ロシュオ
ろしゅお
「見極めねばならぬ。それが滅びゆく我らに残された最後の責務だ」
『仮面ライダー鎧武』第27話にてその存在が明かされた、オーバーロードインベスの1人にしてヘルヘイムの森に侵食された異世界の住人・フェムシンム達の王。
デェムシュとレデュエより上位に位置する存在のため「デョミョ ロシュオ(ロシュオ様)」と(表向きには)彼らからは敬称を付けて呼ばれている。
また、戦極凌馬が欲する知恵の実は彼が所持していた。
イカ、もしくは呪術師のような姿で、インベス達を象徴している色である赤・青・緑の3色のどれにも当てはまらない白色の体色をしており、オーバーロードインベスたちを統率する支配者に相応しく、デェムシュとレデュエの2人と違い常に落ち着いた威風堂々とした態度の持ち主である。
思惑次第では人間の命を助けることもあるが、必ずしも他者の命を大切にしている訳ではなく、むしろ既に亡き自身が愛した最愛の女性を甦らせること以外には何の興味も関心も抱いていない。
その一方で、自分たちとは違い、未来を見据えて戦っている若者には知恵の実である黄金の果実を託してもいいと考えており、恐らく今回の事件の元凶にして黒幕である蛇の提案に乗り、その力の一端から極ロックシードを作り出し、彼にそれを託し、果たして人類がただ滅びを迎え行く種族かどうかを見極めようと静観するなど、冷静な一面をも垣間見せる。
第27・28話にて遠く離れた場所で荒れ狂うデェムシュの暴走を止めるため念動力のような力にて制裁を加え、戦いを一時中断させている。
第31話で「禁断の果実」を得る為に自身に向かって来た仮面ライダーシグルドの攻撃もバリアのようなもので易々と弾き、撤退するなら命まで取らないと警告するも、シドがなお諦めなかったため、ゲネシスドライバーを破壊して彼の愚かさをなじると岩の間に吹き飛ばし、岩に挟む形で彼を殺害する等、その力は未だ計り知れない。
また、デェムシュの持っている剣よりもさらに巨大な剣「ジョエシュイム」を振るって沢芽市に飛んできたミサイルを消している姿も確認されている。
さらに、第41話ではカチドキアームズの攻撃程度では瞬時に傷口を再生してしまう、驚異的な回復能力も持ち合わせていることが判明した。更に着弾すると爆発するはずのソニックアローの光矢を念力で操って何度もヒットさせたり、これまで破壊されることの無かったソニックアローを叩き折るなどの戦闘力を発揮している。しかし、舞に本物の黄金の果実を託していたことを考えると、これで全盛期の実力ではないのではないかと思われる。
その他、彼が歩いたそばからヘルヘイムの植物が生えて急速に成長しているような描写がある。
第27・28話では断片的にしか現れなかったが、29話にて自分たちの世界を散策している異邦人たちに興味を持ち、一度話してみたいと思いら彼らの長(と思った)呉島貴虎の前に現れ、彼の傷を治療し、異邦人たちの事やレデュエが持ち帰った道具の使い方を質問した後、貴虎の質問に答えて自分たちのことや森に隠された秘密を話した。
その話の中でロシュオは自らをかつて森に選ばれた者であり、かつて森の知恵の実を求め戦った勇者だったと語った。
だが、森の支配者にはなったものの、ヘルヘイムの森に適応する過程で「強い者のみを選び弱者を見捨てる」という道を選んだ結果、選ばれた同胞たちの間に「自分たちのような強き者に生き残る権利があるのは当然」「弱者は強者の餌食になるもの」という思想が広がり、弱者に対する排斥行動がエスカレートした結果、同族同士の争いによって文明が崩壊し、種族が絶滅寸前に陥るという最悪の結末を迎えてしまった(劇場版では黒幕がその引き鉄を引いたことで起きたという経緯が明かされている。)。
その過去から、知恵の実を巡り争う者たちについては否定的な考えを持っているようで、自分たちと同じく森に選ばれようと争い合っている(と考えている)異邦人を愚かだと蔑み、そんな彼らに実を渡す気はないと貴虎に告げた。
