概要
「むつさき」とは『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』及び『BanG Dream! Ave Mujica』における若葉睦と豊川祥子のカップリングタグ。
ふたりは幼馴染であり、バンド「Ave Mujica」では睦がギター、祥子がキーボード兼総指揮を担当。
「Ave Mujica」のライブでは祥子のもう一人の幼馴染である三角初華(Gt.&Vo.)と三人でフロント組を形成している。
互いの呼び方は「祥(さき)」と「睦」で、睦にとって祥子は自分の半身のような幼馴染みとされている。
誕生日は睦が1月14日、祥子が2月14日とちょうど1ヶ月違い。
また、睦、祥子ともに解散した「CRYCHIC」の元メンバーでもある。
CRYCHICが解散し、祥子が転校先も告げずに行方をくらまして他のメンバーとの交流を断った後も、祥子は睦のみ転校先を教えており交流を持ち続けていた。
アニメ『MyGO!!!!!』監督インタビューでは祥子の「陰の部分」について、「幼馴染の睦以外には知らせていない」と言及されており、睦はCRYCHIC時代から解散後もずっと祥子のそばに居続けていることや、後述する「Ave Mujica」加入時の言葉から、『It's MyGO!!!!!』内で最大の謎となっている祥子に起こった出来事を唯一知っている人物と描写されている。
2人の担当声優からも各種インタビューで睦と祥子の関係について言及されることも多く、睦を演じる渡瀬結月氏からは、睦の行動原理は「祥子を守る」という思いが軸になっていると述べられており、また、『アニメージュ』2025年2月号の渡瀬氏と祥子役の高尾奏音氏の対談内では2人の関係について「一番甘えられる相手」「すべてをわかりあっているような関係」と語られている。
アニメ『MyGO!!!!!』での描写
CRYCHIC(中学生時代)の睦と祥子
高松燈視点でのCRYCHIC結成から解散までのストーリーである『It's MyGO!!!!!』第3話にて、中学3年生時代の睦と祥子が描かれている。
燈に対して祥子が睦を「幼少の頃よりギターをたしなんでおりますから頼もしいですわよ」と紹介し、睦が「ううん」と首を振ると「またそんな」と祥子が苦笑する(アプリ版では睦に「もっと自分に自信を持たないといけませんわ」と励ます。なお、実際に睦の演奏技術は一流とされている)遣り取りでふたりが幼馴染であることが示されている。
燈が歌えるようにCRYCHICメンバーでカラオケに行った際は、祥子がノリノリでマラカスを振っている姿(アプリ版ではマラカスを振りながら歌う姿)を見て、睦が声を出して笑う姿が描かれている。
この場面は『It's MyGO!!!!!』作中で睦が唯一声を出して笑った場面であり、睦が笑ったことに驚く周囲に対し祥子は「睦は笑いますわよ」と幾度も彼女の屈託無い笑顔を見ていたこと、睦と祥子の親密さを窺える言葉を残している。
また、『春日影』の歌詞を見て感動で涙する祥子に睦は真っ先に声をかけ背中に手を伸ばして心配し、その涙の理由を知ると隣で微笑んでいる姿が映され、とても仲の良いふたりとして描かれている。
第3話以外の中学生時代の2人については、第2話の『春日影』演奏動画の撮影に際して祥子が睦の手を引き位置取りをさせて世話を焼く姿が映され、第9話では長崎そよをスカウトするきっかけとなった月ノ森女子学園音楽祭にも二人で一緒に観賞する姿が描かれている他、祥子が祐天寺にゃむを「Ave Mujica」に勧誘する際に見せた睦とのツーショット写真もこの時期のもの。
CRYCHIC解散後の睦と祥子
祥子がCRYCHICを脱退し、他のメンバーに行き先を告げずに転校して関係を断った中で唯一睦だけが祥子の居場所を彼女から知らされており、一緒にいる姿が描かれているが、中学時代の屈託の無い祥子とは異なり睦に対してきつめの接し方をしている。
