ザルヴァートル・モデル
ざるゔぁーとるもでる
「ザルヴァートル・モデル。私とミツヒロが作り上げた、真の救世主だよ。」
フェストゥムとの最終決戦を目的として新国連にて開発された、有人兵器ファフナーの特殊モデル。ザルヴァートル(Salvator)は「救世主」を示す。
竜宮島(Alvis)出身者のミツヒロ・バートランドと日野洋治が共同で開発したモデルで、人類軍製ファフナーとしては初のコア搭載型ファフナー。洋治曰く「真の救世主」「可能性を開く扉」。
フェストゥムの殲滅や強力なファフナーを求める余りアーカディアン・プロジェクトの理念から徐々に離れていったミツヒロ・バートランドは2138年に竜宮島を離島し、持ち出したファフナーの技術を基に人類軍製の量産型ファフナーを開発。その後、2141年に同じく離島した日野洋治と共に、決戦兵器としての運用を想定したファフナーの研究を開始した。
ミツヒロ・バートランドがザルヴァートル・モデルの概念を構築し、ミールに関する研究を行っていた洋治の手によって具体的な形へと発展させたことで開発が進められた。しかしながら新国連や人類軍の殲滅方針のために技術を成熟させることが難しく、研究は難航した模様。またザルヴァートル・モデルには当時の人類軍の量産型ファフナーと異なり、ミールから直接分岐したコアを内蔵する必要があり、またコア搭載型である機体を起動するにはフェストゥム因子を保有したパイロットが必須であったため、起動試験すらままならなかった。
そうして彼らが研究を始めてから5年が経った2146年、モルドバ基地に鹵獲されたコア搭載型であるノートゥング・モデル・マークエルフと、そのパイロットである真壁一騎の来訪によって開発時のネックだったコアとパイロットの調達を達成。マークエルフからコアを摘出し、開発中の機体へと移植することでザルヴァートル・モデルが完成した。完成した機体はマークザインとしてロールアウト、ミョルニアを通して一騎へと託され、得られたデータはミツヒロ・バートランドや一騎を助けに来た遠見真矢、溝口恭介らに渡った。
部分的にではあるが、フェストゥムの身体と同じシリコンを装甲材質に使用している上に周囲のあらゆる物を同化して自身のエネルギーに変えており、破損した機体や武装を再生させる事も可能。
また、コア格納ブロック周囲に常気性の永劫導電回路を形成している。これによって大気中の物質を同化し、エネルギーに変換する機能を有している。このため機体本来の電源を消耗することなく活動可能で、機体そのものに活動限界時間は存在しない。
人類軍製のファフナーとしては初のコア搭載型だが、独自にコアの調達が出来なかった為に、竜宮島のノートゥング・モデルのコアが接収・流用されている。
圧倒的な性能と引き換えにもはや常人の扱える機体ではなくなっており、ザルヴァートル・モデルによる同化能力を発揮するには、従来のノートゥング・モデルや後発のエインヘリアル・モデルで求められる「違う自分になる」感覚からさらに進んだ、「違うモノになる」感覚が要求される(たとえば「腕が銃になる感覚を受け入れられるか」といったもの)。さらに段階を進めて「存在そのものが別のモノになる」感覚の容認に到達すれば、全能力の解放に至るとされる。
さらに同化現象もより過酷であり、遺伝子レベルで調整を受けている竜宮島の子供達でさえも、リミッター無しでの長時間・長期間の搭乗は不可能なレベルの同化速度を有しており、リミッター有りでも同化速度がニヒトに比べれば比較的大人しい部類のザインですら、真壁一騎のように数か月で同化現象を発症するレベルの速度である。フェストゥムに奪われることを防ぐため、搭乗者が完全に同化されきった場合は、即座に通常の3倍の量のフェンリルが起動して破片すら残さないようにセットされている。
いずれの機体も作中で異なる経緯でフェストゥムの影響を受け、開発当初に輪をかけて常人の扱える範疇を超えた性能を擁する機体へと変化を果たしており、最終的に全機が再構築されて外観さえ大きく変貌(この現象は「THE BEYOND」でザルヴァートル化と総称されている)しており、元々の設計思想の違いもあって、とても同型機とは思えない程に各機体の外観や能力はそれぞれ全く異なる。
また、あまりにも危険すぎる特性と桁外れな性能でアルヴィスのクルーたちからは総じて『怪物』と呼ばれている。
「そうだ……あれがザルヴァートル・モデル。」
「父が造ろうとした、人類救済の力。」
『EXODUS』でもノートゥング・モデルを凌ぐ最強のファフナーとされており、人類軍製ファフナーでは全く太刀打ちできない。
また、「機体の完成にはミールから直接分岐したコアが必要な為に、アルヴィス製ファフナーのコアを使わなければならない」「MAKABE因子を投与された人類軍のパイロットでは同化されて起動実験さえ出来ないために、竜宮島のパイロットを生け捕りにしてテストさせるしかない」など、人類軍のファフナーとしては多すぎる程の致命的な欠点を抱えている。
それにもかかわらず、新国連上層部が開発しようとするのは、その並外れた性能からフェストゥムに対抗しうる数少ない手段であるという実情を物語っている。
