概要
その意味するところは「あの世のものを食べると、この世に戻れなくなる」というもの。たとえ生きたままあの世に行けても、黄泉のものを食べればそのまま黄泉の国の住人にされる。
神話における例
こと、日本においては、古事記に登場する 伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)の話が有名である。
イザナミとイザナギは夫婦で、日本の島々と八百万の神々を産み、最後に、カグツチという神を産む。しかしカグツチは火の神だったためにイザナミは火傷して死んでしまう。
しかし夫イザナギは、妻のイザナミが忘れられず、黄泉の国(あの世・死者の国)に迎えに行って連れ戻そうとするが、イザナミから「すでに黄泉の国の食べ物を口にしていたために一緒には行けない」と断られてしまった。
また、ギリシャ神話でも「ペルセポネの冥界下り」にて、冥界の王ハデスに死者の国の食べ物を少量食べさせられたペルセポネは、一年のうち四ヶ月は冥界で暮らさなければならなくなってしまった話などがあり、海外にも類似した話が存在している。
創作における例
ラスボス、堕辰子の血である「赤い水」を飲んだり、体内に取り込んでしまうと異界から現世に還れなくなるという設定があり、これも上記のことをなぞったものと思われる。
劇中でも民俗学者竹内多聞が赤い水を飲もうとした大学生安野依子に対し黄泉戸喫の例を出して止めている。
アニメ第4作第19話「恐怖!妖怪くびれ鬼」にて黄泉戸喫が登場。
くびれ鬼が生きた人間の男性を亡者に変え魂を奪うために黄泉の国の食べ物を食べさせる。
黄泉の食物を食べた者を完全に亡者とするには複数回摂取させる必要があり、男性は何度か現世に帰るも現世のものに対して食欲が湧かず痩せ衰えていく様が描かれている。
最後の一回の食物であるおはぎをねずみ男が食べてしまったため計画は失敗。くびれ鬼も最後は霊山に封印された。
異世界から現れた植物の果実「ヘルヘイムの森の実」が登場。
この実は見た者は非常に美味であるという印象を抱かせ、食べると怪物「インベス」に変化してしまうという、黄泉戸喫を連想させる設定がある。
42話「光実!最後の変身!」にてヨモツヘグリロックシードなるアイテムが登場し、呉島光実が仮面ライダー龍玄・黄泉に変身している。あまりの危険性からずっと封印されていたロックシードだった。
主人公荻野千尋の両親は異界の店にあった神々のための料理を無断で食べてしまったため豚に変えられた。この事から何も口にしなかった千尋だったが、そのせいで異界に適応できず徐々に体が消えていき、ハクに貰った丸薬を食べたことで消滅を防いでいる。
「星のカービィ メタナイトと黄泉の騎士」に登場した「黄泉の国」に「黄泉の国の物を一口でも口にすると、元の世界に戻れなくなってしまう」という決まりがある。