CV:石田彰(ディシディアファイナルファンタジーシリーズでの声)
概要
2つの目的(1つは与えられた使命、もう1つは自発的な野望)を果たすため、アレクサンドリアの女王・ブラネに武器商人として近付き、しばらく行動を共にしていた謎の男。
手土産にした黒魔道士だけでなく、魔法や召喚獣、モンスターなどに関して豊富な知識を持ち、
ブラネを唆して侵略戦争を起こさせ、物語序盤の舞台である霧の大陸に大きな混乱をもたらした。
黒幕・敵勢力のエージェント的存在としてジタン達の前に立ちはだかる。
容姿
跳ねた銀色の長髪に中性的な顔が特徴の、色白な美青年。社会的には大きな邸宅を構える貴族として君臨している。
原作では、頭身が低いため、ムービー位でしか詳しい容姿を知る事が出来なかったが、
ディシディアで頭身が高くなり、その華奢さが分かりやすくなった。
同作品発売当時に売られていたポーションの缶などをよく観ると、うっすらと割れた腹筋も確認できる。
また、そのユニセックスな衣装の際どさから、ジタンには「いやらしい格好したヤツ」、ティーダには「その格好は寒くない?」と言われている。
ちなみに、原作で初めてブルメシアのムービーで彼の格好を見て驚愕したプレイヤーは少なくないだろう。
天野氏によるイメージイラストだとそれほど違和感ないのに・・・・・・。
しかしテラに居るジェノム達(ミコト除く)も意外と露出が多い。
もしかしたらこれぐらいがテラでは普通なのかもしれない。
ディシディアでは本来のラスボスである永遠の闇(永遠の闇は、暗闇の雲の最強武器として名前が登場)を押しのけて参戦、pixiv界隈におけるイラストの投稿増加に拍車をかけている。
性格
かなりのナルシストで、自分のことを語って自分に酔うほどの筋金入り。
ついでに自分に酔いはじめると、自身の計画の核心まで頼まなくても語り出す、少々抜けた一面もある。
が、それも相手の冷静さを奪うための策略であり、話術や態度で簡単に相手の心理を手玉に取って操り、自身の手を汚さずして破滅に追いやり、自身は利益の全てを手に入れる。
口を滑らせた様に見せるのも相手を上手く誘導するための演技に過ぎず、常に先手を打って罠や人質の確保など手札の用意に余念がない。
また、かなり自己中心的なサディストでもある。
自分の目的を果たすためならばいかなる犠牲を払うこともためらわない、それどころかじわじわと相手をいたぶることが好きだと自ら明言するほどの狡猾さと残忍さを持つ。
特に周囲、ひいてはガイアそのものが自身の掌の上で踊らされている様にこの上なく狂喜乱舞するほどである。
自分以外の存在を見下しており、特に黒魔道士たちに対してはそれが顕著である。
黒魔道士と同じ運命が彼を待ちうけていたのは皮肉である。
また、ブラネやブルメシアのネズミ族など、自分の美意識に反するものにも強い嫌悪感を抱いている模様。
そうした他者を利用するだけして用済みになり次第始末する性格から他者との信頼関係に対しては軽薄で約束を反故にすることに一切の躊躇がない。デザートエンプレスではジタンの仲間を人質をとって脅迫し、出発したジタンの結果を待たずして人質を即座に始末しようとしたほどである。(最も人質の殺害決行はジタンに対する嫌がらせの意味合いが強いが)
ディシディアでアルティミシアを「おばさん」呼ばわりしたことで、彼女に「戦いにも礼儀がある」と注意されている。また、皇帝に「僕を支配できると思うのかい?」「暴君の治世はすぐに終わる」、ライトニングを「主役気取り」と評するなどケフカと同様相手を見下している台詞が多いが、ケフカは同族嫌悪の対象なので仲はあまり良くない。
セシルに「君に光は似合わない」と語った事に関してはクジャと同じように他国侵略を行っているのになぜ光でいられるのか?と問いかけているように見える。
なおティーダに対して「君は単純でいいね」、バッツに「気楽そうで羨ましいよ」という台詞は前者は残る命が少ないにもかかわらず死の恐怖に打ち勝てる単純さを、後者はお家騒動もなく、風のように気楽で自由な生活をしている事を評価しているようにも見える。
先述の性格からヴァンに「邪魔なプライド、へし折ってやる!」と敵意をむき出しにされたり、プリッシュに「不安定のカタマリだな」と言われるほど。
更に同作品に参戦しているガーランドを「虫酸が走る(DFF)」「話すことなんて…何もない!(DDFF)」と敵視している(彼が嫌う『ガーランド』とは別人なのだが)。
物事をミュージカルに例える癖があり、それを台無しにされる事を嫌っている。その為、ラグナとギルガメッシュの歌を好んでおらず、後者に対し「やかましくて耳障り」と不快を露わにするほど。
※以下FF9本編ネタバレを含みます!