そのような中でも、祥子の行方を探ろうとするそよと板挟みになる睦に対し祥子は「伝書鳩になってはいけませんわ」との助言を、千早愛音経由で居場所を知ったそよにしつこく付き纏われていることを相談する祥子に対して睦は直接話を付ける場所として燈たちのバンドのライブ会場に行くことを提案する(アプリ版では睦に案がないかと頼る祥子の台詞が追加されている)といった、互いの抱える問題を慮る関係が描かれている(最終的に睦、祥子共にCRYCHICを復活させるというそよの望みを拒絶)。
『It's MyGO!!!!!』第13話冒頭では祥子から直々にAve Mujicaの加入を請われ、睦は承諾。その際、祥子は驚き、躊躇するような表情を見せた後に「後戻りはできませんわよ」と再度確認するという、自身の望みに応じる睦の選択に複雑な心情を抱いていることを窺わせる描写がされる。
そして、睦は「Ave Mujica」に加入する理由を「祥が壊れそうだから」と述べており、祥子を案じて彼女のそばに居続けることを選んだ。
「Ave Mujica」への加入には祥子に対する罪滅ぼしのような気持ちを持っているとのこと。
Ave Mujicaでの睦と祥子
『It's MyGO!!!!!』第13話後半のAve Mujicaライブパートにて、睦は「モーティス」、祥子は「オブリビオニス」として登場。
ライブ前の舞台劇ではオブリビオニスとモーティスが手を繋ぎながら登場することを始め、オブリビオニスは終始モーティスの髪をくしで梳かす、彼女の髪に触れるといった演技が行われており、オブリビオニスとモーティスは演者である睦と祥子の本来の親密な関係を反映したようなキャラクター付けがされている。
なお、モーティスはオブリビオニスを「お姉様」と呼んでいる。
アニメ『Ave Mujica』での描写
祥子の過去と睦
幼い頃から仲が良く、睦自身は登場しないが祥子の母親・瑞穂の誕生日には睦も呼んで母親のために何かをしようとしていたことが祥子の回想シーンで描写された。
ふたりが中学生の時に祥子の母親が死去し、睦も葬儀に出席。コミカライズ版では葬儀後に祥子を心配して睦が声を掛けている。
母の死により消沈する祥子に睦がずっと寄り添っていたことや、月ノ森音楽祭でMorfonicaのライブを見て感動した祥子が睦をその場で一緒にバンドをやろうと誘いCRYCHICの最初のふたりとなったこと、祥子が父親と暮らすため月ノ森を辞めることを告げられた睦が彼女を案じたことや、自身の境遇について祥子が睦に口止めを頼んだことが描かれている。
なお、『アニメディア』2025年2月号の特集記事によると、睦は祥子が新聞配達などのアルバイトをしていたことも知っていたと解説されている。
睦の祥子への悔恨
第3話にて、睦視点からのCRYCHICの解散が描かれ、睦がバンドを楽しくない思っていた理由、CRYCHICを自分が壊してしまったことへの罪悪感、そしてCRYCHIC崩壊後、睦だけが雨の中で泣きじゃくる祥子を見つけていたことが明かされる。
睦は泣きじゃくる祥子に対して、手に持った傘を挿すことも渡すこともできずに自分も雨に濡れながら立ち尽くすことしかできなかったことに対し深い悔恨・罪の意識を抱いており、舞台劇のような睦の内面世界では、雨の中で慟哭する祥子と彼女に何も出来ない自分の姿が幾度も映し出され、祥子の泣き声が響く中で絶望し蹲る姿が描かれている。
Ave Mujicaでの睦と祥子
商業的に成功を収めたAve Mujicaメディアからの取材等を受ける際に、喋るのが苦手な睦を祥子がフォローする姿が描かれる。
また、睦は祥子の境遇を唯一知っているため、祥子が父親と住んでいるアパートまで迎えに来ていることが明かされた。
しかし、武道館ライブ当日に祥子が父親との生活に限界を迎えてしまい、父親の所にはもう戻れないと慟哭する祥子を睦は案じるが、口下手な睦の言葉は届かなかった。
武道館ライブ後は、素顔が公開されて睦が厭う「有名人の娘」として注目される状況になったことに加えて、クライアント側の要望で睦に多くの単独仕事が振られた等複数の要因で睦が精神的・肉体的に疲弊し、祥子側も生放送中に睦が司会者から両親について触れられた際は話を遮ろうとするような配慮を見せるも、彼女自身も厳しい環境にある故にフォローしきれず、全国ツアー初日で睦がステージ上で崩れて落ちてしまう。
