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「大切な人が傷つくより、自分が傷ついた方がいい」

「確かにあの人はヒーローだった。でも…もう紘汰さんはいない…だから僕達が、ヒーローにならなきゃいけないんだ!」


演:高杉真宙


変身する仮面ライダー

仮面ライダー龍玄

仮面ライダー斬月・真

仮面ライダー龍玄・黄泉


概要編集

仮面ライダー鎧武』の登場人物。


仮面ライダー龍玄及び仮面ライダー斬月・真仮面ライダー龍玄・黄泉の変身者である。年齢16歳。

チーム鎧武に所属しており、チーム内ではミッチと呼ばれている。

実は大企業「ユグドラシル・コーポレーション」の重役の息子で、呉島貴虎は実兄にあたる。普段は豪邸に住みユグドラシル傘下の高校である天樹高等学校に通っている。下校するとチームの衣装に着替え、話し方も砕けたものになる。学校では冷徹な優等生のような素振りをしている。


人物像編集

元々は温厚で優しい性格だったが、したたかな面も持ち合わせており、冷静かつ慎重に作戦を立てる。チームメイトには自身の素性を伏せており、家族にもダンスに夢中になっていることは内緒にしている。葛葉紘汰を兄のように尊敬しており、高司舞には密かに思いを寄せているような描写が見受けられる。


しかし、その内心の根底では、自分以外の誰にも信頼を寄せようとしない節があり、肉親である兄の貴虎ですら、自身への甘さを利用しようとする等、彼を家族として本当に大切に思っているのか疑わせる部分がある。また、紘汰に影響されて「大切な人が傷つくより、自分が傷ついた方がいい」と言いながらも、実際は自分にとって都合の悪いことやどうしようもない事からは逃避しようとする悪癖があり、計画を立てる時にも自らのリスク(特に責任)を避けようとする傾向がある上に計画の失敗は全て外的要因か他者の責任にする。その為、反省は全くせずに物事を自分の都合の良い方向にしか考えようとしないきらいがあり、思い通りにならないことで他人のせいにして神経質になって苛立ったり、後の裏切りや暴走を招く等、かえって取り返しのつかない事態に発展させてしまう要因となっている。

また自らの無力さを嫌という程自覚してきた経緯から、自分以外の他者の価値観を認めず、権力欲や支配欲が強いといった自己中心的内面も持っており、話が進むにつれそうした面が徐々に強まることになっていく。


さらに第35話での紘汰との会話から光実もまた自らが押し付けがましく感じていた兄と結局のところ何ら変わらない現実主義者であった事を如実に示している。しかも、彼自身がその事をまったく自覚していないという一面が、兄が犯した失敗と合致しているということが何とも皮肉である。

紘汰との諍いで舞に叱責されたのを機に、本格的に紘汰を排除する為の計画を企て始め、そして遂には紘汰の暗殺を実行に移し(激怒した駆紋戒斗の妨害で失敗)、兄の貴虎が戦極凌馬達に殺されるのを見殺した上に彼に託されたゲネシスドライバーを悪用、一時協力関係にあったシドを殺されるのをわかっていながら捨て駒にしている。

その後はオーバーロードレデュエと手を組んだが、その配下であるデュデュオンシュを盾にして自分だけ逃げる等、より独善的な裏切り行為を繰り返しており、いずれはレデュエの寝首をかこうとも目論んでいるが、レデュエからはその本心を最初から見抜かれており、実際は地上世界の知識を得る為に利用されていただけで、信頼を得てはいなかった。その当人からは「意外と間抜け」、「危ない奴」とまで評されている。そして後に舞の命を奪う事になる戦極凌馬には完全に子供扱いされ、見下されていた。

自らの本性に気付いている者達からは、度々自らの置かれている状況や身の程を忠告に近い形で指摘されたが、それに対し光実は感情任せに逆上するだけであり、頑なに認めようとしなかった。


舞があくまでも紘汰を信じようとする姿勢を見てからは、「紘汰の存在そのものが不幸を撒き散らす」という歪んだ曲解をして、敵意を露わに紘汰に襲いかかる。更には自身を止めようとした貴虎を倒し最後の一線をも越えてしまってからは、度々幻影の貴虎を見るようになり、完全に気が触れてしまった(一方で、この幻影は彼自身の罪悪感や良心が生んだものであり、光実自身も心の奥底では自分は間違っていると自覚していた証左でもある)。

