"見つからないものを、見つけるために。"
概要
作風
作品全体のテーマは「生命讃歌」。盗賊の少年ジタンと黒魔導師ビビを中心に生きる事の意味を探す壮大な冒険が繰り広げられる。
そして物語は、盗賊が王女を誘拐するところから始まる。
ファイナルファンタジーシリーズが3Dの表現手法を取り入れてから『ファイナルファンタジー7』や『ファイナルファンタジー8』等の作品が「SF映画」と評されるようになっていったのに対し、こちらは同じ映画の枠組みでもディズニー系やピクサー系、ジブリ系の作品を思わせる「アニメーション映画」寄りの演出に仕上がっている。
また、「演劇」の色が強く打ち出された作風になっており、主人公ジタンを始め、各々のキャラクターたちが発する血の通った台詞は情緒に溢れ、思わず胸を打つものが多い。特にビビの純粋でひた向きな姿は多くのプレイヤーの心を鷲掴みしてきた。
その一方で前半は黒幕の暗躍によって主要な三大国を巻き込んだ戦争が勃発し、直接的な描写こそ少ないものの戦乱に巻き込まれてなすすべなく殺されて行く人々の命の儚さと虚しさもまた本作の特徴である。
とりわけ悪役に使役された召喚獣による民間人の大虐殺シーンはムービーの技術の高さから悪い意味で鮮明に描写され、トラウマになる事請け合い。
一部ではその召喚獣の使用に抵抗を覚えたプレイヤーもいるとか。
そして戦犯であるはずの戦争の発起人も、黒幕も、結局は様々な事情を抱えた一人の弱い人間に過ぎず、登場人物の誰もが自身の生きる意味について自問自答を繰り返す作風となっている。
戦闘
『ファイナルファンタジー8』以前の昔ながらのATBシステムに、ファイナルファンタジータクティクスシリーズのアビリティシステムが取り入れられている。更に、『ファイナルファンタジー6』に登場した「トランス」が復活。アビリティもトランスも戦闘で常用するシステムだが、実は物語の謎に深く関わる要素だったりする。この作品で再び4人パーティに戻った。
音楽
音楽や世界観の作り込みも高い評価が下されている。特に戦闘BGMは7以前に存在した戦闘突入時のイントロと曲の冒頭の「デケデケデケ」のベースラインが、そして勝利のテーマの後半のメロディまでもが7以前のものとなっている。EDの白鳥英美子が歌う主題歌「Melodies of Life」の後には、もちろんあの伝統のテーマ曲が待ち構えている。
ストーリー
霧に覆われた大陸の大国・アレクサンドリア。
その日、ガーネット姫の16歳の誕生日を祝って盛大な祭典が催されていた。浮かれ踊る街の人々の中、劇場飛空艇プリマビスタが劇団員たちを乗せてアレクサンドリアに到着した。しかし、その船団員たちは『盗賊団タンタラス』という別の顔を持ち、女王ブラネの一人娘であるガーネット姫の誘拐を企ていた…!!
一味の少年であるジタンは、祭りの騒乱に乗じて城への侵入に成功する。しかし、そこには目標であるガーネット姫の姿があった。ジタンが追いつめると、なんと彼女は「私を誘拐して」と申し入れてきた?!
