2114年に宇宙から飛来した地球外生命体フェストゥムに対抗するために人類が建造した、対フェストゥム専用の思考制御・体感操縦式の有人兵器。日本人メカニックにより原型が開発された。
「ファフナー」の名称は北欧神話に登場する、竜になった巨人ファヴニールに由来する。
概要
高次元情報結晶体であるミールから得られた情報を基に、「ミールの欠片であるコアを封じ込めた機体と一体化することで、敵の能力に抗いながら戦う」というコンセプトの下に開発された、ヒト型の巨大なマシーン。機体が人型であるのは、パイロットとファフナーの一体化を促進するため。
機体と一体化することによって情報端末へのアクセス、クラッキングが容易となっており、情報の送受信やファフナーの通信ケーブルを介して戦艦や戦闘機の制御システムにアクセスすることも可能。
特徴的な関節の配置は敵の読心能力を防ぐ効果があるとされており、またワームスフィアーによる予測困難な攻撃を回避するため、機体の各部には加速用のスラスターが多数配置されている。
読心能力による作戦の露呈を防ぐため、無線による通信システムは採用されておらず、有線ケーブルによる接続を介した通信かジークフリード・システムによる交信によって作戦の指揮や通信を行う。
また大半の機体には、海中での行動を避けるフェストゥムからの逃走を想定した海中航行装備が施されている。
なお、コア搭載型ファフナーの厳しい搭乗条件や量産性の低さ、パイロットへの因子付与に対する倫理性の問題などから、大量生産モデルとしてコア非搭載型ファフナー(人類軍ファフナー)が存在する。
操縦方法
パイロットはシートに座り、各部を固定器具によって固定された状態で機体を操縦する。
操縦には指輪状の操縦システムニーベルング・システムを採用。ゼリー内部にはニーベルングの指輪と呼ばれる指輪状の機器が浮かんでおり、指を通したパイロットは指先の神経を介して神経系とファフナーのシステムとを一体化することで機体をコントロールすることが可能となる。このため、マニュアルなどによる操作系統の習得が不要となっている。
この際、脳の爬虫類部分を刺激し、戦闘に不要な感情を消し去ることで攻撃衝動を呼び起こす効果も持つ。
なお、搭乗時には機体との一体化を促すシナジェティック・スーツを着用するが、必須ではない。
搭乗条件
ファフナーに搭乗するには、ファフナーとの一体化に際して必要となるシナジェティック・コードを高い形成度で作れる素養を持ち、かつ身体にフェストゥム因子を保有する事。なお、コア非搭載型ファフナーは因子を必要としないものの、シナジェティック・コードの形成率は低く、機体との一体化レベルが低いため高度な戦闘機動が難しくなる。
シナジェティック・コードとはファフナーとの一体化に際して理想的な脳の状態の事を指す。
地力形成は非常に難しく、遺伝子操作により高い素養を持って生まれた者を除けば形成可能な人間は10万人に1人と言われている。また、自我が定まる成人になると形成が困難になって行くとされており、パイロットの平均年齢は16歳と極めて低い。
フェストゥムの因子は接続媒介となるもので、コア搭載型のファフナーに搭乗するには必須の要素でもある。搭乗時に掛かる負荷により活性化する性質があり、一度ファフナーに搭乗すれば染色体異常を起こし、搭乗による同化現象を重ねるたびに様々な症状を発症させてしまう。末期症状では昏倒した後に身体が結晶化して死に至ってしまう。後天的な付与は生命の危険が伴い、安定付与する為には胎児の段階において遺伝子レベルで同化させる必要がある。
フェンリル
全ファフナーに共通して搭載される、内臓式・時限式の燃料気化爆弾。起爆直前に液体燃料をまき散らすことで絶大な破壊力を生み出すもので、国際協定によって自国製造は禁止されている。
本来はフェストゥムによる同化能力によってファフナーの技術が解析されたり、敵戦力に吸収されることを防ぐための兵装ではあるものの、機体ごと自爆する性質上、パイロットの特攻を幇助してしまう一因となっている。
一部の人類軍ファフナーには、コントロール・システムや隊長機を介した遠隔地から対象のフェンリルを強制的に起動するシステムが組み込まれている。
また、マークザインにはノートゥング・モデルと比較して約3倍のフェンリルが内蔵されている。
登場作品と各モデル
蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT以前