この事件を受けて、祥子は睦にもっと気をかけるべきだったと自省。「この世界に引きずり込み、ここまで追い込んだのはわたくし」「睦がどういう子か、昔から知っていましたのに……」と手を震わせながら彼女を顧みられなかったこと後悔し、以降は睦の「パフォーマンス」を求めるクライアントや事務所の要望を却下する姿勢に転換。
しかし、そのことが原因で祥子と祐天寺にゃむとの対立が激化。仙台駅でのにゃむとの口論でバンド内の亀裂は更に深まり、祥子は更に追い込まれ、睦もまた口論の中でCRYCHIC崩壊のトラウマがフラッシュバックしてしまう。
その帰り道、茫然としながらどこまでもついてくる睦に対して祥子が「昔はもっと喋っていた……笑っていたのに……全部わたくしに言わせて!」「どうして味方になってくれないの!?」「ムジカしか……わたくしにはもう、この世界しかないのに……!」という悲嘆を睦にぶつけてしまう。
その言葉で睦を傷つけたと気付いた祥子は居たたまれずにその場を走り去り、睦は雨の中立ち尽くすしかなかった。
「モーティス」と祥子
音楽番組の生放送前、自分のせいでムジカが壊れてしまうと泣きじゃくる祥子を思い返して苛む睦の心に、予てより夢や朦朧とする意識の中で睦を慰めるモーティスの姿をしたぬいぐるみ人形が現れる。
モーティス人形は「辛かったね、苦しかったね。私だけは睦ちゃんの味方」と優しく声をかけ、雨の中で泣く祥子に挿すことができなかったピンク色の傘を睦に差し伸べる。
睦が涙を流しながら傘に縋り付こうとした時に、モーティス人形の口が大きく割け、黒い泥のような姿となり、祥子に挿せなかった傘だけを残してギターごと睦を飲み込む。
そして、番組収録が始まると、睦は表情豊かに明朗な台詞を口にして一人芝居を突如始める。
その睦の変貌に、今までステージ上では「オブリビオニス」としての役を貫き続けた祥子も、「睦……?」と呟いてしまうほど困惑していた。
表に発現した「モーティス」の人格は当初は睦として通していたが、明らかに今までの睦と異なる明るい言動やギターを弾けないという発言から祥子は不審に思い、ふたりきりで問い詰めた際に「祥子ちゃん」という普段の睦の呼び方と異なることから睦とは別人であることに気付く。
正体を明かしたモーティスは祥子のせいで睦が深く傷ついて「深い眠り」についたと語り、「私は祥子ちゃんが嫌い」「こんな祥子ちゃんじゃ、睦ちゃん、二度と目覚めないかもね」と告げる。
モーティスの存在と自分のせいで睦が消えてしまった罪悪感で祥子の心は完全に憔悴、今までどれほど追い込まれても自発的に周囲を頼ることがなかった祥子が、睦を失ったことで初めてAve Mujicaのメンバーに助けを求めることとなる。
更に明日を控えるライブをどうするかをにゃむに問われた際に祥子は「睦に……戻ってきてほしい……」と弱々しく自身の願いを言うしかできず、Ave Mujicaは解散することとなる。
睦の目覚め
Ave Mujica解散から1ヶ月以上過ぎた後、モーティスとMyGO!!!!!の交流を経て睦は目を醒ます。
しかし、Ave Mujicaが解散したこと、そしてモーティスが祥子を苦しめていたことを知った睦は怒り、祥子に会わせるように要求したことによりモーティスと睦の間で身体の主導権争いが起こる。
「祥にあんな顔、させたくなかった」「祥に……会いたい……」と悲嘆する睦と、祥子に会わせたくないモーティスが交互に喋る独り芝居のような状況を目撃した通行人が「Ave Mujica復活のためのパフォーマンス」として捉えられ、SNSで話題となる。
そして、その動画を見た祥子は「わたくしが、睦を……壊した……」「わたくしがいなければ、睦は……」と睦を想い崩れ落ちることとなる。
しかし、燈と愛音から睦が会いたがっていることを伝えられると、睦など知らないと苦しげに言い去って行った。
一方で、モーティスは嫌なものをいっぱいぶつけて睦を精神世界の中に閉じ込めていたが、誰にも知らせないようにと祥子と約束した赤羽のアパートの場所をモーティスがそよに教えたことで、這い出し、そよを止めるよう懇願するも、再度モーティスにぬいぐるみの山の中に押し込められてしまう。