以降は他者を平然と「クズ」呼ばわりし、想いを寄せる舞の言葉すら全く聞き入れずかつての仲間をインベスに襲わせる等、ある意味で紘汰や戒斗以上に危険な「力」を身に付けるまでに至ってしまうのだった。

だが、自分の過ちを絶対に認めず、独善的な夢ばかりを見続けてきた光実に待っていたのは、「大切なもの」と思っていたはずの全てを、他ならぬ自分自身の手で全て壊してしまうという破滅的な末路だった。


活躍編集

紘汰がヘルヘイムの森での体験から変身を躊躇うようになったことで自身が代わりにアーマードライダーとなることを決意、シドとの交渉で戦極ドライバーを入手。その際自身の将来の地位を交渉材料に使う等したたかな一面を見せた。

自分の進む道をすべて家族に決められた人生を送っていたことから、自身の選択でライダーになったことを誇りに思っている(しかしそれもシドの手の上ではあるのだが…)。


兄は仮面ライダー斬月の変身者である呉島貴虎だが、兄には自分がライダーになったことを気づかれていない。

光実本人も兄がライダーというのを知らないが、第6話で兄が戦極ドライバーを所持しているのを目撃し、不審に思った。その時にこっそりスイカロックシードを抜き取り、それを紘汰に渡してスイカアームズに変身させる。

インベスゲームは全国放映のため当然知られ、彼はシドに盗品だと難癖をつけられる。しかし兄が自分に甘いのを計算に入れた発言でシドを黙らせており、「末恐ろしいガキだ」と評された。


第9話で地下道に開いたヘルへイムの森の入り口付近の植物を焼却するために現れた斬月のベルトから兄がライダーであることに気付き、その行動に不審を抱き始め、第10話で紘汰と共同しアーマードライダー達に新たな「ゲーム」を提案してヘルへイムの森や兄の真実を探ろうとする。

第11話で龍玄の姿で森にいるところを斬月に襲われたが、斬月が連絡を受け戦いを中断したため正体は兄にはバレず、かかってきたユグドラシル社員からの通信に「呉島だ」と応答していたのを目撃して斬月が兄であることを確信する。主目的は共に達成されたものの、このゲームにおいてアーマードライダーの一人である黒影こと初瀬亮二が兄である斬月に襲われることとなり、知らず知らずとは言え、結果として兄弟で彼の人生を狂わせることとなってしまった。


さらに第14話では秘密を探ろうと兄の車に潜り込みユグドラシルタワーに潜入。

兄が会議室に点けっぱなしにしていた端末を見てヘルへイムの森の果実の秘密を知り、さらに角居裕也が既にヘルヘイムの果実を食べた事でインベス化。紘汰が彼と知らずに倒してしまっていた事を知り、衝撃を受ける。

そして続く第15話で紘汰と戒斗が捕まったことを知り、助け出すため、ユグドラシルのさらに奥へと侵入した。

DJサガラの暗躍も手伝い、2人を救出することに成功するも、その途中紘汰が裕也がインベス化して彼がそうだとは知らず殺してしまっていた事実を知りそうになったため、慌ててその映像を消した。

この際にセンサーに引っ掛かり脱走がバレ、追われる身になってしまい、その途中で映った監視カメラ映像を見た兄の貴虎に隠していた自身の秘密が遂にバレてしまった。

第16話では兄のPCにあった映像データを盗み出していたことが判明。それを世間に公表しようと考えていたが、貴虎から、ヘルへイムの森が世界を侵蝕しようとしていることを明かされる。

兄同様にパニックが起きることを危惧した光実は、「これは公表できない」と翻意し、以降ユグドラシルに協力・ヘルヘイムの森への対処に専念することになった。


第17話では兄の指令に基づき、葛葉晶を人質に取り、紘汰から戦極ドライバーを奪取する脅迫を敢行する。

凰蓮城乃内を操り自分は背後に隠れた作戦を実行するも、ブラーボが自身の指令に事実上背いたあげく敗北したことで湊耀子から「自らの手で友人を討つように」と諭され、マリカ鎧武との戦いでは迷った挙げ句マリカの方を撃つ。

