曖昧さ回避
- ギリシア神話に登場する女神。本項で解説する。
- ゲーム『女神転生』シリーズに登場する悪魔。本項で解説する。
- ゲーム『パズル&ドラゴンズ』に登場するモンスター。本項で解説する。
- パチスロ『アナザーゴッドハーデス』に登場するキャラクター。本項で解説する。
- 漫画『邪神ちゃんドロップキック』に登場するキャラクター。→ペルセポネ1世、ペルセポネ2世
- ゲーム『ロードオブヴァーミリオン』に登場する使い魔。→ペルセポネ(LoV)
- ゲーム『モンスターストライク』に登場するキャラクター(モンスター)。→ペルセポネ(モンスト)
- ゲーム『Fate/Grand Order』にて存在が示唆された神霊。→ペルセポネ(Fate)
概要
ペルセポネー(Περσεφόνη)はギリシア神話の女神である。再生の植物女神として、母デーメーテールと共に、「二柱の神」と呼ばれる。デーメーテールは、大地の母(メーテール)なる女神で、彼女の娘ペルセポネーは、コレー(娘・少女)とも呼ばれる。女神は母と共に、植物の豊穣の女神であり、また春の女神である。
ペルセポネーは、ゼウスとデーメーテールのあいだの娘で、冥府の王であるハーデース神の妃であり、冥府の女王である。しかし、彼女は一年の三分の一しか冥府におらず、その期間は地上の植物が枯死する冬の期間である。
ペルセポネーは、古典時代の美術では、常に、ローブをまとい穀物の束を携えた姿で描かれている。また時に、笏と小箱を手にした、神秘的な女神の姿で表現される。
ペルセポネーはオリュンポス十二神に通常数えないが、それは彼女と夫のハーデースが「地下の神」であり、オリュンポスの神、つまり「天界の神」に属さないからである。しかし重要度においては、ペルセポネーはオリュンポス神族のもっとも有力な女神の一柱であり、時に「十二神」のなかにハーデースと共に数えられる。
女神の略奪と冥府(地下世界)での滞在と地上世界への帰還の神話は、女神が植物、特に穀物の種子の擬人化であることを示す。種子は秋の実りの後、地下に埋もれ、しばし姿を隠すが、春の訪れと共に芽を吹き、繁茂するからである。ペルセポネーの帰還は、春における植物の芽生えと復活を象徴する。
日本語では、ペルセポネ、ペルセフォネー、ペルセフォネという形でも知られる。
名前の起源
ペルセポネーは、この名以外に、様々な似た名前で呼ばれており、ペルセポネイア(ホメーロスにおける名)、ペルセパッサ、ペルセパッタ、ペーリポナなどの名が知られる。これらの多数の名は、ペルセポネーという女神の名が、元々ギリシア語起源ではなく、先住民の神の名であったことを示唆している(近年では、ミュケーナイ語の研究を通じて、未知の「前印欧語」起源であると考えられている)。
ペルセポネーは、しかし植物の再生の女神であり、母デーメーテール女神と共に、古代ギリシアにおける大地の女神である。単に「二柱の神」、乙女・娘(コレー)とも呼ばれる。コレーという称号は、デーメーテールの娘を意味するが、植物の再生の女神としての呼び名である。
ローマ神話では、対応する神がいなかったので、そのまま取り入れたが、ペルセポネーは発音しにくいため、プロセルピーナ(Proserpina)と呼ばれる。
神話・ペルセポネーの略奪
ペルセポネーをめぐる神話は、主要なものは、ハーデースによる彼女の略奪を端緒とする一連の神話しか存在しない。この神話は、ヘーシオドスが『神統記』で言及しているが、より詳しくは、ホメーロス風讃歌のなかの一篇、『デーメーテール讃歌』に歌われている。
ハーデースの恋と女神の誘拐