正体
その正体は、別の惑星テラからやって来たジェノムという種族。テラの管理者であるガーランドによって生み出され、ガイア(ガーネットたちが暮らす星)に戦乱を起こさせる死神として遣わされた。
本来ジェノムが持つはずのない魂を有しており、同じく魂を有し、また同じ使命を果たすべく創られたジタンやミコトの兄にあたる存在。
名前はジタン、ミコトと同じ「命」の意味と言われているが、ソースはミコト以外不明。
「クジャ」はサンスクリット語での「火星」だが、神話の中では「大地からうまれたもの」(そこから発展して命?)とも言われるらしい。
また、火星の赤はテラのクリスタルの色とも共通だったり、神話における火星の神は戦争の神でもあることから、その辺りも由来があると考えていいかもしれない。
ジェノムに共通する金髪と尻尾は見られないが、単に隠しているだけなので、元はジタンやミコトとそう変わらない容姿だったと思われる。
公式の資料によると、創られたときにはすでに成人の姿をしていたということだが、
そこから24年経った今も20代半ば程に見える容姿をしていることから、外見は年を取らないと推察される。
ガーランドがジェノムを創造する技術を使い、その材料となるテラの因子をガイアの因子(霧)に替えて、ガイアの地で黒魔道士たちを創造していた。
お家騒動から来るコンプレックス
自分より優秀なジェノムとされているジタンに対し、異常なまでの嫉妬心を抱いており、創られたばかりのジタンをガイアに捨てている。ジタンを殺さなかったのは、ジタンのいるガイアを戦乱に陥れることで、自分がジタンより優秀であることを証明しようと考えたためとガーランドは推察している。ガーランドもまたジタンのことは「クジャの犠牲の一つ」として考え、クジャが粛清されることはなかった。
劇中では何度かジタンやその仲間たちを殺せる機会があったのだが、いずれも見逃したり人質として利用したりしている。後述のトランクス・クジャとなった際も「生きたまま柱に埋め込んで永遠の王国の礎にする」とまで口にしており、命を奪うことよりも侮辱することにこだわっていた。
自分の存在を「ジタンが育つまでのつなぎ」と軽んじるガーランドにも強い敵意を抱き、
彼に従う振りをしながら、反乱の準備を着々と続けていた。
また「テラの計画が実行に移されたら、テラの民の魂に自分の体を乗っ取られる」とも思っており、そこに死と同等の危機感を覚えていた。
それを回避するためにも、テラの計画を進めようとするガーランドを早々に始末する必要があると考えていた。
ブラネに協力する一方で召喚獣の存在に目をつけ、最強の召喚獣アレクサンダーを従えようとしていた。これを呼び出すためにブラネに戦争を起こさせ、各国の宝珠を集めさせていたがアレクサンダーはガーランドの一撃によって崩壊させられてしまう。だがモーグリが召喚獣にトランスしたことでそこに可能性を見出し、インビンシブルに取り込まれていたブラネの魂たちを説得して自身の力へと変え、究極のトランスによってトランス・クジャとなった。
トランス・クジャ
トランスすると髪が赤くなり、ジタン同様に体の一部が獣のような毛で覆われ、隠していた尻尾が現れる。身長も少し高くなる。
紆余曲折を経てジタンたちを出し抜き、インビンシブルに蓄えられていた無数の魂を吸収して自身の未熟な魂では不可能だったトランス能力を獲得し、尋常ならざる力でジタンたちを一蹴。ジタンたちとの戦いで追い詰められていたガーランドをパンデモニウムから「蹴り落して」葬り去る。