しかしそれは耀子の動向から既に背後の凌馬の意図を見抜いた上での行動でもあり、凌馬と交渉し「紘汰を当面観察対象とする」意向の彼の計画に共同することになる。

いわば兄をも欺いた形になるが、その意図は「紘汰や舞と過ごす時間を守るためならどんな手も辞さない」という彼の決意故だった。

そしてこの頃から紘汰に対して、ユグドラシルに関わるべきではないという想いを、強く抱き始めるようになっている。


第19話で紘汰達がユグドラシルに行き裕也の行方も知ろうとした際に彼に真実を知られないために、貴虎に告げ口してその行動を妨害しようとした。

続く第20話で貴虎は彼に裕也の末路を話しかけ、その上ヘルヘイムの真実を告げた為、不完全ではあるが結果的に真相を隠し通せておらず紘汰はインベス相手に戦意喪失をしかけることとなった。その事に関して、光実は第21話で余計な事を吹き込んだとして貴虎を咎めている。

第23話では、遂に裕也の末路を知ってしまった紘汰に対して、「黙っていたのは、紘汰が思い悩む姿を見たくなかったから」「舞にもこのことは教えるべきではない」と発言した。この時の光実は、その荒い口調からも、久々に本心からの発言をしていたと思われる(ヘルヘイムの真実を知る前は紘汰が戦えなくなる理由も含まれていたと思われるが、現在では戦いから身を引かせる理由となった)。

しかし、この件で戦うことをやめるだろうと思った紘汰がスカラーシステムを破壊した際には、「どうして貴方は素直に僕に従ってくれないんです」とナチュラルに発言しており、だいぶ「黒い」言動が染みついてしまっていることが窺える。

この時、正体不明のカチドキアームズを与え紘汰を焚きつけた何者か=サガラの正体を探るよう、凌馬から指令を受けている。


そして第26話において、裕也の末路を舞に話した紘汰と口論になるが、その末に彼の身を切る想いで真実を明かした気持ちを理解しようとしない事に激怒した舞からは頬に平手打ちをされてしまう(余談だが、このシーンにおいて高杉氏は自らの意思により、彼は撮影中、舞役の志田女史から本気でぶたれたという)。

これによって光実は、遂に完全に紘汰と反目。本格的に紘汰の排除を目論み、様々な人物達に対し裏切り行為を繰り返していく事になる。


戒斗と対峙し戦闘中であった紘汰を暗殺すべく、フォームチェンジ中に素体が露わになった瞬間にその背後から撃って命を奪おうとするが、続く第27話ではその場に居合わせた戒斗を怒らせ、追い払われる羽目になっている。裏切りや卑怯な戦法を激しく嫌う戒斗は、この銃撃行為には激しく憤慨し、後に「貴様はこの手で始末する」、「貴様は敵だ」、「貴様のような卑劣なだけな弱者を俺は決して認めない!!」と怒りと侮蔑に満ちた台詞を吐き捨てている。

第28話では兄がシドらの裏切りで倒される瞬間に立ち会い、さすがに動揺して涙を浮かべたものの、結局は兄をも裏切る道を選んでしまう。貴虎の残した斬月・真のゲネシスドライバーを使い、兄のふりをして紘汰を襲撃したが、腹を括って反撃した彼には勝てず撤退。

直後の第29話にて、ユグドラシルをも裏切ったシドの提案も紘汰を倒すために敢えて乗ったが、これが原因で彼の暴走に更に拍車がかかる。


第31話ではシドがレデュエの甘言に乗るのを罠と気づいていながら止めず、結果的に彼の死を後押しすることになった。

シドを失った光実は、そのままレデュエと行動を共にしていたが、第33話において「彼らが支配した人類を管理する役割を担う」という条件を、紘汰抹殺のためだけに協力関係を結ぶようになる。