後日、祥子はそよに「睦など知らない」と言ったことを問い詰められて、会いに行けるものならとっくに会いに行きたかったが睦をこれ以上傷つけることを怖れて会いに行けなかった本心を吐露。
そよに連れられて、燈、愛音と共に睦の家に行くも、モーティスに激しく拒絶されてしまう。
その帰り道に愛音がモーティスの拒絶の言葉が睦の母が主演となったドラマの台詞であることに気付いたことで、祥子は自分のせいで睦が演じるだけの空っぽの人形になってしまったと泣き崩れてしまう。
ふたりの再会
モーティスに拒絶された日の夜、祥子はかつて燈から送られた付箋の言葉から、睦と向き合うことを決意。翌日から、祥子は雨の日も夜も、睦に会えるまで幾日もずっと若葉家の前で待ち続ける。
そんな日々が続いたある夜、睦は祥子に会わせてほしい、祥子に会いたいという想いからついに身体の主導権を取り戻し、息を切らし、靴も履かないまま若葉家の門の前で待ち続ける祥子の元に辿り着く。
門扉の鉄格子越しにお互いに手を伸ばすも、ふたりの手が触れあう直前に睦がモーティスと入れ替わり、祥子の手を払いのけて彼女の指に怪我をさせてしまう。
しかし、祥子はそれも厭わずに格子越しに睦の身体を抱きしめて、涙ぐみながら「元に戻せるなら、なんでもしますわ……わたくし、必ずあなたを……!」と決意の言葉を告げる。
モーティスは祥子に振り払い家の中に逃げ込むが、玄関に座り込み悪いのは自分なのかと嘆息した。
祥子がまた睦の家の前で待ち続ける日々に戻る中、MyGO!!!!!のライブ日当日、祥子と睦を案じた立希とそよが半ば強引に祥子を睦の家の中に入れて睦の部屋の前まで連れていく。
部屋の前で睦を待ちながら祥子はCRYCHICが崩壊した時の睦の言葉の真意と、CRYCHICを壊した自分をずっと責めていたことを、本当は睦もCRYCHICを大切にしていたことを2人に語る。
その会話をドア越しに聞いていたモーティスは祥子が睦のことを完全に理解していることを認め、ついに祥子に睦と会わせることを許した。
祥子と再会した睦は、真っ先に祥子を傷つけてしまったことを案じて謝り、祥子も全て自分が睦に頼り切りだったのが原因だと謝罪し、お互いに手を重ね合い想いを確かめ合う。
ふたりが再会の言葉を交わした後、MyGO!!!!!のライブが行われるRiNGを訪れ、そこで愛音の計らいによりリハーサルの時間に元CRYCHICの5人で演奏を行うこととなる。
燈が新しく書いた『人間になりたいうたⅡ』、そして祥子のキーボードから始まり睦のギターが続く
『春日影』をCRYCHIC最後の演奏を行った。
備考
祥子の趣味と睦
祥子が構築した「Ave Mujica」の世界観、彼女が母の形見である赤いドレスのドールを幼少期から現在まで大切に所有していることやスマホの壁紙から、祥子はドール趣味を持つことが窺える。
一方で睦は羽丘に訪れた際に一般の女子生徒からその容姿を「お人形さんみたいで超かわいい」と言われている。
ドール趣味の祥子から見ると、「お人形さんみたい」と言われる睦は趣味に合う容姿と推測できる(?)。
睦の助言と祥子
前述の通り、祥子はそよに付き纏われている件について睦と相談し、彼女の提案を容れて燈達のバンドのライブ会場を訪れている。
その睦の助言を受けてライブハウスに訪れた2人について、アニメ『MyGO!!!!!』第7話にて、ライブハウス内で睦と祥子が会話しながら歩いているシーンが挿入されている。
このシーンは本放送では観客の声で2人の話し声が聞こえない演出をされていたが、アニメ『MyGO!!!!!』公式ガイドブック『FOOTPRINTS』に掲載されている第7話絵コンテによると、この場面の会話内容は祥子は「ライブを見る必要はない」と言い、睦が「いつ終わるかわからないから見た方がいい」と助言するというもので、実際に祥子は睦の言葉通りに燈のバンドのライブを見ることになる。
