「睦、伝書鳩になってはいけませんわ。ごきげんよう」
「あなた、ご自分の事ばかりですのね…」
CV:高尾奏音
概要
アニメ『BanG Dream!』の派生作品『It's MyGO!!!!!』及び『Ave Mujica』の登場人物。
羽丘女子学園に通う高校一年生。中学時代は月ノ森女子学園中等部に通っていた。2月14日生まれ。身長155㎝。
豊川グループの令嬢でお嬢様口調で話し、趣味、特技はピアノで、暇さえあれば学校の音楽室で時間を見つけて弾いている模様。
バンドユニット「CRYCHIC」の発起人で、高松燈の詩に感銘を受けてバンド結成を持ちかけ、自身はキーボードと作曲を担当していた。
しかし初ライブ終了後、ふとスマホを見て態度が豹変した祥子は、後日一方的にCRYCHICからの脱退を表明。CRYCHIC解散後は月ノ森からも転校し、同バンドの元メンバーで幼馴染の若葉睦を除く全員との関係を断ってしまった。
CRYCHICの崩壊と祥子に秘められた謎が、「MyGO!!!!!」と「Ave Mujica」を取り巻く物語の発端となる。
アニメ『MyGO!!!!!』において
CRYCHIC解散以降は唯一自身に起きたことを知らせていた睦と一緒にいることが多く、自分と接触を図る長崎そよとの間で板挟みになる彼女に対して、上記一番目の助言を送る他、そよに羽丘に何度も押しかけられ、付きまとわれていることについて睦に相談をしていた。
その後、そよと直接話を付けるために睦と共に燈達のバンド(当時はバンド名が無く後に「MyGO!!!!!」となる)のライブに訪れるが、彼女らが『春日影』を歌っているのを見て、泣きながらライブハウスを走り去る(担当声優の高尾女史によると、祥子の中で何かが壊れてしまった、『アニメージュ』2025年1月号での柿本監督インタビューによると、「CRYCHICも『春日影』も二度と自分には届かないものになってしまったことを身を持って知った」という)。
少なくとも、燈が緊張から最初は上手く声が出せなかった『碧天伴走』の演奏時は、彼女に対して「頑張れ!」と言わんばかりの表情を見せている。そのおかげか燈は1番サビから例え必死であっても歌い切った。その演奏終了後には素直に拍手をしている事から、やはり春日影の演奏が決定打となったようだ。
この出来事が後に彼女とそよ達の間に、そして燈のバンド内に決定的な溝を作ってしまう。
上記の一件を契機に幼馴染である睦や三角初華といったメンバーを集め、新たなバンドを組もうとしている動きが見られ、第12話終盤にて、動画配信者の祐天寺にゃむが最近ドラムを始めた事を嗅ぎつけ、彼女を呼び出し「見栄えがする独特なドラムの奏法」と「『顔』と『(人の注目を集める)数字』」を理由にバンドにスカウト。
そして第13話において、自身が総指揮を執る覆面バンド「Ave Mujica」のキーボード「オブリビオニス」として盛大なメジャーデビュー公演を成功させた。
しかし、彼女が帰宅した先はかつて暮らしていた大きな屋敷ではなくボロボロのアパートであり、暗がりの中、自宅の居間から玄関にかけて既に飲まれたと思われるいくつもの缶ビールの空き缶が散乱していた(その他にも焼酎の瓶も存在)。そして、祥子は「ただいま…クソ親父」と呆れ、憐れむように伝えるのだった。何かも忘却に葬りたいと願うように……………。
物語の最後で、祥子が困窮の中で父親と暮らしていたことが明らかとなる。
祥子がCRYCHICからの脱退を通告したのも、月ノ森女子学園にいられなくなったり、音楽室で得意なピアノ演奏をしているのもこの為である。
アニメ『Ave Mujica』において
明かされた過去
実質総合的には分割2クール目となる第14話で始まる続編『Ave Mujica』の第1話で、祥子の現在に至るまでの経緯が明かされた。
幼少期は優しい母・瑞穂と誠実な入り婿の父・清告と幸せな日々を送っていたが、中学時代に母が若くして死去してしまう。
母の死去に泣きじゃくる祥子を見て父は奮起することを誓うも、祥子は母親の死を乗り越えられずに茫然自失となったまま日々を過ごしていた。
その中で、月ノ森音楽祭でMorfonicaのライブに心を動かされた祥子は睦と一緒にバンドを組むことを決め、CRYCHICを結成する。
だが、CRYCIHC初ライブの日に招待していた父が会場に来ておらず、ライブ終了後に父からもう一緒に暮らせないとの連絡を受け愕然とする。
祥子は祖父から、父が168億円の詐欺被害に遭ったことで豊川家から追放されたことを知らされる。祖父から瑞穂の忘れ形見のため自身の養女になるよう持ち掛けられるものの、それを拒否。