この祭りの夜、この二人の出会いが、やがて世界の運命を分ける壮大な物語へと発展していくことになるとは、誰しも想像だにしていなかった……。
登場人物
CV:ディシディア ファイナルファンタジー、オペラオムニア、キングダムハーツ2、ワールドオブファイナルファンタジー、LORD of VERMILION Re:2 / Ⅲ
パーティメンバー
ジタン・トライバル | ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世 |
---|---|
CV:朴璐美 | CV:能登麻美子/歌:白鳥英美子 |
ビビ・オルニティア | アデルバート・スタイナー |
CV:大谷育江 | CV:広田みのる |
フライヤ・クレセント | エーコ・キャルオル |
CV:折笠愛 | CV:金元寿子 |
クイナ・クゥエン | サラマンダー・コーラル |
CV:宮田幸季 | CV:咲野俊介 |
アレクサンドリア王国
霧の大陸において最も強大な軍事力を持つ大国。
先王の急逝に伴い、現女王のブラネを筆頭に女性軍人が数多く活躍する。
その為かこの国の男性はやや肩身の狭い思いをしているようだ。
太字は一時的にパーティに加入するキャラ。
現在の王国の女王。欲深さがありながらも聡明な一面もあり、少なくとも国内政策は良かった様で国民からの支持は厚い。
しかし近年、王国騎士団とはまた別の戦力を外部の武器商人から仕入れて戦力増強を図るなど不穏な動きを見せはじめている。
王国屈指の剣の腕を誇る女将軍。アレクサンドリアの女性の強さの象徴とも言える人物で周囲からの信頼も厚い。
しかし近年のブラネ女王の様子や見え隠れする外部の戦力に戸惑いを感じつつある様子。
元アレクサンドリアの文官であり、幼少期のガーネットの家庭教師。ブラネ女王が武器商人と接触してから突然の解雇を通達され、疑問を抱きつつもトレノの街で歴史研究を続けていた。
後にガーネットと再会して王国の現状を知り、彼女を支援するべく王国に舞い戻る。
王国から脱走したガーネットからペンダントを奪還するべく女王の放った刺客。
任務にガーネットの生死を問わないと知るや仲間諸共抹殺に動く好戦的な性格。
ブラネ女王の誕生以前から王国に仕えてきた双子の宮廷道化師。ピエロの様なフェイスペイントと子供の様なやり取りがユーモラスだが、その一方で女王の命で黒魔道士兵量産に着手していた。
武器商人からノウハウを得てブラネ女王らが秘密裏に制作した黒魔道士兵のエリート軍団。
人語を理解し、「ガーネット姫を奪還、邪魔者は抹殺」の任務を遂行すべくジタン達に襲いかかる。
- プルート隊
女性軍人の多いアレクサンドリアで異彩を放つ男性による精鋭部隊。……なのだが目立った実績がなく隊長のスタイナーのやる気に反し何処か周囲に小馬鹿にされている印象がある。
プルート隊隊長。詳細は上記のリンクより。
プルート隊2番隊員。コッヘルとは仲良しで噂話が大好き。話し出すと任務中でも止まらなくなってしまう。
プルート隊3番隊員。ブルツェン同様噂話に目がなく、意図せずして二人で王国随一の情報通になっている。
プルート隊4番隊員。文学が好きで城の文献を見たいがために入隊した。詩を書かせたらプルート隊どころか王国一らしい。
プルート隊5番隊員。王国一の砲撃の腕を買われて入隊したが、未だ大砲を触らせてもらえてないらしい。
プルート隊6番隊員。隊員一の高齢で階段も一苦労だが、年の功か少々の事態には動じない胆力を持つ。
プルート隊7番隊員。フットワークの軽さを買われ入隊したが、実は無類の女の子好きでナンパに走りまくっていただけらしい。しかし城下町の女の子の名前はおろか裏道を含めた地理を完璧に把握している。
プルート隊8番隊員。スタイナーに次いで任務に熱い期待の星…だったのだが熱血すぎて現場に向かう間に任務を忘れてしまったり場所を聞かずに動き出してしまったりで実績が0。
プルート隊9番隊員。砲丸を運ぶ催しで優勝するほどの力持ちでハーゲン同様期待を持たれていたが、空腹では力が出ないらしく食堂に入り浸ってばかりらしい。
リンドブルム公国
大陸に蔓延し、モンスターを生み出す霧を逆に利用して飛空挺技術を開発した工業国家。
現大公のシド9世の統治の下、国内は空前の発展を遂げている。
現大公。逝去したガーネットの父である先王とは友人同士で、共同建築を行った経験もある。しかし最近は城内でもその姿が見られず不審がられている。同時期に王室にブリ虫を見かけたと言う声も……。