ハーデースは少女であるペルセポネーに恋をし、妻にしたいと願った。しかし彼女の母デーメーテール女神は、愛する娘が冥界に住むことをよしとせず、ハーデースの希望を拒否した。
ハーデースがオリュンポスの主神であるゼウスに相談すると、ゼウスは、ペルセポネーを略奪することを示唆する。
こうしてハーデースは、オーケニアデスの乙女たちと共に、ボイオーティアのニューサの野で花を摘んでいたペルセポネーを襲い、地下世界に誘拐する(別説では、シシリー島のエンナ近くの草地で誘拐した)。
デーメーテールの捜索と地上での放浪
母デーメーテールは娘がいなくなったことに気づき、ペルセポネーを探すが、どこにも見つからない。太陽神ヘーリオスより、ハーデースが彼女の娘を掠ったことを聞き、更にこの誘拐にゼウスも加担していたことを知ったデーメーテール女神は、怒りを発し、オリュンポスを去って地上を放浪する。
この間に様々なことが起こる。女神はオリュンポスを去って、老女の姿となって最初にエレウシースの地を訪れた。その地の王ケレオスの息子である幼児のデーモポーン(一説では、トリプトレモス)の乳母となり、幼児を不死にしようと試みたが、邪魔が入る。そこでデーメーテールは女神の真の姿を現した後、エレウシースを去り、地上を放浪した。
他方、豊穣の大女神であるデーメーテールがオリュンポスを不在にしたため、大地の植物は育たず、豊穣の季節が訪れることもなくなった。
ゼウスの命令とペルセポネーの帰還
大地に実りがなくなったため、人々は困り、主神ゼウスは、デーメーテールの怒りを宥めるため、ハーデースに、誘拐したコレーを地上に返すように命じた。
ハーデースはそれに応じるが、冥界にいたあいだに、ペルセポネーは石榴の実を口にしていた。冥界の食物を食べた者は、誰であろうと冥界に留まらねばならないという掟があった。これを知っているハーデースがペルセポネーを騙して、彼女に石榴の実を食べさせたとされる。
この掟と、他方でデーメーテールの元に、ペルセポネーを返す条件のあいだで、どういう解決があるのか。様々な伝承があるが、その代表的なものは、ゼウスの裁定により、ペルセポネーは一年の三分の一は冥府で暮らし、残り三分の二は、オリュンポスの神々と暮らすというものであった。
ペルセポネーが冥府に暮らす期間には、地上で植物は枯死し、新たな芽生えもない。しかしペルセポネーが、地上、そして神々の世界、母なるデーメーテールの元に帰還すると、植物は芽生え始め、春が訪れ、地上には植物の豊穣がもたらされた。
植物の再生の神話
ペルセポネーをめぐるこの話は、エレウーシスの秘儀の中心をなす神話であった。この神話は、植物の豊穣神(Vegetation deity)一般で語られる、冬における植物の枯死と、春における再生、復活の神話である。
ペルセポネーはこうして、再生の植物女神、春の復活の女神となる。春の植物再生の女神として、彼女はコレー(乙女)と呼ばれる。
その他の神話
その他の神話、物語としては、美少年アドーニスをアプロディーテー女神と争った神話がある。またナーイアスのニュンペーであるメンテー(ミント)をめぐる神話がある。
詩人オルペウスが亡くなった妻のエウリュディケーを求めて冥府を訪ねたとき、彼の弾く音楽のあまりの見事さと甘美さに、ハーデースと共に、オルペウスが死んだ妻を地上に連れ戻すことを許した神話がある(これは「見てはならない」の神話で、オルペウスは地上に帰還するまで、振り返って妻を見てはならないと言われたが、後一歩で地上という場所に来たとき、詩人は振り返って妻を見た結果、エウリュディケーは冥府に留まることになった)。また、コリント王シーシュッポスを、冥府から地上に送り返したのもペルセポネーだとされる。
