概要
西洋占星術における黄道十二宮の双児宮にあたり、だいたい5月21日~6月21日前後に太陽に留まる。
ギリシャ神話では双子ディオスクーロイが星座になったと云われており、カストル(α星)とポルックス(β星)の2つの明るい星の名前は、その双子が由来である。
神話
誕生
大神ゼウスはスパルタの美貌の王妃・レダ(軍神アレスの孫なので曾孫に相当)に目をつける。
だが彼女は貞淑な人妻であったため、まともな誘惑では落とせないと見たゼウスは白鳥に化け、鷲に追われると見せかけた。これを見て憐れんだレダは咄嗟に白鳥を抱きしめて庇い、これに乗じてゼウスは想いを遂げる。
こうして白鳥の姿のゼウスと交わった結果後にレダは二つの卵を生む。
この卵は女の子の双子が入っているものと、男の子の双子が入っているものだった。
このうち後者から孵化したのがカストルとポリュデケウス(ポルックスはラテン語表記)。前者から孵化した女子の双子はクリュタイムネストラとヘレネと名付けられ、2人ともがトロイア戦争とその後の顛末に大きく関わっていくこととなる。
成長
兄のカストルと姉のクリュタイムネストラはレダが元々妊娠していたテュンダレオスの子であり、ただの人間なのでいずれ死ぬ運命にある。
対して弟のポリュデケウスと妹のヘレネはゼウスの子つまり半神で、不死性を獲得している。
成長に伴い、弟のポリュデケウスはゼウスの血を引き神性を帯びていく。しかし二人はそんなこともつゆ知らず、カストルは乗馬に、ポリュデケウスはボクシングに熱中していた。
やがて二人は逞しい青年に育ち、従兄弟の双子(テュンダレオスの異父兄アパレウスの息子たち)イダスとリュンケウスと共にアルゴ号の冒険にも参加し、武勇を轟かせた。
ベブリュクスでは旅人に拳闘試合を挑んでは殴り殺していた暴君アミュコスに対してポリュデウケースが返り討ちにし、襲ってきたベブリュクス人もアルゴナウタイによってことごとく殺された。
また航海の最中に暴風雨に遭遇し、あわや沈没かという危機になった。しかし竪琴の名手オルフェウスが琴を弾いて神に祈ると、双子の頭上ににわかに星が輝き、暴風雨がおさまったという。この神話により、双子は航海の守護神としても崇められた。
これにあやかり、航海中に悪天候に遭遇した時、マストの先端などに「セントエルモの火」が2つ生じるとかの双子が天より降りてきたものとされ、天候が回復すると信じられていた。
妹の誘拐
アルゴナウタイに参加した勇士ペイトリオスは妻ヒッポダメイアを亡くした後、後添えを探そうと考えた。そこでミノタウロス退治の英雄、アテナイ王テーセウスに「絶世の美女と噂されるヘレネーを誘拐しよう」と持ち掛けた。
その頃テーセウスも妻パイドラーを亡くしたばかりだった為に「ヘレネーの略奪に成功したらくじを引き、勝った方がヘレネーと結婚し、負けた方の為にもう一人ゼウスの娘をさらってくること」という誓いを立てる事となった。
首尾よくヘレネーの誘拐に成功した二人だったが、これは立派な犯罪。更に妹の誘拐を知ったカストルとポリュデウケースは大激怒、執念深く犯人を捜し始める。
くじを引いて勝者となったテーセウスだったが、このままではアテナイとスパルタとの全面戦争になると考えた。そこで母アイトラーの許にヘレネーを預けて逃亡したが、程なくして双子がアテナイに到着。妹を取り戻した上でアイトラーを人質にして帰還する。
かくして国民に内緒で不義をはたらいたとして、哀れテーセウスは王位を追われる事となった。
その後ペイトリオスはこりもせずゼウスの娘を嫁にしようと考え、よりにもよって冥府の女王ペルセポネに狙いを定める。テーセウスは嫌な予感がしたが先の誓いのせいで同行せざるを得なくなり、愛妻の危機を知ってカンカンになったハデスの策略でひどい目に合わされるのだが、それは別の話である。
星座へ
