概要
本作のオリジナルであるSFC版、移植のPS版・GBA版(新ダンジョンetcを追加)が存在する。なお本作がスーパーファミコンにおける最後のファイナルファンタジーシリーズ作品となり、次作品よりプレイステーションへ移行した。
これまでのFFシリーズでも飛空艇などの機械類は登場していたが、世界全体は中世ヨーロッパ的な世界観に立脚していたのに対し、本作では蒸気機関をはじめとした機械文明がより強く打ち出された世界設定となっている。相対的に魔法・召喚獣などの存在が希少という設定であり、それらを中心とした群像劇が展開される。
この群像劇シナリオの採用によりゲーム内においては主人公の立ち位置が限定されておらず、物語の進め方によって操作キャラクターが入れ替わっていく。複数のキャラクターを選んでパーティを編成、特定のダンジョンでは複数のパーティを動かして攻略するシステムも登場する。また、前作までと異なりクリスタルが重要アイテムとして登場しない。本作の世界観においては魔法が大変稀有な存在であるため、作中において魔法を(デフォルトで)使えるキャラクターは非常に限定的となっている。
SFC版CMは渋谷109が見える交差点に天野デザインの実写ティナ・魔導アーマーが突如出現。本編イベントシーンが「夢じゃない」というキャッチフレーズと共に紹介されるというもの。
ストーリー
ティナが帝国軍の一員として兵に率いられ、共に炭鉱都市ナルシェを襲撃していた。目的はナルシェで発見された幻獣を回収する為だったが、幻獣と遭遇したティナは意識を失い、気がつくと部隊は壊滅しており、ティナ自身も記憶喪失となっていた。
ティナは、自身を救助してくれたトレジャーハンターのロックと共に帝国の追っ手を振り切りナルシェを脱出を果たす。
果たしてティナの正体は、そして帝国のもくろみとは……。
システム
魔石
幻獣の力を封じ込めた石であり一人一つ装備することが可能。装備していると魔法習得値を入手して、魔法習得値を貯める事で魔法を習得できる。魔法習得値は敵を倒すことで1~10ポイント入手でき(倒しても入手できない敵もいる)、そのポイントに魔石にセットされた魔法ごとの倍率を掛けた数値が「%」で加算され、100%になると魔法を習得・使用することができる(逆に言えば、数値が100%になっていなければ、たとえ99%でもその魔法を使うことはできない)。
例として、魔石にセットされた魔法の中に倍率が「×5」の魔法があったとして、1回の戦闘で魔法習得値を「2」取得したとすると「2×5=10%」となり、単純計算で同じ戦闘を10回繰り返せば100%になる(=魔法が使えるようになる)計算である(魔法習得値は敵の種類や編成で変動するため、同じ戦闘が続けて発生する可能性は低いが)。
初級魔法は倍率も高く設定されており、習得にもさほど時間がかからないことが多いが、上級魔法になるにつれて倍率は低くなり、最強クラスの魔法は大抵倍率は「×1」であることがほとんど(魔法習得値が「1」の場合、単純計算で100回戦闘しないと習得できない)である。また、同じ魔法でも魔石によって倍率が異なることがあり、基本的にストーリー後半に手に入る魔石ほど倍率が高めに設定されている。一度覚えた魔法は魔石を外しても使えるうえ、他作品における「白魔法」「黒魔法」の類は魔石を入手することで軒並みすべて習得できる(「青魔法」は本作ではストラゴスのみが習得可能)ので、最終的には魔法を満遍なく使える仲間がシリーズ中でも特に多くなる。
今作ではティナとセリスを除いたキャラクターは、この方法または一部装備品で魔法を習得する以外の方法で魔法習得は出来ない。また、装備している魔石に応じて1戦闘に1回のみ召喚を行える。
サイドアタックと挟み撃ち
サイドアタックと挟み撃ちが追加された。サイドアタックの場合は味方が敵を、挟み撃ちの場合は敵が味方を両端から囲む形となり、背後からダメージを受けるとダメージが2倍になる。なお敵から挟み撃ちを受けた場合、左右どちらかの敵を全滅させないとコマンドを使用しても逃げることはできない。
登場キャラクター
本編の他にもディシディア ファイナルファンタジー・アーケード・オペラオムニア、ワールド オブ ファイナルファンタジー、キングダムハーツ2に出演している。
CV出典は上記出演作より
前述の通り、前半まではストーリーの進行によってパーティメンバーが入れ替わっていくが、後半では殆どのメンバーの加入がプレイヤーの任意となっており、強制加入するのセリス、エドガー、セッツァーの3名だけである。