一方で、島の方では運用が危険すぎる為に、当初はザイン・ニヒトの両機共に封印処置を施されて機体の分解・コアの摘出を試みていた。しかし、機体が単独で外部機材やパイロットを同化して自己防衛を行う為に、一向に廃棄ができずにいた。
そればかりかパイロット不在の状態でクロッシング要請信号を発するなど、もはや自我をもって自立行動しているとしか思えない不気味な反応を起こしていた。
しかし、日野美羽達を島外派遣した際に、彼女に迫る危機を察知して目覚めた皆城織姫にザイン・ニヒトへ乗ることを命じられた皆城総士と真壁一騎は、生命の危険を承知で、しかも機体の解体の為にリミッターを解除された状態のザインとニヒトに再び搭乗する事になる。
『THE BEYOND』でも3機とも現存しているが、現状ザインとニヒトではアザゼル型に対抗するのが難しいという実情も露呈し、更にはベノンを率いるマレスペロが純粋ミールに並びうるほどに能力を成長させており、海神島で真壁一騎専用の第4のザルヴァートル・モデルの開発プランが進められることになった。アルヴィスはザインとニヒトの2機を保有していたこともあって技術的問題はクリアしていたとはいえ、ザルヴァートル化の鍵となる一騎の負担を考慮してプランは中断されていたものの、総士がニヒトを再起動させたことをきっかけにその「壁」となる存在が必要になったことで再開、一騎が改修されたマークツェン改・アキレスにベノン群を吸収させることでザルヴァートル化を再現、マークアレスが誕生した。
更にそれに留まらず、一騎への対抗心、「大切な人間の喪失」の否定、そして過去の自分の存在を通して自らの存在を確立した総士の成長がトリガーとなり、マークニヒトが不可能とされていた再ザルヴァートル化を成し遂げ、さらなる強化に到達している。
当初は全機共通の標準武装として、両翼の飛行ユニットに搭載されたアンカーケーブルとホーミングレーザーが存在したのだが、ザインは再構築の際に両方が融解して失われ、レゾンは光による同化能力を持つが故に同化ケーブルが装備されていない。また、マークアレスはアキレスがザルヴァートル化した際に同化ケーブルこそ獲得したものの、ホーミングレーザーの発振ユニットは持たない。
アルヴィスとべノンが有するマークザイン、マークニヒト、マークアレス、マークレゾンの四機のザルヴァートル・モデルをそれぞれ投入し、日野美羽の犠牲を巡りマークニヒトとマークアレスが激突した末にマークザインは純粋ミール・アルタイルと同化して再度のザルヴァートル化を成し遂げ、マレスペロに操られたケイオスのマークレゾンを撃破した。更に、美羽の祝福として人類とフェストゥムを問わずアルタイルを地球上のすべての存在に分け与え、マレスペロもようやく憎しみから解放されて新たなコアになった。
かつて、洋治とミツヒロが開発したファフナーは様々なフェストゥムとミールとの出会い、戦いを経て半世紀近く続く人類とフェストゥムの戦いに終止符を打ち、戦いの歴史から人類を救った。
特にミツヒロの妄執の産物でもあったマークニヒトは一度フェストゥムに奪われた後に海神島でこれまでの竜宮島のほかに道がないという諦めと犠牲を否定し、更にミツヒロのフェストゥムを滅ぼす夢も否定する形で平和に導いた因果な機体となった。
そして、マークレゾンもマレスペロから解放されたケイオスと共に機体の名前通り自らの存在する理由を探す旅に出た。
総じて、ザルヴァートル・モデルは洋治が主張した『可能性を開く扉』として四機がそれぞれに人類とフェストゥムの可能性を開く扉としての役割を果たし、結果としてミツヒロの妄執だけは否定される結末となった。
日野洋治の「1人でも多くの兵士を生かす」というコンセプトの下で開発された。
機体コードMk-Sein。
子細は項目を参照。
ミツヒロ・バートランドの「1体でも多くの敵を倒す」というコンセプトの下で開発された。
機体コードMk-Nicht。
子細は項目を参照。
『EXODUS』にて登場する第三のザルヴァートル・モデル。機体コードMk-Raison。
基本フレームはザイン・ニヒトと共通ではあるが、ザイン・ニヒトとは開発時期も開発者も異なる為、外見や装備が異なる。
開発コンセプトは不明。
子細は項目を参照。
『BEYOND』に登場する第四のザルヴァートル・モデル。機体コードMk-Alles。
アルヴィスが改修したアキレスを一騎がザルヴァートル化させ完成した、「「存在」と「無」に続く「全能」のザルヴァートルモデル」。
子細は項目を参照。
マークザイン初登場時では変化前のマークザインに乗ったミョルニアがグノーシス・モデルでは歯が立たなかったイドゥンを一時退け、直後に乗り換えた一騎が「体の感覚が全然違う」と驚くという描写があっただけで、いずれの機体も変化前の素の性能が全く不明。
上述の能力も、どこまでが元々機体に存在した能力で、どこまでがフェストゥムの力の影響で強化・覚醒された能力なのかは不明で、本来のザルヴァートル・モデルがどの程度の力を持っていたのかは今となっては分からないと言う、ロボットアニメ全般でも他に例が見られないような非常に珍しい機種である(マスター型のイドゥンを退けていた時点で、それまでのファフナーとは比較にならない程の力を持っていた事は間違いないが…)。
結果として開発者達のコンセプトは満たしたが、その性能は開発者達の想像の斜め上どころの話ではない。