その後は斬月・真の姿で紘汰に襲いかかるが、凰蓮に変身しているのが貴虎ではない事を看破され、デュデュオンシュを盾にして逃走した。


第34話で紘汰達に合流した時点では、耀子に「協力するなら知恵の実をあげてもいい」と提案しており、まだレデュエの寝首をかくことも考えていたが、あくまでも「王」の出現を望んでいる彼女には、「知恵の実そのものに興味はないし、光実はそれを手に入れる器でもない」と拒絶された上に、現実の見えていない皮算用ぶりから「お坊ちゃん」呼ばわりされ「君の居場所なんてとっくになくなってる」と駄目押しの罵倒を兼ねた正論を食らい、逆上する。


その後インベスごと沢芽市を焼き払おうと世界から放たれた戦略ミサイルを、ロシュオがまとめて消し去った光景を目の当たりにし、オーバーロードの圧倒的な実力を見せつけられた光実は、遂に彼らと戦うことを放棄してしまう。

続く第35話にて、上記のレデュエが提案した条件を完全に呑み、自分にとって都合のいい「居場所」を作るために行動をするようになった。


人類の管理に本腰を入れるようになった光実は、まずインベスに囚われたチーム鎧武の仲間達を安全圏に保護。続いて舞の元へと出向き、彼女を迎え入れようとする(この時、紘汰の姉である晶のことを見捨てており、他の人間達共々放置している)。

しかし、オーバーロードとの取引を信じられず、逆に「紘汰達と共にインベスを倒して、元の世界を取り戻す」という希望を信じて戦うと宣言した舞は、彼の提案を拒絶。この時に光実は舞と自分とを隔てている壁の正体が希望であると認識。「なぁんだ、そんな脆いもの簡単に壊せるじゃん」と静かに舞が言ったことを全否定した。

そして光実は、彼女に無謀な希望を抱かせた紘汰を、希望という名のタチの悪い病気の病原菌を振りまく厄介な存在として自らの手で抹殺すべく、遂に紘汰の目の前で本性を曝け出して斬月・真に変身。これまで積もりに積もった怨み憎しみを込めて紘汰に襲い掛かる。

紘汰に「本物の貴虎はどうしたのか?」と問い質された際は、「死んだよ!…アンタの病気が移ったせいでね!!」と発言し、容赦なく斬り掛かる。

突然の出来事に驚きを隠せない紘汰は光実!!と彼を本名で呼び掛けるが、そこに紘汰の知っている「ミッチ」としての彼は既に無かった。

戦うことになった両者だが、そこに生きていた貴虎が乱入。光実を制止しようとする。

しかし後に引けなくなった光実にとっては、彼の帰還はあまりに遅く、むしろ「まだ今でも戦ってる僕の邪魔をするなよ!」と怒りをぶつけることしかできなかった。


その後、光実を止めようとする貴虎は、光実との一騎討ちを申し出る。光実は苦戦するものの、貴虎の迷いの隙を突いて勝利。彼を海へと叩き落とした。

だが、決定的な一線を越えてしまった光実は、本当の意味で「後戻りのできない場所」へ転がり落ちてしまうのだった。


自分の手で兄を殺したことによって、ひどく精神をかき乱されていた光実は、兄の幻影に付き纏われる事になり(そもそも貴虎と戦う前に、レデュエに家族のことを聞いて「家族を裏切って殺した」ことを打ち明けられた時には、動揺したような素振りを見せていた)、第38話でそれを振り切るように、舞を無理やり拉致するという形振り構わない行動に出た。

同行していたペコに静止されるも黙ってろよクズと罵り、シンムグルンに彼を嬲らせた光実は、目論見通り舞をユグドラシルタワーへと連れ出す(ちなみにこの一連の場面では「一緒に来てください」と連呼するばかりで舞自身の意思は完全に無視している)。

その知らせを聞いて追いかけて来た紘汰に対しても半ば自棄糞気味に、しかも終始狂ったように笑いながら攻撃を仕掛ける姿は、レデュエから「壊れてしまった」と誤解される程に、常軌を逸したものだった。