リターナー
パーティメンバー。主に仲間になる順番に記載。
ティナ・ブランフォード | ロック・コール | エドガー・ロニ・フィガロ |
---|---|---|
CV:福井裕佳梨 | CV:小野友樹 | CV:三木眞一郎 |
マッシュ・レネ・フィガロ | シャドウ | カイエン・ガラモンド |
CV:藤真秀 | CV:安原義人 | CV:大友龍三郎 |
ガウ | セリス・シェール | セッツァー・ギャッビアーニ |
CV:村中知 | CV:桑島法子 | CV:置鮎龍太郎 |
ストラゴス・マゴス | リルム・アローニィ | モグ |
CV:緒方賢一 | CV:悠木碧 | CV:諸星すみれ |
ゴゴ | ウーマロ | |
ガストラ帝国
敵キャラ
ザコ敵 | ボス敵 |
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主人公論争
「ファイナルファンタジー6のメイン主人公は誰か?」という疑問は今なおしばしば論争の種となる。
一応「全員が主人公」というのが公式見解であるため、実は既に決着している話題ではある。
しかし加入必須でないメンバーの存在などから、あえて代表として誰か一人を挙げるなら誰が最適か?という観点での議論は今なお絶えることがない。
よく話題になるのは下記のティナとセリスの2人である。
ティナ・ブランフォードの場合
- 本編開始時の操作キャラクターである。
- パッケージでの単独イラストなどキーキャラ的な存在感がある。
- エンディング時に仲間に加入していなくても駆けつけてくる。
- エンディングの内容を見るとティナにスポットが当たっている。
セリス・シェールの場合
- 崩壊前の世界で、内面が深掘りされている数少ない人物である。
- 主な敵対勢力である帝国との関連が深く物語のキーパーソンである。
- 世界崩壊後の初期操作キャラクターである。
- 崩壊後の世界でのパーティの発言は、セリスが主体と推定される口調のものが多い。
この様に両者共に物語の中心にいて、どちらを「単一の主人公」として見てもおかしくはないし、そもそもどちらも単一の主人公とは言えないとする意見も少数ではない。
本作で何故主人公騒動が起こってしまうのかは下記の様な事が挙げられる。
- 作品後半のメンバー加入・非加入の自由度が非常に高く、最終バトルまで加入しないメンバーも発生しうること。
- 出番が控え目で、プレイヤーによっては存在自体を気づかないようなキャラ(ウーマロ、ゴゴなど)が複数いる一方、それら以外の多くのキャラクターでは濃い人間描写がされていること。
- 全キャラを先頭に置いて動かせること(ただしこれは6以外のFFシリーズでも言える)。
この様に様々な要因があり、物語で誰が「メイン主人公」なのかをあえて決めるとすると、プレイヤーの考え方により異なった結論に至る。
派生作品であるディシディア等では開始時の操作キャラであるティナがFF6代表として選出されていることが多く、ティナは初期設定では男性のメイン主人公でありその名残りか、ロック、セリスと半分ずつポジションが被っている。
ゲームが発売される前はロックが一番この手のゲームの主人公らしい人物像であると言われていたのだが、ロックが加入しないEDがあることが話題となり、主人公というポジションではないとされた。
ロックの解釈が複数あること、主人公が主人公に自己投影を行うシーンがあること(例:EDでティナが他主人公全員を助けて他主人公全員がティナに共感するシーン)、EDのモブカップルの恋愛の解釈が複数あることも論争の理由となっている。
発売当時のゲーム雑誌では、各キャラの活躍度がA~Cまでのランクで紹介されていたことがあったが、これはおそらく「本筋との関連度」「出番」のことであり、(主人公としての)「魅力」、「強さ」、「成長度」のことではない。同じくゲーム雑誌の、別のFFの記事で「二人の女性がヒロインの座を競うのはFFのお約束」と紹介されていたこともあった。
先述の通り、公式の見解では味方キャラ全員が主人公であり本作には特定の「単一の主人公」はいない。
EDでも各キャラのテーマ曲をアレンジしたバラードが流れ、これも主旨に合っている。
第四の壁
何でもあり、時事ネタ投入も辞さず、という制作者スタンスからすべてのFFに言えるが、本作は特に第四の壁が意識されているとする意見がある。根拠としてはモグがしょっちゅうメタ発言(クレーンゲーム等)をする、作中作の数がやたら多いなど。
