概要
綴りは【Lindworm】ないし【Lindwurm】
飛竜もしくは犬竜と呼ばれる。
主にドイツ周辺・スカンディナヴィア半島にその伝承を残し、特にスカンディナビア半島では19世紀までその目撃例が存在した。
リンドブルムのブルム【worm】とはワーム(ワイアーム)のことであり、このドラゴンが古代伝承のドラゴンと中世伝承のドラゴンの中間域で生まれた存在であることを示唆している。
ゆえに、年代の古い伝承のリンドブルムは翼をもたず、飛行することができなかったとされており、よりワイアームに近い存在として描かれている。
ドイツやスカンディナヴィアのリンドブルムは鏃のような尾を持つ飛竜とされる一方、イギリスの伝承に語られるリンドブルムは翼をもたないとされるものが多い。この翼をもたないリンドブルムはリンドドレイク【Linddrake】とも呼ばれている。
また、後世になると、「稲妻や流星はリンドブルムが発したもの」という伝承も登場してくるようになる。
スカンディナヴィアでの伝承
スカンディナヴィアでリンドブルムに対応する語がLindormで、デンマーク語では「レンオアム」と読む。ノルウェー語では「リンノルム(linnorm)」という竜が知られている。
レンオアム王(Kong Lindorm)
デンマークに伝わる伝承。ドイツ語での呼称である「リンドブルム王子(Prince Lindworm)」とも呼ばれる。
子宝に恵まれない王妃が、魔女の助言で薔薇を食べて双子の王子を授かるが、その際に忠告を守らなかったために一方の王子がリンドブルムとして生を授かってしまう。
リンドブルムの王子は父に我が子であることを認めてもらおうと懇願するも、王は頑としてこれを拒否する。これに怒った王子は「自分の花嫁を探してくれなければ父上を食い殺す」と脅しにかかる。王は仕方なく花嫁探しを始めるも、どの花嫁候補も王子の姿を見て恐れを成し、誰も彼を愛そうとしなかった。そのたびに王子は怒りに任せて花嫁候補たちを食い殺していった。
やがて、王子がリンドブルムであることが国中に知れ、花嫁に相応しい相手が見つけられなくなった頃、羊飼いの美しい娘がいると聞いて王は彼女を指しだすよう、彼女の両親に命を下す。娘は死を覚悟して花嫁となりに向かうが、その道中で怪しい老婆(実は王妃に助言をした魔女)から不思議な助言を受ける。
王子のいる館に着くと、娘は老婆からの助言を実行した。すると翌朝には誰も見たことが無いような美しい人間の王子がいたという。その後二人はめでたく結婚したという。王子はその後王に即位する。
解説
いわばデンマーク版『美女と野獣』と言える物語。欧州各地に類似する伝承が存在し、またこの原点にも続編が存在する。
イギリスには、『スピンドルストンの醜い竜』という話がある。
スウェーデンのLindorm
スウェーデンではLindormは手足の無い蛇の姿でイメージされていたようであり、19世紀まで実在するという認識があった。
同国の民俗学者Gunnar Olof Hyltén-Cavalliusが伝承を蒐集していた折、スウェーデン南部のスモーランド地方でたてがみを生やしたLindormに遭遇したと主張する人々と出会った。
目撃例は50に及び、彼は懸賞金を出して生死を問わずに標本となる個体を求めたが見つかることはなく、スモーランド地方にLindormが棲息するという噂は途絶えることになった。
リンノルム(linnorm)
馬の頭とたてがみに蛇の胴体を備え、その目は赤い炎のように輝くという怪物リンノルム(ノルウェー語:linnorm)も知られている。
登場作品
最初の赤属性のXレア龍皇ジークフリードから派生したスピリット群として「ジークヴルム」が登場している。
アニメシリーズ第二作少年激覇ダンの主人公のキースピリットである「雷皇龍ジークヴルム」に始まり、派生スピリットが多く登場しているのが特徴。当時まだ新しかった赤属性専用効果「激突」を視聴者に印象付ける、まさに「激突王」と呼ばれる彼の相棒に相応しい活躍を見せた。
派生系では最終形態である「超神星龍ジークヴルム・ノヴァ」、第2期のライバル月光のバローネが使う「月光龍ストライク・ジークヴルム」、ヒロイン紫乃宮まゐや獄龍隊隊長獄将のデュックのキースピリットである「滅神星龍ダークヴルム・ノヴァ」の三体は特に人気が高い。デザインでは共通して緑色の複眼を持っている事が多い。
また、リンドブルムの逸話から、雷や流星の要素を組み込まれる事が多い。
表記に関してはリンドヴルム。Ver2.0のレイドバトルとして登場したレイドボス。実装当時は18人レイドだったのだが、後のバージョンアップで30人レイドにまで増員となっている。
六竜HLとほぼ同時期に登場したのだが、六竜の方が当時6名で討伐しなければいけなかったマルチレイドだっただけに、難易度は六竜よりは若干下回る。
同表記のリンドヴルムはドラガリアロストにも出ているが、こちらとは別扱い。同じくプリンセスコネクト!Re:Diveにもリンドとヴルムが登場しているが、こちらも別扱い。
- 両者ともにスターシステムとは無関係な同名称の別人である。
厳密には『リントブルム』。
同種族であるへびこうもりと比べると、驚くほど弱い。
リメイクされたGBA版『サンサーラ・ナーガ1×2』で登場した、第六階層である空中世界ジャナローカの守護竜。
見た目は犬のような顔の手足が無い青いワイアームで、全体毒の「さんせいう」で攻めてくる中ボスである。
タイトルにもなっているドラゴンの一種「スカージ・ドラゴン(Scourge dragon)」の異称としてリンノルム(Linnorm)が言及。
D&Dの看板モンスターである「クロマティック・ドラゴン」や「メタリック・ドラゴン」とは別系統のドラゴン。
竜としての頭部および胴体と尾それに一対の前脚のみを備えた姿が一般的だが、二つの頭部を備えた亜種「ドレッド・リンノルム(Dread Linnorm)」もいる。
一部の学者は彼等をクロマティック・ドラゴンやメタリック・ドラゴンのような「トゥルー・ドラゴン」とは見なしていない。
メタリック・ドラゴンに伝わるドラゴン起源神話ではドラゴンの祖神イオ(アスゴラス)の被造物ですらなく、それとは別の嫉妬深い小神の手で作られた「紛い物」的存在とされており、リンノルムたちはこの説を酷く嫌っている。