しかし戦いの中で、貴虎の幻影を振り切った彼は、かえって「壁を越えた」ことにより覚醒

戻らない覚悟を固めた光実は、貴虎のそれに勝るとも劣らない、危険な力を身につけたのだった。


第40話では紘汰の後を追う戒斗と交戦。上記の第27話のやりとりに端を発する因縁の対決が実現する。バロンに対して互角以上に立ち回り「どう?これでも僕が弱者だと?」と自信満々に挑発するも、「貴様はもはや強い弱いの問題ではない…ただのバカだ!!」と痛烈な言葉を浴びせられる。「オーバーロードの手先になって足場を固めたつもりか!?使い捨ての手駒にされてるんだぞ!」と図星を突かれるも「奴らを利用してるのは僕の方だ!!」と逆上する。

しかし、程なくしてオーバーロードことフェムシンムは全滅の一途を辿り、散々裏切り行為を重ねて最後に宛てにしていたオーバーロードをも失った光実は、かつて関わりのあった者達殆どから見放される状態に陥ってしまった。


第42話では舞を凌馬の導きで無人の病院に連れて行き、そこでサガラから自身の正体を明かされ、さらに自身が舞のかつての笑顔も忘れるほど目的を見失っていたことをやっと自覚し始めるも、結局は今までの生き方を変えられず凌馬の口車に乗る形で、ヨモツヘグリロックシードを手にして紘汰と対峙してしまう。

第43話ではヨモツヘグリアームズの副作用に蝕まれながら極アームズに変身した紘汰と激しい戦いを繰り広げ、紘汰に致命傷を負わせたものの変身を解除させられ、ロックシードを破壊される。

血を吐き倒れる紘汰にこれまでやったことを許されるも「許されるわけがないだろ!」と泣き叫ぶが、やがて平静を取り戻す。そしてこんな自分でも『許される価値』を見出そうとせめて舞だけでも救おうと立ち上がり、去り際に久しぶりに紘汰を『さん』付けで呼んだ。

そして凌馬のいる病院に戻るが、心臓と完全に融合していた禁断の果実を摘出されてしまった事で、舞は死亡してしまっていた

逆上して凌馬に襲い掛かろうとするも凌馬の切り札キルプロセスによってゲネシスドライバーを機能停止させられ、散々殴り飛ばされた挙句に、トドメと言わんばかりに扱き下ろされる。


凌馬「嘘吐き…卑怯者…そういう悪い子供こそ、本当に悪い大人の格好の餌食になるからさ!」


その直後、摘出された禁断の果実から出現した精神体の舞に別れを告げられ、完全に心が折れてしまった。

戦極ドライバーは手元に残ったものの戦う理由であった舞を失った為、ライダーとしてもはや再起不能の状態となり、戦線離脱となった。

戒斗がオーバーロードと化し、世界の破滅へ向け動いていた間も廃病院の中で泣きながら、兄の幻影との問答を続ける。しかし、その幻影に「いつまで私にしがみついているつもりだ」と突き放されると、亡き兄を追い求める様に泣き崩れる。

(一説によるとそれまでにも登場した貴虎の幻影の正体は、仕舞い込んでいた兄への愛情が死が原因としてストレスが耐えきれなくなって発生する様になり、理解しているが受け入れることのできない現実を感じる度に「理想の兄」の形として無意識に作り出していた理想の兄の姿なのではないかという見方もある。)

事実に気付いたことがきっかけか、遂に逃避していた現実と再度向き合おうとするかのように泣くことを止めた。


その後ははっきりと描写されていないが、貴虎が生きていたとの情報を掴み彼の下を訪れ、看病を始める。

第46話では、紘汰と戒斗の最終決戦から3ヶ月後が経過し、ヘルヘイムの侵略を免れ、元通りとなった沢芽市のフリーステージで踊るチャッキー、リカ、ラットを遠くから見守っていた。その場から去ろうとした所でザックに呼び止められ「もう一度一緒に踊らないか?」と声をかけられるが「僕にはそんな資格はない…」とその場を立ち去る。

この時の光実は、かつてインベス事件によって沢芽市の住人から非難され、世間から孤立してしまった頃のビートライダーズと同じ境遇を、今度は自分一人だけで味わう事になってしまっていた。