シド太公の妻。姿勢より趣味の機械工学に熱心な夫に呆れつつもそばで支えて来た聡明な女性。
しかし最近は城内でもその姿が見られず不審がられている。
同時期に大公が街で女の子にちょっかいをかけて激怒したとかしてないとか噂が立っているが……。
リンドブルムの発展を裏で支える頼もしい文官。
訳あって人前に出られなくなったシド大公の代わりに陣頭指揮に当たっている。
盗賊団タンタラス
劇場艇プリマビスタを所有するリンドブルム一の劇団というのは表の顔で、実際はシド大公の友人バクーが率いる義賊集団。
その団員はほとんどが孤児であり、彼らが社会的に自立するまで保護する児童施設の様な側面もある。
タンタラスのボス。
詳細はリンク先を参照。
タンタラスの一員にして機械工学の精通者。プリマビスタのメンテナンスも得意としている。トンカチを愛用しており、工事作業のみならず戦闘でも使用する程。
タンタラスの一員にして、ジタンたちの弟分。ブランクとは互いにヤンキー集団のボスとして争っていたがタンタラスに共に加入してから親友になった。
タンタラスの一員にして、みんなの頼れる兄貴分。ゲーム内でも様々な局面でジタンを助けてくれる。唯一ルビィには頭が上がらないらしい。
タンタラスの紅一点にして実力派の女優。関西弁できっぷのいい姉御肌でもあり、タンタラスの劇団としての成功は彼女の活躍が大きい。
ブルメシア王国
ク族
テラ
ボス敵
他キャラ
当時の販売状況と反響・評価
この作品のすぐ後に発売が控えていた『ドラゴンクエストⅦ』の存在、ファン同士で情報を交換し合い初期FFの頃の懐かしい気持ちに浸りながら楽しんでほしいというプロデューサー(坂口信博)の意向による攻略情報規制、更に当時は世界中で最新ハードのPlayStation2の話題が熱を上げていた頃であり、シリーズ初のPlayStation2作品である『ファイナルファンタジー10』と、同じく初のMMORPG作品である『ファイナルファンタジー11』の続報が矢継ぎ早に人々の注目を集めていった。
そもそも本作がPS終末期の作品であることも含め、諸々の事情が一気に被さっており、取り巻く環境は良好とじゃ言い難かった。このため、歴代で見ればそこそこ売り上げたものの、一歩見劣りするセールス結果となった。よって、発売当時からしばらくはいまいち影が薄く脚光を浴びにくかった。
また、FF9のクリスタルはテーマ曲と共に物語の終盤に満を持して登場する形になっている。これに対し、【原点回帰】と【クリスタル、再び。】のキャッチコピーに釣られて当作品を購入したクリスタルの扱いに固定観念を持つ古産ファンの一部からの評判はいまいち芳しくないものであった(ちなみに本作のクリスタルはジョブチェンジの概念は無いが、物語上の役割を思い返すとある意味その概念自体を物語に組み込めていると考えられなくもない)。
そして、評価を分ける一因として序盤の明るい雰囲気ドタバタ劇や児童文学のような可愛らしい作風に反した難解な世界設定にある。幾分ネタバレになるため内容は控えるが、終盤になると特に大学のおエライ教授の講義並みに小難しいうえに、哲学的になったりと、かなりの情報量が畳み掛けてくる(ただし考察好きのプレイヤーには唾涎ものである)。また、PlayStationの性能を限界まで使っていたせいか処理落ちで重くなる事がある。この問題は、PlayStation2以降の互換機能で低減される模様。
昔はFFシリーズの中では評価はあまり高くなかったがアーカイブス版とリマスター版が発売され、配信開始時は売上げランキングで長らくPlayStationでの看板作品のFF7を抑え上位をキープし続けるなどしている(もっとも、これに関しては当時、話題性が絶大でプレイした人間が多かったFF7とPS1のスペックにユーザーがなれた時期で更に情報規制の問題などがあったFF9と言う差があり情報が出そろっている今ならやろうかになりやすいFF9の方が優位があるが)。
余談
- 受け継がれた原点回帰のコンセプト
- その後、DS版『ファイナルファンタジー3』、『ファイナルファンタジー4』らのリメイクと新作である外伝光の4戦士 ファイナルファンタジー外伝を経て、ファイナルファンタジーの要素を色濃く受け継いだ新作ブレイブリーデフォルトに発展していった。
- 初回予約特典にはビビのぬいぐるみがついていた。一時期はかなり高額の値がついているプレミア品だった。(2023年現在はそれほどでも無い。)