絶頂から絶望へ
最強の力を手に入れて有頂天になっていたのもつかの間、自分の魂にも他のジェノム同様リミッターが設けられていたこと、その刻限が差し迫っていることをガーランドから告げられる。
ガーランドとしてはクジャが失敗作だったことからジタンを後任にすることが決まっており、クジャを活かしておく必要がなかったのだ。
深い絶望を味わい、見下していた黒魔導士たちと同じであったことを自嘲。ジタンに同情されたが、クジャの絶望は生きている者たちへの嫉妬と憎悪へと変わる。自分を差し置いて世界が存在することを許せずテラを破壊し尽くしてしまう。
その後、テラやガイアのみならず宇宙のすべてを道連れにすべく、万物の根源たるクリスタルを破壊しようとする。
しかしクリスタルの記憶からガーディアンやデスゲイズなどを創造してジタンたちに差し向けるなど、すぐにクリスタルを破壊しようとはしなかった。むしろ「死んだ命を生き返らせる」「新しい命を産み出す」ことに重きを置き、自分が助かる可能性を模索してように思えなくもない。やはり「自分も含めたすべてを消す」ことに抵抗があったのかも知れない(言ってしまえば盛大な自殺である。クジャだって本心では「生きたかった」はず)。
それを阻止しに来たジタンたちとの闘いの果てに敗北するが、自分だけが死ぬのは許せないとして道連れに演出アルテマを発動。共にいずこかへと落下していった。
直後、クジャの絶望に引き寄せられ本作のラスボス「永遠の闇」が召喚され姿を現すことになる。
結末
エンディングでは、崩壊する絶望の丘から転移魔法でジタン達を助け出し、
テレパシーで励ましの言葉を伝えたり、彼らに助けの船を向かわせるべくミコトにジタン達の居場所を教えるなど、人が変わったように協力的になる。それは「全てを失った」ことで「生きる」ことの大切さを知ったからだった。
そんなクジャを見捨てられず、仲間の反対を押し切って暴走するイーファの樹に一人で飛び込んだジタンと再開したクジャは、生きることの大切さ、もっと早くその事に気づけなかったことを悔やみながら意識を失う。
直後にジタンとクジャにイーファの触手が襲い掛かってきたが、クジャをかばうようにジタンが覆いかぶさったところで映像がブラックアウトし、エンディングムービーの終盤へ移行する。(一緒にディシディアの世界に行ったのかもしれない)
それ以降、クジャの生死については触れられない為、黒魔道士達と同じく寿命尽きて死を迎えたと思われるが、明確な描写自体が存在しない事や、エンディングのラストの方でダガーが人混みをかき分けていく時にクジャらしき人物が映っている、ということで生存説が根強くささやかれている。
これだけのことをやったクジャだが、何をしたかったのかは明確になっていない。お家騒動に振り回された結果、自分を支配していたガーランドを殺した際には「テラとガイアの支配」「永遠の王国の成立」を口にしているが、これは目的というよりは単純に人生の楽しみという感じである。
この時点では、誰にも支配されず、誰にも劣らないと謳歌できる人生自体が目的だったのかのかもしれない。
本音ではティーダのように死の恐怖に打ち勝った後は、お家騒動と無縁なバッツのような風のように自由な生活をしたかったのかもしれない。
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