このように祥子は睦にアドバイスを求め、彼女の意見に従う姿を見せており、祥子の睦への信頼を窺わせる描写となっている……が、その結果として祥子は「CRYCHICではない『春日影』」を目の当たりにし、Ave Mujicaの結成へと繋がっていく。
CRYCHICの解散
CRYCHICの解散について、脚本インタビューによると祥子の脱退がきっかけではあるが、祥子が脱退を申し出た際の睦の「私は……バンド、楽しいって思ったこと一度もない」という言葉が決定打になったとのこと。
物語上の意味合いとしては、CRYCHIC解散の責任を祥子だけに背負わせず、睦も同じ罪をずっと背負うことになったとされている。
それを表すかのごとく、この二人には「罪」に纏わる言葉が入っており、
となっている。
上記の二人に関する劇中で解釈できる事柄は、以下のように取れるだろう。
- 豊川祥子→「咎」
- CRYCHIC崩壊のきっかけとなる。
- 若葉睦→「罪」
- 彼女の「私は……バンド、楽しいって思ったこと一度もない」という発言がCRYCHIC崩壊の決定打となり、CRYCHICを崩壊させたという罪を祥子と共に背負う。
- 祥子の事情を知っていたとはいえ、彼女に何も出来なかったことやCRYCHIC解散の罪悪感を抱き続け、祥子への贖罪の意味も込めて彼女の誘いに乗る。
この台詞について、『アニメディア』2025年2月号での渡瀬結月氏のインタビューによると、脱退を申し出る祥子の気持ちを全て理解し、一緒に罪を背負っていく覚悟で言ったという見解を示しており、「バンドを楽しいと思ったことは一度も無い」というのは睦の本音ではあるが、その本音をあの場で言ったのは祥子だけに罪を背負わせないためだったことが推測できる。
睦のこの言葉について、祥子は唯一その真意と睦が自分を責めていたことを理解している。
コミカライズ版では、睦をバンドに誘ったこととCRYCHIC崩壊時の睦の姿が同時に描かれる祥子の回想シーンや、バンドを楽しいと思ったこと一度もないと言っている睦に対して「ごめんなさい」という祥子のモノローグが付されているおり、睦がこの言葉を発したことに対して祥子も負い目を抱いていることが窺える。
祥子のモーティスへの影響
睦を飲み込んだ「モーティス」の名前と姿はAve Mujicaのステージ衣装を纏った睦のぬいぐるみ人形の姿をしており、名前と衣装はいずれも祥子がAve Mujicaを結成するにあたり睦に与えたものである。
人形のモーティスは「私、祥子ちゃん、嫌い!」と睦に告げてショックを与え、睦を飲み込む直前には睦の祥子への悔恨を象徴する挿せなかったピンク色の傘を差し出すと言った、睦の中で祥子の存在が大きいが故の行動を取っている。
また、「モーティス」がギターとしてCRYCHICのメンバーの歌や演奏を羨ましがる場面では、祥子に対してのみ「祥子ちゃんは……祥子ちゃんは……」と言葉に詰まる場面がある(なお、コミカライズ版では「祥子ちゃんはやっぱりすごい……!」という台詞になっている)。
また、現実世界に発現したモーティス人格は、(祥子への当てつけも込められているが)祥子の言動を表情も含めて頻繁に模倣しており、睦を通して祥子を如何に見続けてきたかが窺える要素となっている。
他、モーティスは睦の部屋にて祥子の不満を言いながら『いじわるな青い魔女』という青い長髪の魔女が表紙に書かれた絵本に落書きをしている。
これらのことから、睦の内面にいる「モーティス」もまた祥子の存在に強い影響を受けていることが窺える描写がされている。
「リアルサウンド映画部」での睦及びモーティスを演じる渡瀬結月氏のインタビューではモーティスを演じるにあたり、ずっと祥子が大好きだった睦であった故に心が痛く、モーティスも睦を守る上で祥子が邪魔になってしまうからそういう言い方になってしまうので複雑な気持ちであり、気持ちの整理がつかないまま演じていたという旨のコメントをしている。
ライブ演出
Ave Mujicaがオープニングアクトを務めた2023年9月17日開催のRoseliaの単独ライブ「Farbe」2日目において披露された『神さま、バカ』にて、演奏中にモーティスがオブリビオニスに寄って、見つめ合いながら合奏した後にオブリビオニスがモーティスの肩をポンと叩いてモーティスが元の位置に戻るという、両者の関係性を絡めた演出が行われた。