そして病院へ行き、貴虎の看病をしながら「僕はどうすれば」と呟き、生き方に迷っていた。しかし、一人涙に暮れていた中、あの世寸前で紘汰に呼び止められた貴虎が覚醒するのを目撃し涙する。


第47話では、前話から7ヶ月が経過しているも、回復した兄と当たり障りのない話をする以外には人との関わりを絶っているかのような状態だった。

沢芽市に現れた仮面ライダー邪武の脅威を前にすると、もういない紘汰に代わって自分が街を守ることを決意、単身龍玄に変身し戦いを挑む。1対2の劣勢ながら一度は彼を追い詰めたものの、人質にとられた少女の体を前に止めをさせずピンチに陥った。

踏みにじられ、胸の内で紘汰に詫びる中、紘汰が加勢に現れ少女を解放したことでピンチを脱し、最後には紘汰との共闘で邪武に勝利。紘汰に別れを告げ、兄や城乃内、ザック達に再び仲間として受け入れられた。

最後に彼が見せた表情は、戦いが始まる前と同じ素直な笑顔だった。


「みんな!」


光実はポジションで言えば3号ライダーポジションだが、鎧武本編の最終回、本編終了後は後述するMOVIE大戦や小説仮面ライダー鎧武等で実質的な主役を務める事が多いなどかなり特殊な立ち位置の人物である。


その後、MOVIE大戦フルスロットルでは貴虎を支えるために大学へ進学。忙しいものの、たまにビートライダーズや「ドルーパーズ」に顔を出している模様。

メガヘクスの侵略の際に、メカ黒影とメカ戦極凌馬に遭遇・戦闘に突入。デュークドラゴンエナジーアームズにより負傷してしまうが、彼がメカ黒影を倒し持ち帰った戦極ドライバーが貴虎の「仮面ライダー斬月」としての復活の切っ掛けを作る。

そして、貴虎とともにメガヘクスとの戦いに挑む。貴虎が凌馬との決着をつけている間、かつて空回りばかりして舞を守れなかった過去を胸に、メガヘクスの要塞に乗り込み、彼女の救出に成功する。ようやく本編では成し得なかったことを彼は成し遂げたのである

その後、兄に自分が所持していたメロンエナジーロックシードを投げ渡して彼を「斬月・真」に変身させて窮地を救い、連携で極ロックシードを取り返したりと、兄弟の絆も強いものになっていた。


全てが終わった後、兄とザックたちと共に笑顔で紘汰と舞を見送る。


「紘汰さんと舞さんの考えなんてお見通しですよ、だって僕たちチームなんですから」




人物評編集

作中一番の問題児で、『仮面ライダー鎧武』には、主人公である葛葉紘汰をはじめ登場人物のほとんどが大なり小なり問題を抱えたキャラクターで占められていたが、そんなキャラクターの中でもひときわ問題行動が多く、作品の放送中には、時折見せる彼のしたたかさや冷徹さから、序盤の段階で視聴者の間でも黒化するのではないかと早くから囁かれていた。

実際、上述の通り作品中盤から悪堕ちの道を走り始め、第17話の彼は撮影現場でも「悪実(わるざね)」「黒ミッチと呼ばれていた。

放送中の感想としては、「こうなりたくはない」とか、高杉氏がファブリーズのCMに出ていたため「これはもうファブリーズでも浄化は無理」とまで言われてしまっている。


脚本を担当した虚淵玄は光実の挫折を作品テーマの一つに掲げており、現代の子供からはかっこよく見えるかもしれない、『賢く上っ面だけを取り繕う立ち回り方』に対して、「そういう生き方をしていると痛い目にあう」と伝えることを意識していると語っており、第43話の「嘘つき…卑怯者…そういう悪い子供こそ、本当に悪い大人の格好の餌食になるからさ!」という凌馬の台詞がその方針を総括した言葉と言えるだろう。光実にそう吐き捨てた凌馬でさえ、結局は机上の空論に固執する程度の男であり、ロード・バロンの圧倒的な「力」の前に敗れるという皮肉な末路を迎えている。


一方で彼の独善的な行動の裏には、高校生という多感な時期の子供であることが大きく左右していることも忘れてはならない。事実、第46話では凰蓮から「オーバーロードに騙され、利用されてた。皆と同じ被害者」とも評されている(罪の償い方教えてくれがいない状況を哀れんでもいた)。