第31話ではDJサガラ曰く、彼は「人間のために用意された知恵の実を横取りした」「たった1人の愛する人を救うために70億の人類が滅びてもよい」という考えであることを暴露され、「最初からチャンスを与えないなんて大人気ないことは止めろ」と煽るサガラとの交渉に応じ、知恵の実の一部から極ロックシードを取り出して彼に渡す。
その後、黄金の果実を求めてやってきたシドと交戦するも、その圧倒的な力の差を見せ付けたにもかかわらず、尚も黄金の果実を求めるシドの愚かさをなじった後にヘルヘイムの崖に閉じ込めて圧殺した。
第32話にてデェムシュがクラックに入ったことを切っ掛けに「救援に向かいたい」と懇願するレデュエの要請を許可する。
しかし、シドの一件もあってか、自身の寝首を掻こうとしていたレデュエに警告を与えるように鋭い眼光で彼女を怯ませ、さらに彼女の思惑に感づいていたのか、貴虎に「お前たちの世界に(レデュエが)侵攻しようとしている」とさり気なく彼女の真意を明かし、沢芽市の危機を伝えている。
そして第34話にて彼の持つ知恵の実がどうしても欲しいレデュエが、知恵の実を使用する方法以外での王妃の復活させる手段を提示し、その引き換えに自身の配下の1人であるグリンシャを彼女の元へ派遣し、さらに自身の力を地球人たちに誇示させて欲しいという口車に敢えて乗り、沢芽市へとやって来た彼は沢芽市へと無数に撃ち込まれる戦略兵器ミサイルを能力の一端で時間を一時停止させ、その間に巨大な剣を振るって瞬く間にミサイルを発射したアメリカへと送り返して壊滅的な被害を与え、全世界の人々や視聴者に格の違いを見せ付けた。
続く第35話ではかつての自分たち同様、仲間を見捨てて敵諸共葬り去ろうとした行為から、もはや地球人類を滅び行く種族として認識し、せめて苦しまぬように滅びを与えるための配慮(お節介な情け心)として滅びの時間のカウントダウンを早めようと、世界中にヘルヘイムのゲートを開き侵攻を開始した。
そして今まで(とてもそんな風に見えなかったが)捕虜としていた貴虎に「長の務めとして世界の滅びる姿を見届けよ」と語った後に彼を解放する。
また、第39話にて光実から、レデュエよりもまだ信用できる存在として、自分が価値を認める唯一の存在と彼が称する高司舞を預けられる。
そして彼女と気紛れで暫しの会話を交わすが、その際に彼女が「だからここはこんなにも空っぽなんだね?」や「たとえ仲間が傷ついたり裏切っているとしても必ず私を助けに来てくれると信じている」と告げたことで、自身が最後まで信じ切れなかった仲間の存在や、心中を察するような旨のセリフを聴いた際、かつて最愛の妻の面影と彼の理想を信じる言葉を思い出すなど、彼女に興味を惹かれた、或いは何かを感じ取ったかのような描写が垣間見られた。
第41話では、舞にかつての最愛の妻の面影と彼に残した言葉に思い出し、その際まるで自分の最期を悟ったかのように黄金の果実を舞の体の中に封印し、彼女を元の世界に帰した後、フェムシンムの長として最後の責務を果たすべく、舞を助けにやって来た葛葉紘汰や駆紋戒斗と対決する。
暴風のような念動力、ヘルへイムの植物を意のままに操る能力、インベスの大量発生などの圧倒的な力で2人を圧倒するが、オーバーロード化に恐れず覚悟を決めた紘汰に一時圧倒されるも、ベルトやカチドキロックシードを破壊して変身解除に追い込んだ。
オーバーロード化に恐れず、守る為に自らを犠牲にする紘汰の覚悟を見届けて彼を賞賛するも、その直後にレデュエに背後から攻撃され、黄金の果実を奪われる。
しかしレデュエが奪った黄金の果実は偽物だった。黄金の果実の入手に失敗したことで怒り狂ったレデュエから暴行を受け死亡(皮肉にもこれがレデュエ戦死の引き金となった)。黄金の果実の呪いから解放されたこと、やっと王妃に会える喜びからか、レデュエから散々暴行を受けたにもかかわらず、その死はどこか安らかだった。