睦の演者である渡瀬結月氏は『月刊ブシロード』2024年2月号のインタビュー記事にて、Ave Mujicaで一番好きな楽曲はという質問に対して『神さま、バカ』である旨の回答を行っており、その理由の一つとして同ライブでの演出を言及している。
同演出は1stライブ「Perdere Omnia」以降も、ライブによって演出の差異はある(例としては1stライブではモーティスとドロリスがすれ違う際には位置交代を示すようなハイタッチをする)ものの同楽曲が披露されるほぼ全てのライブにて行われている。
オブリビオニスとモーティスはライブ時には正反対の位置がポジション(ドロリスをセンターに、左手側にオブリビオニス、右手側にモーティスというフロント構成)であるため、両者が接近するライブ演出は比較的少ない。
例としては上記の『神さま、バカ』の他に、3rdライブ「Veritas」での『黒のバースディ』演奏時にモーティスがオブリビオニスのそばに移動して一緒にヘドバンするパフォーマンスが挙げられる。
2025年2月2日のKiLLKiSS購入者限定「AveMujicaフリーライブ」では『神さま、バカ』での演出は行われなかったものの、『素晴らしき世界 でも どこにもない場所』にてモーティスがオブリビオニスのそばに来て見つめ合いながらの合奏と同じタイミングでのヘドバン演出、『SymbolⅠ:△』ではモーティスがオブリビオニスの前に移動して演奏及び微笑みながらお互いに目線を送り合う、という2曲でふたりの関係性に基づく演出が行われている。
公式アート関連
アニメ『BanG Dream!Ave Mujica』の最初に公開されたキービジュアルは祥子が四人のバンドメンバーの人形を抱きかかえて座る油彩画調のイラストで、そこでは睦のみ祥子の手に自身の手を重ねている。
第3話放映後の公式ファンアートとして、睦と祥子のイラストが呉々氏により寄稿されている。
また、Tamaji氏による睦とモーティスをメインとした第8話放送前の公式ファンアートの中に、前述の『いじわるな青い魔女』やアニメ『Ave Mujica』第7話で睦が祥子に会いたいと懇願した際に激昂したモーティスが鏡に投げつけた本といった、モーティスと祥子、睦に関係する物が描かれている。
2025年1月9日発売の『アニメージュ』2025年2月号での『BanG Dream! Ave Mujica』特集記事において、睦と祥子が寄り添い合う描き下ろしイラストが掲載され、トリミング版がバンドリ公式X(Twitter)にて紹介されている他、アニメージュ編集部公式X(Twitter)でもイラストと記事の一部が紹介されている。
同誌の特集記事内では祥子役の高尾奏音氏と睦役の渡瀬結月氏の対談インタビューが掲載されており、祥子と睦の深い結びつきが語られている。
なお、余談であるが同日発売の別雑誌『アニメディア』2025年2月号においても、睦をピックアップした解説及び渡瀬氏のインタビューを掲載した特集記事が組まれており、そちらでも睦が祥子に対して抱く想いが語られている他、記事に掲載された睦の描き下ろしイラストのピンナップポスターが付録されている。
こちらについても、イラストと記事の一部がアニメディア公式X(Twitter)で紹介されている。
コミカライズ版での描写補足
コミカライズ版『Ave Mujica』において、上述以外にも睦と祥子の関係を窺える細やかな描写補足がされており、下記に例を示す。
- アニメ版第2話での生放送の現場で司会者から睦が両親のことを尋ねられた際に祥子がその話題を遮ろうとする場面について、生放送中に睦の様子がおかしいことを祥子が真っ先に気付く描写がされている(コミカライズ版第2話)。
- 上記の場面においてパニック状態の睦の心情が描かれておりAve Mujicaを「祥が造った新しいバンド」「新しい居場所」「祥はオブリビオニス」「私はモーティス」とAve Mujicaが祥子と自分の新しい居場所と考えていたことが明かされている。