そもそも彼は、家庭では厳格な兄の下で、常に学年トップを取るほどの優等生であることを強制されており、そんな家庭環境が窮屈で苦しい物であることは想像に難くない。

事実、彼はそんな兄からの自由を求めて、兄に隠れてチーム鎧武のメンバーに入っており、これが後の秘密主義の土壌になってしまっている


また、元々、チーム鎧武をはじめとするストリートダンスチームを組んでいる人間を「クズ」として見下していたのは貴虎の方であり、ノブレス・オブリージュの必要性から『選ばれた人間が上に立つ』という考えを常々光実に吹き込んでいたことから、後の支配欲や権力欲に繋がる選民思想にも目覚めてしまっている(それはまるでユグドラシルが推し進めてきた「プロジェクト・アーク」そのものであり、第35話のサブタイも「ミッチの箱舟」となっている)。


これら光実への教育が彼に悪影響を与えていたことは貴虎自身が最終話で認めており、光実の暴走の裏には、そういった貴虎の『見えざる影』を背負わされた部分が多分にある。

実際、兄弟対決の時には貴虎は光実に対して「俺はお前の影だ。俺の犯してきた過ちの全てだ」と言われており(実際に、高杉氏はインタビューにおいても、このシーンの撮影の際に、「何度も泣きそうになった」との事)、そんな貴虎に対して、光実はこれまでの鬱屈した感情を貴虎に爆発させていた。

このことは作品放送中、視聴者からも指摘されており、貴虎の行動が無自覚に光実を追い詰める原因になっていたことは確かである。貴虎は光実と戦う中で光実が本当に欲していたものが『暖かな居場所』である事を悟っている。それを裏付けるかのように、学園での大人ぶった態度に反して、チーム鎧武での年相応の少年らしい所を見せていたのも後者が光実のありのままの姿だったからだと考えられる(つまり紘汰を兄のように慕っていたり、舞に好意を向けていたのも、愛情に飢えていたが故の感情である事が窺える。チーム鎧武は正しく、彼にとっての安心できる居場所だったのである)。


度重なる裏切り行為にしても、発端は貴虎によって『ヘルヘイムの森』の真実を突き付けられたことにある。

貴虎からすれば、機密情報を知られた以上、光実を仲間に引き入れるしかなかったのであろうし、元々、呉島家の人間である以上いずれは知ることになるのだから、これを契機に社会勉強をさせてやろうぐらいの思いだったのかもしれない。

だが、光実にしてみれば、兄によって唐突に世界か仲間かの究極の二択を迫られてしまったに等しく、当時精神的に未熟な彼が最終的にはどちらも選べずに半端な裏切り者になってしまったのは、仕方のないことと言えよう。


また、裏切りを繰り返し続けたことで、当初の目的や理想とはかけ離れた行動を取り続けながらも、舞への思いだけは最終決戦に至る直前まで、変わることなく胸に抱き続けており、彼女に対する思いだけは終始一貫していた。

そこから純粋であるがゆえに、悪に染まりやすい性質であるというのも窺える。


第36話の貴虎の発言によると、偉そうな事を言っていた割に当の貴虎が幾度も出し抜かれては、騙される姿を見ていたが為に「こんなバカな大人にはなるまい」騙されるより、騙す方が良いと光実なりに反面教師をした結果が先述した暴走や裏切りの理由なのではないかと推測している(斬月同士の死闘中の描写から「優れた者が真っ先に犠牲を払うことこそが名誉だのと綺麗事を並べたとて、誰かのために戦っても結局は自分が損をするだけ」と考えていた事がうかがえる)。


全部紘汰さんのせいだに代表される作品ネタも豊富で、事あるごとにイジられる対象になっているのも、逆に言えばそれだけ作品ファンを惹きつけて止まないキャラクターであるという事の証明でもある。