ペルセポネーはオルペウス教においても重要な女神であった。オルペウス教の神話では、ゼウスは蛇の姿でペルセポネーと交わり、第一のザグレウスが生まれた。ゼウスはこの息子に世界の支配を託すつもりであった。しかし嫉妬したヘーラー女神がティーターンたちをそそのかし、彼らはザグレウスを引き裂き殺し食べた。ゼウスはティーターンたちを雷霆で撃ち殺した。その灰から人間が生まれた。それ故、オルペウス教では、人間には「神性」があるとする。
アテーナー女神がザグレウスの心臓を救い、ゼウスはこれを呑み込む。その後、セメレーとの交わりを通じ、この心臓から第二のザグレウス、すなわちディオニューソスが誕生した。これがオルペウス教の中心教義の一つである。
ニュンペー・メンテーの神話
コキュートス河のニュンペーであるメンテーは、ハーデースの愛人となったが、これを知ったペルセポネーは烈しく嫉妬して怒り、メンテーを踏みつけて殺し、香草のミントに変えた。別説では、メンテーを香草に変えたのはハーデースとされる。更に別の説では、メンテーは元々ハーデースの愛人であったが、ペルセポネーが妃となったため、ハーデースの愛を自分に取り戻そうと、みずからの美しさを誇ったので、デーメーテール女神によって殺されたとされる。
アドーニスの神話
アドーニスは、父親との不倫で母ミュラーが生んだ美少年であった。アプロディーテー女神は、少年の養育をペルセポネーに依頼するが、女神はアドーニスの美しさに打たれ、少年を自分の元に置き、アプロディーテーに返すことを拒んだ。ゼウスの裁定により、少年は一年の三分の一はペルセポネーと、三分の一はアプロディーテーと過ごし、残りの三分の一は、彼の自由にしてよいこととなったが、アドーニスは自分の分の三分の一もアプロディーテーの元に暮らした。
別説では、ムーサ・カリオペーの示唆で、一年の半分づつを、両女神の元で過ごすことになったともされる。
後に彼は、アルテミス女神(あるいはアレース神)の怒りにふれ、狩猟の最中に猪に突き殺されて死んだ。アドーニスの血からアネモネの花が生まれ、彼の死を悼むアプロディーテー女神の涙から薔薇の花が生まれた。
アドーニスの名は、セム語で「主」を意味する Adon(アドーン)から来ており、彼は元々、バビロニアのタンムズ神であり、植物の繁茂と冬季における死を象徴する農業神であった。
女神と祭りとエレウシースの秘儀
全ギリシア的な「女だけの祭り」として、豊穣を祝うテスモポリア祭があったが、ペルセポネーとデーメーテールは、この秘密の祭りに密接な関係を持っていた。テスモポリア祭は、ペルセポネーの略奪と地上への帰還を記念したが、また結婚と豊穣を祝った。
両女神はまた、秋の収穫においてエレウシース市で開かれた祝祭における「エレウシースの秘儀」の中心的な神でもあった。この秘儀では、両女神と農業神であるトリプトレモスの三神が崇拝された。
秘儀の中心部分は、秘密が厳密に遵守されたため不明であるが、ペルセポネーの冥府への降下と、地上への帰還が主題であり、生命の死と復活、永遠のいのちが説かれた。
ペルセポネをモチーフとしたキャラクター
日本ではおしどり夫婦と描かれることが多いが、海外のフィクション作品では夫婦仲は良くない描写が多い。海外では日本よりも自由恋愛を重視するので親同士で決めた恋愛に対して間接的な反抗だとされている。
- ゲーム『女神転生』シリーズに登場する悪魔
- ゲーム『パズル&ドラゴンズ』に登場するモンスター
- ゲーム『ロードオブヴァーミリオン』に登場する使い魔
- 漫画『邪神ちゃんドロップキック』に登場するキャラクター→「ペルセポネ先生」
- パチスロ『アナザーゴッドハーデス』に登場するキャラクター
女神転生シリーズにおけるペルセポネー