通常ボスクラスのモンスターとして第一戦目に戦う「ユミール」は、カタツムリやヤドカリのように硬い殻から頭部が突き出た外観のモンスターで、ターゲットが殻と頭に二か所設定されている。殻に入っている間は頭にダメージを与えられず、殻から反撃を受けたり終盤ボス並のHPが設定されている状態だったりして倒しづらい。その一方、頭が殻から出ているタイミングで頭を攻撃すれば序盤相当の戦力で倒せる。ユミールとの戦闘はコマンドを選択中に敵が動くアクティブタイムバトルのチュートリアル戦闘という側面をもつ。
発売当時のVジャンプにQ.「レベル99になればユミールの殻は割れますか?」A.「割れん」というQ&Aまで載せられた(キャラのレベルに関わらず、ユミールの殻を倒した場合に本体が生存していることはない)。
EDでは上製本のような分厚い本がパラパラとめくられていく中、ラスボス「ケフカ」討伐後、各キャラクターがラストダンジョン「がれきの塔」を脱出する顛末が順々に語られ、本作そのものは一冊の書籍に綴られた歴史や物語、名前入力として主人公達を操作していたプレーヤーは、書籍記載事項をゲームブックやテーブルトークRPGのリプレイとして追体験していた事を暗示させる演出がなされた。
本作をシリアスと取るのも茶番と取るのもプレイヤーの自由というスタンスになっている。前述のとおりSFC版CMでは「夢じゃない」が謳われている。
余談
アメリカでは本作が「ファイナルファンタジーⅢ」として発売された。その後に「ファイナルファンタジー7」が発売されアメリカ国内で混乱を引き起こした(英語版ウィキペディアでは普通に「6」と紹介されている)。後にリメイク版で日本版と同じナンバリングに修正された。
GBA版以降の移植はクリアデータが保存できる為、これを見越して「魔石ラグナロック」をラグナロクにせず魔石のままに所持した上で最終決戦でラグナロクを盗む事で「ラグナロック」と「ラグナロク」の両方を持つ事が可能である。その為、GBA版では魔石ラグナロックを選ぶ方が得策。オリジナル版では最終決戦時のみで可能だったが、GBA版は最終決戦で盗む事を繰り返してセーブするとラグナロクを複数持てるようになる。また、GBA版以降は「バニシュ→デス」ができない。
群像劇であるためキャラ数が多く、作中において操作キャラクターの名前を変える機会が各キャラ初登場時とリネームカード使用で二度ある為、ゲーム実況などでFFシリーズを使った変な名前プレイが行われる際はまず間違いなく本作が選ばれる事が多い。
まだスクウェアがFF7を発表する前に次世代機でのFFを意識したティナやロックをポリゴンキャラクターにして動き回るイメージデモムービーが配布された事がある。この当時はおそらくは当初はニンテンドウ64での開発を視野に入れていたと思われる。
任天堂プラットフォームに提供する最後のFF最新作
様々な事情が重なってしまった事で、本作が任天堂ゲーム機に提供する最後のFF最新作となっている。
7以降はソニーゲーム機にFF最新作が発売されるようになった。
興味があるのであればこの辺の事情は各々調べて頂きたい。
7以降は世界観の近代化もあって、任天堂ゲーム機との決別という結果となった。
現在、FF作品そのものは任天堂ゲーム機にも提供はされているが、最新作は必ずソニーゲーム機で発売されることとなっている。
7以降は卓越した映像技術と近代的な世界観が展開されることが多くなった為、スクウェアは「近代的な世界観及び最新鋭の映像演出を行えるゲーム機をいち早く欲していたのではないか?」と一部の人から推測された。
関連イラスト
関連タグ
会社 | スクウェア、スクウェア・エニックス(スクエニ) |
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スタッフ | 坂口博信、野村哲也、植松伸夫、天野喜孝 |
場所 | ナルシェ、魔大陸 |
乗物 | 魔列車 |
アイテム | 魔石 |
技 | バニシュ→デス |
異名 | 魔導戦士、常勝将軍 |
楽曲 | 仲間を求めて、妖星乱舞、蘇る緑 |
選択肢 | このままながめてるのもいいか |
もう一つの姿 | 髪下ろしティナ、オペラセリス |
コンビ・トリオ | フィガロ兄弟、6親子、6三人娘 |
NL | ロクセリ、エドティナ、ケフティナ、ロクティナ、エドリル、マティナ、セツセリ、ゴゴティナ、ロクレイ、ケフセリ、ガウリル |
表記ゆれ | FF6、FF6、FFVI、FFⅥ、ファイナルファンタジーVI、ファイナルファンタジーⅥ |