総合すれば、良くも悪くも、染まりやすい性格をした純粋な人間である。

それゆえに、仲間を切り捨て、兄を切り捨て、世界すらも切り捨てた冷酷な悪人であると同時に、世界の命運をかけた戦いに巻き込まれた末に、自分の持ち得るすべての物を犠牲にして、結局は何も手に入れられなかった哀れな道化に落ちた、悲しい存在であるとも言える。


ただ、「挫折」がテーマというように、その後挫折した最終回から立ち直って成長している面もある。

特に「目的のためならば人を犠牲すること」を致し方無いと考え、策を弄していたそれまでの彼とは対照的に、紘汰のように目の前の人質の解放を重要と考え、要求にも素直に応じるなどそれまでにならば考えられなかった対応を見せており、真っ当な正義感を得ている。

そのように彼もまた独りよがりで背伸びした自分から脱却して、街を守るヒーローへと『変身』するのであった。



劇場版『サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!編集

彼もまた紘汰と同様にラピスの作った世界に迷い込むが、妻のいないはずの貴虎に妻がいる事に違和感を感じて真相の究明に奔走する。

調査の末、今回の事件の原因は戦極凌馬の実験の影響である事を突き止めた。ラピスを元凶だと思い込み倒そうとするが、サガラから黒幕は別にいる事を知らされる。


鎧武外伝編集

Vシネマ『鎧武外伝』にも登場。ただし、2023年現在、鎧武は10周年となるが演じる高杉氏の大ブレイクもあってかスケジュール確保が困難となり、彼をタイトルに据えたVシネマは発表されていないが、事実上、小説版がそれに該当する。


仮面ライダー斬月/バロン編集

斬月パートに登場。時系列的には、まだ闇堕ちする前で登場しており、今後の展開を匂わせるような台詞を残していった。


仮面ライダーデューク/ナックル編集

ナックルパートに登場。ネオ・バロンの追手から逃げるザックと城乃内の前に登場し、追手の黒影トルーパーを一掃した後、ザックに新たなエナジーロックシード『マロンエナジーロックシード』と戦極ドライバーを渡した。


小説仮面ライダー鎧武編集

大学に通いながら、ネオ・バロン壊滅後に蔓延るストリート・ギャング騒ぎの黒幕である黒の菩提樹を追っている。グリドンナックル斬月ブラーボと共にセイヴァー配下の怪人軍団と戦うが、狗道供界のセイヴァーシステムに呑まれ、世界を蝕む無数の悪意や親しい人々を殺戮していく幻覚を見せられるも、突如現れた通りすがりの『英雄』の働きかけによって我に返り、幻覚を打ち破った4人の仲間と帰ってきたあの男と共に狗道狗界の野望を打ち破った。


余談編集

偶然か否か、死亡キャラの死には光実が直接間接問わず関わっていることが多い。初瀬に関してはユグドラシルの実体と白いアーマードライダーの正体を探ると言う目的の為に決行した、他のアーマードライダーを巻き込んだ壮大な策略の中で知らず知らずのうちに兄である貴虎と共に兄弟揃って彼を後の悲惨な末路へと導いてしまった。シドに至っては殆ど見殺しにしたと言っても良いだろう。オーバーロードについても紘汰抹殺の為の作戦に不運が重なったとはいえデェムシュが混戦することとなりそこから地球進行を許し、遠回しではあるが彼が倒される発端を作ることとなっている。デュデュオンシュについては上記の通り最早彼自身が殺めたと言っても過言ではない。後のレデュエとロシュオの死に関してもそもそも彼が舞をロシュオに預けなければこうはならなかった(しかし、間違っても彼らが生き残る可能性がなかったのも事実であるが…)。


そして肝心の舞にしても、ロシュオから黄金の果実を与えられて始まりの女になってしまった為、光実の行動が引き金になってしまったのである


当初は第3クールの終わり頃に死亡する予定であり、一線を越える描写としてシドを殺害することも検討されていた。


なお、龍玄のモチーフであるブドウの花言葉は「酔いと狂気」「陶酔」と本編中の彼のマイナス面そのもの。しかしながら、「慈善」「人間愛」といった花言葉もあり、こちらは最終回以降の彼を思わせる花言葉となっている。


関連タグ編集

仮面ライダー鎧武 鎧武外伝

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ビートライダーズ チーム鎧武

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