神話の二面性を反映してか、左右真っ二つに引き裂かれた女性の姿をしている。
メガテンシリーズはギリシャ神話の神々の出番が少なく、
ペルセポネーの出演作もソウルハッカーズの他は『ストレンジジャーニー』くらいしかなかった。
ただし『ペルソナ2』のPSP移植版では、追加されたシアターモードでボスを張っている。
D2メガテンでは後に実装された母との共演を果たした。
パズドラにおけるペルセポネ
「パズル&ドラゴンズ」に登場する神タイプのお姉ちゃん。新西洋神モンスターとして提供され、冥府の女王の特性を考慮したのか闇属性で、花の神らしく髪に花を飾っている。進化すると「冥府神・ペルセポネ」、究極進化すると「断罪の冥府神・ペルセポネ」となって副属性火と悪魔タイプを追加。
パズドラま!ではヘラ幼少編で登場。神話通りハデスの奥さんだが、神話以上にハデスの元に滞在する時間は短く年中旅をしているようだ。ヘラを溺愛している。
ロードオブヴァーミリオンにおけるペルセポネ
第三作「ロードオブヴァーミリオンIII」にて登場。
身体を包帯で巻いた美女で、冥界の女王のイメージを取って
「不死」の種族で夫ハデスと共に参戦した。
裏のプロフィールには「性格:考えるより先にパンチ」と書かれる程の武闘派。
夫の事も「任せちゃおけねぇ」「ヘタレた骨ジジィ」「ブッ飛ばして、あたしが冥界をシメる!」等と物騒である。
パーソナルデータにも「打倒:ハデス」と書かれているほど。
これはハデスが本来気弱な性格でありながら
命を狙われる冥王の地位にいる事から、「彼に平和な隠居生活へ叩き落とす為」。
屈折してるが愛のある行動である。
『邪神ちゃんドロップキック』におけるペルセポネ
邪神ちゃん、ミノス、メデューサらが幼少期に通っていた学校の先生。冥王ハーデスとの間にペルセポネ2世という娘がおり、本編には2世の方がメインで登場している。
外見は黒いフード付きのローブをまとった銀髪ロングのタレ目美女で、右目が髪に隠れている。
珍しく邪神ちゃんが素直に慕っており、3人の恩師と言える存在。
『ゴッドオブウォー』シリーズにおけるペルセポネ
CV:甲斐田裕子
主人公クレイトスがオリュンポスの神々の使徒として仕えていた頃を描いた外伝『落日の悲愴曲』にて、物語の黒幕として登場。
本作では、自身を無理矢理妻としたハデスとそれを強いたオリュンポスの神々を恨み、タルタロスに囚われのアトラスと結託してヘリオスを誘拐。彼の太陽光を用いて冥界から世界を支えている柱を破壊させ、世界全体を巻き込んだ無理心中を目論んだ。
オリュンポスの神々の命令でヘリオスを探しに冥界へと訪れたクレイトスに対して、エリュシオンに住まう彼の娘カリオペとの再会を餌に彼の力を奪い、自分たちの邪魔をさせないようにしようとした。
だが真実を知ったクレイトスが、カリオペの存在を守るために力を取り戻して立ちはだかったことで、普段のドレス姿から黒い羽と甲冑を身に着けて戦うことになる。
死闘の末に、アトラスは壊した柱の代わりに世界を支えることになり、自身もクレイトスによって倒された。この一件でハデスはクレイトスを深く恨み、クレイトスも神々への憎悪を募らせるようになる。
『アナザーゴッドハーデス』シリーズにおけるペルセポネ
ハーデス、ケルベロスと並ぶボーナスキャラであり、pixivでは彼女の画像が圧倒的に多い。
最近ではゆるせぽねというパロディキャラが生まれた。
アサシン クリード オデッセイのペルセポネ
DLCで登場。あまり夫婦仲が良くなく、「束縛する相手から愛を得ようなんて伝説だけ」と冷たい対応を取る。
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