母親の形見である赤いドレスの人形を持って実家ではなく父の元で暮らすことを決めるが、失意の底に落ちて荒んだ生活を行う父を支えながらバンド活動を続けるのは厳しく、結果としてCRYCHIC脱退と転校を選んだのだった。
CRYCHIC脱退報告後の彼女は大雨の中、1人慟哭しながら歩いていた。それ程、彼女は悩み苦しんだ末の決断なのだろう。
そして、慟哭する祥子の姿を唯一見つけたが何も出来なかった幼馴染も、深い悔恨を残すことになった。
Ave Mujicaとして
総指揮及びキーボード、作曲を担当。
商業的に大成功を収めて最速での武道館公演にこぎ着ける。
しかし武道館ライブ当日に、娘に支えられる現状に耐えられなくなった父から「いなくなってくれ」と当たられて、父との生活は破綻。
更に武道館での公演中、方針対立のあったにゃむが祥子の意向を無視して独断でメンバーたちの仮面を外したことで、祥子自身も仮面を外さざるを得ない状況に追い込まれ、メンバー全員の素顔を公開することとなる。
武道館ライブ後はにゃむの策略により仮面を外されて祥子の想定が大きく狂ったことに加え、憔悴した睦が生放送中に失言をしてしまったことでAve Mujica解散の風評が流れてしまい、総指揮を執る祥子は激務に追われる。
父親の元を飛び出した後は事務所に寝泊まりしていたが、それに気付いた初華の厚意で彼女のマンションに居候することで安息の場を得るも、祥子自身も追い詰められている状況故に睦の窮状に気付かないまま全国ツアー初日を迎えるが、睦が演奏中に椅子に座りこみ人形のように動かなくなってしまう。
祥子はとっさの機転で人形であるモーティスが眠りについたパフォーマンスという事にし、照明や残りメンバーも合わせてくれたため、事なきを得る。
その夜、睦への配慮不足を反省し、もっと彼女を気に掛けると決意するが、ゴールデン生放送番組ミュージックフロアから、先ほどのパフォーマンスを再現してほしいと要望が来てしまう。更に事務所からも次のツアーから同様の打診があり、祥子は断ろうとするがパフォーマンスをするべきだというにゃむと口論になる。睦本人はパフォーマンス打診に怯える表情を見せるが、拒否の言葉や明確なアクションを取ることができず、にゃむに「睦はパフォーマンスを嫌だと言っていない」と解釈され、二人の仲は更に険悪となる。
仙台でのツアーは祥子の意向によりパフォーマンス無しで終えたが、にゃむとの対立はさらに激化。仙台駅で激しい口論となり、睦はCRYCHIC解散のトラウマがフラッシュバックして動けず、初華は援護に入ってくれたもののにゃむに言い負かされ、海鈴にまで批判される危機的状況に「これ以上話しても無駄ですわ!」と強引に打ち切る。
家に帰る途中、どこまでもついてくる睦と2人になりどうしてパフォーマンスが嫌だといわないのか、睦に問うと「私が喋ると、ダメになるから」と返される。
その言葉に仙台駅の口論で疲弊した祥子が「甘えないで!そんなこと言ってる場合!? 」「昔はもっと喋っていた、笑っていたのに、全部わたくしに言わせて!」と強い口調で言ってしまい、最後には「どうして味方になってくれないの!」「ムジカしか……わたくしにはもう、この世界しかないのに……!」と悲痛な声を睦にぶつけてしまう。
この発言の直後、睦を傷つけてしまったと後悔するような表情になるが、そのまま彼女を置いて走り去る。
これが最後の引き金となり、祥子が言ったように笑い、喋り、祥子に甘えない睦が生放送の演奏前にパフォーマンスを始める。
余談
バンドリきっての難読キャラ名
- 苗字の元ネタになった、東京都文京区の「高田豊川町」は現存せず、現在は同区目白台の一部になっている。目白台は日本女子大学と同付属豊明小学校の所在地。
- また、苗字の読みは「とよかわ」ではなく「とがわ」、名前の読みも「しょうこ」「さちこ」ではなく「さきこ」と、バンドリ随一の難読フルネームであるという特徴がある。よくよく注意されたし。
- ちなみに八幡海鈴も「みすず」ではなく「うみり」と読む。愛知県南部の豊川市には、海鈴に使われている八幡を冠する八幡町(名鉄八幡駅も存在)があり、つまりは、豊川市八幡町となる。ただし、豊川の読み方は一般的な「とよかわ」である。
その他
- 何気に彼女はBanG Dream!初のみずがめ座生まれのキャラクターである。それも2月14日のバレンタインデー。いそうでいなかった存在であり、彼女の登場で十二星座がついに揃った。因みにふたご座生まれも初期の5バンド内にはいなかった。
- 当初から彼女は「Ave Mujica」のオブリビオニスとして活動していると推測する意見もあったが、先述の通りアニメ『MyGO!!!!!』第13話でオブリビオニスの正体は彼女である事実が明らかとなった。
