ファイナルファンタジー8
ふぁいなるふぁんたじーえいと
「ジャンクション」という独自の成長システムの導入、敵キャラクターのレベルが味方パーティのレベルに合わせて上昇するレベル連動制、ポケットステーションへの対応など、従来のシリーズとは一線を画した斬新なシステムが話題を呼んだ。
また、シリーズとしては初めての主題歌及び生オーケストラが起用されたり、アルティマニアの出版もこの作品が初である。
とにかく異色作。
しかし、その独特なシステムや世界観、恋愛や学園生活を主軸に置いたストーリーなど、異色がゆえにユーザーの間で激しく賛否が分かれる。
好き嫌いの差は、おそらくシリーズ最大。
メインテーマは「愛」であるが、上記のように恋愛だけの愛ととらえたユーザーがとても多かった。
実際には恋愛も含めたそれ以外の家族愛・友情など、さまざまな人間関係の中の絆のすべての愛をテーマとしたストーリーであり、主人公だけでない一人一人のストーリーを楽しむことができるので、クリア後も視点が変わり何回でも楽しむことができる作品ともいえる。
シナリオ自体も些か説明不足であったり、さりげなさすぎて演出がわかりにくかったりする点は否めないものの、設定や伏線、人間描写は実に緻密かつ巧妙に練り込まれており、積極的に考察・理解しようとするプレイヤーからの評価は非常に高い。
上記にあるように学園ものである為、メインキャラクターのほぼ全員が未成年である。
それ故か突拍子もない行動を取るシーンが多々あり(特にスコール、リノア)、他のナンバリング作品のように血気盛んな若いキャラをいさめる大人キャラがいない(教官経験もあるキスティスも、まだまだ青い言動が目立つ)、大人の魅力を感じさせるようなキャラが主要パーティーにはいない、といったような点が批判の的となっている面もある。
一応、何故キャラがそんな言動をとったのか腑に落ちる理由や心理的背景を推察できるだけのヒントと材料は劇中にきちんと用意されているのだが、それらが明快な言葉で説明されることが少なく、前述したようにプレイヤー側から積極的に読み取ろうとしない限りはわかりづらいこともそれに拍車をかけている。
だがその青臭さが本作キャラの魅力でもある。プレイの際には主人公に感情移入するというより、見守るような視点でプレイするとより良いかも知れない。(感情移入すると、若さゆえに突然感情を爆発させるメインキャラクターたちについていけないかもしれない)
「(当時はわからなかったが)自分が大人になって人生経験を積んでからプレイし直してみるととても感動した」という評価も少なくない。
オリジナルのプレイステーション版のほか、いくつかのバグが修正されたWindows版が発売された。
またゲームアーカイブスでも配信されている。
2019年には諸問題でHDリマスター化が先延ばしにされていたが、キャラクターグラフィックのリファイン等を経て各種ゲーム機に移植される事となった。
主題歌は中国・香港のシンガー、フェイ・ウォンが歌う「Eyes_On_Me」(同年2月24日発売)。オリコンチャートでは最高位9位を記録し、33万枚を売り上げるヒットとなった。
ジャンクションシステム
本作特有のキャラクター強化システム。
召喚獣(G.F.と呼ばれる)や魔法を各ステータスに直接装備することで能力を上昇させる、従来の武器や防具の装備にあたるシステム。
魔法を個数でストックするため、従来のMP制は廃止されている。
適切に利用することでステータスが大幅に上昇する為、このシステムを理解できているか否かによって、このゲームの難易度は極端に変わる。
また、このシステム自体が本編の設定と密接に関連しており、ストーリーにおける重要なキーワードとなっている。
G.F.(ガーディアンフォース)
従来の召喚獣。
今作では召喚魔法として使うだけではなく、G.F.自身もキャラクターと同じように成長し様々なアビリティを習得していく。
一種の装備品でもあり、上項ジャンクションシステムには欠かせない存在。
(ただし、入手方法が難解だったり、珍妙なアビリティを持っていたりする)
G.F.自体にHPが設定されており、盾役としても使う事が可能である。
アビリティ『おうえん』を習得させていると、ボタン入力により攻撃力が増減する。