「愛する者よ……これで私も……お前の、元に……!」
ロシュオ自身は自分たちフェムシンムの滅亡を悟っており、見届ける役目として黄金の果実を舞に託し、自身に不意打ちしたレデュエにフェムシンムはその役目は終わったと告げていた。
その人格と人柄から、敵とはいえ、紘汰たちと早く会えていれば分かり合えていたかもしれず、彼の最後は何処か切なく悲しいものであった……。
結局、ロシュオやレデュエを含めフェムシンムは1人残らず滅びてしまい、王妃は志半ばで命を落としたロシュオを静かに迎え入れ、昇天した。
そして遺されたロシュオの愛用の剣は王妃の遺品と共に、形見として玉座に置かれていた。
王妃が「私もこの人もやることはやった」と言っていたことから、結果は失敗だったものの、かつては彼なりにフェムシンムの属する世界を救おうと試みていた模様である。
本人は再登場の機会には恵まれないが、武器の名前は「ジョエシュイム」(日本語に訳すと大剣(たいけん)となる)は割と優遇されている。
第41話では極アームズがレデュエとの戦いで落ちていたジョエシュイムを拾って武器としていたり、ファイナルステージでは魔蛇戦で召喚していた。
『AC PB06 仮面ライダー龍玄・黄泉 ヨモツヘグリアームズ』では龍玄・黄泉が使ったオーバーロードの武装と共に立体化、ただし、S.H.FiguartsやSO-DO CHRONICLEでは立体化されずに終わった。
- デェムシュやレデュエ同様に彼の名前を解析すると「白亜」となるらしい。
- 上記の考えから少なくともオーバーロードの中でも良心的な存在であると言えるが、前作の白い魔法使い(ワイズマン)のように愛する者1人の為に多くの命を見捨てても構わないという危うさも見え隠れしている。ただし、愛する者の復活に失敗し、なおも儀式を続けようとする往生義の悪さを見せた白い魔法使い(ワイズマン)とは違い、潔くそれらを受け入れて最後は王妃に会える喜びからその死はどこか満ち足りた安らかなものであった。また、「旧種族の長である自分が為すべき責務」と腹を括ったり、黄金の果実を求めて自分と戦おうとする者との戦いの際は、相手の覚悟を見極めようとする王としての誇り高さももっていた。
- ロシュオの回想でその最愛の女性から果実らしき何かを貰う際のシルエットは現在の姿と異なり、後頭部からポニーテール状の触角を生やしている細身の姿を確認できる。
- かつて抱いていた「強い者のみを選び弱者を見捨てる」という考え方は駆紋戒斗がかつて抱いており、自分の理想を見つめ直す機会を同時に得るだけの力を持つまではロシュオはある意味で戒斗の未来像の1つとも言えた。また、プロジェクト・アークとも共通している点がある。
- 第41話に登場した彼の妻である王妃役の岩崎ひろみ女史は凰蓮・ピエール・アルフォンゾ役の吉田メタル氏の実妻である。
- デザイナーである篠原保氏はある書籍で「ロシュオの眼はそこじゃないです。多分」とコメントしている。では他に眼に見える場所を探すと…正直、キャラのイメージが変わってしまう。
- モチーフはイカと隠者。オーバーロードの大王に引っ掛けたモチーフと言えるだろう。また、他のインベスやオーバーロードのモチーフはほぼ陸の生物で統一されているのに対し、彼だけ水棲生物、ましてや森に関連の無いイレギュラーな海の生物がモチーフになっているのは彼の強さが他のフェムシンムを遥かに凌いでいるが何故なのだろう。ただ、鎧武は北欧神話にも題を取っているので、イカがモチーフなのも全く関係が無いという訳ではないのかもしれない。
オーバーロード語 王妃(仮面ライダー鎧武) デェムシュ レデュエ
ダイオウイカ・デッドマン:イカがモチーフのライダー怪人で敵幹部。
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