2122年にした「第一次F計画」によって開発された全てのファフナーのプロトタイプ、及びその後継機。
ファフナー開発草創期のため同化現象対策等が未熟で、搭乗に際して掛かる激しい負荷から、開発段階において多数のテストパイロットを犠牲にした。
一部開発者の離島で開発が行き詰まるが、試作機のティターン・モデルの実戦投入を余儀なくされることで皮肉にも問題点の洗い出しに成功。本格的な実用段階へ至る目途が立つ。
- エーギル・モデル(第1世代)
開発コードAGX。通称ゼロファフナー。
主な開発者は西尾行美。2132年、起動実験の際の事故により凍結。
- ティターン・モデル(第2世代)
開発コードTSX。全4機が建造された。
開発者はミツヒロ・バートランドと日野洋治。2145年の「L計画」で全損。
- ノートゥング・モデル(第3世代)
主な開発者は羽佐間容子、近藤彩乃、皆城公蔵。マークアイン、マークツヴァイの二機が建造され、2145年時点において3回目の起動実験に成功。
蒼穹のファフナー Dead Aggressor
2146年において、竜宮島がフェストゥムとの戦闘を開始した時期の機体。
ノートゥング・モデルが正式にロールアウトされたほか、コア非搭載の人類軍ファフナーが登場。
- ノートゥング・モデル(第3世代)
ティターン・モデルとそのパイロットが残した運用情報を基に、ジークフリード・システムを機体から撤去・統括型のシステムを据えることで、搭乗負荷の大幅な軽減を達成した実戦モデル。適正を考慮した様々な装備のバリエーションによる幅広い戦術が可能となった。同年代の人類軍ファフナーに比べて高い性能を発揮するものの、ワームスフィアーへの耐性はほとんど持たない。
後にマスター型フェストゥムから渡されたデータにより、搭乗負荷の軽減とワーム耐性を大幅に向上する。
人類軍製ファフナー
Alvisから離島したファフナー開発者達の一部が、新国連および人類軍傘下の元、開発・完成させたファフナー。
コアの調達が叶わない状況での開発であった為、多くはコア非搭載型として完成しており、それに伴い無線通信による連携での戦闘を行う。
コア非搭載型のために同化現象によるパイロットの消耗が存在せず、コストも低いために大量生産が可能となっている。性能は低くフェストゥムに対抗するには難が有ったが、エースパイロットの存在や物量戦術によって、数少ないフェストゥムへの対抗手段として運用された。
疑似的なシナジェティック・コード成形機能を搭載した量産型ファフナー。人海戦術中心で約30000機が製造された。
20mと小型で、搭乗者の技量・適性の低さを考慮し扱いやすい武器腕となっている。
800機製造された少数生産機。45mと大型で強力な性能を持つが、重装甲によって精神的に負荷が掛かるためにパイロットが限られる。
約200機製造された細身で軽量な機体。38m。スラスターによって俊敏な動きを得意とするため、女性が好んで搭乗する。
竜宮島を離島した日野洋治、ミツヒロ・バートランドにより開発された、救世主の名を冠したファフナー。高性能を求める余り搭乗者負担を考慮しておらず、Alvis製のファフナーに比べ更に高い負荷を強いる。コンセプトの異なるマークザイン、マークニヒトの2機が建造された。
2146年のヘブンズドア作戦の切り札として建造されたジークフリード・システム内蔵型の決戦兵器であり、コア搭載型として設計されていたが、当初はコア調達の見通しが立たずに難航。後に接収したノートゥング・モデルから抜き取ったコアを移植する事で完成した。
異なるコンセプトで設計・建造された2機は人類軍の旗頭として運用される予定だったが、マークザインは洋治の一存でAlvisの真壁一騎に譲渡され、マークニヒトはフェストゥムであるイドゥンに強奪。パイロットの影響で外見は再構成され、ファフナーから逸脱した同化能力やワームスフィアーの制御能力を獲得する。
蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH
2149年。空母ボレアリオスに寄生する、北極ミールからの派生ミール、およびそのコアである来主操がAivisに接触。
マークザインに封印されていたマークニヒトがフェストゥムに奪われ、再びAlvisの手に戻る。
- ノートゥング・モデル(改修)
蒼穹作戦から得られたデータを基に改修が施される。機体性能やワーム耐性が向上したほか、搭乗者負担も大幅に軽減され、搭乗時の瞳の変色も無くなった。
外見上は迷彩塗装が施され、左側スタビライザーと左膝のナンバリングが廃止。