ドロー
これにより敵から魔法を奪い取ったり、そのまま放ったり新たなG.F.を獲得することができる(特定のボスのみ持つ)。
上記のジャンクションシステムを採用する今作ではこれなしでストーリーを進めることはきついと言ってもいい。
だが、このドローは最大で9個の魔法しか入手できないため、100個入手しようと思うと、延々バトルシーンでドローを繰り返さないといけないため、これまた賛否両論。実は後述にもあるようにアイテム精製やカード精製で効率よく魔法は入手できるのだが、攻略サイトや攻略本が出回ってなかった時期は、「魔法の入手=ドローしかない」という偏った方法しか採れなかったプレーヤーが続出したため、本作の賛否両論要素のシステムとなってしまった。
特殊技
各キャラの持つ固有技能。FF6の隠し要素であった「瀕死必殺技」を発展させたものと思われ、HPが一定以下であるか魔法「オーラ」を使うことでランダムで発動機会を得る。
……が、システムを理解してしまえば、ほぼ100%発動させられるようになってしまう為、バランスブレイカーの一因となっている面も。
カードゲーム「トリプルトライアド」
ゲーム内で遊べるミニゲーム。
FF8の世界中に普及しているトレーディングカードゲームであり、□ボタンを使って人に話しかけることで、ストーリー全編に渡っていつでもどこでもプレイできる。
基本ルールは単純なのだが奥が深く、本編そっちのけで熱中するプレイヤーが続出した。
カードからはG.F.のアビリティを用いてアイテムや魔法の大量製造が可能なため、低レベル攻略には欠かせない要素でもある。
給料制
本作はモンスターを倒しても金銭は入手できない。戦闘後にモンスターがドロップするアイテムを換金するか、SEED(ガーデンの正式傭兵部隊。詳しくはググってください)に正式採用された後の給料によって金銭が得られる。
だが、一定歩数歩かないと給料が入らないうえに、SEEDランクが上がるごとに給料も上がるのだが、このSEEDランクは簡単に下がってしまう傾向があるうえ、このSEEDランクが上下するシステムも少々複雑(攻略サイトや攻略本を見ないと理解するのは困難)なので、このシステムも賛否両論がある。せめてSEEDランクが下がる明確な基準があれば良かったのだが…。
名前はスコールとリノアのみ変更可能になっている。
主要操作キャラクター
ペット
- 販売数としては当時日本だけで380万本を売り上げ2009年までには900万本近い売り上げを記録しており、FFシリーズトップの売上を記録している。反面、当時の評価は芳しくなかったため、次回作であるファイナルファンタジーIXの売上を下げた原因に上げる人もいる。
- 史上最高の売上をチャンスと見たのか、当時のスクウェアは高クオリティのCGムービー至上主義に傾倒していく事になるが、それに反発して出ていったスタッフもいる他、コアゲーマーからは反発を受けた。一方で高クオリティのムービーはライトユーザーにはわかり易い魅力として映ったのか、多数のライトユーザーを抱え込む事に成功しているほか、スクウェア・エニックスとなった今でも高クオリティムービーによる表現・演出力は他とは一線を画している。一方でそれまでコンスタントに出ていたFFシリーズだが、高クオリティを重視するあまり製作期間が長期化していくことにもなっていった。
- 近年評価が盛り返したのはインターネットが世間に広まってからで、そのストーリーの奥深さが説明され再評価された面が大きい。
- FF7、8と近未来・近代的な雰囲気で大ヒットをしたためか、以降のシリーズは剣と魔法のファンタジーからはかけ離れていくナンバリングが増えて行き、印象としては現代的なカジュアル・若者向けイメージへと舵を切って言った。以降のナンバリングで中世的な剣と魔法のファンタジーはFF11やFF14と言ったネットゲームを抜かせばファイナルファンタジーXVIまで出てこなかった。
- 初めてリアル等身で操作キャラを作ったファイナルファンタジーである。FF7もムービーはリアル等身だったが、操作キャラもリアル等身にしたのはFF8が初。以降のFFシリーズは同時開発していたFF9を省くと、ほぼ全てリアル等身でキャラクターを作っている。(リマスター、外伝的な作品などは別)