- 幼馴染5人組で結成した「Afterglow」を除けば同じバンド内に2人の幼馴染(睦、初華)が所属している非常に珍しいキャラクター。
- CRYCHIC時代から振るまいが大きく変わった彼女に対し、幼馴染の睦は「祥が壊れそうだから」と彼女のことを案じてAve Mujicaに加入することを決めている。
- AnimeRecorderにおけるアニメ『MyGO!!!!!』柿本監督による全話振り返りインタビューによると、祥子は自分の陰の部分については、睦以外には知らせていないと述べられている。
- ファンの考察では祥子の苗字である豊川の読み方が「とよかわ」ではなく「とがわ」なのは、「咎」(CRYCHIC解散という十字架)を示唆しているのでは?とも言われている。彼女の半身と言える睦にも「むつみ」から「罪」が入っているが、これは偶然だろうか?。
- 祥子側も睦の持つ芸能人の娘としての苦悩を把握はしており、CRYCHIC時代にメンバーに睦を紹介する際に一切両親に触れない、収録中にインタビュアーが睦の両親について尋ね始めると幾度も遮るという行動を見せるが、海鈴が仕事を大量に睦に与えた際も「先方の要望ですわ」とそれを許可してしまう等のフォローが疎かになってしまう面も見せてる。また、睦本人が同席していない祐天寺にゃむの勧誘時には彼女に加入を承諾されているために睦の母親を引き合いに出して利用している。
- ただし、睦の負担については全国ライブ初日の件を受けて祥子も自分の至らなさに気付き、睦のパフォーマンスを求めるクライアントや事務所の意向を却下する姿勢に変えている。
- CVの高尾女史は小学5年生の頃に『ミラノ国際ジュニアピアノコンクール』にて最高位となる『ASSOLUTO(「絶対」という意味。意訳するなら「絶対王者」といったところ)』を受賞しており、名実ともに世界最高のジュニアピアニストという異色の経歴の持ち主。その演奏技術は本物であるといえる。また、実兄もピアニスト・作曲家である。
現状の豊川祥子
上述してあるように、そよに「ご自分の事ばかりですのね」と言って突き放した彼女だが、Ave Mujica結成の流れやアニメの流れを考えると、このセリフがそっくりそのまま自分自身にも当てはまっているのではないかと視聴者に指摘されてきた。
具体的には
- 精神的に疲弊している睦を全く見ていないスケジュールの組み方及び配慮の無さ。
- これには他の三人も気付いていなかったが、そもそも睦との接点が皆無に等しいため気付くのは無理な話である。
- 練習場所に一目で分かるほどボロボロになったにゃむのスティックが置いてあるのに、「にゃむこそ練習すべき」と的はずれな反論。
- にゃむは高校に通いながら自宅の電子ドラムで練習する程努力家であり、本人的にはその泥臭さを隠そうとしている。
- ずっと傍におり、祥子の秘密を隠していた睦に対し「どうして味方をしてくれないの!?」という一言。
- なお、この言葉は「リスパレ!チョイス」における対談記事において、祥子の心と睦側の受け取り方ですれ違いが起きているとのこと。
そして海鈴に祥子こそバンドメンバーを見れていないのでは?と指摘される。
祥子も学生という立場でありながら、企画や曲は全て自分で作っているため、メンバーの心を慮る暇すらないのだろう。
メンバー側も自身の目標や夢のために参加している海鈴とにゃむは祥子に批判的、幼馴染の2人は祥子の味方であろうとするが、祥子の事情を全て知っている睦は精神状態が摩耗し、初華には自身の境遇を明かせないままでいるため頼りがたく、リーダーであり公私ともに負担が大きい祥子を支えるには不十分な環境となっている。
また、祥子には他者に対して思い遣り深い側面とプライドが高い側面が同居しているため、その2つが悪く噛み合って自分の弱みや境遇を共有することが普通の人より難しいと思われる。
睦に対する一言に謝罪出来ず、その言葉を言った後に睦を傷つけたことに気付くも居たたまれずに逃げてしまったことも、この辺が原因だろう。
総括して祥子のことを「可哀想」と言う視聴者もいれば、「お前が始めた物語なんだから責任持て」という意見の両極端ある状態だ。特に上述の睦に対する致命的な一言により、睦が精神的に壊れてしまったことから更に彼女への不満が溜まる視聴者もいる一方、このまま彼女がどんな結末を迎えるのか楽しみにしている視聴者も多い。
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BanG Dream! Ave Mujica CRYCHIC
全ての元凶:ファンからはこのように例えられている。