※物語の根幹に関わるネタバレにつき、未読の方はブラウザバックを推奨します。
計画を達成したマキマは、抜け殻のようになったデンジを引き連れ眷属達を紹介していた。
しかし、突如大きな爆炎が上がる。
岸辺らによる突然の襲撃によりマキマは重傷を負う。
そして彼女の復活を阻止するため、公安の襲撃者達は5人の命と引き換えに強大な悪魔を呼び出した。
「地獄の悪魔よ」
「マキマを殺して地獄に落とせ」
燃え盛る体躯を持つ半人半馬のような異形の悪魔。
かつてサンタクロースとの契約によりデンジらを地獄へと落とした悪魔の手で今度はマキマを滅ぼそうという岸辺の作戦は十全であるかに思われたが…
「助けてチェンソーマン」
マキマの助けを求める声に、デンジは虚な眼のまま立ち上がった。そして腹部を裂いて飛び出した腸がデンジの首にマフラーのように巻きつく。
地獄の悪魔を一瞥し、スターターを引いた次の瞬間、地獄の悪魔はバラバラに切り裂かれていた。
これまでのチェンソーの悪魔の面影を残しながらもより異形へと変貌した姿。
体躯は一回り大きく、そして黒くなり、下腕は二つに割れてそれぞれにチェンソーが生え、そして頭部にはハンドルの代わりに数本のツノ。その異形にはもはやデンジの意識も、面影も残っていなかった。
地獄のヒーロー
突如として現れた異形のチェンソーマン。
その正体は力を取り戻したデンジの親友、ポチタであった。
とある悪魔の策略によりデンジの精神が絶望の底に落ちたことで、彼が代わりに肉体の主導権を握ったのだ。
以下はマキマが語った「チェンソーマン」の正体や能力である。
- 地獄で誰かが助けを叫ぶとやってくる。そして叫ばれた悪魔はチェンソーで殺され、助けを求めた悪魔もバラバラに殺される
- その行動のせいで他の多くの悪魔に目をつけられて殺されるが、そのたびに何度でもエンジンをふかして復活する
- そしてそんなチェンソーマンをある悪魔は怒り、ある悪魔は恐れ、ある悪魔は崇拝した
そしてそんなチェンソーマンの行動の何よりも恐ろしいのがその能力であった。
「チェンソーマンが食べた悪魔は」
「その名前の存在がこの世から消えてしまうのです」
チェンソーマンに殺され、食われた悪魔はその名前の概念ごと存在も、記録も、記憶も全て消滅してしまう。一度消えてしまえば誰も存在した事すら認識できなくなる恐ろしい能力。
「貴方はナチスがユダヤ人に何をしたのか覚えていますか?」
「ナチス...?」
「ナチス」
「アーノロン症候群」
「第二次世界大戦」
「エイズ」
「租唖」
「比尾山大噴火」
「核兵器」
「かつては存在しその名を持つ悪魔と同様に恐れられました」
「しかしそれらの名前を思い出せるのはもう私しかいません」
「全てチェンソーマンが食べてしまいましたから」
マキマが述べた、恐怖の対象と同列に語られる「アーノロン症候群」「租唖」「比尾山大噴火」といった我々が知らない言葉。
他にも「人なら誰もが持っていた第六感」「子供の精神を壊すとある星の光」「生命が寿命を迎えると死の他にあった4つの結末」などがチェンソーマンによって消滅しているが、それらがどんな名前を持つどんな存在だったのかは、もはやマキマにも思い出せないらしい。
また、肉体の部位の名を冠する悪魔を食べれば全ての生物からその部位が消失してしまう(例:耳の悪魔を食べれば、耳が消え去る。しかし聴力自体は残る)。
ただし食べた悪魔を吐き出した場合、即座に元に戻る。この場合、消失していた間の混乱していた記憶は曖昧なものになる。
これらの特性から作中でのチェンソーは木を切る以外にも使い道が存在したが、チェンソーマンがそれらの概念を司る悪魔を喰ったことで木を切る道具としての使い道のみにしかチェンソーを用いられなくなったという仮説がある。
地獄の悪魔に地獄に送られても、襲い掛かる地獄に潜む悪魔達を逆に返り討ちにして虐殺し現世に帰還する無茶苦茶な強さは健在の他、不死の肉体の扱いはデンジが変身した時を上回っており、宇宙空間に飛ばされても心臓を自ら抉って地球目掛けて投擲し、心臓を基点に肉体を再生することで地球に帰還し強襲を仕掛けるという常軌を逸した復活方法を披露した。
眷属
チェンソーマンに登場する、ある8人の悪魔や魔人の眷属には、それぞれ天使の階級に因んだ名がつけられている。マキマ曰く、彼女と彼らではチェンソーマンに対する「信仰の違い」があるらしいが詳細は不明。また眷属の内の幾名かは作中で既出の公安所属の悪魔である。
- セラフィム
虫のような頭部と翅を持つ悪魔。何の悪魔かは不明。名前の元ネタは熾天使・セラフィムと思われる。
- ドミニオン
4つの眼と4つの耳、獣の蹄のような手足を持つ悪魔。何の悪魔かは不明。名前の元ネタは主天使・ドミニオンと思われる。
- ヴァーチェ
2本指の手足を持つ悪魔。首から上が無いが、ビームらのように戦闘によって無くしたのか元々無いタイプの悪魔なのか不明。何の悪魔かは不明。名前の元ネタは力天使・ヴァーチェと思われる。
蜘蛛の悪魔。名前の元ネタは権天使・プリンシパリティと思われる。
- エンジェル
なお、上記のメンバーには大天使・アークエンジェルに相当する悪魔がおらず、ファンの考察ではある魔人がそのポジションではとも予想されているが現時点では不明。
余談
- こっちが悪魔達の知る元々のチェンソーマンであるが、読者が長らく認識していた
デンジのチェンソーマンと名前が被ってしまうので、ファンの間では
「真チェンソーマン」「黒チェンソー」等で呼び分けがされている。
- 「チェンソーマンが悪魔を食べるとその名の存在が消える」という設定は、物語中盤頃に第2部の設定として思いついたものであり、第1部では軽く触れるに留まったが第2部ではストーリーに深く関わるらしい(ジャンプフェスタ2022のインタビューより)。
- 余談だがジャンプ巻末のコメント欄でガウナが元ネタである事を明かそうとした際に誤ってそのコメントを1週間早く掲載してしまい、作者(の妹)自らTwitterでネタバレに注意する警告をツイートする事になった(外部リンク)。