- 割とわかり易かった作りのファイナルファンタジー7よりシステム・シナリオともに複雑化したので、(更には全体的に説明不足)全体的に人を選ぶゲームであると言える。上述の通り、学園物や恋愛ドラマなどが好きな人にはおススメだが、当時のオタクは青臭い恋愛ドラマにアレルギーを示す人も多かったのも低評価の要因と見る人もいる。以降は「ファイナルファンタジー=恋愛RPG」と言うライトユーザーも出て来た事で古参のFFプレイヤーとは議論が絶えなかった。
- 当時はドローを魔法を獲得する手段として事前情報としてゲーム雑誌が大々的に流してたり、ゲストキャラのラグナを「2人目の主人公!」と言ってたりしたので、広告戦略は間違っていたと言える。
- 一応ドローは、冷属性弱点の敵から冷属性の魔法がドロー出来たりするので、戦闘中に魔法を使うのに適している。ただし、実際には一部の魔法以外は使われず、ほぼ特殊技とガーディアンフォースの応酬で進める人が多かった。
- ポケットステーション対応だったが、当たりIDがあり確率としては1000個のポケステに1個だけ当たりがあると言う有様。一応IDは交換出来るのだが、何が当たりかもわからない状態でそれを判別するのは不可能だった。ただし、ポケットステーション無しでもプレイに支障は無い。ただしそこでしか手に入らないアイテム等があったため、アイテムコンプリートには必須とも言える。
- ファイナルファンタジー14:新生エオルゼアの「漆黒のヴィランズ」では野村氏を迎えてのコラボ的なストーリーが繰り広げられた。スコールなどは出てこないが最強召喚獣であるエデンをモチーフとした物語で、当時のガーディアンフォースを再現した特殊攻撃などはプレイヤーを大興奮させた。
- カードゲームのトリプルトライアドは好評だったため、本作を低評価で語る人でも高く評価する人も少なくない。中には「RPGがオマケで付いてくるカードゲーム」と揶揄する人もいた。
- トリプルトライアドはFF9で後継のテトラマスターが作られ、ファイナルファンタジー11の時代はオンライン対戦要素もついた上で長く遊ばれた。(名称はテトラマスター)FF14ではトリプルトライアドとして実装されており、今現在もストーリーが進むごとにカードが増えている。
- グラフィック面が非常に進化している他、ネタ的な要素もふんだんに取り入れられた。アビリティの「食べる」や、セルフィの特殊技であるジエンドなどは話題になった。
- 全ての情報を載せる究極の攻略本としてアルティマニアが初めて作られた。以降、スクウェアは載せる情報を膨大にしたアルティマニアシリーズを刊行していく事となり、各ゲーム会社もそれにならう様に攻略本がどんどん分厚くなっていった。
- 上記で記載された致命的なバグであるが、余りに致命的な反面、特殊な条件で普通引っかかる人はいないのだが、引っかかった場合は100%進行不能となってしまう物で、大ヒットゲーム故かバグの話題が大手の新聞に載りニュースでも放映された。恐らくゲームのバグがニュースとして流れた最初の事例。
- 小説家でゲーマーとしても知られている宮部みゆきはクソゲーを聞かれた際に同作を上げている。原因はリノアの様で、自身が書く女性と正反対だったのもあり、かなり受け付けない要素だったようだ。
- ソースコードが全部破棄されており、リマスター版はPC版からリバースエンジニアリングを行い製作された他、メインキャラはグラフィックを進化させて現在でもプレイと鑑賞に耐える出来となっている。(ソースコードの破棄はリマスターが出ない時代は各ゲーム会社で当然の如く行われており、スクウェアだけが破棄していた訳でも無く、リマスターを作るのに苦労したゲームは他にも多数存在する。中にはソースコードはあっても、ゲーム制作中に改変を多数行ったためになんの役にも立たない事もある。)
- リマスターや移植されない理由に主題歌である「Eyes On Me」の権利問題があったのではと噂されていたが、リマスター版でも問題無く収録されているため、ただの噂だったようだ。配信サイトなどでMP3の単品購入などが出来ないために出てきた噂と思われる。
コメント
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