- 睦が生放送中に失言した後に祥子が「プロとしての自覚をお持ちになって」と告げる場面では、当該場面のあるコミカライズ版第2話が睦の心情・主観で描かれている場面が多いためか、アニメ版と比較して睦に苦言を言う祥子の表情が悲しさやつらさを感じさせるものとなっている。
- アニメ版第3話でにゃむからムジカを辞めることを提案された際、泣きじゃくる祥子のカットが入って睦が断る、祥子と共倒れになると言われた際は「そんなことはさせない…」、その後の祥子とにゃむの会話を見ながら「祥……」「…大丈夫だから」「二度と壊さないように頑張るから…」というモノローグが入るといった、祥子を守りたい、支えたいという睦の心情が明確化されている(コミカライズ版第4話)。
- アニメ版第3話でステージ上で崩れ落ちるパフォーマンスをクライアント側から打診された際に睦が怯える表情をした理由が「祥子が望んでいない」「祥子のAve Mujicaでは無くなってしまう」という心情によるものと補足されている(コミカライズ版第5話)。
- モーティスに飲み込まれる直前には、雨の中で泣きじゃくる祥子の姿を思い出しながら「私また傘を差し出せなかった」とのモノローグが入り、睦の祥子に対する悔恨がより強く描かれている。
他、『MyGO!!!!!』のコミカライズ『雨にそよいで晴れを請う』では中学生時代の仲睦まじい睦と祥子の姿が描かれている。
カードゲーム関連
ブシロードのTCG『カードファイト!!ヴァンガード』において、アニメ『MyGO!!!!!』コラボカードとしてCRYCHIC時代の睦及び祥子のカードがそれぞれ「静謐の時 若葉 睦」「運命共同体の結成 豊川 祥子」として1枚ずつ実装されている。
睦と祥子のカードはグレード、パワー等は異なるが、能力は完全に同じものであり、同じ能力を持つカードは2人の他には存在していない。
その他
Ave Mujicaのステージネームは総指揮を執る祥子が考案したもので、睦には「死」を意味する「モーティス」を名付けているが、現状では祥子は睦にその名前を与えた理由は明かされていない。
睦に「モーティス」と言う名前が与えられる以前の時期で睦と「死」に関連する描写として、祥子のことを「壊れそう」と心配する睦が彼女から「弱い私は、もう死にました」と言われる場面が存在している(祥子が「死」んだという「弱い私」を最もよく知る人物が、ずっとそばにいて事情を知る睦である)。
一方で祥子と「死」については、「母親の死」という祥子の人生の大きな転機となった出来事が挙げられる。
アニメ『MyGO!!!!!』公式ガイドブック『FOOTPRINTS』に掲載されている第7話絵コンテおいて、本放送ではカットされた部分に、燈たちの『春日影』を聞いた祥子が泣きながら会場を飛び出した後、睦はずっと祥子が去って行った会場のドアを見つめ続け、微動だにしないまま燈たちの噂を聞いて集まった人混みに消えていくという描写が存在している。
睦の母親・森みなみ曰く、睦と祥子は月ノ森の幼稚舎からずっと一緒とのこと。
名前のモデルとなっている慶應義塾幼稚舎は小学校であるが、月ノ森女子学園の幼稚舎は幼稚園であることがアプリ版のMorfonica関連ストーリーで示されているため、ふたりは幼稚園時代からの仲となる。
また、森みなみは祥子の実家である豊川グループのテレビCMに出演しており、ふたりの親世代同士でのつながりが存在している。
『TVガイド A Stars』vol.6の特集記事における柿原監督の解説によると、睦がメンバーの中で最も顔を覆う仮面をしている理由は、睦の素顔は絶対に守るという祥子の気持ちの表れとのこと。
2025年1月30日放送の『バンドリ!TV LIVE 2025』#249における視聴者からのメールコーナーにて、中国杭州にある「祥睦橋」が「さきむつ橋」として、アニメ『It's MyGO!!!!!』放送以降、ファンの間で聖地となっていることが紹介されている。
関連イラスト
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