※主人公です、主人公(没)、空気ヒロイン |
悲劇 | 悲劇の主人公、悲劇のヒロイン(悲劇のヒーロー) |
非正統派 | アンチヒーロー(アンチヒロイン)、ダークヒーロー(ダークヒロイン)、ラスボス系主人公、悪役主人公 |
その他 | 主人公不在(ヒロイン不在)、人外主人公、転生主人公 |
コメント
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