概要
ファフニールとは北欧神話をメインとしたゲルマン神話、及びリヒャルト・ワーグナーのオペラ『ニーベルングの指環』に登場する怪物である。
ドラゴンと明言された訳ではないが、「鋼のような鱗を持つ爬虫類の姿」「毒の吐息を吐く」と極めてドラゴン的な生態を持つため、ドラゴンの一種と見做されることが多い。
綴りは“fevnir”もしくは“fefnir”であり、ファーブニル(ファーヴニル)やファヴニールなどとも読む。英語だと“ファフナー”(fafnir,fafner)。
その他、ファヴニル、ファーフナー、ファーフニル、ファフニルなどの表記も見られる。
魔法使い・フレイズマルの3人息子のひとりで、弟にオッテルとレギンがいる。
神々から弟を殺した責任に財宝と魔法の指輪を得るが、その黄金の呪いによってその魅力に取りつかれて父親を殺し、その黄金を掻っ攫って怪物に変身し、財宝を独り占めすることになる。
父親フレイズマルが所持していた名剣フロッティと見た者に恐怖を与えるという兜「エイギスヒャルム」の所有者で、鋼のような鱗と猛毒のブレスを武器とし、圧倒的な戦闘力を誇る強敵であったが、魔剣「グラム」を携えたシグルズとの一騎打ちの末に倒された。
ファフニールの死後、レギンはシグルズにその心臓を焼いて食べさせてほしいと頼んだ。その途中焼き加減を確かめるため、シグルズは親指を押しつけた際に火傷してしまい、その親指を舐めた時に動物の声を聴く力を手にした。また、シグルズはその心臓を食べたことで誰よりも賢くなったと言う。
上記の伝説を元ネタにしたワーグナーのオペラ(楽劇)『ニーベルングの指環』にも登場。
一時期熱心な民族主義者になっていたワーグナーは、このオペラもドイツ的な作品にしようと試み、名前をファフナーとドイツ語読みにしている。
元ネタの伝説とは違って元々巨人族であり、兄弟は1人しかいない。
神々のためにヴァルハル(いわゆるヴァルハラのドイツ語読み)の城を建設した見返りとして財宝と魔法の指輪を半ば強引に手に入れる。
その後伝説同様に怪物に変身して森に潜んでいたが、神々から与えられた剣「ノートゥング」を持ってやって来たジークフリート(北欧におけるシグルズ)に退治される。
容姿を形容する際には「Drache(ドラゴン)」ではなく「Wurm(地を這うもの、ワイアーム)」の語が使われている。
物語
北欧神話
神であるロキ・オーディン・ヘーニルが旅をしているとき、河でカワウソに変身していたオッテルをロキがいたずらにしとめてしまい、宿を求てフレイズマルのもとを訪れた際に事が露見してフレイズマル親子に三人は捕らえられてしまう。
息子を殺した賠償金を要求する彼らに対し、神々はオッテルの皮の内側と外側を埋め尽くす量の黄金(もしくは赤い黄金)を支払うことで合意する。
オーディンとヘーニルが人質として残され、ロキがドワーフのアンドヴァリから黄金と黄金を生み出す指輪(もしくは腕輪)・アンドヴァラナウトを奪う。
その際に、アンドヴァリは指輪の持ち主に永遠の不幸をもたらす呪いをかける。
黄金を手に入れた親子であったが、その魅力に取りつかれたファフニールは父親を殺して黄金を奪った。
レギンが財産の分け前を要求するとエイギスヒャルムを被りこれを拒否し、更にグニタヘイズと呼ばれる土地に逃亡して、誰にも財宝を奪われないよう怪物に変身して財宝を独り占めしはじめる。
このことが気に食わなかったレギンは、養子であるシグルズをそそのかして彼を倒させるが、ファフニールの心臓の脂を舐めてすべて生物の言語を理解したシグルズに小鳥が密告したことですべてを見透かされてしまい、返り討ちにあう。
ニーベルングの指環
『ニーベルングの指環』の方では兄弟のファーゾルトと共に登場し、
ヴァルハル城建築の代償として女神フライア(北欧神話のフレイヤ)の身柄を要求していた。
しかし神々がこれを拒否し、代償を小人族の持つ黄金に変更。
フライアに惚れていたファーゾルトはこれを渋ったが、打算的なファフナーはむしろ黄金の方に魅力を感じ、神々に黄金を取りに行くよう指示。
小人族から神々が取り上げた黄金と指輪を無事せしめることができたが、
その指輪には小人族の長アルベリヒ(北欧神話のアンドヴァリ)の呪いがかかっていた。
その結果黄金の分け前のことでファーゾルトと揉めた末にファーゾルトを殺害し、黄金と指輪を独占。
そのことを恨んだミーメ(北欧神話でいうレギン、「指環」では設定変更により小人族の一人ということになっている)にそそのかされたジークフリートによって倒された。
ちなみにこのミーメもレギン同様、ジークフリートに全てを知られて殺害された。
ファフニールをモチーフとした作品・キャラクター
ドラゴンの中でも名前を持つ個体として非常に有名であり、そのことから様々なものの名前やモチーフにされている。
作品
キャラクター
- 漫画『小林さんちのメイドラゴン』に登場するキャラクター。⇒ファフニール(小林さんちのメイドラゴン)
- 漫画『RPG不動産』に登場するキャラクター。
- 漫画『けものみち』の登場人物。⇒ファフニール・ギルドメラグ・リンダブレア
- ゲーム『ドラゴンバスター』に登場するルームガーダー。ファフネル名義で小型の竜として登場。
- ゲーム『女神転生シリーズ』に登場する悪魔。⇒邪龍ファフニール
- ゲーム『モンスター列伝 オレカバトル』のモンスター。幼体や複数の亜種が登場。
- ゲーム『ナイツオブグローリー』と『ドラガリアロスト』。こちらでは人に友好的な存在として登場。
- ゲーム『神撃のバハムート』と『Shadowverse』にも登場している。一方で、『グランブルーファンタジー』では別個体のファフニールが登場した関係で、黄金の邪竜と名前が変更されることになった。
- 『Fateシリーズ』にファヴニール名義で登場する強大な力をもつ邪竜。またはその邪竜に変貌する現象。⇒悪竜現象
- ゲーム『ラストオリジン』に登場するバイオロイド。⇒ファフニール(ラストオリジン)
その他
関連イラスト
関連タグ
ミラボレアス:モンスターハンターに登場。ドラゴンをそのまま具現化したかのよう外見、殺した相手の武具を持ち去るなど、ファフニールの方との共通点が多い。