パイロットの補充に伴い、3機が実戦投入される。
- マークドライツェン
カノン専用に新造された、ノートゥング・モデル13番機。近接戦闘を想定して設計段階から練り直し、ベイバロン・モデルを踏襲する大型の装甲や大型スラスターを追加。機動力が高く、低空飛行が可能。
開発者はカノン・メンフィスの義母・羽佐間容子。
- エーギル・モデル(改修)
改修が施された後、第二次蒼穹作戦において実戦投入される。
各部のエネルギー兵器と100mの巨体で圧倒的な殲滅力を誇る。
蒼穹のファフナーEXODUS
2151年、ハワイのポリアフ基地壊滅後に結成された、人類軍所属のペルセウス中隊、およびフェストゥムとの対話能力を持つエスペラントがAlvisへと接触。
Alvis製ファフナー
- ノートゥング・モデルSS(ダブルエス):マークエルフ改スサノオ、マークフュンフ改ツクヨミ、マークゼクス改アマテラス
新しいパイロットに合わせて新造された、かつて損壊した機体の同型機。既存機共々島のミールによって更なる強化を施され、同化現象の抑制とマークザインと同様の同化によるエネルギー生成機能を獲得した。加えて搭乗者各位に異なる超次元現象(SDP)を発揮させ、フェストゥムの能力を部分的に使用可能となった。
スレイプニール・システムによって制御されるコア搭載型の無人機。要咲良のSDPにより一時的に複製され、戦闘時は本来の数以上に出現・稼働する。
SDPにより未来視を得た羽佐間カノンが、その未来の中で命を削り戦い続けた事により得られた情報を元に設計された新モデル。「1分でも長くファフナーに乗り続ける」という全く新しいコンセプトを持ち、胸部及び大腿部にカノン式アクセラレータを搭載し各位のSDPの増幅が可能な他、多数の新・同化現象抑制機構を有し更なる負荷軽減を実現している。
エインヘリアルとは北欧神話に登場する、ワルキューレによってヴァルハラへ召し上げられた、永遠に戦い続ける英霊達に由来する。
羽佐間カノンがSDPの未来視で得た情報を元に設計された「1分でも長くファフナーに乗り続ける」ことを目的とした新モデル。
胸部及び大腿部に各位のSDPの増幅が可能なカノン式アクセラレータを搭載し、機体性能の向上と負荷軽減を両立する。
エインヘリアルは北欧神話に登場する、ワルキューレにヴァルハラへ召し上げられた、永遠に戦い続ける英霊達。
人類軍製ファフナー
コアの供給手段を得た人類軍が開発した、コア搭載型の新型ファフナー。
性能は大きく向上したが、同時に搭乗制限の悪化やこれまで存在しなかった同化現象の発症も招いている。各モデルとも用途に合わせたバリエーションが多数存在する。
また、同化された味方との交戦を考慮した兵装を持つ機体・部隊も存在する。
跳ね上がった搭乗制限は、1期の頃に一時離島した一騎を解析して得たMAKABE因子(フェストゥム因子適合個体から作られた特効薬)の投与によって無理矢理クリアして搭乗者数を確保している。対価として搭乗者は30歳を迎えられないと言われる程大きく寿命が縮んでしまう。
派閥で塗装が異なり、ナレイン・ワイズマン・ボース将軍旗下であるペルセウス中隊所属の機体はスカイブルーで、アルゴス小隊の機体はブラックで塗装されている。
メガセリオン・モデルの発展後継機。ジークフリード・システムとのクロッシング維持や状況把握を行う、大隊指揮官用の特殊モデル。
性能面は3種で最も高い大隊指揮官機。
ザルヴァートル・モデルの大量生産型。ただしコアの出力不足によって、性能はオリジナルに大きく劣る。
3種の中で最も継戦能力に優れる中隊指揮官機。
グノーシス・モデルの発展後継機。パイロットの数を確保するために、適性のない人間も特効薬によって搭乗させることが可能。パイロットを補助する機材のために大型化してしまった他、同化耐性が最も低いなど、主力機でありながら不安が残る機体。
新国連が建造した、第三のザルヴァートル・モデル。高い火力とイージス装備による圧倒的な防御力を兼ね備えた、人類の希望。
蒼穹のファフナーTHE BEYOND
竜宮島から離島したAlvisの手によって一部の欠番機がエインヘリアル・モデルとして再建造され、それぞれの機体にコードネームが与えられた。
また、第四のザルヴァートル・モデル建造プランが発案される。
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蒼穹のファフナー 鷲尾直広 Alvis 人類軍 フェストゥム シナジェティックスーツ