後にカストルとポリュデケウスは、従姉妹(テュンダレオスの異父兄レウキッポスの娘たち)であるヒラエイラ(処女神アテナの巫女)とポイベー(処女神アルテミスの巫女)という姉妹を拐し、既成事実を作り、結婚することとなる。
この略奪婚によってカストルとヒラエイラの間にはアナキシアス、ポリュデケウスとポイベーとの間にはムネシレオスという息子たちが生まれる。
しかし、姉妹の従兄弟であり婚約者であったリュンケウスはこの略奪婚を恨み、イダスと共に主へ敵対する事を決める。合同結婚式で酒を飲んで暴れ、そのことを叱責されると腹いせにカストルとポリュデケウスの飼っていた牛をみんな盗んでしまった。
憤激した双子は牛を奪い返すが、不運にもカストルはイダスの投げつけた槍に貫かれ、命を落としてしまった。
ポリュデケウスも兄弟の攻撃を受けるが、神の血を引くため致命傷にはならない。ポリュデケウスは槍を奪ってリュンケウスを刺殺するが、直後にイダスに石で殴り倒されて気を失ってしまう。
イダスはポリュデケウスの息の根を止めるために襲い掛かる。
しかし、その手が振り下ろされるよりも早く、雷光がイダスを貫いた。雷を落としたのは、ポリュデケウスの父であるゼウスだった。
目を覚ましたポリュデケウスはカストルの死に慟哭し、雲の上のゼウスに向かって叫んだ。
「我が父、大神ゼウスよ! 私の命を捧げます! だから兄さんを生き返らせて下さい!! 兄さんのいないこの世で生きていても、それは生きているとは言えません!」
自らの招いた不祥事であるとは言えこれを反省したゼウスはハデスに頼み込み、ポリュデケウスの命を半分カストルに与えた。
こうして、二人は1日おきに天上界と人間界で暮らすことが出来るようになった。
永久に消えぬ兄弟の絆を称えるため、ゼウスはその姿をふたご座として天に遺したのである。
美少年として描かれる事が多いが、前述の通り、古代ギリシャ有数の脳筋文化都市であるスパルタの出身。しかも、出身地とされるスパルタでの扱いは軍神であった。
関連キャラクター
神話と同様に双子のキャラクターが目立ち、血縁が無くても二人一組である事が大半。
だが出典で命を分け合う位仲の良かったカストル&ポルックスとは異なり不仲だったり対立していたり、酷い時は命を狙い合っている連中すらいたりする。何でだよ。
一方、二人組でない場合は多重人格などの要因で二面性を抱えているケースが多い。
神秘性から強キャラになる例もちらほらあるが、そう言う時は大抵が敵対する側だったりする。
なお、『仮面ライダーフォーゼ』と『バトルスピリッツブレイヴ』に登場する双子座をモチーフとしたキャラクターは共にピエロをメインモチーフにしているという妙な共通点がある。
聖闘士星矢
特撮
- ジェミニ・ゾディアーツ(仮面ライダーフォーゼ)
- 伝通院洸/セイザーレムルズ(超星神グランセイザー)
アニメ
- ガンダムジェミナス(新機動戦記ガンダムW)
- ふたご座のプリンセス(スター☆トゥインクルプリキュア)
- 魔導双神ジェミナイズ(バトルスピリッツブレイヴ)
- 双道ダン/キラージェミオスDF145FS(メタルファイトベイブレード)
- ジェミニ・バーテックス(勇者であるシリーズ)
漫画
ゲーム
- 水嶋郁(Starry☆Sky)
- ジェミニ・スパーク(流星のロックマン)
- ジェニオン、ジェミニア(第3次スーパーロボット大戦Z)
- 死の天使ザルエラ(ファイナルファンタジー)
- ジェミニ・サンライズ/ジェミニン・サンライズ(サクラ大戦Ⅴ)
- ポリデュークス、カストール(ペルソナ3)
- ディオスクロイ(Fate)(Fate/GrandOrder)
- アサシンブロス(DQMJ2)
その他
- Sollux Captor、Mituna Captor、The Ψiioniic(Homestuck)
関連タグ
ふたご座 双児宮 Gemini/ジェミニ 双子 ♊ 井宿(二十八宿)
白鳥座:この時ゼウスの化けた白鳥がモデル。