- ゲーム全体を通してミニゲームが多い。縄跳び、かけっこ、ここほれチョコボなど。寄り道で強力なアイテムが手に入る事もあり、やり込みプレイも可能。ゲーム好きならついニヤリとしてしまう小ネタも豊富。
- ナンバリングのFFでは最後の低頭身キャラで作られた作品。以後低頭身キャラの系譜はクリスタルクロニクルシリーズへ分岐する事となった。
- 攻略情報が制限された事でも知られる。インターネット普及の途上であったがゲーム雑誌での攻略情報をあまり出さず、当初は攻略本も出さない方針であった。結果、当時のBBSなどでゲーム攻略のやり取りが活性化した他、公式で「オンラインアルティマニア」として攻略サイトを開いていた。ユーザーの口コミでの攻略情報はかなり盛り上がり、目論見としては成功したと言える。それでもオンライン環境が無い人たちもまだまだ多かった為か、後年になってアルティマニアが作られたが、発刊したのはXのアルティマニアより後であった。
- ファイナルファンタジー14:新生エオルゼアでは、ジタンの服装を再現した装備などが手に入るほか、あるクエストではビビが登場したため、プレイヤーには嬉しいサプライズとなった。
- アニメ版
- 2021年6月22日にTwitterにてアニメ化の速報が流れた。制作はフランスのCyber Group Studiosで、スクウェア・エニックスと『ファイナルファンタジーⅨ』の初のアニメシリーズの独占的オプション契約を締結したことをプレスリリース(PR Newswire)を通じて発表した。スクエニ監修でゲームの世界観を維持しつつ、8~13歳の子供たちを主な対象とした冒険アニメで、家族で楽しめるものになっているという。
関連イラスト
対応機種情報
オリジナル版 | アーカイブス版 | |
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機種 | PlayStation | PlayStation3/PlayStation Portable |
ジャンル | RPG | 同左 |
発売日 | 2000年7月7日(金) | 2010年5月20日(木) |
価格 | 8,190円 | 1,500円 |
発売元 | スクウェア | スクウェア・エニックス |
開発 | スクウェア | 同左 |
CERO | A(全年齢対象) | 同左 |
リマスター版
機種 | iOS&Android | PC | PlayStation4 | Nintendo Switch | XboxOne |
---|---|---|---|---|---|
発売日 | 2016年2月10日 | 2016年4月14日 | 2017年9月19日 | 2019年2月14日 | 同左 |
開発下請 | シリコンスタジオタイランド | 同左 | GUILD STUDIO | 同左 | 同左 |
CERO | B | 同左 | 同左 | A | 同左 |
※ジャンル、価格、発売元は全て同じ。
ジャンル:RPG
価格:2500円
発売元:スクウェア・エニックス
※リマスター版は映像の高画質化に加え、3Dモデルのポリゴン数を増やし作り直すなど新たに手を加えられた要素もあり、実質的にはプチリメイク版でもある。(ただしオリジナル版と違い、UIが変わっていたり一部SEやムービー演出に移植にあたっての弊害(劣化)が見られる。
※NintendoSwitchでは、これまで任天堂のゲーム機ではかつての対立があった事も含めて移植される機会が中々無かったのだが、今回初めての移植となる。
関連動画
リマスター版(スマホ&PC版) プロモ映像
リマスター版(PS4版) プロモ映像
関連タグ
会社 | スクウェア、スクウェア・エニックス(スクエニ) |
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スタッフ | 坂口博信、橋本真司、天野喜孝、村瀬修功、植松伸夫 |
種族 | 黒魔道士、召喚士、ネズミ族、ク族、ドワーフ、ジェノム、モーグリ、チョコボ |
国 | アレクサンドリア王国、リンドブルム公国、ブルメシア王国 |
組織 | 盗賊団タンタラス |
NL | ジタガネ、スタベア、ビビエコ |
表記ゆれ | FF9、FFIX、FFⅨ、ファイナルファンタジーIX、ファイナルファンタジーⅨ |